至福の水風呂『カケジュン』と出会って|蒸され人の生態#2
サウナイキタイの毎年恒例企画アドベントカレンダーにて、2023年に「温浴施設照明と市場/老舗モーニングに取り憑かれて」を執筆したNiwakaさんによる、サウナに対する多様な印象とその移ろいを綴る連載です。
いきなりの質問となり失礼します。皆さんにとって、これまでのサ活のなかで最高の水風呂はどこでしたか?よろしければ30秒考えてみてください。

10秒経過、、

20秒経過、、

30秒!
いかがでしたか?この問いに対し、一言では語り尽くせないほど幸せな記憶の数々が、皆様の脳裏をかすめたかと想像します。
更に質問すると、それはどのような水風呂でしたか?
好みの水風呂の特徴も人それぞれ。たとえば水温なら、キンキンに冷たいのが好きな人もいればマイルドな温度が好きな人もいます。他にも多数の要素から、各々が思う理想の水風呂像があるのではないでしょうか。
私を虜にした水風呂たち
水風呂に思いを馳せる蒸され人の性(さが)は私も同様で、サウナに通い始めた2018年から全国の施設を巡っては、多くの水風呂の虜にされてきました。
私が同様に「最高の水風呂」を尋ねられたら、どう答えるかというと…
秋田県 ユーランドホテル八橋
青森県 あさひ温泉、アサヒサウナ、ドーミーイン弘前
山形県 あぽん西浜、KAMEYA HOTEL、櫛引ゆ〜town、高源ゆ
千葉県 ジートピア、クアパレス、市原薬湯、きさらづつぼや、SATOYAMA TERRACE
栃木県 Quiet Storm Nasu、宝湯
長野県 白樺リゾート池の平ホテル湖天の湯
岐阜県 臥龍の郷
富山県 スパアルプス
福井県 御宿野乃福井
京都府 鞍馬湯
熊本県 八代センターサウナ
鹿児島県 ぬくもりの湯
これらの水風呂はまさに最高でした。それぞれ趣は全く違いますが、共通するのは一度水風呂から上がった直後に、自分を二度漬けするように、もう一回水風呂に入りたくなる衝動に駆られることです。

しかし上記を挙げても尚、少し特別扱いしてしまう特徴的な水風呂があり、今日はその話をしていきたいと思います。
その水風呂の名は、『井水掛け流し半循環式水風呂』。
以後、『カケジュン』と称します。
最高の水風呂『カケジュン』こと掛け流し半循環式とは?

その名の通り掛け流しと循環濾過方式、双方を組み合わせた仕組みです。
掛け流しのメリットであるフレッシュな水の供給、それに加え水の濾過と再循環によって汲み上げる地下水もしくは使用する水道水の水量減となり、コストダウンが見込めるというものです。井水とは井戸水、地下水の略となります。
これだけ聞くと、カケジュンよりも完全掛け流しの方がよりフレッシュな水をいただけるような気がしますが、果たしてどうでしょうか?
個人的な体感ではありますが、この上なく柔らかい地下水に包まれた時の感覚と浴槽の中を絶えず水が行き交いする気持ちよさ、これが今からお話をする、“とある施設”のカケジュンの最大の魅力です。
カケジュンと過ごした日々
※ここからは私の記憶の記録のため、文体が少し変わります。

千葉県成田市の『大和の湯』、ここに私を虜にしたカケジュンが存在する。折角なので施設とサウナにも触れていきたい。
大和の湯は駅から離れていることもあり、ユーザーのほとんどが車で訪れる。都会の喧騒を忘れさせてくれる田園風景と大正にタイムスリップしたような旅館風の館内に入ると小旅行に来た気分。綺麗なロッカールームはいつも惚れ惚れする。
※小学生以上から入館可能、かつ全館禁煙

日替わりで男女浴室が入れ替わり、どちらでもサウナ室とカケジュンが楽しめる。男性は奇数日がボナの高温、偶数日がストーン対流式のややマイルドめのサウナ室。女性はその対となる日にち設定だ。
どちらもガラス張りで上段からは田園風景を眺められるようになっている。そして大人が3人は横になれるほどの寝サウナスペースがあるのも嬉しい。

私がここのサウナと水風呂に出会ったのは2018年。仕事帰りの夕方だった。この日はいい商談が成立し、とても清々しい気分だった。以前見かけた大和の湯の看板を思い出し、ひとっ風呂浴びて帰ろう。それくらいに思っていた。
これまでサウナにはあまり入らず見過ごしていたが、この日を境に人生が変わった。そう、この日が私にとって本格的にサウナに開眼した初日でもあるのだ。
今思い返すとこんな造りの施設はなかなか無い。たとえば男性偶数日/女性奇数日。脱衣所ロッカーは2階、そのまま脱衣所を抜けると露天と外気浴スペース。階段を降りて1階が内風呂と露天、外気浴スペース。3階に上がると内風呂、水風呂、サウナ、ラディアントバス。

温水を通した石とタイルの寝椅子から、輻射熱で体をじんわり温めるラディアントバス。
話を戻そう。この日は偶数男風呂で黒湯の温泉や露天を楽しみ、その後3階へ。サウナには普段入らないが、誘われるように躊躇せず入った記憶がある。
中には常連らしき方が数人おり、私は空いている上段に腰掛けた。ふと窓の外を見た時に心が弾けた。まだ少し明るめの黄昏時に田んぼ一面が黄金色の稲穂絨毯で敷き詰められて風で靡いてる。そんな情緒ある景色を眺めながら、とりあえず周囲の人を見様見真似で12分計が一周するのを目指してテレビを見ながら過ごすことにした。
館内・駐車場から当時撮影した風景、サウナ室からも同じ景色が広がっている
その時、一人の先客がサウナ室を出た。ガラスドア越しに、小さな浴槽へ向かっていくのが見えた。
水風呂だ。

しばらくすると、先客が水風呂から上がるのが見えた。同時に浴室に水の音が一瞬響き渡った。おそらく誰も入っていない水風呂からであった。
何の音だろうか。
そろそろ私も我慢の限界に近づきサウナ室を出て水風呂へ向かった。

体が浸かった瞬間は冷たいと思ったがその後すぐに冷たさを感じなくなる領域に達して気持ちよさに変わった。なんだ、この包まれるような優しい水は。これまでの人生で入ってきた水風呂のような塩素臭さが一切ない。
ジェット噴射によって絶えず水の流れがあり、体をかすめていく。ジャグジーともまた違う感覚だった。
立ち上がり、上半身を水風呂からあげた瞬間、これまでちょぼちょぼと浴槽に流れていた備え付けの蛇口からの水が形相を変えたように、一瞬だけ大量の水放出に変化し浴室に響き渡った。

一定の水量を満たしたのち、また蛇口が静かになった。そしてもう一度浴槽に浸かってみると何故かすごく幸せな気分になるのだ。館内に響き渡るオルゴール調のBGMも多幸感を助長してくれた。
オーバーフローののち、フレッシュな水と濾過されて磨きのかかった水のハイブリッドを楽しめる井水掛け流し半循環式を嗜む贅沢さをあの日、浴室に響いた水音をきっかけに知った。
これが私とカケジュン、そしてサウナとの出会いであった。
おそらく大和の湯の水の柔らかさ、優しさはこの地域一体の豊かな地下水が後押ししているのであろうか。(坂田ヶ池の畔であり、渓流の径のすぐ裏手が大和の湯)
※筆者の個人的な感覚であって根拠は無い。

いろんなサウナ施設を巡ってみては、素晴らしい水風呂と出会い感動した。
しかし、やはり自身が最終的に落ち着く先は大和の湯のカケジュン。産湯というバイアスは多少あるかもしれないが、この水風呂に入った時の多幸感は何にも変え難い。
改めてもう一度言語化をしてみたい。
相当量の井戸水をオーバーフローしつつ、それだけでもフレッシュな水が浴槽を満たしているのに、半循環濾過とジェット水流で浴槽内を更にクリアに仕上げた水風呂。
これが大和の湯のカケジュンだ。
今となっては特別な高揚感は無いが、茶碗一杯の白米のように、いつも心を穏やかに満たしてくれる存在である。
男性奇数日、女性偶数日のカケジュン(水風呂)の様子

最後に
この記事を読んでいただいた皆様に、少しでもカケジュンの魅力が伝わりますと嬉しいです。
前回記事では世間一般の蒸され人の深層心理に触れましたが、今回は私自身という蒸され人の生態にフォーカスし、皆様も大好きな水風呂をテーマに書かせていただきました。
あの日、浴室に響いた水音は、今でも私にとってカケジュンを象徴する音です。これからもその音を聞くたび、初めてこの水風呂に出会った日のことを思い出すのだと思います。
また快く館内の撮影を引き受けていただき、営業時間外にご協力いただいた大和の湯のスタッフの皆様にも改めて感謝申し上げます。
それではまた機会があればお会いしましょう。サヨナラ、サヨナラ。
撮影協力:
成田の命泉 大和の湯 スタッフの皆様
八代センターサウナ 西大将
Quiet storm Nasu 田中井オーナー
〜湯を沸かし続けてくれる全ての人に感謝を込めて〜
おまけ
蛇足にはなるが、茶碗や白米など記載して思い出したこととして、このエリアのサウナ飯が非常に美味いことを添えさせていただく。今回はカケジュンがメインテーマのため詳細の記載は控えるが、AマイナスもしくはB級グルメの宝庫である。
機会があれば大和の湯とあわせて行ってみてほしい。

とんとん亭
成田の命泉 大和の湯から5.52km

食堂よなぐら
成田の命泉 大和の湯から9.59km

うなぎ い志ばし
成田の命泉 大和の湯から4.06km

むべ
成田の命泉 大和の湯から5.08km

台方ラーメン
成田の命泉 大和の湯から5.2km
記事の感想をいただけると
次回の記事の励みになります!
記事を書いた人










私の最高の水風呂は畑冷泉館です🤤 来年夏、是非ともお越し頂ければ…🙏
「自分を二度漬け」パワーワード! なんなら水風呂のためにサウナ入ってますからね
いい記事をありがとうございます! マニアックで最高でした!