サウナと視力
サウナイキタイ アドペントカレンダー 22日目の記事です。
あなたはこの文字をどう読んでいるのであろうか。
裸眼? メガネ? コンタクト? レーシック?
それとも目を細めてぼんやりと文字を読んでいるのだろうか?
日本人の約6割は視力が悪く、メガネやコンタクトを使用しているとどこかで聞いたことがある。もれなく私もその大多数に所属しており、視力検査の一番大きなCがどっちに向いているのか分からないくらい、視力が悪い。
その割にはサウナ室でメガネをかけている人は少ないとは思わないかい?
世の中の近眼サウナーたちは、どのタイミングでメガネを外しているのか。
それともコンタクトを付けたまま入っている人が多数なのか。
人間の五感による情報収集の割合は、視覚83%も締めているらしい。
バランス悪すぎる! もっと嗅覚(2%)や味覚(1%)も頑張れ、である。
ちなみにこの文章の一行目に間違いがあったのに気づいただろうか。
「サウナイキタイアドベントカレンダー」ではなく、「サウナイキタイアドペントカレンダー」と示されていた。「ベ」ではなく「ペ」。「点々」ではなく「丸」。「濁点」ではなく「半濁点」だった。
気づいた人は、おそらく視力の良い方なので、この先の文章を「伊達めがねのレンズがサランラップだった時みたいな視界」と想像しながら読み進めてほしい。
視力と引き換えにゲームボーイ
ボクは小学生の頃に初期ゲームボーイ(白黒)が大流行した年齢で、親にバレずに夜遅くまで布団の中で隠れて「スーパーマリオランド2 6つの金貨」をしたのがおそらく視力低下の原因だろう(今ほど技術が発達しておらず、バックライトの機能がない。布団の中に電気スタンドや懐中電灯をもちこんで試行錯誤した)。
メガネをかけ始めた時は少し賢く見える自分に酔ったこともあったが、かと言ってゲームやテレビばかりを見ていたので成績が上がるわけでも無く、頭脳はそのまま。
かれこれ数十年、近眼生活を続けている。
思春期になってからは異性の目も気にして、よそ行きの時はメガネでは無くコンタクトを使い、あたかも「ゲームボーイなんてしてませんでした」風に過ごしていた。
数年前まではそれだけでよかったのだが……。
ある本を読んだことがきっかけで、事態は変わった。
タナカカツキ先生のマンガに影響を受ける
周りが『バカボンド』や『デスノート』を読んでいる時、『オッス!トン子ちゃん』や『ブッチュくんオール百科』好きだったボクは、主人公と同じように岡本太郎やシモネタを好きになり、その流れに身を任せてタナカカツキ先生の『サ道』を読み始めた。
そして、これまた先生と同じく苦手だったサウナを克服。(ちなみにボクの名前がカタカナ表記なのは、もろにカツキ先生の影響を受けていて、どこか名前も似ているからである)。
インドア趣味だったボクは「こんな気持ちのいい世界があったんだ!」と今まで感じたことがない衝撃を感じ、受け止められないほどの感動を覚え、コントローラーを投げ出して、それからサウナ施設を巡る旅に出かけた(マリオが冒険するように)。
壁に貼っている文字は全部読みたい
初めて行くサウナ施設は、見るもの全て新鮮で好奇心がくすぐられとにかくワクワクする。
お客さんの雰囲気や運営している方の思いなどが浴室の至るところで感じられ、遠くのサウナに訪れた時は「めったに来られないから、今のうちにこの施設を全部を吸収したい!」と高鳴る胸を落ち着かせながら、無表情でジロジロ見回してしまう。
「サウナ室内でのご注意」「温泉の効能」「黙浴のご協力」「ジェットバスのボタンの説明」「熱波師のプロフィール」「食堂のおすすめメニュー」「銭湯戦士セイントセントー」などは、ゆったりお風呂に入っている方を横目に、壁に鼻の先が触れるのではないかと思うほど(近視なので)近づいて読んでいる。
どれもこの施設の良さを伝えてくれる、ポエムのようなものだ。なんせこれらを読んでる日は私にとってはサウナ記念日なのだから。
スターウォーズのボトルキャップや好きなガチャガチャなど全部集めてしまうような性格なので、生粋のコレクター気質なのだろう。
「この施設に貼ってある全部の文字を読みたい!」と思ったら気になって仕方がない(とはいえ家に帰ってぐっすり寝ればすっかり忘れてしまうのだが)。
銭湯でかけるメガネは捨てる一歩手前のやつ
そんな性格なので、サウナが好きになってからこんなにも自分の近眼を憎いと思ったことはなかった。
できるものならプラモデルのように、眼球を性能の良い眼球に入れ替えたいのだが、そういう訳にもいかない。仕方なくいつも使っているのは「壊れてもいい寸前まで使ったメガネ」。
Tシャツでも「捨てはしないけど、寝る時や汚れてもいい時に着るやつ」のメガネ版。なにせ銭湯にはデリケートなレンズに近づけてはならない熱気や石鹸やタイル(うっかり落とした時)が潜んでいる。
そんな危険な場所(メガネにとって)には、普段使いの1軍メガネでは立ち向かえないのである。なのでコンタクトで出かけたボクは、ただでさえ小さいショルダーバッグに「タオル&サウナハットなどの銭湯セット」を詰め込み、「水分補給用の水筒」と「サウナ用2軍メガネ(←古くてボロい)」と「普段かけている1軍メガネ(←ブルーライトカット)」のメガネケースが2つ入っているというキャパオーバーの異常事態が起きる。
コンタクトを外して気持ちよく入った後は、どうしても再びコンタクトを付けるのに躊躇してしまう。さっぱりした後なのに、脱いだ靴下をまた履くみたいな気持ち悪さがある。
さらにさっきまで使っていた2軍メガネは度数が合わなくなり、外でかけるには不安で、なにより今かけるとダサすぎて、さっきまでサウナで楽しんだ後なのに気分が上がらなくなるからだ。
メガネゆえの弊害
メガネは身体の一部と言われるが、浴室に入ればレンズは曇ってしまい、目の前は真っ白、温かいはずの銭湯をホワイトアウトしてしまうほど彼ら(メガネ)は拒否反応を起こしてしまう。まるで飼い猫をお風呂に入れようとするが嫌がって逃げ回っしまうようなあの感じだ。メガネとしての機能を果たそうとせず、ボクの視界のジャマをする。
要所要所にお湯をかけてたり指ワイパーで視界を戻さなければならず、なかなか手に負えない存在なのだ。
だからと言ってコンタクトのままサウナに入ると、「乾燥してこのまま眼球にこびりつくのでは!」という恐怖や、水風呂に入る時に「うっかり剥がれてどっかに流れてしまうのでは!」という若干の不安もあり、邪念で全然リラックス出来ない。こんな数ミリのペラペラ素材なのにボクの気持ちよさのジャマをしてくるのだブッチュ。
なので突発的にサウナに入る時やサウナイベント以外の時は「サウナでかける用メガネ」を準備している。
一度、「2軍メガネ」を使って細かな情報を頭にインストールしてしまえば、2周目以降はメガネを外してもある程度、脳内で景色は補える。
以前、初めて行った銭湯で1軍メガネしか持っていなかった時、裸眼状態で入ったら情報量が少なく、サウナ室から出て水風呂が見つからずパニックになったことがあった。
それ以来、慎重に水風呂と休憩場所の動線を確認するようになった(結局よく調べるとその銭湯には水風呂が無かったという衝撃的な事実だったのだが)。
久しぶりに行った銭湯で余裕かまして裸眼で入っていたら「水風呂の温度が上がるので水をすくわないで下さい」という張り紙が追加されてて常連さんに注意されたりもしたけれど。
2周目からはメガネを浴室の隅っこにある棚などに置いた、第2形態になる。まるでスペースシャトルが宇宙に打ち上がり徐々に部品を外していくかのように。メガネは役目は終え、視界は衰えるが、先程よりも身軽になったボクは前よりも自由だ。
ただ、良いことばかりではない。
とにかくサウナ室のボクは目つきが悪い。掲示物を一通り読み尽くしたとは言えど、周りの人の動きを見て隙あらば高温を求めて上段への場所移動をしたいからである。周りの人にしてみたら険しい顔で本気のイス取りゲームをしているかのようである(気持ちは至って穏やか)。
それ以外にもテレビが置いている場所では音だけが聞こえてそれはそれで気になるものである。緊急ニュース速報の音が鳴った時などは特に。
ブレイキングダウンの対戦相手オーディションのように、サウナ室に次々と入ってくるお客さんを睨みつけてしまうことも(悪意はない)。
それに入れ墨オッケーの銭湯なんかでは興味本位で「この人の柄はどんなのだろう?」とじっくり見ていると、「なにガン飛ばしてくれてんねん!」と一触即発になり兼ねない危険と隣り合わせなのである。
そしてもう一つ。
サウナハット以外は極力なにも身につけたくないので、よくロッカーやサウナの鍵も手首から外し、腰回りに広げたタオルの上に置いて蒸される。だがサウナ室から出て水風呂に入り外気浴しているといつの間にか鍵を紛失していることが多々あり、視界がほぼゼロ状態で探し回ることもしばしば。さっきまでの身体の火照りは急に冷め「このまま全裸で受付まで助けを呼ばないといけない!」という恐怖でサウナどころでは無くなることも。
そんな犠牲を払いながらボクはメガネ(五感の83%)を捨ててサウナに入る。
少しだけ近眼に夢を見させてくれる
1周目よりは視界が悪いが、手探りでふらふらと水風呂から出て、椅子に座って全身で風を受けていると、ぼんやり見えている視界はより異世界に連れて行ってくれるようで、むしろ視力の良い人よりととのいやすくなっているのではと思ったりもする。これまでのメガネによるストレス過多のせいなのかもしれないが。
休憩後は血行が良くなり少し視力がアップしてる気もする。
さっきまでぼんやりとしか見えなかったタイルの繋ぎ目がくっきりと見える。メガネやコンタクトをしていると、目元周辺の違和感は常にある日々を過ごしているが、サウナ後の裸眼が若干の視力回復するのに、毎回感動する。あんなに昔は手元のゲームボーイをひたすら見ていたのに。
最後はやっぱりホームサウナ
そんな視力に振り回されているサウナ生活だが、そんな自分でも自由になれるのが行きつけのホームサウナだ。
何度も見た掲示物はもう気にならず、動線も身体に染み込んでいる。決まった曜日&時間に行くものだから、流れているテレビ番組も毎回さほど気にならず、見えないことでより周りが気にならず、とことんサウナと自分とが向き合えるではないか。
視力を使わず身体のみでサウナを噛みしめることが出来る行きつけの場所。これを読んでいる近眼サウナーさんにも、メガネをかけずに入れる施設が見つかることを願って(もしくは12月10日「目と耳で感じるサウナ」中さん推奨のサウナメガネブームが来ることを願って)。
いつかお金に余裕が出来て怖がらずレーシック手術を受けるその日まで。
ぼんやりした視界でととのう感覚に激しく同意します。同性の裸体をはっきり見なくてすみますしね。
裸眼で、ロッカーキーを紛失したら、と恐怖の部分すみません笑いましたw
ほんんわかと入ったらまさかのジェットコースターストーリー!
わかりみ深すぎでしたw
私もド近眼ですが1番度のきついサウナメガネ買ってからは結構快適です。ロウリュなんかも目でも楽しめますし安価なんで雑に扱えるの点も非常にお勧めです^_^
私もド近眼で、初めて行くお店は最初に浴室内の配置チェックしてからサウナに入ります。動線て大事ですよね~ 最近アマゾンでお風呂・サウナ用の耐熱フレーム眼鏡(2~3000円程度)を買ったので、浴室内を安全に歩けて重宝してます(笑) ミストサウナでは曇って使えませんが、中高温サウナなら問題なく使えました👍
サウナで、より視力回復する方法、模索してみます。
ライトボーイ、憧れましたね… 私が思い出深いのはサガ2です やはり初めてのとこは一回メガネかけて入らないと不安ですよね サウナ前にメガネ置きがある施設には思いやりを感じます
メガネサウナー共通の悩みですね!
ワタシはサウナ用の眼鏡、買いました。 透明なフチ…年代的に言えば「スケルトンなフチ」…が独特で、なんとなく「俺、サウナー」的な雰囲気が出てそうで恥ずかしいのですが。 …でも、サウナ施設での長時間の休憩時も、そのまま読書もできたりと楽ですよ。