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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.11.27

1回目の訪問

さかえ湯

[ 北海道 ]

平均的な人間でありたい。平均的な収入を得、平均的な家に住み、平均的な死に方をしたい。凡庸ともいえるが、世間の厳しさを知ることとはつまり、凡庸であることの難しさを知ることだ。

平均、すなわちミドルクラスである。
「好きなプロレスラーは?」という問いに対して「猪木」と答えることは一見平均的だ。しかし猪木は超一流のレスラーでありミドルクラスではない。かといって「フライングキッド市原が大好きです!」というとちょっと話が変わってくる。したがって平均的な回答としては「ヒロ斎藤」が正解だ。
「好きなジャンプ漫画は?」という問いに対して「ドラゴンボール」「スラムダンク」と答えるのも猪木と同様、実は平均的ではない。かといって「大相撲刑事最高!」というのはアナーキーだ。正解は「アウターゾーン」である。

さかえ湯に初めて足を踏み入れた。極めて平均的で、極めて最高だった。スーパー銭湯と地域密着型小規模銭湯の二極化が進む浴場業界において、本当に貴重なミドルクラス銭湯。大好きだ。札幌だと湯めらんど、月見湯あたりが同系統といえるだろうか。いずれも同じく大好きだ。

広すぎず狭すぎず、混みすぎず空きすぎず、熱すぎずぬるすぎず。
「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉がある。何かうまいことを言おうと思ったが、一切何も思いつかない。それぐらい気持ちが良かった。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.11.24

1回目の訪問

「釣りごろつられごろ」というテレビ新広島の番組がある。北海道民である私は見たことがない。しかしそのインパクトゆえ、どこかで目にしたタイトルだけが脳裏に刻まれている。

「釣りごろ」はわかる。釣り人側の「今日は天気良いな!釣っちゃうぞ!」とか「釣竿新調したからな!釣っちゃうぞ!」とか、それが「釣りごろ」だろう。
だが「つられごろ」はどうだろう。脂が乗って旬だとか魚群が寄ってきてるとか、一見「つられごろ」なシチュエーションは思いつくが、別に魚は「人間さん、チャンスですよ!」「俺たち、つられごろっす!」という気持ちではないはずだ。むしろ種を残すための機序であろう。

サウナにも「蒸しごろ蒸されごろ」がある。「蒸しごろ」はサウナ室側のものだが、一方の「蒸されごろ」は我々客に委ねられている。心身の調子、懐具合、時間の余裕などなどによって「蒸されごろ」は規定されるだろう。
仕事終わりが私にとって絶好の「蒸されごろ」だったのだが、何故か最近は休日のだらけた時間が「蒸されごろ」になりつつある。

日曜のだらけた昼下がり、北のたまゆら厚別で蒸された。決してサウナに注力している施設ではないが、蒸されごろの旬を迎えていた私には桃源郷の如き空間であった。外気浴スペースで寒風にさらされるうち、何もかもがどうでもよくなった。バレバレのルアーに食いつく魚もきっとこんな気持ちなのだろう。

でも、北海道道民にとっての釣り番組は「釣〜りんぐ北海道」一択よね。ささげ名人は全道民の師匠。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.11.17

1回目の訪問

望月湯

[ 北海道 ]

ついに雪が降りやがった。
私は生まれも育ちも北海道だが、冬が大嫌いだ。とにかく寒い。道は滑る。そして何より痛手なのは自転車に乗れないことだ。

私の主な移動手段は自転車と徒歩だ。まるでMother2である。公共交通機関という選択肢もあるが、ことサウナに関しては、特に帰り道で地下鉄やバスで人に揉まれたくないのだ。勝手なものである。

したがって雪が降った今、私は徒歩圏内にあるサウナに照準を合わせるよりない。
熟考の結果、今日のチョイスは望月湯となった。初訪問である。

チョイスしておいてこんなことは言うべきでないが、地域密着型の風呂は苦手だ。常連の皆様が集うその空間は、アウェイそのものである。

緊張感に包まれながら水風呂に入ろうとしたその刹那、常連と思しき方から「君、汗流したのか⁉︎」とのお言葉をいただいた。
もちろん流している。舐めたこと言ってるんじゃないよバカ野郎とは思ったが、そんなことは言葉にしない。
お前の17倍はサウナ行ってるよと思ったが、そんなことも言葉にしない。

とにかく水風呂が冷たい。体感的にはウェルビー栄のアレと同等だ。
軟弱な私は冷たい水風呂を苦手としているが、ウェルビー栄のアレと同じように思いの外すんなりと入ることができた。どうも限界を超えると人の感覚はバグるらしい。

サウナと外気浴スペースでは演歌が流れ続けていた。「♪昭和35年〜」という歌い出しの曲が私の心を捉えた。60年前である。そんなこと言われても、という感しかない。

60年後、「♪令和元年〜」という曲が望月湯で流れることはあるのだろうか。いずれにしても私はそのとき鬼籍に入っているだろう。

鬼籍、すごい言葉だ。鬼である。思えば今日は鬼日。滑る路面に苦労しながら帰路についた。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.11.11

1回目の訪問

「港区の日曜の夜は静か」と言っていた曲があった。それはそうなのだろうが、墨田区の月曜の昼も静かだ。墨田区、あるいは東京に限ったことではないが、月曜の日中は暇だ。美術館も博物館も閉まっている。札幌くんだりから東京に来たのは当然用事があってのことだが、その予定は19時から。時間が有り余っている。

しかし私にはサウナがある。昨日、というか12時間前には北欧にいたのだが、気がつけば月曜午前にニューウイングだ。
さすがに人は少ない。噂に名高い水風呂プールも泳ぎ放題だ。ハードコンタクトユーザー&冷たい水風呂が苦手な下級サウナ野郎の私にはそもそも泳ぐことなど叶わないが。

錦糸町のサウナなぞ、放っておいても競馬に負けたオッサンや競馬に負けたオッサン、あるいは競馬に負けたオッサンがホイホイやって来るだろう。しかしそれに甘んじることのない、細やかな配慮が隅々に感じられた。

すっかり良い心地になった私は今回の旅の目的、「港区の日曜の夜は静か」と唄っていた人のライブに向かった。
ボーイズライフは水風呂から戦場へ。テキトーにつけたHNの活きる日が来るとは思わなかった。小沢健二もサウナに入るのだろうか。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.11.11

1回目の訪問

1年ぶり2度目の北欧。サ道(ドラマ)を経ているので、前回とは違う感慨がある。「ここ、偶然さんが座ってたとこじゃん!」と内心はしゃいでしまった。
「スターが愛した名店」的な番組で「裕次郎さんはいつもあの席で、ナポリタンを頼まれてました」みたいなシーンを目にするが、将来的には北欧も同じような文脈で語られるに違いない。裕次郎がナポリタン好きかどうかは知らん。

相変わらず熱いサウナ室もさることながら、日曜夜とは思えぬ混みように驚いた。全員とは言わないが、ほとんどの人は数時間後に仕事or学校へ行くのだろう。呑気に月火と有給を取得し、ノコノコと札幌から来たオノボリさん全開の私がこの空間を謳歌することに若干の罪悪感を覚えた。
東京で働く、あるいは学業に勤しむのがどれほどのことか、牛と羊とカニに囲まれて呑気に働いている我々には想像することも困難だ。テクノポリス、コンクリートジャングル、ヒートアイランド、ドーナツ化現象、駆け込み乗車、インフィールドフライ…。

正直に言うと、私は牛にも羊にもカニにも囲まれていない。カニに関しては囲まれたいくらいだ。札幌だってそれなりに都会である。大きなビルもあるし外国人もいっぱいいる。でも東京には勝てっこない。東京なんだから。

そんな東京を生き抜く人たちに、いや、生き抜けない人たちに生きる力を与えているのが北欧なのだろう。

前回食べることの出来なかった北欧カレーをいただいた。体重を気にして半カレーにした私を東京は許すだろうか。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.11.07

1回目の訪問

先日インフルエンザワクチンを接種してからというもの、左腕がだるい。これがサウナで解消されるとは思っていないし、期待もしていないが、終業とともに極楽湯へ。

インフルエンザワクチンについては「何の効果もない」という主張も少なくない。論理的な意見を並べる者もいれば、「陰謀」や「利権」といった穏やかではない言葉を並べる者もいる。いずれにせよ、ブラックジャックとドクターマリオで医学の全てを学んだ私が出せる結論はない。今後インフルにならなければ「ワクチン打ってよかったぜ!」だし、不幸にも罹患し39℃の熱が出ても「予防接種受けてなかったら42℃だったかもな!」だ。ポジティブは正義である。

このワクチン論争、サウナにも通ずる面があるのではないかと思う。「サウナ体に良い説」と「サウナ体に悪い説」の対立である。「アドレナリンが」「自律神経が」とサウナは健康に寄与していると声高に叫ぶ者がいる一方で、「血圧が」「心臓が」とサウナが人の寿命を縮めているとの主張もある。

ドクターマリオもブラックジャックもどちらが正しいかは教えてくれなかった。ただ平日19時台に極楽湯のサウナ室に集う面々は、私を筆頭に不健康としか思えない。疲れ切った顔、突き出た腹、頭皮の面積。
一方でこうも思う。サウナに入っているからこの程度で済んでいるのではないか、と。もし我々がサウナを知らなければ、デブやハゲを通り越してとうに死んでいたかもしれないのだ。サウナがあるからなんとか生きている我ら。ポジティブは正義である。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.11.04

1回目の訪問

1ヶ月ぶりのサウナである。諸々のトラブルが続き、とてもサウナに行けるようなメンタルではなかったためだが、「そんな時こそサウナだろ」という声が聞こえてきそうだ。私はクンフーが足りない。

さて、1ヶ月ぶりの復帰戦。私は怪我明けのサッカー選手を考えてみた。ラスト10分、2点差以上はついた展開で交代出場、もちろんホームが望ましいだろう。
考えてはみたが、サウナに点差や交代という概念はない。しかしだ。サウナにもホームという考え方があるではないか。となるとここは我がホーム、湯めらんどか。あるいは第2のホーム(札幌にとっての厚別、名古屋にとっての瑞穂的な)であるニコーリフレか。
だが、サッカー選手が味方の怪我や退場で想定外の出場を強いられることがあるように、突然のサウナチャンスが訪れた。経過は端折るが、数年ぶりの南幌温泉が復帰の舞台となった。

休日午前の南幌温泉。ご高齢の方を中心にそこそこの入りである。開放的な露天スペース、秋風が心地よい。ふと見上げれば「ふきの塔」なる展望台がそびえている。
ここで私は「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉を思い出した。素っ裸の私が「ふきの塔」を見上げている時、「ふきの塔」からも私の塔が見えているのだ。ご注意いただきたい。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.10.06

1回目の訪問

湯めらんど

[ 北海道 ]

かなり久しぶりの訪問。最近は「仕事帰りのサウナこそ至高」との観念に捉われているせいか、近所でありながら職場とは逆方向にある当施設から足が遠のいてしまっていた。

本日は野郎が低温サウナ側。1セット目のサウナ室突入直後にギャングスタロウリュを喰らい、早めに退避。が、椅子がひとつも空いておらずスタンディングダウン状態。
ややグロッキーなままルーティンをこなし、3セット目のギャングスタロウリュ・アゲインで完全ノックアウト。宙を舞うタオル、割れんばかりの歓声。

着衣時、気持ち良さのあまり有線でかかっていたBOOWYのmarionnettをつい一緒に唄ってしまった(布袋の『♪marionnette in the mirror〜』部分のみを大声で)

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.10.03

1回目の訪問

増税値上げ後初訪問。誰しも必ず「週に最低3回はサウナ行ってるから、x円×3/週。で、それを4倍してy円/月かぁ…」などと不毛な計算の末、「ま、パチンコとかキャバクラにハマってる奴と比べりゃ可愛いもんだ」と自分を納得させることがあるだろう。まあ、そういうことだ。

食後のサウナはあまりよろしくないらしいが、みよしのでカレーをぶち込んでから訪問。
平日でもロウリュ時はフルハウスということがあるので油断ならんが、今日は程よい混雑具合。3時間。
かつては天性の貧乏根性で「受けられるロウリュは全部喰らう」という姿勢だったが、最近はすっかり萎れてしまった。そんなわけで、3チャンスのうち2回浴びた。

気のせいかもしれないが、身体がバッキバキの人(骨が折れまくっているという意味ではなく、筋肉的なことで)が最近多いように感じる。私もカレーやら餃子やらをかっこんでいる場合ではない。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.10.01

1回目の訪問

湯処花ゆづき

[ 北海道 ]

仕事終わりで訪問。
3セットこなすも何故か全くキマらない。
体調のせいか?否、至って快調だ。
水風呂のせいか?否、温度表示はいつも通り。
サウナ室のせいか?否、いつものセッティングだ。
原因はわかっている。テメーだよ、テレビ!TV!テレビジョン!

サウナにテレビは必要か?これは根深い問題だ。中世ヨーロッパでは、この論争の果てにある国が分断されたとかされなかったとか聞く。
私はこの問題に対して中道左派、つまり「ない方がよいけど、あっても気にならない」というスタンスだ。
だが今日は違うぞ、この野郎!テレビ!厳密にはテレビで流れてた「踊る!さんま御殿‼︎」だ!さらに厳密に言えば「『さんま御殿』に出てた泉ピン子」だ!

肌に浮かび上がる汗、叫ぶピン子。
玉になり流れる汗、喚くピン子。
足元に落ちる汗、罵るピン子。

泉のヤロー!うるさいんだよ!

奇しくも「えなりかずき、泉ピン子と共演拒否」とのニュースを目にした。わかる、わかるぞえなり。今度一緒にサウナ行こうぜ。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.09.13

1回目の訪問

小樽→新潟航路で利用。
語弊があるかもしれないが、思っていたよりもよい。コンパクトで薄暗い室内。テレビはなく、聞こえるのは船のエンジン音と風の音だけ。

水風呂はないので、サウナ室を出てすぐ左手にあるシャワーを浴びるか、思い切って日本海に身を投げるしかない。迷ったが前者をチョイス。僅かだが揺れがあるので、多少バランスを取ることが求められる。ゲーム感覚で乗り越えるのがよいだろう(フレンドパークのソバ出前のやつ的な感じ)
椅子はないが、露天風呂スペースで強烈な海上の風を浴びながら空を見上げれば、陸に残してきた仕事やら家族やらはどうでもよくなる。

数時間後にハードな船酔いを味わうとも知らずに満喫しました。

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水風呂のボーイズ・ライフ

2019.09.07

1回目の訪問

ウェルビー栄

[ 愛知県 ]

上司の「名古屋出張入るけど行ける?」という問いに満面の笑みで「はい!」と手を挙げてから数か月、この日をどれだけ待っていたことか。上司は文言を端折るタイプの人間なので、おそらく冒頭の問いは「名古屋出張入るけど(ウェルビーのついでに)行ける?」というのが正確だと思われる。
つまりウェルビー訪問こそがこの出張の本質であり、このレポートを出張復命書とさせていただきたい。

訪問は土曜夜。ちょうど1週間前の「サ道」がここを舞台にしていたこともあり混雑を覚悟していたが、意外と快適な密度。
ロッカーに名古屋のスーパースター・板東英二氏のありがたい御言葉が掲げられていたので、ゆで卵を供えて静かに手を合わせた。

まずはフィンランドサウナ。広い、静か、ほの暗い。ロウリュとヨガもしっかり堪能。
ロウリュは2名体制。焼き魚のごとく身体の前、後をそれぞれ焦がしていただく。遠征先サウナでロウリュを受けると「なんか地味だな…」と思いがちだが、それは日ごろ「1,2、サウナー!」に慣れ親しんでいるこっちの基準のせいだとは思う。ロウリュも女の子も、地味派手両方に魅力があると思っている。

ヨガはインストラクターのお姉さん(以下、ヨガ姉さん)が担当。10分超はやっていたと思うが、入口ドアが開いていたせいもあってか意外としんどさはなし。
途中、サウナパンツ着用という掟を破った全裸老人が侵入し、ヨガ姉さんから「パンツの着用をお願いします」と注意されるも無視(というか聞こえなかったっぽい)して着席&ヨガ開始。むき出しのチャクラ。
「このおじさん、変なんです!」「なんだチミはってか⁉︎」という展開を期待したが、そのまま淡々とヨガは進行。ヨガ姉さんのプロ根性を見た。ルールは守ろう。

そして森のサウナ。これもよい。決して広くはない、というか狭いが、彼方の北欧(上野じゃなくてフィンランド的な意味)に思いを馳せ満喫。セルフロウリュバージンも喪失し、立派な大人の男にしていただきました。ありがとうございます。
そして噂に名高いアウスサウナへ。「水風呂は19℃が至高」という下級サウナ戦士の私にとっては自殺行為に思えたが、「旅の恥は掻き捨て」「栄で凍死は男の本懐」といった諺にならい覚悟を決め入場。どういうわけかすんなり入れた。道産子魂のなせる業だろうか。あるいは究極環境下で身体がバグったか。

帰りにはオリジナルタオルを購入。ありがとう、ウェルビー。

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