ニューウイング吉田の支配人日記 vol.2 『サウナ界の光について』
ニューウィング吉田支配人による支配人日記。
この前たまたまGRAPEVINEの『光について』が聞こえてきてやっぱいい曲だな~と聴いていたのですが
「光に満たされていくこの世界の中
何をしていられた?
誰もがうかれて理解りあったつもりならそれだけでいられた
いつかいつか忘れていく人になるさ」
という歌詞で、ふとサウナブームのことが頭に浮かびました
今のサウナブームは施設サウナのブームではない、とまで言うと言いすぎですがアウフグースとアウトドアサウナのブームである部分は大きいと思います
そう思う理由は単純で、アウフグースとアウトドアサウナはメディアに乗りやすいからです
動きがあったり景色が綺麗だったりで見栄えがしますよね
テレビもそうですし、X、インスタ、YouTubeとかでも画像や動画で見かけるのはこの2つが多いんじゃないでしょうか
見栄えだけだみたいな事を言いたいのではけしてなく、どちらも自分で体験して素晴らしさを感じてます
ちなみにどちらもドイツやフィンランドなど外国から来たものですね
サウナ自体もそうですが、外国から来た新しい文化がメディアに乗って、次第に国産とか日本式が色々試されて馴染んでいく、という意味ではロックとかに似てるなあと思います
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話がそれましたが
アウフグースもアウトドアサウナも、メディアとの相性の良さとアトラクション性で、サウナに興味の無かった人も惹きつけサウナ人口を増やしてくれる、いわばサウナ界の「光」だと思ってます
この「光」にどう向き合うかは施設サウナの支配人として色々考えます
アウトドアサウナについては別の機会で書くとして、施設サウナとより密接なのはアウフグースです
9月にドイツで開催されたアウフグース世界大会『AufgussWM 2023』では、日本のウェルビー(Wellbe Aufguss Team「Yuma & Mayuka」)が団体戦で世界一となりました
これはまさに偉業で、日本のアウフグースが世界に認められた瞬間です
サウナ好き、アウフグース好きはもちろんサウナやアウフグースにそこまで興味がなかった人でも「世界一」と言われれば体験してみたくなる人は多いでしょうし
世界一とまで言わなくても、世界レベルである日本のアウフグース、ひいてはサウナに興味を持つ人は増えるでしょう
ラグビーとかバスケも世界でいい勝負をするとみんな興味を持ちますよね
メディアとの相性の良さも相まって、サウナ人口増加への貢献は大きなものになると思います
施設としてもアウフグースを軸に集客を考えるところが増えており、新規にできる施設はもちろん、既存の施設でもアウフグース用のサウナ室が新設されていたりしますね
単に売上視点でも、もし100名収容のサウナ室を満員にできるアウフギーサーがいたとしたら、その1回で100名分の入館料+レストランその他のサービス利用料、有料アウフグースの場合その料金まで発生するとなれば、業界としても今までではあまり考えられなかったブーストの形です
まさにアウフグースはサウナ界を明るく照らす光と言っていいでしょう
しかし、光があればまた影もある
とまで言うとオーバーかもしれませんが
施設としてはバランス感覚が求められるなとも思っています
「ハレ」と「ケ」という言葉がありますが、アウフグースはハレ、すなわち非日常に属するものだと思います
施設の営業時間のうち数回催される楽しいイベント、小さなお祭りのようなものです
それに対してケ、すなわち日常にあたるのは、アウフグースのないサウナ、通常運転のサウナです
そしてケのサウナ、日常のサウナを求める人も、目立たないだけで多いと思っています
楽しく盛り上がったり、パフォーマンスや香り、アツアツのロウリュに酔いしれたい人もいれば、ぼんやりテレビを眺めたい人もいるでしょう
単に陽キャ隠キャとかの話ではなく、同じ人でも今日はパーっと楽しくやりたい気分、今日は淡々とやりたい気分、日によって色んなモードがあるでしょう
たとえば12時間営業の施設で1日6回各10分のアウフグースを実施したとして、この頻度だとわりとアウフグースに力を入れている方の施設だと思いますが、それでも営業時間の中でアウフグースをやっている時間は12時間中の1時間、残りの11時間はアウフグースの無い時間です
アウフグース用のサウナ室があってもなくても、日常のサウナをおろそかにしてしまえば、それを求めている人達の足は遠のき、アウフグースがなければ成り立たない施設になってしまう
当然ながらアウフギーサーはアウフグースの時間に全力を注ぐものなので、そうでない時間とのバランスを取るのは施設の役目だと思います
あくまでいつもの良いサウナをしっかり提供した上で、アウフグースが華を添える、それが健全な形かなと
影あっての光、ケあってのハレ
アウフグースが末長く愛され根付くために、業界のバランス感覚が問われる局面でもあるなと思っています
と、ここまで書いたのはアウフグースができるサウナ施設の話で、
ストーブやスペース、予算の関係でそもそもうちでアウフグースなんかできないよという施設もありますよね
そんな施設はただブームに乗れずくすぶるしかないのか?
そんなことはなくて、やるべきことはあると思っています
長くなってしまったのでそれはまた次回に
ためになりました!