わたしはごきげん第3回「サ飯へのこだわりの先にあるもの」

わたしはごきげん第3回「サ飯へのこだわりの先にあるもの」

毎日のようにサウナに入る、サウナイキタイポスターでもお馴染みの清水みさとさん。サウナに向かう途中やサウナ室でトラブルに見舞われても、大丈夫。むしろラッキー。生活の中にちりばめられた「ごきげん」を集めて過ごす日々を綴る、今日も一日がちょっと楽しくなるエッセイです。

わたしには、少しばかりサ飯にこだわる癖がある。なにを食べてもおいしいけれど、どんなシチュエーションで、なにを食べるか、時折そこにフォーカスして、しあわせを欲張ってみたりする。

嬉しいことがあって小躍りしたい日のサウナ後は、落ち着きを取り戻すために上品なお蕎麦屋さんに駆け込んでズルズル音を立てて蕎麦をすすりたいし、大失敗した日のサウナ後は、何でも許してくれそうに柔らかなシュークリームを口いっぱいに頬張って癒されたい。

とっておきは、がんばったと胸を張って言える日のサウナ後に、二つで一つのパピコを誰かと分け合ったりせず、丸ごと一人で食べ切ること。

さしずめわたしはパピコの独裁者。

譲らない日があってもいい。

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蝉の大合唱がそこらじゅうで催される夏。やや西に傾き始めたちょっとおセンチな太陽がわたしを照らす、銭湯からの帰り道。
至近距離にコンビニがある銭湯に狙いを定めたのは、サウナ後すぐにパピコを食べたいからだ。
だって、今日もわたしはがんばった。

この道にはわたし以外誰もいないのに、なるべく音を立てないように開封して、パピコを割った。手のひらに分け合って欲しそうなパピコがふたつ。
でも残念、今日のわたしは暴君だから、ご希望には添えなさそう。

まずは、右手に掴んだパピコを口に放り込む。

まだ全然固くて、パピコを食べてるのかプラスチックを噛んでるのかわからなくなるけれど、サウナで熱を帯びたわたしの体は指先まで最強で、握るパピコがじわりじわりと溶けていく。

シャリシャリ、ドロドロ、サラサラーって、目まぐるしく変化するパピコがおいしくて、あっという間に食べ切ってしまった。

だけどわたしにはもうひとつある。
こちらも最強の左手で、パピコをずっと、ぎゅっと、握りしめていたからもうすっかり溶けちゃって、アイスとジュースの真ん中で揺れていた。
アイスでいるべきかジュースになるべきか、それが問題だとでも言うように。

それにしても、溶けても大丈夫なパピコはえらい。

2個目のパピコは飲むように食べる。サウナ上がりのわたしに握りしめられたパピコの一生があまりにも短くて、儚くて、思わずパピコに謝りたくなった。ごめんね、パピコ。

冷たいパピコが食道を通過して、食道の姿形が手に取るようにわかった。なんだ、食道って意外と短いんだとか思いながら、いっきに飲み干したパピコは、一つ目を食べたときより心なしか甘くなっている気がした。

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がんばった日にはパピコ。イタリアンでも焼肉でもお寿司でもなく、数百円のパピコがわたしをしあわせにしてくれる。
小さなサ飯のこだわりは、大きなしあわせをわたしの元に運んできてくれるのだ。

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2024.07.09 20:35
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2024.07.12 16:44
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サ飯と言いつつ”パピコ”とは!? 変わらず楽し気でファンタジーな文章に惹きこまれて自然に情景が思い浮かび、今回も癒されました♪ ありがとーございます。
2024.07.12 21:07
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