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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.03.24

11回目の訪問

湯処花ゆづき

[ 北海道 ]

「仕事終わったら、さかえ湯行っちゃおう!イェイイェイ!」と軽やかなスキップで出勤。サウナに想いを馳せ、仕事は朝から絶好調。

昼休み、風呂道具一式を忘れたことに気づき麻婆豆腐を戻しかけた。
しかし、さかえ湯だけがサウナではないというシンプルな事実に気がつくまで多くの時間は要さなかった。
デザートの杏仁豆腐を頬張りながら、英語の教科書に出てきた「not さかえ湯 but 花ゆづき」という例文を思い出した。

花ゆづきはシャンプー類完備であり、金さえ払えばタオルセットも貸してもらえる。
苦境を打開するのは知識でも根性でもない。金だ。私の尊敬する財界の大物・御坊茶魔も「金で解決 ぶぁい Yai Yai」と言っていた。

そんなわけで終業と同時に花ゆづきへ(亀で)
水曜夜の花ゆづき、何故か驚くほど混んでいた。話しかけこそしないが、風呂道具を忘れなければ彼らとの邂逅もなかったわけで、愛おしささえ憶えた。

愛おしさのあまり、ともだちんこを繰り出しそうになりましたが堪えました。へけけ。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.03.21

1回目の訪問

こうしんの湯

[ 北海道 ]

珍しく休日出勤となったので、札幌市交通局の生んだ革命的アイテム・ドニチカキップを使って業後に「こうしんの湯」へ。
2、3年前に来ているはずなのだが、容量16MBの我が脳にその記憶はなく新鮮な気持ちで楽しめた。

サウナ室の扉を開くと左右両側に2段のベンチ。俗にいうモーゼスタイルである。真ん中を貫く全長5mほどの花道はロードウォリアーズならずとも走り出したくなること請け合いだ。

サウナ室を出て左手に冷水シャワーがあるものの、お湯で流したい派の私は入り口近くのシャワーまで行き、またサウナ室そばの水風呂に戻るという上下動を強いられた。もちろんオフサイドトラップの練習だと思えば何ら苦ではない。もうフラットスリーの一角は担えると思うので、トルシエがこれを読んでいたら一報いただきたい。

日曜夕方のナイスサウナにより、16MBの脳がデフラグされた気分です。

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湯めらんど

[ 北海道 ]

僕は思う!この瞬間は続くと!いつまでも

遠足のおやつをリュックサックに詰め込んだ朝も、顧問の叱咤を受けながら土のグラウンドを駆けた昼も、卒論が進まずラジオを聴き続けた夜も、この瞬間は続くと思っていた。

ペンキ絵の富士山を眺めていた時も、洗面器ロウリュに顔をしかめていた時も、キンキンの水風呂に震えていた時も、そう思っていた。

「僕は思う!この瞬間は続くと!いつまでも」と歌う彼は、同じ曲の中で「本当は分かってる 2度と戻らない美しい日にいると」とも言っている。

そう、本当はわかっていた。

閉店まであと数日あるが、個人的には今日が最後の湯めらんど。
サウナ室の汗拭きタオル、脱衣場のベビーベッド、壁にしつらえられたビニール亀、全てが愛おしい。
そういえば一時期売られていた「コアラソフトクリーム」は謎のままになってしまった。ものすごく残酷な想像をしたが、そんなわけはないはずで、では一体何だったのだろうか。

フロントのお姉さんに「長い間お疲れ様でした」と言う勇気は当然なく、いつものように軽く会釈をして外に出た。この「いつも」も今日をもって「いつも」ではなくなる。

いつまでも続くと思いながら、2度と戻らない日にいることも本当はわかっていた。
だから、とっても寂しくて悲しいけど、いつか年を取ってから「環状沿いに『湯めらんど』ってあったべ?あそこにコアラソフトクリームってのがあってよぉ…」などと話す自分を想像してニヤニヤしたりもしている。

でもさ、

さよならなんて云えないよ。



…以上が2週間ほど前にしたためた文である。
反省点は多々あるが、そもそも行く前に書くなという話だ。人が死ぬ前から弔辞を用意しているようなものだろう。
文章自体もいつも以上にカッコをつけていて痛々しいし、好きな歌詞を引用して悦に入っている感じも鼻につく。
大好きな湯めらんどの終焉を前に落ち着かず、先走った挙句に変な力が入ってしまっていたのだ。

そんな中で迎えた今日のラスト湯めらんどだが、思っていたほど感傷的になることはなく、全くもっていつも通りだった。湯めらんどはそんなにヤワじゃない。
マッサージチェアやガチャガチャが撤去されていたのは少し寂しかったけど、仮に私が涙を流したとしても、湯めらんどは「チョイナチョイナ」と何食わぬ顔で受け流したことだろう。

計算したわけではないが、最後がロッキー側だったのはよかった。洗面器ロウリュはいつも通り強烈だった。おかげでよく眠れそうだし、明日は元気に仕事ができそうである。生活は続くのだ。

でもやっぱさ、さよならなんて云えねーよ!

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.03.14

2回目の訪問

望月湯

[ 北海道 ]

デカいからバスタオルなのか、バスタオルだからデカいのか。

主な移動手段が徒歩とチャリなので、荷物は極力減らしたい。そんな私を悩ませるのがバスタオルだ。なにしろ1枚放り込むだけでリュックはパンパン、サウナ帰りの買い出しは相当な制限を受ける。

導き出した答えは「レンタルバスタオルのあるところに行け」だ。
しかし裏を返せば「レンタルバスタオルのないところには行くな」となり、実際にほとんど足を運んでこなかった。たかだかバスタオルで素敵なサウナやお風呂との出会いを逃しているのではないか、と密かに悩み涙した夜もあった。

イノベーションの第一歩は常識を疑うことだ。
「バスタオルはデカい」という常識を疑った。身体の水分を拭き取れれば大きさは関係ない。フェイスタオル2枚と石鹸を携えて望月湯へ向かった。

かくしてイノベーションは起きた。
浴後の脱衣場に「バスタオルなんていらなかったんや!」という私の声が響いた。
フェイスタオルで十分だったのだ。レンタルバスタオルの有無を気にしていた昨日までの自分にsay goodbyeだ。「レンタルバスタオルの有無を気にしていた昨日までの自分にsay goodbye」という歌詞を盛り込んで曲を作りたいくらいだ。それを狸小路で弾き語りたいくらいだ。そしてスカウトされて上京したものの鳴かず飛ばずで札幌に戻って、南郷13丁目あたりでカラオケ居酒屋を開きたいくらいだ。

とにかくこれは革命だ。
私が俵万智だったら「フェイスタオルが バスタオルの代わりに全然なるねと俺が言ったから 3月14日はタオル記念日」と一句詠んだことだろう。

字余りも気にならないくらい久々の望月湯はよかった。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.03.10

5回目の訪問

想定外の仕事が次々と舞い込み、残業をこなして職場を出た私のHPは残り1。毒の沼に一歩でも入れば死ぬという状態で帰路につけるわけはなく、久々の極楽湯へ。

極楽湯は大変素晴らしい施設だが、惜しい点が2つある。ひとつは人気ゆえに混みがちなこと。ふたつ目はフェイスタオルがレンタルでなく買取なことだ。無秩序に増え続ける極楽湯のタオルはなかなかに悩ましい存在である。

もちろんタオルを用意していない私が悪いのだが、サウナとラブストーリーは突然だ。いつも準備万端とはいかない。
持ち帰らずに捨てちゃえ、と思ったことも正直ある。しかしそれではタオルを作ってくれた人たちに申し訳ない。
孫の学費のため内職でタオルを織り続けた老婆、年老いた親の介護費を稼ぐため「極楽湯」というロゴを刻み続けた若き染め物職人。

そんなわけで今日も極楽湯謹製タオルを持ち帰った。台所、洗面所、トイレと我が家のあらゆるところで極楽湯のロゴが踊っている。実質、この家は極楽湯だ。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.03.06

11回目の訪問

湯めらんど

[ 北海道 ]

「行きたいときがサウナどき」を信条としているが、閉店が迫っている中で悠長なことは言っていられない。吹雪の中、湯めらんどへ。

開店直後のせいか人は少なめ。
「もう少しでここに立ち入ることすらできなくなる」という悲しさと「この時間をしっかり謳歌しよう」という力強さがせめぎ合った。

不謹慎にも、余命幾許もない祖父を見舞った日のことが思い出された。

祖父は非常に優しい人だったが、同時に厳格な一面があり、礼儀や言葉遣いについては何度も怒られた。
そんな祖父が癌に侵され、医師は我われ家族に予後6ヶ月と告げた。

病床の祖父を前に「もう少しで顔を見ることもできなくなる」という悲しさと「この時間をしっかり謳歌しよう」という力強さがせめぎ合った。
いずれにせよ気の利いた言葉など出るはずもなく「具合はどう?」と尋ねることしかできなかった。
すっかり痩せ細った祖父は、しかし力強く口を開いた。

「また菅原とエロ話がしてぇなぁ〜!」

厳格な祖父が、だ。
「また」ということは、これまでにも菅原とそんな話をしていたのだろうか。
つーか菅原って誰だよ。

多くの謎を残したまま、半年後に祖父は逝った。
いまだに菅原が何者かはわからないが、祖父は身を以て「男とは最期までバカな生き物だ」と教えてくれたのだ。

ひとりきりの高温サウナ室でそんな思い出に浸っていたところ、ひとりの紳士が入室してきた。つい局部に視線を向けてしまうのは私の悪い癖だ。
さらに悪いことに内心ほくそ笑んで思うのだ、「勝ったな」と。

男はバカな生き物なんだ。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.03.01

17回目の訪問

さかえ湯

[ 北海道 ]

風邪を長引かせてしまい約1ヶ月ぶりのサウナ。

「風邪はサウナで治る!」というご意見もあろうが、個人的には眉唾だ。あれだけ体力を削られて風邪が治るとは思えない。

子供の頃もよく風邪で学校を休んでいたが、治りは今より遥かに早かった。体力の違いだけが理由ではない。
「病は気から」というが、ほとんど「気持ち」で治していたのだ。
何しろ学校を休んでいる時点でウキウキである。そこにプラスアルファがあれば即完治だ。

お母さんがジャンプを買ってきてくれた!→治った
ストⅡを1日中やった!→治った
プリンおいしい!→治った

枚挙に暇がない。
歳をとると風邪は治りにくくなるが、これは「気持ち」の盛り上がることが少なくなっているせいだ。
お酒を飲んでいても、音楽を聴いていても、サッカーを観ていても、不意に憎い上司や口うるさいクライアントの顔が脳裏に浮かんできてしまう。気持ちは萎れる。

しかし全てから解放され、気持ちを自由に羽ばたかせることのできる場所が大人にも1つだけある。言わずもがな、サウナだ。

お母さんはジャンプを買ってきてくれなくなったし、ストⅡをやるには動体視力が厳しくなったし、プリンよりホヤ塩辛の方がおいしいと感じるようになったけど、風邪をもぶっ飛ばすあの昂りがサウナにはあるのだ。

結論:風邪はサウナで治る

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.01.31

10回目の訪問

湯めらんど

[ 北海道 ]

涙を堪えながら、改めて入り口に掲示された告知文に目を通した。

「2021年3月20日をもって『営業の終了』と、させて頂きます」(原文ママ)

「閉店」でも「廃業」でもなく「営業の終了」とわざわざカギカッコつきで記されている。追い詰められた末の苦しい決定ではなく、自らの判断で清く幕を降ろすという意思がそこには感じられないだろうか。

どんな言い回しをしようと事実が変わるわけではない。故に言葉の選択は大事だ。
事実は変わらないが、言葉から受ける人々の印象、心象は可変的だからだ。別れを前にした時、その事実は変えられなくても、せめて幾許かの希望や光を感じたい。

例えば昨今のアイドルグループはメンバーの脱退を「卒業」と称することが多い。
物は言いようと切り捨てるのは容易いが、それが当事者たちの心を少しでも軽くしているのなら、外野がとやかく言うのは野暮だ。

思えば少年時代、マンガの最終回には
「ご愛読ありがとうございました!○○先生の次回作にご期待ください!」
という一文が添えられていた。大人になり、これがある種の社交辞令だったということを理解した。
編集部的には
「アンケートの結果がクソなので急遽打ち切りました!終盤の展開が強引ですいませんでした!」
くらいの気持ちだったろう。でも、作者、読者に希望を与える言葉を並べてくれていたのだ。

そんな言葉を信じ切ってガチョン太朗先生の次回作を待ち続けた少年ですが、おっさんとなり今日も湯めらんどでいい塩梅になりました。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.01.27

16回目の訪問

さかえ湯

[ 北海道 ]

日中の気温が高かったせいか、歩道が超ツルツルのハードモードと化していた。
転びたくはないがサウナには入りたい。意を決して足を踏み出した。

右に左によろめきながらゼェゼェと息をする中年男性の姿はさぞ無様だったろう。「あいつ『けっきょく南極大冒険』みたいだなwww」といった野次が聞こえたりもしたが、さかえ湯へ何とかたどり着いた。

いつもより人が少なかった。恐らく多くの同志が志半ばですっ転んでしまったのだろう。彼らの分まで存分に満喫した。

浴後、湯上り処で一息ついてから外に出ると駐車場に一匹の野良猫がいた。
中央市場という場所柄、美味しいエサにありつけるのだろう。
「野良猫も野良犬も見なくなったなぁ」「子供の頃はこっそりエサあげたりしたなぁ」などとノスタルジックな気持ちになっていたところ、ある思い出がカットイン。

あれは私が小3の頃、北海道南部の超ド田舎に住んでいたある日のことだ。
当時、私の数少ない楽しみのひとつは週に一度家族で町内の温泉に行くことだった。あの日も父親の運転する車で街灯すらない道を温泉目指して進んでいた。もうすぐ到着というところで、我々を乗せた車の前を何かが横切った。
馬が、野良馬が横切ったのだ。

過去数回、このエピソードを人に話したことがある。
しかし彼らの反応は「嘘はよくない」「馬では弱いからもっと盛っていい」などと辛辣だった。

野良猫や野良犬と同様、人を信じる気持ちもこの世から失われかけているのか。
変わっていないのは、あの日も今日も私の行ったところが風呂だということくらいだ。馬は本当です。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.01.25

10回目の訪問

湯処花ゆづき

[ 北海道 ]

いつものようにOCTA(ラブホ)の前を通って花ゆづきへ。

ホテルの入り口に掲げられた看板に目をやると
「お一人様1枚マスクプレゼント」
とのこと。
濃厚接触オブ濃厚接触が繰り広げられる場所でマスク。サウナで冷えピタを配るようなものだ。

それともあれか?昨今はマスクをしたままで事に及ぶのか?そんなんで愛を確かめ合えるのか?ほら、素人モノのビデオで身バレ防止のためにマスクしたままってことあるじゃん?あれって興を削ぐじゃん?そういうことよ?でもさ、あれってリアリティ出すための小道具だよね?俺もさすがに本当の素人だとは思っちゃいないからね?でもでも、初期のマジックミラー号って「あれ?これマジで素人じゃね?」ってこと結構あったよね?ねっ?

そんなことを花ゆづきのサウナ室でずっと考えていました。いつもより少し熱かったです。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.01.23

2回目の訪問

月見湯

[ 北海道 ]

月見湯は 近くて遠ひ 涅槃かな

松尾芭蕉が詠んだ通り、公共交通機関で月見湯にアクセスするのは少々難儀だ。
それもあってか月見湯の駐車場は東京ドーム8.5個分という広さを誇っているが、残念ながら私は車を持っていない。

「車がなければ歩いていけばいいじゃない」

マリー何とかネットという人がそういうようなことを言っていたらしい。
グーグル先生によれば徒歩による所要時間は約40分。任せろ、大丈夫だ。まさにオッケー、グーグルだ。

月見湯にたどり着いたとき、私の身体は芯から冷え、息も完全にあがっていた。
しかしそこは月見湯。ラドン泉とサウナで全て吹き飛んだ。

全て吹き飛んだが「帰りも歩くしかない」ということを失念していたのは私が今回犯した唯一のミスだ。我が家にはラドン泉もサウナもない。道中「タクシー」という言葉が何度も脳裏に浮かんだが、それを振り切り息も絶え絶えで帰宅を果たした。

ラドン泉もサウナもないが、いいちこはあった。今日も良い1日だった。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.01.17

9回目の訪問

湯めらんど

[ 北海道 ]

この冬、本格的に股引きデビューを果たした。
若かりし頃は「ジジィ臭ぇ」と敬遠していたが、浅はかだった。その暖かさはボナサウナの如し。もう手放せない。

余談だが、私の愛用品はユニクロの「ヒートテックタイツ(前開き)」である。横文字ならオシャレ感出るだろ的ネーミングなのかもしれないが、情け無用だ。清く「ぬくぬく股引き」くらいでよい。そもそも「(前開き)」でオシャレ感は吹っ飛んでいる。

正直なところ今でもちょっとだけジジィ臭ぇと思っているのだが、人に見られるわけでもなし、優先すべきは機能性なのだ。
しかし私はまだまだ浅はかだった。人に見られる場所があったのだ。言わずもがな、脱衣場である。

湯めらんどの広々とした脱衣場。
「あいつ股引き履いてんじゃんwwwしかも前開きwww」
そんなことを言う人はいない。わかってはいるが、周囲を気にしてしまった。

余計な自意識に蓋をしてサウナへ。
目を閉じてダラダラと汗を流し、カチンカチンの水風呂で「ぐぶぁっ!」と珍奇な声をあげ、外気浴でヨダレを流す。
客観的に考えれば、サウナは股引き姿を凌ぐ恥ずかしシーンのオンパレードではないか。

しかし私はサウナで「恥ずかしい」と思ったことなどない。サウナに自意識の入り込む余地などないのだ。
別にサウナが高尚だとか神聖だとか言いたいわけではない。むしろ逆だ。
老若男女すべての人が素っ裸で己を忘れ気持ちよくなってヘラヘラする場所。それがサウナだと私は思っている。それ以上でもそれ以下でもない。

デキる男はサウナに入るとかサウナに入るとモテるとか色々な意見を目に耳にするが、デキないうえにモテない私にはよくわからない。
よくわからないけれど、デキないモテないオッサンもサウナに入って気持ちよくなっているのは事実だ。レオンよりも週刊モーニングが似合う男でありたい。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2021.01.10

8回目の訪問

湯めらんど

[ 北海道 ]

「湯めらんど、銭湯やめるってよ」

11月の初め、突然の悲報を耳にした私は膝から崩れ落ちた。ショックのあまり髪は一瞬で真っ白、歯は全抜け、自宅は倒壊。あまりにあんまりだ。
予告された閉店日は3月20日。できる限り足を運ぼうと誓ったものの、コロナやら何やらで時間だけが過ぎてしまった。そんなわけで2021年サウナ初めは湯めらんどへ。

本日の男湯は低温サウナ側。相変わらず換気からの洗面器ロウリュはアッパー昇竜拳並みの鉄板コンボだった。
「あと何度これを浴びられるのだろうか」
テレビの春高バレー男子決勝を眺めながら思いを凝らした。
どうやら東福岡が駿台学園を下して優勝したらしい。両者とも涙を流してはいるが、それぞれの涙が持つ意味は全く異なる。そして、それを眺めているオッサンの流している涙が持つ意味もまたさらに異なっている。

「いつまでも あると思うな 親と湯めらんど」
昔の人はよく言ったものだ。でも、まさか湯めらんどがなくなるなんて。
時間はまだある。それではお聴きください、TMNでTIME TO COUNT DOWN.

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水風呂のボーイズ・ライフ

2020.12.25

15回目の訪問

さかえ湯

[ 北海道 ]

約2ヶ月ぶりのサウナ。言わずもがな、こんなに間が空いたのはコロナのせいだ。
最近はやや落ち着きつつあるが、我が街•札幌の感染拡大は勢いを増す一方だった。

そんな状況の中、我が職場では業務命令に近い形でスタッフへの行動指針が示された。仕事柄仕方のないことなのだが、
「会食の際は〜」
「冠婚葬祭の際は〜」
など諸々の制限を受けている。
とはいえサウナに関しては当然ながら制限されていない。されてはいないが、冠婚葬祭も極力控えろという状況でサウナ可と判断するのは違うだろう。
指針の中で「塩サウナは塩の殺菌効果でコロナが死ぬの大丈夫です!」「アウフグースのあるサウナは風でコロナが吹っ飛ぶので大丈夫です!」「感染しても浴後のビールでウイルスは死ぬのでOKです!」とか明言してくれるとありがたいのだが、そうもいかないのだろう。

そんな中で迎えた令和2年最後の金曜日。忙しくなるだろうなと思いながら出勤したところ本当に忙しかったので、15時には「忙しいからもう帰ります!」と言い放ち職場を後にした。

15時に職場を出たところでやることはない。思えば今日はクリスマスだが、クリスマスだろうが夏至だろうが冬至だろうが勤労感謝の日だろうが、やることはないのだ。

「サウナ行っちゃえよ?15時なら空いてるぜ?」
悪魔が囁いた。私は悪魔に従った。

久しぶりのさかえ湯。変わらず最高だった。
こんなに最高な場所が悪魔の囁きに導かれてくるところであってはならない。
サンタさん、なんとかしてください。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2020.10.27

14回目の訪問

さかえ湯

[ 北海道 ]

先日の東北旅行で山寺(山形)を訪ね、1000段以上あるという石段を踏破してきた。

この石段、1段登るたびに煩悩がひとつ消えるといわれているらしい。煩悩がたまたまヒトの形をして生まれてきたとしか言いようのない私が登らない手はない。

自慢ではないが、足腰の強さには少々自信がある。若かりし頃、陸上部で短距離競技に励み、その快足ぶりから「網走のぴの」と呼ばれたり呼ばれなかったりしていたのだ。

観光ガイドに「片道1時間は考えてください」とあったが、ものの20分で登り切った。煩悩全消しである。ぷよぷよならボーナスだ。

あれから2日、「網走のぴの」は「東札幌の筋肉痛」に成り下がった。火垂るの墓でも見ようものなら目からは涙でなく乳酸が流れ出たに違いない。

筋肉痛にはサウナだ。
さかえ湯で全ての乳酸を流し切った私の身体はすっかり軽くなっていた。

ドラクエウォークのお土産目当てで山寺登ったなんて口が裂けても言えません。
帰ってハイボール飲み倒してやんよ!(煩悩)

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水風呂のボーイズ・ライフ

2020.10.24

1回目の訪問

雨のNDスタを後にして、こちらへチェックイン。

宿泊先を選ぶ際の第一条件が「サウナ付き」という御大は多いだろうが、私のようなヒヨッコは価格やらアクセスやら喫煙の可否やらと、俗物的価値観に基づいて決めている。この宿もそうだったのだが、なんとサウナがあるではないですか。据え膳食わぬは何とやらということで大浴場へ。

大浴場と謳ってはいるが、カランは4つ。寮の風呂場といった趣だ。寮入ったことないから知らんけど。
サウナ室の手前には「落書き禁止」との張り紙。いやいや、風呂場だぞ。山形のグラフィティ文化は相当キているらしい。

いざサウナ室。見たこともない小さなサウナストーブに申し訳程度のサウナストーンが鎮座。テレビはない、ラジオもない、車もそれほど走ってない。
温度計と12分計はあるが、12分計はいつ見ても6と7の間を指していたので、壊れていたか私のスタンドが発動したかのいずれかと思われる。

水風呂は本気を出せば4人くらい入れそうな広さ。体感で18℃といったところだろうか。

思いがけずのラッキーサウナだったので何の文句もございません。導かれたとしか言いようがありません。導かれし者です(ブライ)

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水風呂のボーイズ・ライフ

2020.10.23

1回目の訪問

久しぶりの仙台。9年半も足が遠ざかっていた。

あの頃はサウナのサの字も知らなかったが、すっかりサウナ脳おっさんと化した私が行くべき場所はあそこしかない。
東北サウナの雄、サウナ界の仙台育英、独眼竜サウナ、サウナ定食(テールスープ付)ことキュア国分町へ向かった。

洗身を終え、まずは露天風呂へ。嫌が応にも鎮座ましますインフィニティチェアに目が行ってしまう。仙台サウナヘッズが菩薩のような表情で出来上がっていらっしゃった。

きれいなサウナ、きれいな水風呂を無難にこなし、いよいよColeman謹製のインフィニティチェアへ。

それはそれはインフィニティだった。インフィニティ、つまり無限。
無限とは有限を前提にした概念であるのだから、結局のところ万物は限界から逃れることなどできないのであって、とどのつまり俺はインフィニティで杜の都で萩の月で牛タンがホヤでベガルタがイーグルスでサンドウィッチマンがカロリーゼロで松島がああ松島でこの椅子最高かよバカ野郎お母さんこの椅子買って買ってだ。

Colemanが凄いのか、キュアが凄いのか。おそらく両方とも正解だ。

インフィニティチェアを満喫しつつ安定の3セットをこなし、締めに韓国式サウナへ。サウナで横になれることがこんなに幸せだったのか、と涙を流した。幸せすぎてうっかり寝そうになったので、慌てて出た。
低温とはいえサウナだ。寝てしまった日には新千歳経由で無言の帰宅と相成ってしまう。

思い返してみれば、9年半前はサウナどころか風呂にも入らなかった。いや、入れなかったのだ。
あのとき、あの避難所で出会った子供たちもキュアに来たりしてるのだろうか。

※よい感じに締めくくってしまったので、全力の面白顔で「投稿する」ボタンを押してバランスを取ろうと思います。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2020.10.20

9回目の訪問

湯処花ゆづき

[ 北海道 ]

もはや引っ越したほうがよいのではと思うくらいに二十四軒方面ばかり来ているが、今日も花ゆづき。

受付に行くと
「申し訳ありません!工事中のため本日は壺湯がご利用できません!」
とのこと。
私が熱心な壺湯マニアだったら「なんだとコノ野郎!ふざけんな!」と袈裟斬りチョップ一閃、即座に踵を返すところだが、壺湯に興味はないのでもちろんノープロブレム。

全国8千万の壺湯ファンには申し訳ないが、あれの存在意義がいまいちわからない。
「あそこの電気風呂は効くぜ!」とか「あそこの薬湯はすごいよ!」はわかるが、「あそこの壺湯、最高だよ!」という人はいるのだろうか。

私も入ったことがないわけではない。
他の客を気にしなくてよいし、なんか富豪気分を味わえる。
でもやっぱり広い浴槽で足を伸ばすほうが気持ちよいと思う。富豪は壺の風呂に入るという私のイメージも間違っている。

外気浴中、湯も人も入っていない壺を眺めた。
「婆さん死んだとき、あんな感じの壺に骨入れたなぁ」

悲しい思い出が蘇った。
予行演習として入るのはよいかもしれない。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2020.10.16

13回目の訪問

さかえ湯

[ 北海道 ]

意図したわけではないが3週連続の金曜さかえ湯。

いつものように大人入浴券とバスタオルレンタル券を購入し、フロントへ。

問題はここからだ。
いつもならフロントレディは
「バスタオルですねー。ご用意します」
と手渡してくれる。
が、今日はフロントに到達した時点でバスタオルが用意されていたのだ。

私が券売機でバスタオル券を買ったのを見ていたのかもしれない。あるいは顔を覚えられた可能性もあるだろう。

後者だとしたらまずい。
顔を覚えられたことに対して「常連の仲間入りだぜ!」と悦に入るご陽気なメンタリティの方もいるだろうが、私のようなご陰気メンタリティの人間にとって、覚えられるというのは何とも気恥ずかしいことなのだ。

いや、先回りしてバスタオルを用意してくれたのは優しさでしかなく、感謝すべきだ。こんな湿気った中年を覚えてくれてのことなら尚更だ。

だが、ネガティブな脳は私にあらぬ妄想を押し付けてくる。

「顔覚えられたからには絶対に裏で変なアダ名つけられてるよな〜。『金曜バスタオル』とかだろうな、きっと。『金バスのくせに火曜に来たwww』とか言われんだよ、どうせ」

言うまでもなく、さかえ湯に限ってそんなことはあり得ない。なので、これからも変わらぬペースで通いたい。
でも万が一「あれ?今日火曜ですよ?」などと言われたら立ち直れないと思う。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2020.10.13

8回目の訪問

湯処花ゆづき

[ 北海道 ]

安定の3セット。最後の休憩中、ふと思った。

「入ってみようかな」

新興宗教の話ではない。疲れてはいるが、まだそこまでではない。
電気風呂である。遥か昔、冷やかし程度に入ったことはあるが「あかん!うち死んでまう!」とすぐに飛び出した。

明かりを灯す以外に電気を使うのはスタンガン、死刑執行、ブランカのアレだけだ。身体によいわけがない。
が、今日はバキバキに凝った肩が電気を欲した。

ビビりながらも電気風呂へ。電気を発しているであろうメカニカルな板が水面下に見える。
ターゲットをロックオン、時々後ろを振り返りつつ超スロースピードで背中から接近。馬鹿の車庫入れといった風情だが、周囲の目を気にする余裕はない。

いよいよビリビリが着弾。少々ポジショニングを誤ったか、想定よりも下、肋骨の下縁あたりにヒットした。連日の酒で弱った肝臓にとどめを刺さんばかりの電撃。すかさず身体を少し沈め、肩へ当てることに成功。が、今度は肩がヒゲダンスの如き上下動。

「ぬふぉっ!ぐふぁっ!」くらいの声は出ていたと思う。肩をピョコピョコさせながら間抜けな声をあげる中年男性。悲哀しかない。BGMは中島みゆきの「世情」でお願いしたい。

帰り道、肩は少し軽くなっていた。短時間でそんな効果あるわけないだろと思うし、プラセボという言葉も知っている。
でも信じることが大事なのだ。新興宗教みたいなもんだろう。

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