ニューウイング吉田の支配人日記 vol.3 『特に感想が出ないサウナ室』
ニューウィング吉田支配人による支配人日記。
前回は「アウスグースはサウナ界の光だ」という話をしました
でもそれはアウフグースができるサウナ施設にとっての話
ストーブやスペース、予算の関係で、アウフグースができない施設だってたくさんあります
そんな施設は光に照らされず日陰で埋もれていくのか?というと、これも前回書いたように、アウフグースはサウナ人口を増加させるものであり
そしてアウフグースが「非日常」のサウナ、「ハレ」と「ケ」でいうハレのサウナとすれば「日常」のサウナ、ケのサウナを求める人も、目立たないだけでサウナ人口の大きな割合を占めると思っており
そこを突き詰めれば必ずニーズはあると思います
具体的に突き詰められる要素はたくさんあり、正解もありませんが
たとえばわかりやすいところでいえばサウナ室のセッティングがあります
とにかく熱くすればいいんでしょ?、と思いがちですがそうではなく
施設ごとに目指すべきセッティングのコンセプトがあると考えます
極端な事でいえばその土地土地の気候
基本的な事でいえばさっと汗かいてさっと帰りたいお客さんか、ゆっくりダラダラしたいお客さんか、どんなお客さんを大事にしたいのかでも変わりますし、湯舟や水風呂との相性もあります
細かい事で言えばサウナ室の形状、大きさ、人の出入り度合い、使われている素材、ストーブの種類、はたまた浴室の温度湿度などによってもセッティングは違ってきます
そういう話を同業者にすると「サウナ室のセッティングなんかにこだわったって売上は変わらないでしょ」という反応がまだまだあったりします
私自身も最初はそう思っていました
その頃は今のようなサウナ人気は全然なく、特に都会のサウナ施設はマッサージメインで一日ゴロゴロしにくるか、酔っ払って寝にくるかみたいな場所で
サウナ室のセッティングなんか気にしてる人はいないだろという認識だったのですが
何かでボナサウナの温度を上げた時に「熱くした?いいね」と言ってきたお客さんがいて
「あ、気にしてる人いるんだな」と思い、そこから少しずつセッティングを試行錯誤するようになりました
そして「これかも」と思うコンセプトを見つけた頃から、次第に売上が増えていったんですね
考えてみれば当然で、特段のサウナ好きでなくとも、サウナ目的で来てなかったとしても
あるものはとりあえず入るし、入ればなんかいいなとかよくないなくらいは感じますよね
施設での体験全体で「なんかよかったな」と思ってもらえればまた来てくれる人がいるだろうし、
SNSがない時代であっても「あそこなんか良かったよ」「良くなったよ」みたいな口コミをしてくれる人もいますよね
それが売上として少しずつ積み上がってくるんですね
ましてや今はサウナが好きでサウナ目的で施設に来る人がたくさんいて、サウナイキタイやSNSがある時代です
ちなみにニューウイングボナサウナのセッティングのコンセプトは、一言で言えば「普通」です
最初のうちはとりあえずで温度を上げてみたり下げてみたり、当時の人気店を真似てみたり、お客さんに話を聞いたりスタッフとあーだこーだ言ったりしながら試行錯誤を繰り返しているうちに、だんだんとお客さんからもスタッフからも特に感想や意見が出てこなくなってきたんです
こっちから聞いても「特になんとも」「いいんじゃないですか」「普通ですね」みたいな調子で
普通じゃだめなんじゃ?商売というのはなにか飛びぬけなければいけないのでは?
「めちゃくちゃいいです!」と言われるものにしなくていいのか?と不安にもなりましたが、そうじゃないのかも、これは「価値ある普通」を見つけたのかも、と思うようになりました
特に感想が出ないということは、文句やストレスがないとも言えます
特別に何か感じるわけではないけど、熱すぎるともぬるすぎるとも思わない
「サウナ入ろう」と思った時に頭と言うか体というかが抱くイメージと、食い違わないサウナ室
それはそれで理想系なのかも、うちのボナサウナはそうあるべきかもなと思うようになりました
しかし、コンセプトを見つけた!これで安泰!かというと、そうではありません
ミュージシャンでいえば「今日の演奏は理想の音が出せたかも」みたいなもので、それを保つのがまた難しいんです
サウナストーブの設定温度を固定すればセッティングが保たれるわけでは全然ない
季節、時間帯、お客さんの入り具合、ストーブの調子やメンテ具合とかでサウナ室の温度、湿度、体感は刻刻と変動するからです
温度や湿度で表せる事ならまだ調整がしやすいですが、体感はもっと難しい
ストーブの部品を交換したり座面の板を張り替えたりしても、熱の馴染み方というのか体感が変わります
一時、「どうにも空気の感じが違うんだよな」と
吸気や排気をいじったわけでもないし、原因がわからない…と思っていたら
ドアクローザーってわかりますかね?ドアの上についてる腕みたいな、ドアをゆっくり閉めるための部品です
あれを交換したばかりで、前よりゆっくりドアが閉まるようになり、室外の空気がたくさん入るようになったためだった…なんてこともありました
そんな感じで数値じゃ気付けないこともあるので、実際にひたすら入って「理想」を体に染み込ませ、「なんか違うな」を頼りに微調整を繰り返していくしかないものです
マット交換で入る時とかも、常に「どうだ?」と思いながら入っていますね
未だに大変ですが、ボナサウナがいつも普通であるおかげで今ではテルマーレやからからジールの冒険もできているので、やはり価値ある普通だなと
いつ入っても何とも思われないよう、「普通」を「安定」させるべく調整の日々です
どのサウナ室でも「普通」を目指すべきと言うことではなく、施設やサウナ室が違えばまた違うコンセプトがあると思います
そんな感じでがんばっているので、ぜひ入りにきてください
いつボナに入っても“同じ“で最高です😆
じーんお沁みました。
普通!良かったです😊
価値のある普通という概念に気付かされました
天気や四季による気候変化、利用者人数等で刻々と変化する条件で、『普通』を維持するのはとても大変な事だと思います。有難うございます🙏
いつもありがとうございます!
絶対行きたいです。 価値ある普通のサウナ室。素敵です😊
ニューウィングに一度お邪魔させて頂いたときに 食べた長崎チャンポンとエナジサワーがとても 相性が良くて美味しかったです!
いいお話でした いつもありがとうございます
いつもありがとうございます!
なかなかツボを得た記事ですね。 また都心に戻って来たのでまたひっそり伺います🎵
応援します!
面白かったです✨
いつかお邪魔してみたい…
まだ行ったことはないですが、是非行ってみたくなりました☺️
いつも最高です!
記事を読んで久しぶりに行きたくなりました!
色んな事象でセッティングが変化するんですね🧖♂️ あとサ博行きました!
これは勉強になりました😄 普通を楽しめるのは当たり前ではない🙏
興味深い内容でした♪ いろいろな要素から調整するというのは、ラーメンの仕込みにも共通しますね♪
普通の価値、普通であり続けること、そこに込められたサウナと利用者への想いが、とても素敵だと思いました!