ウィスキングを毎月受けてわかってきたこと
サウナイキタイ アドベントカレンダー 11日目の記事です。
はじめに
サウナイキタイをご覧の皆様、はじめまして。
名古屋在住のおばちゃんサウナー、ぽっちぃと申します。
北欧インテリアとサウナが好きな私。そんな私が働く名古屋屈指の薄汚い街、栄三丁目の一角にフィンランドサウナ施設“SaunaLab”がオープンするなんて!
気がついたら100回以上通ってしまいました。
ここ何年かはもっぱら読書と昼寝のために通っていますが、最近のSaunaLabはウィスキングに力を入れているようで……。
ウィスキングが2022年のトレンドになる?
「今年はウィスキング元年になりそうだ」とSaunaLabのスタッフさんに聞いた2021年。
ただその時には、ウィスキングが継続的に受けられるようになるのは、まだ数年後だと思っていました。
しかしながら今年、ウィスキングが受けられる施設が急速に増えています。
それだけにとどまらず、雑誌「日経トレンディ(2021年12月号)」の2022ヒット予測100の30位に「サウナ×ウィスキング」が選出されるなど、ウィスキングという言葉はサウナ愛好家だけではなく、一般の人にもじわりじわりと広がってきているように思います。
まず、私がはじめてウィスキングを受けたときのことをお話したいと思います。
おばちゃん、葉っぱまみれになる!?
私が初めてウィスキングを受けたのは、2020年12月。
SaunaLab Nagoyaでのヨウルサウナのイベントでした。
サウナマスターである東海林美紀(とうかいりんみき)さんからセルフウィスキングの講座を受け、葉っぱまみれならぬ、ヴィヒタまみれとなり、自然と一体化したことに深く感動しました。その日の感想はこちら。
その翌日は、東海林さんからウィスキングの施術を受けました。「とてつもない高揚感に包まれた」というのがファーストインプレッションでした。
ただのリラクゼーションではない、精神的文化的要素をウィスキングに感じたことが、ウィスキングにはまったきっかけでした。その日の感想はこちら。
ウェルビー・ウィスキング部が爆誕!?
2021年1月に、ウェルビー・ウィスキング部「ウィスキングがウィスキングになるまで」が発足しました。
「ウィスキングがウィスキングになるまで」が、お客さんが入らない午前中にこっそりウィスキングの練習をしていたことに、私は気付いていました。
なぜなら、アイスサウナにヴィヒタの葉っぱが1枚ぱらりと落ちていたり、練習をした日は必ず散らばった葉っぱをまとめたものがロウリュの桶に入っていたりしたので……。
今日は練習の日だったんだ……と思いながらサウナに入っていました。
その頃からSaunaLabでは、ロウリュオイルを使わなくなり、本物のウィスクの葉を桶の水に入れ、ロウリュ水として使うようになったと記憶しています。
ナチュラル志向に転向したのかな……そう思っていました。
そして4月からSaunaLab Nagoyaにてウィスキングマスターによる「Sauna Retreat」がスタートしました。
「Sauna Retreat」とは、ウィスキングとプライベートトリートメントの施術のセットです。内容や技術が施術者によって違うことがが気になり、月に一度は「Sauna Retreat」を受けるようになりました。
今回のアドベントカレンダーでは、
について書いていきたいと思います。
1.ウィスキングとはどのような行為なのか
皆さんはウィスキングと聞いて、どのようなものを思い浮かべますか?
私がはじめてウィスキングを映像で目にしたのは、マツコ会議の「真冬のテントサウナに潜入」の回でした(2020年2月1日放送、日本テレビ)。
その回では、テントサウナでしらかばスポーツさんがウィスキングを行っていました。
ウィスキングの様子を見たマツコ・デラックスさんが「黒魔術だよね」「儀式のよう」とコメントしていたことが印象的でした。
私はその時「身体に木の枝を叩きつけられながら喜んでるなんて、なんてマゾな人たちだろう」と思っていました。
2021年後半にかけてウィスキングの常設施設が増え、体験ブログや雑誌でのレポートは増えてきました。
おかげで、ウィスキングのイメージは「マゾな人達がしばかれるイベント」から「究極のととのい体験」へと定着しつつあるように感じます。
ありきたりな内容で恐縮ですが、私がSaunaLab Nagoyaで11月に受けたウィスキングの様子を次のページでまとめてみました。
レポートを見ていただくとわかるように、ウィスキングをしている撮影写真は一枚もありません。
その理由は、私が全裸で受けているから(´ε`;)。
※男性が施術を受ける場合は水着を着用します。
仰向けで施術を受けているときはウィスクで顔を覆い隠されているため、実際どのような手技を受けているのかは未だに不明です。
そのため、肌にあたる風や温度、音のみが頼りとなり、今自分が何をされているのかは想像するしかありません。
2.ウィスキングを毎月受けてみてどのような変化があったのか
ウィスキングを受けた方のレポートを見ると、「新しい自分に生まれ変わるような体験だった」「超ディープリラックス」「多幸感」などの感想をあげられる方が多くいらっしゃいます。
これ……全部ホントだなと思っています。
私は4月から11月まで毎月1回以上、ウィスキングを受けてきました。
そんな私が、自分の中で起きた変化をご紹介します。
その1:ウィスクが愛おし過ぎてウサギに見えてきた
白樺は夏至の頃に旬を迎え、通常利用する乾燥ヴィヒタからフレッシュなヴィヒタに移行します。
フレッシュなヴィヒタは茎が細く、葉は柔らかく青々と生命力に満ち溢れています。
枕にして額をうずめると葉のあまりの柔らかさに衝撃を受けます。
ふだん適当に桶の中につっこまれている、ほぼ枝のヴィヒタに比べると「お前……本当はこんなフワフワだったのか……」と動物の毛を撫でるように、いつまでも愛おしく触ってしまいます。
フレッシュな香りは館内全体に広がり、森林浴をしているような気分になります。
オークの旬は9月です。
ドクダミのような香りのする柏の葉っぱは、旬を迎えると、より力強い香りと熱をため込む包容力を発揮します。
サウナ室でぎゅっと抱きしめてみると、その温もりはまるで生き物のように感じます。
ウィスキング中は、ウィスクが熱っぽかったり雨になったり、撫でられたり、たおやかだったり、いい匂いだったり、ほわほわした風を送ってくれたり……。
植物の多彩さ、季節によって変わる多面性にぞっこんです!
その2:失われていた嗅覚が復活した?
ウィスキングを受けると、サウナ室がウィスクの香りでいっぱいになります。
目をつむり嗅覚に全神経を集中させた結果、どのウィスクが使用されているのかわかるようになりました。
ウィスキングを受けていない時でも、天然の植物のほんのりとした繊細な香りの違いを楽しみたくて、積極的にサウナ室内に残る匂いを嗅いでいます。
人工的なアロマオイルと違って、本物の植物の香りは鼻に“ツン”とこなくて優しい香りがします。
ずっと慢性的な鼻炎で嗅覚が死んでいた私も、結果として鼻の通りが良くなりました。
その3:なが~くサウナに入れるようになった
暑がりで顔が火照りやすく、サウナはいつも最長5分で退散していた私。
ウィスキングマスター・りささんに教えてもらった“4つ吸って、4つ吐く呼吸”をしてサウナ室内でのぼせなくなりました。
マスターありがとう♥♥♥
その4:ちょっとだけ穏やかな性格になってきた⁉
ウィスキングを受けたあとは多幸感を感じやすく、あらゆることがまぁいっか……と受け流せるようになり、機嫌よく仕事が出来るようになりました。
気が付いたら幸せの溜息をつきながらニヤニヤ仕事をすることも……。
裸で葉っぱまみれになるなんて、普段の生活ではあり得ないことだから、野生の感覚を呼び戻して、本来の自分を取り戻した気持ちになります。
そういえばルソーも「自然に帰れ」って言ってたなぁ……^^
ストレスを抱えている人におすすめです!
3.日本ではどこでウィスキングを受けられるのか
2021年12月1日現在、日本でウィスキングの受けられる場所を表でまとめました。
内容や金額などは刻々と変化していくため、詳しくは施設にお問い合わせください。
その他、不定期ですが、スカイスパ横浜さんではサウナマスター東海林美紀さんによる【ハマムリチュアル】【サウナリチュアル】があったり、その他にもイベントなどウィスキングが受けられる施設が増えてきました。
【今後のウィスキングトレンドの予想】
ケアメニューとの組み合わせが増える
サウナ室での整体・ツボ押しなどのボディケアメニューとの組み合わせのバリエーションが増えていくのでは?と予想しております。
サブウィスクのバリエーションが増える?
メジャーな白樺やオークだけでなく、カエデ、竹の葉、ハーブ、リンデン、ジュニパー、メープル、りんご、さくらんぼ、楢、ヘーゼル、ジャスミン、ネトル、ヤマナラシ等がサブウィスクとして徐々に追加されていくのでは?と予想しております。
国産のクラフトウィスクや自社栽培ハーブが増える?
現在、白樺は上富良野町(北海道)や八ヶ岳(長野)で栽培されていますが、今後は国産のオークや自社栽培されるハーブが増え、生ハーブや花の香りを取り入れたウィスキングになっていくのでは?と予想しております。
4.ウィスキングの日本史
リトアニアが発祥とされるウィスキング。ベッドの上で横たわって施術するウィスキングはリトアニア、ラトビア、エストニア、ロシアで主に行われています。
フィンランドでは主に、白樺のウィスク(ヴィヒタ)で自分自身を叩くセルフウィスキングが主流です。
そもそも日本にはいつウィスキングがやってきたのでしょうか?
手当たり次第、文献やブログで調べまとめてみました。
日本に「ウィスキング」が本格的に紹介されたのは、今からおよそ10年前の2010年、「第15回国際サウナ会議」の場であり、ここがウィスキング黒船到来の年だと思われます。
本格的なウィスキングが導入されるようになるまで、「ウィスキングを知る→視察をする→ヴィヒタを施設に導入→「ヴィヒタ×ロウリュ」開始→イベントで海外からマスターに施術してもらう→ウィスキング技術を学ぶ→イベントで体験会を行う→常設で受けられるようになる」といった様々な過程を踏んでいます。
ハード面では「ロウリュができるストーブ」「ウィスキングに適した高さのベッド」「ウィスキングに適した温度管理ができるサウナ室」が必要で、そうした設備をととのえる必要があります。
ソフト面では、ウィスキングの手技はもちろん、「サウナ室の温湿度管理」「植物の知識」「ウィスク作りのノウハウ」「受け手の体調管理」などが出来る人材を育てなくてはいけません。
そうした様々なハードルを乗り越え、10年かけてようやく今年、花開いたように感じます。
まさに、2021年が「ウィスキング元年」です
サ活でウィスキング体験を書いたときに、コメントで「閉業した太古の湯グリーンサウナでもウィスキングが常設で受けられた」という情報を教えてもらいました。
確認すると「お客さんを立たせた状態で前面+背面をヴィヒタで叩くサービス」を「ウィスキング」と呼んでいたようで、横たわった状態での施術を常設的に行った初めての施設はジートピアであると考えますが、太古の湯グリーンサウナの社長がリトアニアでのウィスキング体験を記したブログの内容は興味深いものでした。
リトアニア本国のウィスキングでは「日本の滝行のエッセンス」が取り入れられ、伝統的なウィスキングに日本の文化を追加しており、日本はさらにそれを逆輸入しようとしている点に面白さを感じました。文化とはお互いに行き来して混じりあいながら、進化・定着していくのだなあ、と感じました。
コロナ禍で気軽に海外に往来できない現在の状況を考えると、今後は日本のオリジナリティ要素がさらに加えられて、ガラパゴス化した「ウィスキング」に進化していくのではないでしょうか。
その時に振り返れるように、2021年現時点での「ウィスキング」をここに書き記すこととしました。
ご高覧ありがとうございました。
そして、サウナイキタイ編集部の皆様!
4周年おめでとうございます♥
ますますのご発展をお祈り申し上げます!
参考文献:
- 草彅洋平『日本サウナ史』(株式会社渋谷文泉閣)
- 中山眞喜男『オールドスモークサウナ』(公益財団法人日本サウナ・スパ協会)
- 中山眞喜男『サウナあれこれ』(社団法人日本サウナ・スパ協会)
- 中山眞喜男『昭和・平成のサウナ史』(公益社団法人日本サウナ・スパ協会)
- タナカカツキ『マンガ サ道』(講談社)
- 『小学館SJムックSaunner』(株式会社小学館)2014年3月12日
- 『Saunner+』(株式会社小学館)2021年6月19日
- 『Coyote』(株式会社スイッチ・パブリッシング)2016年11月15日
- 『SAUNALIFE サウナで心も身体も美しく!』(株式会社オークラ出版)2021年11月26日
- 『SAUNA BROS vol.2』(株式会社東京ニュース通信社)2021年6月30日
ウィスキングデビューしたくなりました!
ウィスキング研究と探求の情熱に心打たれました。
勉強になります!ありがとうございます✨
内容の濃さ!お疲れ様でした!
ウィスキング元年、自分もウィスキングデビューしてみます✨
記事から熱い情熱が伝わってきました。楽しい記事ありがとうございます。
ウィスキングのことがよくわかりました。素晴らしいです!!
ひゃー!立派なウィスキング論文におそれいりました!!いつか施術受けてみたいです❤️
ジートピアで初期の頃2回受けたけどホント天に召されそうな気持ち良さだった。
実は今度Saunalabの福岡にお邪魔しようと思っているのですが、ウィスキングって何するんだろう…と全然知識がなかったので、こちらを読んで興味がわきました!検討してみます!
ウィスキングのレポートから施術後の変化、日本史まで幅広い考察と資料、大変勉強になりました❤️またリトリート受けに行きます😆👍✨
大変勉強になりました😊まとまっていてすごくわかりやすかったです。テントサウナでウィスキング施術しています。ウィスキングがもっと広まってほしいです。
超濃ゆいウィスキング話でした!すげーー!
いっぱい調べてくれて、ありがとう!
よくぞここまで❣️ってくらい、深く調べて更にわかりやすくまとめてくれてありがとう😊これを読んでウィスキングしてみようかなって人が増えそう🥳
ぽっちぃさん、ありがとうございます!
とてもおもしろかったです!
ウィスキングのあの感覚を思い出してうっとりしながら読ませていただきました🍃素晴らしい論文でした☺️💗
無くなってしまった平塚グリーンサウナでの ウィスキングロウリュウ 贅沢な記憶として残ってます😄
読んだ感想はすげええええええええええええええ ぽっちぃさんやべええええええええ🤣🤣🤣 だった笑 ウェルビーで一緒にサウナ入っているとき今日は練習日だったんだなとか思っていたのだな笑 コナンのようだ笑
ウィスキングに興味津々なので読み応えたっぷりで楽しませてもらいました!!ヴィヒタに覆われるあの感覚、幸せそのものですよね🌿
イーグル🦅でもアカスリのとなりで…やるかな✨
とても勉強になりました!
👏
とても参考になりました!良記事に大変感謝です!
すばらしい✨✨感動しました🥰ウィスキングうけたことないのでうけてみたいです😊