DIYで愉しむサウナビルドとその魅力
サウナイキタイ アドベントカレンダー 22日目の記事です。
サウナ-のみなさん、「こんなサウナあったら面白いのにな~」なんて妄想したことはありませんか?
超断熱の激熱ストロングサウナ、心安らぐメディテーションサウナ、背の高い二階建てサウナに、はたまた前衛的でアートなサウナ……そんな自分だけのこだわりを詰め込んだ夢のプライベートサウナ、実は自分で作ることができるんです。
はじめまして、sauna_builderと申します。普段はDIY雑誌『ドゥーパ!』を編集しているマガジンエディターですが、好きが高じて今年5月にサウナ小屋をセルフビルド。その勢いで、9月にはDIYで作るサウナに特化した『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』というムックまで作ってしまいました(仕事のモットーは公私混同です)。
今日の記事では、そんな僕が「DIYで作るサウナの魅力」をお伝えしたいと思います。
サウナを建てることは「自由」だ!
DIYでサウナを作る最大の魅力、それは自分で設計できること。大きさも自由、サ室のレイアウトも自由、熱源であるストーブも、構造材や建具も好きなものを調達してくればいい。テーマやコンセプトに合わせた、世界でひとつだけのサウナを手に入れることができます。ちなみに僕が仲間と作ったサウナはこんな感じ。
大きさは約2.7m×1.8m。定員は最大6名。内部には高さの違うベンチを2段設置し、上段はL字に配置してベッドも兼用。
熱源は2万円もしない安価な時計型薪ストーブです。温度はストーブ点火から1時間で80℃、そのまま焚き続ければ120℃まで上がります。小屋が適度に狭く、ベンチの高さが高く、天井が傾斜しているので、ロウリュのレスポンスがものすごく速い(笑)。
本場フィンランドのサウナをイメージして、採光用の窓は小さくして、暗いサ室で落ち着きの時間を過ごせるように製作しました。
特筆すべきはそのコストです。
このサウナ小屋は9割の材料をホームセンター、残り1割をウェブショップで調達しましたが、その材料費はなんと約36万円!(2021年5月時点の価格)
ちなみに一般的なテントサウナが約20万円、フィンランドから輸入するサウナログキットが約120万円前後。
36万円で自分の好みを詰め込んだマイサウナが手に入るとなったら、ちょっと作ってみたくなりませんか!?
もちろんサウナビルドには「サウナ小屋を建てられる場所を探す」というハードルがあるので、都市部ではなかなか難しいかもしれませんが、別荘地のような場所だけでなく、自宅の庭に作っている人もたくさんいます。
サウナをビルドしながら、コミュニティもビルドする
「え、小屋なんか自分で作れないでしょ?」と思う方がいらっしゃると思いますが、大丈夫。
建築工法や道具のことを語り出すと長くなるのでここでは割愛しますが、でかいプラモデルだと思ってください。一個一個のパーツがでかくなっただけで、やってることはアレと一緒です。
とはいえ、ひとりで建てるのはやっぱり大変。そこで仲間を集める。実はこれがサウナビルドの魅力のひとつなんです。
サウナ好き同士、気の合う友人が集まって一緒に小屋を作る。その場には自然と役割が生まれ、一体感が生まれる。年齢や性別、職業などのしがらみを超え、精神的に繋がれる。このたくさんの人がチームとなって、ひとつの大きいものを作る過程で、小さなコミュニティが生まれる。つまりサウナをビルドしながら、同時にコミュニティをビルドしてるんですよね。
そうしてできあがったサウナを楽しむために、今度は定期的に仲間が集まる。そこで新たな出会いが生まれる。これが本当に尊い。サウナを作っていたら、いつの間にか最高の仲間が集まっていた。家族でもない、会社でもない、サードプレイスが生まれる。サウナビルドはそんな可能性も秘めています。
ルールに縛られず、より自由に遊べる
念願のサウナ小屋ができたら、思う存分に楽しんでください。公共の施設じゃできないことをいくらでも試せるのがマイサウナの最大の魅力です。Play At Own Your Riskの精神で、知的好奇心を解放させちゃいましょう。
DIYで作るサウナシーンは、今がまさに黎明期。新しいカルチャーが生まれる直前のマグマのような熱気が渦巻いていて、それが本当に面白い。
というのも、これまではサウナビルドの教科書もなければ、周りに作っている人もいない状態。みな手探りで自分の理想のサウナを作り、楽しもうと四苦八苦しているから、アプローチが千差万別なんですよね。みんながみんな、オリジナル。
前述のムック『Sauna Builder』の取材で印象深かったのが、沖縄在住、武安弘毅さんのサウナ小屋でした。
温浴の直前に庭に自生している月桃をカットし、サ室内でボタニカルな香りを楽しんだり、ロウリュやアウフグースには沖縄民具を活用したりと、単なるサウナ小屋から「ここでしか味わえないサウナ体験」に昇華させていました。
まさにローカリズム×サウナ。武安さんのサウナ小屋での体験は「なにもフィンランドスタイルだけが正解じゃないんだ」と目からウロコが落ちた瞬間でした。ちなみに水槽用クーラーを使った彼の手作りチラーアイデアも必見です。
なお最後のセットはサ室を可能な限りガンガンに温めて、激アツの中キンキンに冷えた水を体にぶっかけまくるという、絶対に公共施設ではできないであろう荒業を披露され、沖縄の青い空のもと見事に昇天させられたのでした……。
一方、浜松在住の弘中隆士さんのサウナ小屋のテーマは「瞑想」。サ室内は黒と深緑にカラーリングされ、間接照明がほんのり薪ストーブを照らす、サウナ小屋界のアンビエント・ニューエイジ系です。
弘中さんは、市販のポータブルバスタブのまわりに木材でカバーを作り、特製の水風呂を製作。そこに業務用冷蔵庫で凍らせたバケツサイズの氷をこれでもかと突っ込むことで、7月下旬にも関わらず5度の水風呂を3時間キープ。真夏の激熱サウナから5度の水風呂にダイブして、半裸のままサ飯は浜松餃子をがっつくという至福の時間を堪能しました。これも自宅の庭に作ったサウナだからこそ実現できるアドバンテージですね。徒歩0分の天国がここに……。
他にもクラフトジンでロウリュしたり、サウナストーブで鰻の蒲焼を焼いているツワモノもいました。僕はといえば、ホームセンターの庭石コーナーで5種類の火成岩を計200kg買い込み、それをハンマーとタガネで叩き割って「イシマシマシ」にした二郎系サウナストーンでロウリュを楽しんでいます。
もしあなたがサウナ小屋を作ったら、どんな風に楽しみますか?
もっと広まれ、サウナビルドカルチャー!
というわけで、足早になってしまいましたが、DIYで愉しむサウナ小屋作りの魅力をお伝えしてきました。
施設サウナ、テントサウナに続く、第3のサウナの楽しみ方として、今後手作りサウナが世の中に広まっていくのを楽しみにしています。
そうそう、サウナ小屋を作ると面白いのは、施設サウナの見方も変わること。
そのサウナの材料やレイアウト、構造、雰囲気をつぶさに観察していると、オーナーの顔が見えると同時にリスペクトの念も生まれます。
サウナに良いも悪いもない。すべてのサウナに個性があり、それをいかに楽しめるか、というスタンスをサウナビルドが教えてくれました。
まだDIYサウナビルドのシーンは始まったばかり。
今後見たことのないようなデザインのサウナや、「その手があったか!」と唸る構造とアイデア、そして遊び方を備えたサウナが続々生まれてくるのは間違いないです。
そんなまだ見ぬDIYサウナと出会える日を、ワクワクしながら待っています。
“First build the sauna, then the house”
このインディペンデントでクリエイティブな新しいサウナカルチャーを一緒に創っていきましょう。
PS YouTubeでもサウナ小屋動画を配信しています。ぜひご覧ください!
ムックも買ったので小屋建てるの真面目に検討中・・・・
本買いました!
ムック買いました。庭に作りたいが、向かいの親父さんが偏屈である。文句言うだろうなあ~
最高です!!
いやホントにレベル高いですね。
作ってみたくなりました
非常に興味深い記事でした。ありがとうございます。
大変興味深い記事ありがとうございます。
すてきなまとめ、ありがとうございます。いつか僕もマイサウナ作りたいです。
大変参考になる記事でした。いつかDIYサウナを作ってみたいと思います。
建てたくなりました笑