サウナとヨガと瞑想のこと

サウナイキタイ アドベントカレンダー 18日目の記事です。

はじめまして。
都内在住で平日デスクワーク、週末ときどきヨガ講師をしている恵理です。
サウナ歴半年のビギナーにも関わらず、このような機会をいただきありがトントゥです。

ヨガに救われた私

サウナじゃなくてヨガの話を始めてしまいますが、ちょっとだけお付き合いくださいませ…！

数年前に初めてヨガを体験した頃、私はストレスをたくさん感じていて、心があまり元気ではありませんでした。感情の浮き沈みも激しかったと思いますし、愚痴や文句も多かったんじゃないでしょうか。

Mr.Childrenは『ひびき』で「幸せなんか そこら中いっぱい落ちてるから　欲張らずに拾っていこう」と歌っていて、とても好きな歌だけど、そうは言っても綺麗事じゃないの…と思っていました。

一般的なヨガのクラスでは、60分ほど体を動かしたあとに、最後の5〜10分で「シャバーサナ（しかばね・死体のポーズ）」をするのが定番です。

シャバーサナとはマットの上で仰向けになって全身脱力し、動かないポーズ。眠っているか起きているかの間、まどろんでいるような感覚でリラックスしているうちに、幸せで涙が流れてくることがありました。

肉体を離れてフワフワと、幸福な存在そのものになったような、自分という存在がとても大きくなったような、不思議な感覚が訪れることも。

ヨガのあとは、気持ちも穏やかに優しくなって、スッキリと良いエネルギーで身体中が満たされます。
日常生活で何があっても、ヨガをすればまたこの状態に戻って来られるから大丈夫。そう思う事ができるようになりました。

それを繰り返していくうちにメンタルも強くなり…「そこら中いっぱい落ちてる幸せ」が見えるようになったのです！

サウナへのいざない

話は半年前、今年の初夏の頃に飛びます。

コロナ禍でのステイホーム中、『孤独のグルメ』『昼のセント酒』を見まくっていた（そういう趣味です）私のAmazonプライムビデオの、「あなたが興味のありそうなTV番組」の欄にずっと出続けていたのが、ドラマ『サ道』。

サウナがブームになっているようなのはなんとなく知っていたのですが、過去に体験したそれは熱くて辛くて無理…だったので、せっかくのオススメだけどずっと無視していました（ごめんなさい）。

でもその時は時間が有り余っていて、見たい番組もあらかた見終わってしまっていたので、なんとな〜くで見始めてみると、1話でイケメン蒸し男くんが言いました。

「世界中の人がサウナに入ってととのえば、優しい気持ちになって、戦争なんてなくなるかもしれない」と。

もう、私は椅子から転げ落ちそうになりました！（笑）
だって、ヨギーニ（ヨガをする女性）も決まって同じことを言うんです。『世界中の人がヨガをしたら〜』と。

それで引き込まれてイッキ見し、サウナーが求める「ととのう」は、ヨガと同じ多幸感なのかもしれない…と感じました。

その仮説を確かめたいけれど、ヨガとサウナを両方嗜んでいる知人はすぐに思い当たらず、「こうなったら自分で体験してみるしかない」と決意したのです。

いざサウナの世界へ

この時期、先が見えない不安で未知の種類のストレスを感じていましたし、日々の楽しみや新鮮な体験も不足していました。そんな状態も後押しとなって好奇心が高まり、まずはサウナイキタイでサ活を読み漁りました（先人に感謝です…！）

銭湯で熱いお風呂と水風呂の交代浴をするのは以前から好きで、水風呂に対する抵抗感が少なかったのもラッキーだったかもしれません。
ウォーキングも兼ね、家から1時間ほど歩いたところにある銭湯サウナに、仮説検証の場を定めました。

常連さんが怖かったら嫌だなとか、お作法間違えたらどうしよう…などとドキドキしつつ、いやでも『サ道』とサウナイキタイで予習はばっちりなはず…！と、なんだか進研ゼミの漫画の主人公みたいな気持ちでのれんをくぐります。

いままで見向きもしなかったサウナ室のドア。何のためにあるのか疑問だった椅子。銭湯を見る目が変わっていました。

久しぶりに入ったサウナはやっぱり熱くて忍耐の修行のようで、5分で限界だったけれど、それまでは知らなかった「その先」へ。冷えすぎてない優しい水風呂に浸かり、月が見える露天風呂のととのい椅子に座り、初夏の夜風と虫の声を感じると、はぁ…ストレスが夜空にとけてゆく…。

「ととのった〜」（キラキラキラー☆） とまではいきませんでしたが、やっぱりヨガで感じる多幸感ととても良く似ていたのです。これ、進研ゼミでやったやつだ！

2セット目はもっと長い時間入れるようになったのも面白かったりして、その日からあちこちのサウナに出かけるようになりました。

ヨガとサウナの似ているところ

突然ですが、ヨガの本来の目的ってなんだかご存知ですか？
体を柔らかくすることではないんです。ダイエットでもありません（おまけでついてくるかもしれませんが）。

すごく簡単に言うと、「こころの平穏」です。心と体のバランスをちょうどよく調えるために、ポーズや瞑想の練習をします。
勝手に湧いてくる感情や止まらない思考を我慢するのではなく、暴れる馬車の手綱をひくように、自分が主となってコントロールする練習です。

身体を緊張させてから弛緩させる反動で、深いところから解放感やリラックスが起きるのです。
サウナ・水風呂・外気浴と似ていますよね。

料理でもゲームでも、何か好きなことに集中すると時間があっという間に過ぎて、頭もすっきりしませんか。脳が余計なことを考えず、「今ここ」に没入できていると、人間は幸福なんですね。いわゆる「マインドフルネス」です。

実際、ヨガは「動く瞑想」と表現されることもあります。いきなり心という見えないものを調えるのはちょっと難しいから、まずは実体のある身体から調えようという考え方です。
サウナも身体を熱したり冷やしたりすることで、心も癒されますよね。

「アロマ」や「屋外」でさらに格別！なところも似ています。
アロマヨガは、香りの効果でよりリラックスできたり、より神聖な気持ちになれたり、効果をプラスしてくれます。サウナでもアロマ水やヴィヒタのロウリュの香り、たまらないですよね。

ビーチヨガ、パークヨガなどの屋外ヨガも、太陽の眩しさや砂や芝生の感触を感じたり、景色の美しさに感動したりと、とっても気持ちがいいものです。時には石が落ちていて痛かったり、風が強すぎたり、悪条件にも出会いますが、まるっと受け入れてその場その場を楽しむ精神も養われます。

フィンランドでは水風呂ではなく湖に入るように、サウナも自然と一体化できるといっそう気持ちいいですよね。
都会で湖はなかなか難しいですが、施設の外気浴で風を感じるのも、時には雨が降ったりするのも、体験してみると想像以上に良かったです。来年はぜひ、湖畔や川辺のサウナを体験したいと思っています…！

ヨガとサウナの違うところ

初心者ながらサウナの経験を積み重ねていくと、ヨガとの共通点を感じると同時に、違いや使い分け方も少しずつ分かるようになってきます。

例えるなら「サウナが映画、ヨガが読書」「サウナが味噌ラーメン、ヨガが湯豆腐」でしょうか（個人の偏った意見ですのであしからず。全部私が好きなものです）。

どういう事かというと、たとえばサウナは比較的刺激が強く、受け身で楽しむものと感じています。
強烈な熱さと冷たさの刺激を身体に与え、全身が心臓になったような鼓動を感じる。
サウナ室には座って、水風呂には浸かって、整い椅子には座って、じっと待つ。
「ととのう」という表現にも、「そうなる」というニュアンスがある気がします。
また、私の初体験はコロナ禍だったので会話は控えるムードでしたが、本来は仲間とおしゃべりしながら楽しむことができるものでもありますよね。

対するヨガは、もう少しやわらかい刺激で、自ら動いて能動的に「ととのえる」もののように感じます。
筋トレの要素もありますし、体型にも変化があらわれますが、サウナほど思いっきり汗をかいたり心拍数が上がったりはしません。
また、仲間との一体感を感じられる良さもありつつ、メインは自分自身との向き合いです。

違いはあれど、私にとってはどちらも素晴らしく、楽しく、奥深いものです。
好きなものが増えると、楽しい反面、大忙しになって大変です（笑）

よりととのうためのポイント３つ

ここからは、ヨガ講師の目線でサウナーの皆さまにも役立ちそうなことをシェアしたいと思います。
瞑想の基本的なテクニックでもあります（サウナにも、メディテーション＝瞑想の名前がついたり、意識される事が多いですよね）

1人で自分自身と向き合いたいとき、ストレスを消し去って明るい優しい気持ちになりたいときに、特におすすめです。
（仲間とワイワイ楽しみたいときは、細かいことは横において楽しむのが一番だと思います）

では、姿勢、呼吸、思考の３つのポイントでご紹介します。
何かひとつでも頭の隅っこにメモして、サウナでお試しいただけたら嬉しいです。

① 姿勢のポイント：骨盤を立て、下半身は安定、上半身は軽やかに

猫背や反り腰ではなく、骨盤を立て、背筋を伸ばして座ることで、より肺が広がりやすく呼吸が効率よくできます。

席が広ければあぐら座がおすすめ。接地面積が大きいので下半身が安定します。混み合っている時や関節が痛い場合は、脚をおろして座ってももちろんOK。

どちらの場合でも、足やお尻に根っこが生え、大仏さまのようにどっしりと落ち着いて、暑い日も台風の日も微動だにしない、そんな安定感をイメージしてみましょう。

下半身が安定したら、頭のてっぺんから釣られているイメージ、ちょっと背が高くなった気持ちで、背骨をすっと伸ばします。

肩や首はリラックスします。手は、力が抜けるように手のひらを天井に向けて、太腿や膝の上の楽なところにおくと良いでしょう。

『サ道』の蒸しZさんの堂々とした座り方を思い出してみてくださいね。

身体がカチコチだなと感じるときは、両手をバンザイして体のわきを伸ばすなど軽くストレッチをしても気持ちいいですよ。

② 呼吸のポイント：鼻呼吸で、吐く息を長く

サウナに限らずのお話ですが、人間は鼻呼吸が基本で、口は予備なんです。
マスク生活で口呼吸になってしまう人が多いそうですが、口臭や風邪の原因にもなりますのでご注意を！

サウナでも鼻呼吸をすることで鼻毛がフィルターとなり、熱い空気がダイレクトに体内に入ってくるのを和らげてくれます。なるべく鼻から吸って鼻から吐く。どうしても苦しい時は、口から吐くのはOK。

「深呼吸して落ち着きましょう」というと、両手を広げて吸う動作をしがちですが、実は吐くことのほうが大事なのです。
ちゃんと吐ききる事ができれば、お腹の力を抜くだけで自然に空気は入ってきますので、頑張って吸わなくても大丈夫。

サウナ室は血管が広がり、副交感神経が優位＝リラックスしやすい状態。
吐く息を長くするとよりリラックスできますから、お腹を凹ませて丁寧に吐ききりましょう。

文字で表現するのは難しいのですが、こんな感じです。
(吐)ふーーーー(吸)すーっ (吐)ふーーーー(吸)すーっ

心の中で数を数えるのもいいです。
(吐)いーち、にー、さーん(吸)しっ (吐)いーち、にー、さーん(吸)しっ

もちろん日常生活でも、緊張する時や寝る前などリラックスしたい時に、ぜひお試しください。

③ 思考のポイント：何も考えない…なんて考えない

瞑想は、「何も考えないように頑張る」ことではありません。
いま感じていることや、身体の様子を、別の自分が優しく見守るように、観察するんです。

不安でなければ目を閉じましょう。途中で雑念が浮かんできても大丈夫。
考えちゃだめ！と思うほど考えてしまうものですので、無駄な抵抗はやめてください（笑）
「考えてるな」という事に気づいたら、カーナビで道を外れてしまった時のように、ただ自分の観察に戻ります。何度でも。

五感を研ぎ澄まして、いま感じていることを味わいましょう。

サウナ室での呼吸、鼓動の速さ、汗が皮膚を伝う感覚、香り、周りの空気の熱の動き、熱い石の音、サウナマットやタオルの感触…

水のまろやかさ、水圧、風、日差し、音、香り、手足がピリピリしたり、ふわふわしたりする感覚…（ああ、サウナイキタイ！）

休憩時には、ヨガの「シャバーサナ（しかばね・死体のポーズ）」と同じく、完全に全身を脱力したいところ。
ここでは猫背になったって大丈夫、楽な姿勢でじっとしていれば、最高のリラックスが味わえるはず！

ヨギーニがサウナーになって

ヨガは相変わらずのライフワークですが、サウナという新たな楽しみを得て、毎日がよりいっそう充実しました。

仕事柄、都内のあちこちに行く機会がありますが、すきあらば帰りにサウナ！とチャンスを狙っています。
マスク生活は辛いけれど、お風呂上がりのすっぴんでも電車に乗りやすくなったのは良かったかも。
辛い辛いと思い続けるより、何か良いほうに考えたいものです。

サウナは楽しみでもあり、辛いことからの駆け込み寺でもありますよね。
心と身体をケアする方法は、知っていればいるほど生きやすい世の中です。

ヨガもサウナも愛する人がどんどん増えるといいなと思います。
方法はなんでもいいから、幸せに自分らしい人生を過ごせる人が増えるといいなと。

ドラマ『サ道』8話（サウナラボの回）で、偶然さんのセリフにまたもや椅子から転げ落ちました。
「ヨガも元々はおじいさんのものです。それがおしゃれ化して、日本の女性もやるようになった。おしゃれ化はメジャー化のサイン」
…まさかヨガの話をするなんて！

どうしたらもっと日本のメンズにヨガが広がるんだろうというのは、私の悩みでもあります（偶然さんはそこまでは教えてくれませんでした笑）

もしもこれを読んでヨガや瞑想にも興味を持ってくださった人がいたら、勇気を出して体験してみてください。ヨガを開催しているサウナ施設もあるほど相性よしなんです！

私の生徒さんでもヨガの後に銭湯やサウナに行かれる方は多いですし、私自身もサウナや銭湯でヨガをお伝えできるようになるのが目標のひとつです。

ヨガでは、まずは自分自身を大事にし、感謝をします。

サウナを楽しめる健康な体があること、あの日恐る恐るサウナにチャレンジしてみた自分にもありがとう♡の気持ちを忘れずに。

これからもヨガとサウナで心身をととのえて、機嫌よく楽しく日々を過ごしていきたいと思います。

拙い文章を読んでいただきありがとうございました！