路線バスを改造した移動型サウナ「サバス」できました

路線バスを改造した移動型サウナ「サバス」できました

バス活用事業をしている株式会社リバースさんと一緒に作った移動型サウナ「サバス」が完成しました!

サバスとは兵庫県にあるバス会社の神姫バスさんで実際に路線バスとして利用されていた車両をサウナに改造した移動型サウナです。今回サウナイキタイはサウナ作りのはじめの1歩から関わりながら一緒にサウナを作ってきました。路線バスをサウナに改造した国内初となるサバスのこだわりや一緒に作ることになった経緯を紹介します。

サバスができるまで

2020年の夏頃に「バスを改造してサウナにしたい」と相談いただいたのをきっかけにサウナ作りがスタートしました。

フィンランドにはバスを改造したサウナがあるのは知っていましたが、相談をいただいた当時は国内にはバスを改造した事例がなく、実現すればこれまでサウナがなかった場所にもサウナを運ぶことができて、新しいサウナ体験が作れるかもしれない!とサウナの未来にわくわくしながら前のめりで参加しました。

企画・運営するのがバス会社さんなので、バスの整備会社さんや運転士さんとも協力体制を作ることができました。サウナを作って終わりではなく、法規制も守りながら安全に運用することを方針としています。

サバスプロジェクトはサウナイキタイのかぼちゃ(@kabochao)が企画の監修からデザイン制作まで全体的に関わらせていただいたので、個人的にサバスでこだわったポイントを紹介させていただきます。

路線バスだからできるサウナ体験

サバスを作ることが決まった時に、はじめにサウナと路線バスの共有点はなんだろうと考えてみました。サウナもバスもそこに居合わせた人たちで空間を共有して一期一会の体験をすることや、どちらも普段の生活にとって当たり前に存在していて、普通に使っていると気が付かないけど、好きな人達からすると熱狂的に愛でるポイントがある点があることに気が付きました。サウナ好きがストーブの種類やサウナ水風呂の温度の違いを楽しむように、バス好きもバスの車体に関する細かな仕様違いや走行音の違いを楽しんでいて、好きなものに対するユーザーの熱量は共通点があります。

バスもサウナも地域に根付いたサービスなので、好きな人からすると細かい違いやその土地ならではの楽しみ方があるのも少し似ている点なのかなと思いました。バスのことは詳しくないですが、バスマガジンという専門誌もあり、サウナのように深い世界が広がっているのをひしひしと感じました。

バスをサウナに改造するにしても、ただ大きな箱として使ってピカピカに蘇らせるだけではなく、バスの良さはそのままに、使えそうなものは活かしながらサウナへとアップデートすることで、路線バスをサウナに改造することでしか作れないサウナ体験にできるのではないかと考えました。できるだけバス体験とサウナ体験を重ね合わせることを重視することがサバスを作っていく指標のひとつとなりました。

バス空間を活かしたサウナ室

サバスはバスの前方部分は前室として休憩スペースや荷物置きとして使うことができ、バス後方部分がサウナ室になっています。サウナ室のレイアウトはバスと同じように左右に座席があり、大きな窓は二重ガラスにしつつ開放感はそのまま活かした作りにしました。

バスと同じ座席レイアウトにすることで、バスに乗っているのにサウナにいる、というちょっと不思議な感覚が味わえたらいいなと考えました。また、サバスでは男女水着でサウナに入るので、タワーサウナのようにみんなが前を向くことで、初対面の人と水着で入る時でも目線が気になりにくいという狙いもあります。

座席は4列になっていて、座面の高さや作りが少しずつ違うので、各席違った熱の感じ方や温度や座り方の違いによる楽しみ方ができます。バス特有の高低差がある座席位置は、サウナにすると天井ままでの距離によって体感温度が変わることや、最後尾のベンチのみ横長になっているのは寝サウナとしても使えるので、サウナ的に考えてもバスの座席レイアウトはとっても相性のいいデザインだったんです。

座席の体験の違いについてもう少し詳しく説明させていただくと、1列目はストーブが近いので輻射熱を感じやすく、ロウリュボタンもセルフロウリュも担当するポジションです。2列目はタイヤ部分の上にあるので、座ると頭上が天井まで近いので体感温度が高く、ロウリュ時は蒸気をダイレクトに受けることができるので、お熱いのが好きな方におすすめです。3列目は足が伸ばせて快適なのでまったりと楽しむことができ、非常ドア越しに景色を眺められます。最後尾は奥行きが広めなので、あぐらをかいたり、寝サウナにも対応しています。

天井には手すりポールが付いているので、ポールに捕まって立ちサウナをするとなんとも不思議な気分になってきます。

バスの廃材を再利用

サバスでは元々バスで使われていた廃材を再利用しています。ぱっと見で気が付かないところも多いのですが、いろんな場所で廃材が大活躍しているので紹介します。

・降車ボタンをオートロウリュボタンに
・整理券ボックスをロウリュウタンクに
・バスのウォッシャーノズルをロウリュ放出部分に
・座席の取っ手をサウナ室のドアハンドルに
・座席の手すりと肘掛けをサウナベンチに
・エアコン吹き出し口を吸気、排気口に
・エアコン吹き出し口を照明に
・座席を休憩ベンチに
・つり革を温度計に
・バス停をサバス停に

降車ボタンはオートロウリュと書きましたが厳密には手で押す行為の後にノズルから機械で水が流れてくる仕組みなので、半オートロウリュという書き方が正しいかもしれませんね。

廃材の利用は設計段階で全て決まっていたのではなく、施工がはじまってから現場対応の数々からいろんな再利用案が生まれて実現化されていきました。施工チームから「バスのウォッシャーノズルをロウリュノズルにしちゃいました」と言われた時の感動は忘れられません。

この他にも、バスのハンドルを壁につけてハンドルを回すことで天井に設置した仰ぎ板が熱を撹拌する仕組みも考えていたのですが、いろんな事情からボツになりました。バスのハンドルってめちゃくちゃでかいのでサウナ室にあるとまあまあ邪魔な気もしますね。でもいつかやってみたいですね。

好きなサウナをリスペクトしたやさしい仕様

今回サバスは関西で作っていたので、関西の好きなサウナからリスペクトの意味も込めてサウナ利用者にやさしい要素を取り入れさせていただきました。

ひとつ目は、大阪にある「阪神サウナ」で使われているサウナ室のドア取っ手に巻かれている麻ひもです。麻ひもを巻くことでサウナ室で触れる部分が熱くなりにくく、触った感触も優しい手触りなので、サバスではサウナベンチの手すり、肘掛け、ロウリュ用の柄杓とバケツにも麻ひもを巻いて統一感のある見た目と優しい手触りが実現しました。

ふたつ目は大阪にある「ニュージャパン梅田」のサウナベンチの角丸具合です。ニュージャパンはなんばに「スパプラザ」というとてつもなく素晴らしい施設があり、2019年3月31日に惜しまれつつ閉店したのですが、スパプラザのIKIストーブをニュージャパン梅田に移設してリニューアルしたのが2019年11月。リニューアル後はじめてサウナ室に入った時、スパプラザのIKIストーブの再会にも感動しましたが、それ以上に感動したのがベンチに座った際に太ももから膝裏にかけて触れるサウナベンチの優しい角丸具合でした。サウナベンチの板で角を取っていることはありますが、やさしい角丸になっているサウナベンチに座ったのは初めてで、思わず手でベンチをスリスリしてしまうほどに感動しました。

サバスのベンチではバスの座席の雰囲気を再現したくて背もたれの形状にこだわったり、手すりをつけたりもしていますが、個人的に一番のこだわりは角丸具合です。施工チームにもニュージャパン角丸の感動を熱く伝えさせていただいたところ、角丸具合を3種類テストしていただき、一番優しさが感じられる角丸が採用されることになりました。座った時にやさしさを感じてみてください。

関西サウナではないのですが、サウナ室に対するストーブの大きさの関係性は東京のマルシンスパのバランスをイメージしています。サウナ室に対してストーブが大きいとちょっと興奮するあの感じをだしたかったんです。ストーブも特注で作ることも考えましたが、今回バスで薪サウナを使用するにあたって安全面を担保したかったので、薪サウナストーブ多数製造しているフィンランド製のHARVIAを採用しています。

Harvia LegendシリーズのGreenFlameというモデルを選んだのですが、ガラス製の薪投入口が大きいので、夜にサウナに入っていると炎がとっても綺麗に見えるのでうっとりです。煙突周りにもストーンを置けるオプションパーツも使っているので合計240kgのサウナストーンを置けるのですが、ストーンを綺麗に積むのが難しくて今220kgくらいしか積めてないのでもっと上手くなりたいです。

サウナ好きが妄想しちゃったバスの外観

神姫バスの車体から外観のベースは大きく変えることはせず、サウナの要素を追加することでよく見るとバスなのにサウナを感じられる仕様にしました。本来車体にはオレンジ色のラインが1本のみ引かれていますが、サウナと水風呂の関係性を表現する為に水色のラインを一本追加しています。

バスの顔である正面の電光案内板には「蒸37 サウナ」、いろんな場所にサウナを運ぶという意味を込めました。本来は車椅子のピクトグラムが貼られている場所もよく見ると同様のカラーリングでサウナのピクトグラムにしちゃいました。

正面だけでサウナの情報量多いなという感じなんですが、サウナに関連したくなるポイントがたくさんあるのでやっちゃいますね。車両番号は1137、ナンバープレートも「さ11-37」のサウナ仕様にしています。ナンバープレートのひらがな部分は選べないのでたまたま引き当てたラッキーサウナです。

側面の行き先電光表示には「サウナ→水風呂→外気浴→ととのう」がぴったりとはまりました。薪ストーブ搭載車、ロウリュできますのサインも街なかで車ですれ違った時に、サウナ好きが見つけたらニヤニヤしちゃうのを想像しながらにやけながら楽しく作りました。

ヘッドマークや側面にプリントされているロゴも作っています。マークは神姫バスのシンボルである鳥を継承し、火、マップピン、矢印のモチーフで鳥のシンボルを構成しています。人々を運んでいたバスが生まれ変わり、いろんな場所にサウナを運んで人々をあたためるという意味を込めて作りました。マークの中にサウナの「サ」が隠れてたりするので見つけてみてくださいね。

サバス内にある案内サインも一式作っています。サウナチャンスキーホルダーやストップ坊やキーホルダーをアクリルで作っていた時の知見を活かして今回はアクリルで作ってみました。サウナ内には余計な情報を入れないほうが良い場合も多いと思いますが、バスはいろんな年代の方が乗るので案内サインが多いので、バスらしさを表現するひとつとして案内サインを取り入れています。特にロウリュボタンのパーツはお気に入りです。案内サインの他にも前室にはバスによく貼ってあるサイズの広告を入れたりするのもバスらしくていいかもしれないと考え中です。

サバス体験会やります

サバスの完成記念として兵庫県にあるグリーンエコー笠形さんでサバスの体験会を行います。皆さんのご蒸車お待ちしております!

サバス体験会

日時
2022年3月5日 (土)
(10:00-12:00 / 12:30-14:30 / 15:00-17:00)

会場
グリーンエコー笠形
兵庫県神崎郡神河町根宇野1019-13
https://goo.gl/maps/kcw1C6XuxQFCCwdx9
※駐車場あり

料金
2時間制 4,000円
施設入村料、「響の湯」入浴料含む

定員
各回8名迄
※定員を超えた場合抽選となります
※お申し込みは2/20(日) 23:59 受付締切となります
※抽選の場合2/22中に当選者の方のみご連絡致します

【お申し込み受付は終了しました】
今後サバスが体験できる機会の最新情報はサバス公式Twitterや公式サイトでも発信していきますので、チェックしてみてくださいね。

サバス公式Twitter
https://twitter.com/sauna_bus

サバス公式サイト
https://sabus.jp

サウナ大好き芸人のマグ万平さんのサウナ番組「マグ万平ののちほどサウナで」でもサバスを体験していただいたので、是非チェックしてみてください。

 

事業者さん向けレンタルも募集しています

サバスは株式会社リバースが運営するサービスです。サバスはバスが設置できるスペースをお持ちのキャンプ場や温浴施設、イベントで利用したい事業者さんにレンタル貸出するサービスです。サバスのレンタルにご興味のある事業者さんはサバス公式サイトよりお問い合わせください。

サバス公式サイト
https://sabus.jp