熱波師のすゝめ
サウナイキタイ アドベントカレンダー 1日目の記事です。
サウナイキタイをご覧の皆さま、はじめまして。神奈川在住のサウナ愛好家、うだと申します。
サラリーマンとして働くかたわら、「宇田蒸気」の名で週末「熱波師」として活動させてもらっています。
サウナが好きな方ならばご存知のとおり、サウナストーンにアロマ水をかけて発生した蒸気(ロウリュ)をお客様に向けてバスタオル等で扇ぎかけるサービスの事を、本場ドイツでは「アウフグース」、日本においては「熱波」。
それらサービスを提供する人の事を「アウフギーサー」そして「熱波師」と呼んでいます。
今回は以下の5つのトピックで、私の熱波師に関する思いをお伝えできればと思います。
(あくまで個人の見解であり、特定の施設や団体等を代表するものではない事をご了承ください)
- はじめに
- 熱波師をやってみて感じたこと
- 熱波師になるメリットとデメリット
- 熱波師になるための3つのステップ
- 最後に
はじめに
まず皆さまにお伝えしたいのは、熱波師の数が圧倒的に足りないということです。
ここ数年で多くのメディアからサウナが取り上げられ、サウナ好きの方(以下、サウナー)が日々増加していることは間違いありません。
しかし、サウナーの増加数に対して熱波師の増加数は少なく、すなわち”熱波うける君”の需要に対して”熱波とどけたい君”の供給が追いついていない状況だと感じています。もしかしたら、今も数多くの熱波うける君たちが、あなたを待っているかもしれません。
少しでも熱波への興味があれば、皆さまも熱波師になってもらいたいのです。
私はサウナーとして、毎日のようにサウナを利用したり、サウナのために全国各地の温浴施設を巡っていたりします。
そんな愛好家になったきっかけの一つが、スカイスパYOKOHAMAのアウフグースです。
はじめて受けた時の衝撃と、病みつきになる感覚は今でも鮮明に覚えています。
冒頭の自己紹介にもあるとおり、私はサラリーマンのかたわら熱波師として活動をしていますが、温浴施設に所属しているわけではありません。利用者としてのサウナーから、いきなり熱波師になりました。
熱波師になるための敷居は高くなく、むしろ歓迎される状況だと感じています。
熱波師をはじめてまだ2年ほどの経験で恐縮ですが、熱波やアウフグースに少しでも興味のあるサウナーさんの参考になるよう、今感じていることをお伝えできればと思っています。
熱波師をやってみて感じたこと
サウナーの活動が「サウナからの恩恵を受け取ること」なのに対し、熱波師の活動とは「サウナから受け取った恩恵を人に与えること」、サウナからインプットしたものをアウトプットすることだと感じています。
もちろんサ活やブログなどで体験や思いを綴ったり、ウェブサービスやテントサウナ、ウィスキング体験を提供したり、はたまたサウナ好きが高じて温浴施設に転職して活躍されたりすることもアウトプットです。
そうしたアウトプットの選択肢、サウナの魅力を表現できる手段の一つが、「熱波師」であると思っています。
また、熱波師とは個性であるということも感じます。
この世界に飛び込む前は、熱波師同士でバチバチとした競争の激しい世界なのかな?と不安な思いもありましたが、活動を通じて他の熱波師さんと知り合うことが増えていくにつれ、お互いの良さを尊重する方が多いことに気がつきました。
それもそのはずで、同じ熱波スタイルでも、扇ぎ方も含めて、その人の個性が強く出るのが熱波師の世界なのです。
今年は鬼滅の刃が大ヒットしましたね。私は某ジャンプ漫画になぞらえ、熱波師の個性が出ることを『発現する』と呼んでいます。その人の精神力や個性がタオルに移り、熱波に変わるのです。
なので、熱波師をやる上で扇ぐ技術の上手下手はそこまで重要ではありません。
上手なだけの人よりも、懸命に扇いでくれる人の方が共感できます。技術が高くなくても、場を盛り上げる口上でカバーできる人も魅力的です。
私の場合肩に力がなく、一人一人に何度も仰ぎかける熱波(ランバージャック)が得意ではないため、肩に負担が少なく扇ぎ続けられるフラッグを中心としたアウフグーススタイルを取っています。
勢いのある風は出せないですが、継続的な風を送ることができ、お客様からは「心地良い」との評価をいただいています。
もしこれから熱波師をしてみたいと思う方は、技術がなくても心配しないでください。
そして他の人と比べる必要のない、自分の個性を活かせるものなのだと知ってほしいです。
スカイスパYOKOHAMAなど第一線で活躍され、いつもお世話になっている芸人兼熱波師の箸休めサトシ(アウフグース加藤)さんがおっしゃっていました。
サウナ施設にそれぞれの良さがあるように、熱波師にもそれぞれの良さがある。
熱波師をやってみるメリットとデメリット
個人的に感じる、熱波師になることのメリットとデメリットをいくつか挙げます。
メリットその1:サウナを少しコントロールできる立場になれる
私が熱波師になる前は、周りから「セルフロウリュおじさん」と呼ばれてしまうほど、ストーンに水をかけることが大好きなサウナーでした(もちろんセルフロウリュ可能な施設において)。
利用者としてはセルフロウリュができない施設でも、熱波師になれば公式に認められた「ロウリュおじさん(またはお姉さん)」として、堂々とロウリュができます。
サウナ室に発生する蒸気の対流は毎回異なり、それを思い通りにコントロールできた時の喜びは大きいです。
メリットその2:施設を自由に使えることも
熱波師になるとサウナに自由に入れたり、食事を賄ってもらえる施設さんもあります(もちろん施設さんによります)。
やりたいロウリュができて、大好きなサウナ室や水風呂にいつでも入れるとなれば、サウナーにとっては夢のようなことです。
笹塚マルシンスパのマグ万平さんのように、サウナが無料になることが決め手で施設のスタッフになった熱波師さんもいます。
メリットその3:水風呂の強烈な気持ちよさ
熱波を行っている時の熱波師は、サウナ室の中で誰よりも熱さを味わっている人間になります。
それゆえに、熱波を終えた後の水風呂は毎回強烈な体験になります。その後のドリンクやフードもまた格別です。
通常ではなかなか味わえない、ディープな快楽を体験できます。(あやしい勧誘みたい…)
もちろんメリットだけではなく、デメリットもあります。
デメリットその1:サウナをコントロールする事の難しさ
ただでさえ科学的に解明されていないことも多いサウナの世界。そこにロウリュの加減、攪拌、扇ぎ方などが加われば難しさも無限大。まだ扇いだことのない未経験の施設となれば、手探り状態です。
また、ただ単に扇ぐだけではなく参加者の安全面に配慮するのも熱波師の役目です。
今年は特に感染症の流行がありました。いかに対策をしつつサウナを楽しんでもらうか、施設と一緒に考えることも大切です。
デメリットその2:前準備の大変さ
技術の習得はもちろん、必要となるアロマや機材、こだわりのバスタオルを調達したりと、それなりの時間や経費がかかることがあります。
もちろん施設側で用意してもらえる部分もありますが、オリジナリティのあるパフォーマンスをするためには自分で用意することも必要です。
デメリットその3:サウナ室で扇ぎ続ける大変さ
熱波の最中や終了後の熱波師の顔をまじまじと見た事がある方はお分かりかと思いますが、苦悶の表情をしています。
(苦悶の表情といえば、あのアドベントカレンダーを思い出しますね)
熱波後の水風呂が強烈に気持ちいいということは、それだけの我慢もしていることを意味します。
私の場合はサウナが大好きなので、その我慢も楽しんでいます(このドM野郎が!と言われても言い返せません…)
上記の内容だけを捉えると、熱波師になる前提として、サウナーである必要があると思われるかもしれませんが、実際にはサウナや水風呂が得意ではない熱波師さんもいます。それでもきちんと興行されているので、必ずしもサウナーである必要は無いと思います。
熱波師になるための3ステップ
ステップその1:小さなところから熱波を実践する
サウナ人気やテントサウナの普及もあり、自由にロウリュができる施設やイベントが増えてきました。
そのような場所で、アマチュアとして熱波を実践することから始めても良いと思います。いわゆる”ゲリラ熱波”です。
その場に居合わせた見知らぬサウナーさんでも、扇がれる事を嫌がる方はそんなに多くないです(もちろん場の雰囲気や居合わせる人によるので、TPOを弁え、事前に施設や主催者、参加者の方にお断りをしてからやりましょう)。
小さな実践を積むことで、自信にも繋がります。
ちなみに今年11月には新宿区役所前カプセルホテルで、「アマチュアウフグース熱波イベント」が開催されました(第二回も行われるようです)。このような機会が増えてきているのも、とてもありがたい事です。
そもそも扇ぎ方はどうやって習得するの?ということですが、見よう見まねで構いません。
私の場合はどこから学んだ(真似た)のかというと、ネットです。ぜひ動画サイトで「aufguss」と検索してみましょう。
(私が2年前に上記のような事をしていた様子を、サウナ仲間であるブタゴリくんが2年前のアドベントカレンダー:「TOHOKU SAUNA FES」体験レポの中で触れてくれています)
本格的に熱波師になることを考えるようになったら、日本サウナ熱波アウフグース協会が定期的に開催している熱波師検定を受講するのもオススメです。有料ですが、実技を含めて基本的な知識を学べますので、確かな自信になります。
サウナは必ずしも良いことばかりではなく、安全面や健康面で注意すべき点があり、パフォーマンスの中でそれを伝え導くことも熱波師の役割であると、この検定で学びました。
(受講会場となった山梨の秋山温泉は私にとって熱波師としてのふるさとです。その時の講師は井上勝正さん、渡辺純一さんでした)
ステップその2:お気に入りの熱波師を見つける
各地の温浴施設でそれぞれパフォーマンスや特徴が異なる様々な熱波師さんが活躍されているので、積極的に色んな熱波イベントを体験してみて、自分でも実践してみたいと思えるスタイルの方がいたら積極的に声をかけてみることです。扇ぎ方も含めて実務的なことも教えてくれたりします。
私の場合、参考にさせていただいたのは湘南ひらつか太古の湯グリーンサウナのロウリュキング坂口さん(現在はスカイスパYOKOHAMAに所属)。
一緒にコンビも組み実践を学ばせていただいたのが、当時ザ・ベッド&スパ所沢で扇いでいた五塔熱子さんでした。
ステップその3:温浴施設やイベント主催者と交渉する
熱波師として本格的に活動するには、温浴施設やイベント主催者の方々に交渉して活動の場を得る事が必要です。
自分で交渉するのも良いですが、既に活躍をしている熱波師さんに認めてもらえれば、そうした方々ともコンタクトが取れるようになります。本気でやりたい旨を伝えれば、きっと一緒になって交渉をしてくれるはずですよ。
熱波師になる準備ができたら、そこからはあなたのステージです。
熱波に臨むにあたり大事なことは、参加されているサウナーさんたちと一緒にサウナを楽しむこと。
そして最後まで扇ぎ通す『覚悟』と『勇気』です。
最後に
私が思う熱波師の醍醐味とは、サウナの蒸気と風を通じて、幸せのおすそ分けができる喜びです。
熱波師になれば、サウナーとして体験した「心地良さ」を誰かに与えることができます。
熱いサウナ室内で扇ぐことはとても大変なことですが、その扇ぎによって幸せを攪拌して広げることができるのが熱波師です。
サウナへの視座もさらに広がることでしょう。
この記事を読んで少しでも熱波師をやってみたいと思い、実践してもらえる方がいれば、サ活だけでなくパ活(熱波活動)も増えていくきっかけとなれば幸いです。
熱波師が増えれば、個性豊かなパフォーマンスを皆さまと楽しめる機会が増えるようになります。
そしていつか『熱波柱』こと日本を代表するアウフギーサーたちが揃い、アウフグースの世界大会で優勝する時代も来ると思っています。
『炎の呼吸』とまでは言いませんが、個性溢れる熱波師さんが今後現れてくることを楽しみにしています。
そしてその方が扇いだ風がきっかけでまた誰かがさらにサウナを好きになったり、熱波師になったりするような”対流”が起きるなら、これほど素晴らしいことはありません。
※ちなみに、もともとサウナ仲間だったピスタチオさんも、現在熱波師として私とコンビを組んで扇いでいます。
(こちらも2年前のアドベントカレンダー、練馬からスカイスパYOKOHAMAまで歩いた話の筆者です。もしかしたら、この時のソフトクリームがきっかけで熱波師になってくれたのかもしれません笑)
お伝えしたい思いは以上となります。アマチュアの私に活動の機会を提供してくれているザ・ベッド&スパ所沢、いつもアドバイスをくれる熱波師仲間、サウナーの皆さまに、この場をお借りして感謝します。
自分らしい熱波とアウフグースで、より良いサウナライフを!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
ビギナー熱波師として、勇気づけられました!
いつか僕も宇田さんに扇いでみたいですね〜扇いだこと無いですが笑
これからも熱波をおくってください!
いつもありがとうございます😊 これからも応援しております!
俺もネッパ!やりたいです‼️
いい記事でした!
1発目にふさわしい良記事でした! たまにはあおぎたくなっちゃいますね!
宇田さんってどのように今に至ったか聞いたみたかったんです。その一部でも垣間見えた感じでうれしいです。最近、熱波師のまさに個性や施設の企画なんかに興味津々なとこです。 これからも応援しております。
熱波師になれるなんて 考えたこともなかったです!
先日旦那が宇田さんのアウフグースを受けさせて頂き、とても感動しておりました😊いつか私も受けさせて頂きたいです。
宇田さんの誠実でアツく優しいお人柄があふれた宇田さんらしい記事!弦巻や昭島のことを思い出しました。最高のスタート、ありがとうございます!
なんだかホッコリした気持ちになり、自分も一歩踏み出してみようと思えました。 ありがとうございました。
いつも良い風ありがとう! 男気がパワーアップしたから蒸気さんも幅が広がりますね!
いつの日かうださんの熱波、受けたいントゥヽ(^o^)丿
うださん、コラム良かったです! 今後のご活躍も陰ながら応援します✨(´꒳`)ホッコリ
素晴らしい文章ですね!素敵です! 先日のAKC17時の部も最高でした! またお会いしたいと思います!
また一緒にサウナ楽しめたら嬉しいですー
宇田さんの熱波受けたいです🧖🏻♀️
素敵な記事でした
私もアウフギーサーになりたい。
これからも愛の熱波をよろしくお願いします🌀😌♨️
ワシも会社員と両輪です。最近おかげさまで、声をかけていただく施設があり、定期的に振ってます。また、こちらから声をかけさせていただき、某有名温浴施設に月一で丁稚奉公させていただいてます。大事なのは飛び込む勇気、ですね。同意します。
読みやすくてわかりやすかったです。ちょっと興味がでてきました。
#3150 です!熟読致しました!
宇田さんに出会えて良かったと心から思います。 どうかこれからも宜しくお願いします。
まだサウナにハマって日が浅いですが熱波が本当に好きです。宇田さんの熱波に出会える日を心待ちにしてます!
まだアウフグース体験した事無いですが、読んで体験したくなりました😄
かるまるプレオープンでの風は忘れません!
ベッドアンドスパにいかねば!
「見様見真似でゲリラ熱波」そんなのアリなんですね。 めちゃくちゃ楽しそう。 勇気が要りますが挑戦してみたい!
熱意が伝わりました。 これからもお身体お気をつけて、愛のある熱波を💕 いつかお会いできるのを楽しみにしています♪
熱波のように熱い想いが風になって届きました!
自分も気持ちの熱い風送れたらいいなー😊
めちゃくちゃ熱い記事でした!
すごく面白かったです。
素敵な記事でした。
うださんならでは。
とても参考になるお話でした。わたしもどこかでサウナにお返ししたいです!!
YouTubeで練習していますが、難しいです。
望んで熱波師になられた方の記事は素晴らしいですね。 そういう能動的な扇ぎ手ばかりになると、本当に良いですね。
熱波師さんの視点、大変勉強になりました。 熱波師さんと関わるイベントに行ってみたくなりました🔥引き続き、熱波を通して人々に幸せを送り続けてくださいね😊
スマホの画面から宇田蒸気さんの熱波感じました‼️これからも頑張ってください。
楽しいコラムで私もあの子に熱風を贈りたくなりました。
文章拝読しました。 “熱波師とは個性“ とても納得がいきました。以前当たった熱波師さんのロウリュウで力任せに仰ぐのがアウフグースとは限らないのだなと感動を覚えたものです。
素晴らしい記事でした! 宇田さんの熱波を受けてみたいです。
貴重なお話をありがとうございます!
アロマと風の送り方を勉強したいというワクワクが湧いてくる、とても勇気をもらえる記事でした。
そのうち熱波を受けにスカイスパいきます。
うださんの熱波を体感してみたい!
心地好い風を有り難うごさいます😊
いつか宇田蒸気さんの✨幸せのお裾分け✨していただきたいなと思いました
熱波師の数が少ないこと、初めて知りました。 女性サウナでロウリュウを受けたことがないので、女性の熱波師が増えてくれることを期待してます🥺