アロマセラピストから見るウィスキングの癒やし効果

サウナイキタイ アドベントカレンダー 18日目の記事です。

ウィスキングを受ける前からウィスキングに惚れた。

はじめまして、アロマセラピストの佐藤と申します。
アロマセラピストか……良い香りに包まれ、身体と心を癒やしてくれるふわふわとした癒やし系のお姉さんかな……どんな素敵な記事を書くんだろう、ドキドキ……というバブみある幻想は捨て置いて、一介のサウナ好き女が書いている、アホな文章としてご覧ください。

岐阜に住んでます。
と、サウナ好きに自己紹介を始めると、それはもう「あっ、大垣サウナの！」と言われ、「女は入れんのや！！！！」と血の涙を流している岐阜住みの女です。

さて、アロマセラピストとは、ロウリュでもよく使われるアロマオイル（その中でも精油と呼ばれる天然成分のもの）を混ぜて香りを作ったり、作った香りをキャリアオイル（植物から抽出したもの）に混ぜて身体に塗布するトリートメント（アロママッサージ）をしたりする仕事です。

精油とは、油という漢字が入っていますが油ではなく、花、葉、木、果実など、様々なものから抽出する「香りの成分」のこと。
良い香りを嗅いだら、元気になった、不安が落ち着いた、鼻がスッと通った、唾液が出た、なんて経験は、誰にでもあると思います。

特にサウナーはロウリュに入れるので、アロマも身近だし、サ室の木の香りや、外気浴の葉の香りに癒やされたことあるはず。
その色んな効果を最大限に活用するため、成分とか効能とか色々勉強して、心や身体を良い感じにするぞ！　なんてことをしています。

特に私はトリートメントに特化した女なので、身体をほぐすことが好きです（職業病、鼻がいいのでロウリュのアロマが人工の香りだと悲しい）。

で、だ。
ウィスキングという存在を始めて知った時に、手を叩いて喜びました。「最高のアロマトリートメントだ！」と思ったのです。

私はそもそもサウナ歴がまだ２～３年くらい、しかも施設やサウナに詳しくなってサウナハットを買って「わたしもこれでサウナー……かな！?」と自覚が芽生えたのは、ここ半年くらい。なので、言うほどサウナに詳しくない。

ウィスキングという言葉を知ったのも本当に最近で、たぶん今年の10月くらいでしょうか。ちょうどウィスキングの本が出たので読みまくり、脳内で完璧にシミュレーションをしました。
で、受ける前に決めました。
「こんなん最高じゃん！将来ウィスキングやろ～っと！」

そのあと実際に受けてみたウィスキングは、思った通り最高でした。
目を閉じて聞くロウリュの音、室内に充満する植物の香り、あたたかい葉に包まれる感触、肌が生まれ変わるようなスクラブ、そのあとの水風呂と外気浴をしながらのハーブティ。
地球の恵みがありがたすぎて、気分は『大地讃頌』。めっちゃ寝れました。

でも水着でのグループセッションだったので、個室で全裸で寝っころがりながら植物まみれになれたのは、未だに夢の中だけだ。
そんな初心者に何がわかる!?　ていう鼻息荒い人はちょっと帰ってもろて、大丈夫な人だけ聞いてください。
私が思うウィスキングの癒やし効果、そして私が考えた最強のウィスキングを。

ウィスキングはなんで癒やされるのか

アドベントカレンダーを18日も読んでいるようなサウナーに、ウィスキング知らないって人さはすがにおらんかなと思うけど、もし知らない方がいらっしゃったら、ていうか知っている方も、去年のアドベントカレンダーの『ウィスキングを毎月受けてわかってきたこと』が分かりやすいので読んでください。
本当に個人が書いたんか？　と疑うレベルです。

なんとなくウィスキングのアレコレを知ったところで、ウィスキングの癒やし効果が最高だと思ってる理由を並べていきます。

【カウンセリング】

そもそも、ふだん身体と心の状態を真剣に他人に話す機会ってないのでは？
そして、他人が自分の身体と心に真剣に向き合ってくれるなんて、それだけで価値あるのでは？

「最近寝不足で」とか「仕事のストレスが……」とか、友達に話したら愚痴と認識されかねないような不安を、プロが傾聴してくれるのは、癒やされるに決まってます。
一緒にウィスクの種類やスクラブを選ぶのも、わくわく感が高まって本当に最高です（私は未経験）！

【サ室の空気、香り（嗅覚）】

サウナーならもう、サ室入るだけで癒やされるし、サウナーじゃなかったとしても、温度低め湿度高めのサ室は癒やされるに決まってます。
木の中に入ってるんだから、それは当然。例えばヒノキの芳香成分は、無気力や疲労に有効です。

普段のアロマロウリュもいいし、アロマトリートメントで選んだ精油の花や果実の香りも捨てがたいけど、ウィスキングの香りはもちろん、天然の葉の香りです！
色んなウィスクの香りがあるから、嗅ぎ分けるのも楽しい。

嗅覚は人間の五感の中でも一番早く脳に届く感覚で、大脳辺縁系（扁桃体や海馬）という本能（欲求）や自律神経に関わるとこにダイレクトに届くので、まあとにかく良い香りを嗅ぐと、めっちゃ心や体に良いです。

【ロウリュ、ウィスクの音（聴覚）】

ロウリュのじゅわ～～～～～～～という音に癒やし効果があるなんて今さらすぎるし、木の葉がさわさわさわ……という音に、癒やされないわけがない。
はい次。

【ウィスクの感触（触覚）】

葉っぱを踏む、葉っぱの上に寝るのは、まぁなんとなく芝生っぽいのかなと想像できると思います。子供の頃に植木や落ち葉の山にバッサーと飛び込んだ人もいると思うし、あー分かる分かる癒やされそう、という感覚はわかってもらえるかと。

想像しにくいのは、葉っぱを押し当てられる、葉っぱで叩かれる、という未知の体験。
結論、すごい癒やしです！

まずウィスクが蒸されていてあったかい。あったかいものを押しあてられたら、気持ちいいに決まっています。

そもそも触覚は、皮膚と脳は密接に関わっています。
保険の授業のようですが、赤ちゃんが生まれる前、受精卵から細胞分裂していく段階で、外胚葉・内胚葉・中胚葉になり、それぞれ、色んな器官になってゆく……ときに、外胚葉がみょーんって外側に出たところが皮膚、ぎゅぎゅっと内側に入ったところが脳になります。
つまり「皮膚に触っているモノ」って、ざっっっっっくり細胞レベルで話すと「脳に触っているモノ」なワケです。

つまり、ウィスキングをすると、脳があったかい葉っぱによしよしされるってことです。
で、葉っぱごとに感触が違うわけです。
白樺はやわらかくて優しい、オークは大きくて心強い……色んなウィスクで色んなタイプのよしよしをされる。

結論もう一度、すごい癒やしです！

【スクラブ】

色んな植物や果実を塩や砂糖に混ぜた、天然のスクラブ。
肌の角質や皮脂を洗い流してもらって、つるつるで明るい肌になったら、それはもう素敵。
詳しくないからノリで書くけど、スクラブって邪気祓いの効果もありそうじゃない？
そりゃ癒やされるでしょ……。

あと人は、人肌に触れると安心する。するでしょ？
ウィスキングマイスターが人の手でスクラブしてくれるんだから、もちろん癒やされるでしょ……。

【水風呂】

癒やされることは、みんな知ってるので割愛。

【外気浴】

まあ外気浴が癒やされることはみんな知ってるけど、ウィスキング後の「おくるみ」はやばい。
ウィスキング後の外気浴では、水風呂で冷えた身体をウィスキングマイスターが毛布やタオルで包んでくれます。
ぐるぐるに巻かれて、なんていうか気分は赤ちゃん。もしくはミイラ？　って感じだけど、私はあまりの安心感に泣きそうになりました……。
たぶん人間は本能レベルでこれ好き。だから赤ちゃんのこと、くるむんだと思います。

その状態で、いつも以上の「ととのい」を迎え……。
癒やされないわけがないだろ～～～～～～～～～～

【ハーブティ、おやつ（嗅覚、味覚）】

そりゃ癒されるでしょうね。

【ね！　ウィスキングすごくない！？】

こんなにたくさん癒やし効果がある！
ていうか、サウナだけでもかなりの癒やしなのに、そこに植物の力が付与されて癒やされないわけがないやん。
ウィスキングという文化にはじめて触れて、アロマセラピストが猿のように手を叩いて喜んでしまった気持ちも分かってもらえたと思います。

良い効果はもっとあるはず。ウィスキング受けたことある人やウィスキングマイスターが読んだら「足らんわ！」て怒りそう。
いや怒らないか。ウィスキングのあとは菩薩のように優しい気持ちと表情になるので。五感が研ぎ澄まされて、この世の有象無象は全てどうでもよくなります。

あ～今すぐサウナラボ行きたい！

私が考えた最強のウィスキング

ここまで書いてたら、自分がサウナやウィスキングに対していかに無知であるかを実感して恥ずかしい限りですが、サ活後にメガハイ決めて「ひゃっはー！！！私もなんか書きたい！！！書くならウィスキングしかない！！！」とアドベントカレンダーに応募したとき、「職業をひけらかしてアロマセラピストが考えた最強のウィスキングを披露しますって書いたろ！！訴求力あるやろ！！！」って思った過去の私、やらかした。

無知と恥を承知で、対ヨロです。

１．ハンドマッサージをしながらおしゃべり「ウィスキングはじめてですか？」

「お水は大丈夫ですか？」
「心や体に対しての願いは何かありますか？」

手は、現代社会で疲れていない人はいないと言っても過言ではない部位です。揉まれて気持ちよくない人もたぶんいないでしょう。
腕や手のひらをもみながら、手のツボ「合谷（ごうこく）※」や「労宮（ろうきゅう）※」を押し、お話を傾聴する。
言葉もポジティブなものを選び、ウィスキングマイスターと体験者が信頼関係を築けるようにカウンセリングをします。

カウンセリングルームは落ち着いた色合いで、机や椅子は木の素材。
手を置くクッションやタオルは天然素材でふかふかなものを。

※合谷：手の甲の親指の付け根あたり、肩こりや頭痛などに
※労宮：手のひらのど真ん中、イライラや疲れなどに

２．アロマでリラックスしながらもみほぐし

心や身体の状態に合わせ、好みの香りのアロマオイルを選びます。
アロマストーンに一滴垂らし、ストーンを持って大きなベッドにうつぶせの態勢に。
（後ほどウィスクの香りを楽しむため、多く垂らして嗅覚を刺激しすぎないように注意）

香りを嗅ぎながら、オイルはつけずに服の上から全身のもみほぐします。
凝り固まった身体をほぐし、血流をよくしてサウナに備えます。

３．ハーブティで水分補給

ハーブティにもたくさんの種類があるので、身体や心の状態に合わせたものを選び、香りや効能の説明をしながらいただきます。
利尿作用はなく、リラックス効果のあるものを。

水分補給を終えたら、清潔な個室へご案内。
荷物や洋服は安心できるロッカーに預けます。

４．新しいウィスクをたっぷり用意したサウナ室

温度は40度、湿度は60％、やさしい温かさと蒸気で満たされたサウナ室へご案内します。
そこは、ウィスキングのためだけに国産の木材で建てた、とっておきのサウナ小屋です。
ストーブは薪ストーブでほのかに薪のはじける音が聞こえます。
もちろんストーブの上には、サウナストーンがたっぷり載せられています。

カウンセリングで選んだウィスクをふんだんに敷いた上にうつぶせになり、葉の香りと触感に包まれたウィスキングが始まります。

ロウリュ水にアロマは入れず、ウィスクから染み出した葉の香りを楽しみます。
蒸気をウィスクでかき混ぜて、室内の温度をゆっくり上げていきます。

５．ウィスキングの施術

蒸気を含ませたあたたかいウィスクを関節に当てるときは、首、手首、足首の三首や、脇、股関節などのリンパ節に気をつかって全身をぽかぽかに。

ウィスクを押し当てながら、筋肉にもアプローチしていきます。
肩甲骨周りをほぐし、恥骨を軽く押し、ふくらはぎを揉みます。あおむけになったら、鎖骨をゆるめ、腸をほぐします。

スクラブで、肌表面に働きかけたあと、深層面もマッサージ。
休憩の水分補給はぬるいハーブティで。

ウィスクで叩くときは、強さと音を意識します。
優しい音楽や楽器の音でリラックスしながら、軽く、おだやかな施術で撫でるようにはじまり、汗をかきはじめて熱くなってきたら情熱的に。
最後にそっと幕を閉じ、水の温度を感じます。
起承転結があって、ウィスキングマイスターと体験者が一緒になって楽しめる施術です。

６．目の前には湖と草原

川や海も捨てがたいですが、やっぱり流れや塩気のない湖にぷかぷかと、気持ちよく浮きます。

草原の上に寝転がり、おくるみをして、最上級のととのいを。
好きなだけ休んだあと、ベッドへ移動します。

７．アロマトリートメント

好みの香りと効能でアロマオイルをブレンドします。キャリアオイルは肌質に合わせて保湿力の高いものを選び、ゆっくりとトリートメントをしていきます。

仰向けになって、お顔もオーガニックの化粧水とオイルで保湿、最後には引き上げのフェイシャル施術も行います。

目を開けたときには、視界がきらきらと輝いています。

８．おやつはフルーツ、水分補給も忘れずに

季節のフルーツをいただきながら、感想などをお話しします。
ハーブティは、時間帯と予定によってリフレッシュするものかリラックスするものか選びます。
感謝の気持ちをたっぷり持って、お別れの挨拶。
心が凪ぎ、生きる活力が湧くはずです。

おわりに

途中で絶対気づいた人いると思いますけど、ウィスキングの前後にマッサージとアロマを加えて、良い感じの言葉を並べただけになってしまいました。
私も途中で気づいて「あれ？？」と「はにゃ？？」の間みたいな絶妙に腹立つ顔で書き上げました。
おれの考えた最強のキャラ（オッドアイ、天使と悪魔のハーフ、胸元に謎の痣）並みのざっくり感でお届けして、本当に申し訳ありませんでした。

「将来ウィスキングやろ～っと！」とはわりとガチで真面目に考えています。
今は一児のシングルマザー兼、女性と付き合っているため、日本の男女経済格差を一気に突きつけられている最中であんまり余裕がありませんが（突然情報が多い多い）、いずれ絶対マジで！　ピルツ小屋のクラファンしたら応援してくれよな！

こんなハイテンションのウィズキングマイスターは嫌だ、と思った人いる？
大丈夫大丈夫、テンションが高いのは深夜だけなので、普段お仕事の時はちゃんと心と身体に向き合って癒しのお姉さんをしています。

それではお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。
今後のアドベントカレンダーも楽しみにしています！

参考文献

タナカカツキ・著『はじめてのウィスキング』（リトルモア・2022）
エバ・コロソヴァ著・大山幸希子訳『ラトビア国家資格者が教える　ウィスキングの基礎と実践』（リトルモア・2022）
和田文緒・著『アロマテラピーの教科書』（新星出版社・2008）