日本で独自進化を遂げた「業務熱波」とは?|熱波をお届け!#2
熱波師のじゃがさんによる、熱波をもっと楽しむ方法を提案していく連載です。
サウナーのみなさん、こんにちは。熱波師のじゃがです。もう熱波しましたか?
前回の記事では、急速に拡がりをみせる日本の熱波を5つのカテゴリに落としこんでざっくりと説明してみました。そんな熱波を放つ熱波師を、日本では「アウフギーサー」とも呼んでいます。ただ、これはドイツ語のアウフグース+英語のerという和製英語。サウナブームの到来と海外アウフグース競技の本格上陸により、「アウフグースマスター」という本来の呼び名も広まりつつありますね。
そんなトレンドと対極にあるのが、現在のサウナブーム前から日本人を温め続けてきた業務熱波だと思っています。業務熱波をする熱波師にアウフギーサー/アウフグースマスターという言葉は個人的にしっくりこないので、あえて「熱波師」と呼び、今回は業務熱波について掘り下げていきます。
業務熱波の歴史
日本初の熱波はどこで放たれたのか…その答えは大阪・ニュージャパン スパプラザ(現在は閉店)だそうです。1990年代、ドイツでアウフグースを体験した社員さんが見様見真似でバスタオルでお客さんに風を送り始め、日本中のサウナ施設に「ロウリュサービス」が広まりました。
見様見真似のドイツ式アウフグースが伝播していく30年ほどの過程で、日本独自の発展を遂げたものもあります。例えば熱波用に開発された巨大うちわ。扇がれた時の風の強烈さはもちろん見た目の迫力がすごい。どんな発想と経緯で爆誕したのか聞いてみたいので、熱波うちわの発明者さんをご存知の方いたら教えてください!
業務熱波の型
これまで北は北海道から南は沖縄、有名施設から知る人ぞ知る施設まで、色々なサウナ施設で熱波を受けてきましたが、施設によって細部のオリジナリティはありつつも、不思議と熱波の手順は「型」があるように同じです。
毎日毎時決まった時間に始まり、施設に勤めるスタッフ熱波師が決まった流れでお客さんに気持ち良い風を送り届ける。日本中のサウナ施設でサウナブームの前から送られ続けるこの熱波を「業務熱波」と定義し、その「型」をご紹介していきます。
口上
熱波を始める前に、熱波師が来館御礼や熱波を受けるにあたっての注意事項を挨拶がてら話します。「水分補給しっかり」「無理禁物」「水風呂に入る前は必ずかけ水」等々、口上の内容は日本全国どこでも大体同じなのですが、その施設や熱波師特有のオリジナル口上を発見するのも一つの楽しみです。熟練した熱波師の口上は流れるように安定していて、説法のような安心感すらあります。
ロウリュ
サウナストーンに水をかけて発生させる蒸気や、その蒸気を発生させるために水をかける行為をロウリュといいます。
一見ただ水をかけているだけに見えますが、かける水の量は同じでも注水の速度・間隔・位置・等々の変数により、発生する蒸気の質が変わる奥深さがあります。熟練した熱波師はサウナストーブの癖やお客さんの入り具合から最適解を導きだし、絶妙なロウリュを繰り出しているわけです。
撹拌
ロウリュにより発生した蒸気はサウナ室の上部に溜まるので、タオル等を使ってサウナ室に空気の流れを作り出し、空間に蒸気を満遍なく行き渡らせます。
サウナ室の構造を知り尽くした熟練した熱波師は、蒸気が見えているかのように蒸気を均一にまわします。この時点で極上に気持ちいいサウナ空間が完成していますが、メインディッシュはこれからです。
個別熱波
お待ちかねのやつです。熱波師がお客さん一人一人にタオル等を使って風を届けます。希望の強さや回数を聞いてくれるところもあるので、遠慮なくリクエストしましょう。熱波師が自分だけに送ってくれる風というのは贅沢でありながら単純に心地よく、気持ちよく汗をかいてしまいます。
熟練した熱波師は体調や限界具合を見抜く特殊能力を会得しているので、お客さんを見ながら適切な風を送っています。まだ余裕がありそうな人には嵐のような突風を、限界が近い人にはポメラニアンの群れが通り過ぎたかのような優しい風を届けてくれるでしょう。
この【ロウリュ→撹拌→個別熱波】の流れを何回か繰り返し、最後の挨拶でシメて業務熱波は終了です。ほかにも呼び込み・換気・お見送り・サウナマット交換などなど、愛でたいポイントは尽きませんが、字数の都合から割愛します。
業務熱波の魅力
サウナブームとともにサービスとしての地位を確立した熱波も、伝播する過程では「余計なことをするな」と煙たがられる時代もあったそうです。
業務熱波は「ハマる人にだけハマる」という博打的なサービスではなく、その土地柄・そのサウナ施設に集まる客層を踏まえて、確実に満足してもらうための熱波である必要がありました。そんな「確実性」が業務熱波の魅力のひとつではないでしょうか。
熱波を初めて受けるのは、サウナに初めて行く以上にハードルが高いかもしれません。一歩踏み出せずにいる人こそ、お近くのサウナ施設で業務熱波を受けてみてほしいです。また旅先で熱波を受けて、地元の人になった気分を味わってみるのもサウナの楽しみが拡がるでしょう。
サウナイキタイなら「特徴から探す」のなかに「ロウリュ」の項目がありますので、都道府県で絞り込んで、お近くの熱波をやっているサウナ施設を調べてみてくださいね。
アウフグース(ロウリュサービス)を検索する🔍
https://sauna-ikitai.com/search?conditions%5B%5D=loyly_service%23has_loyly
取材協力:ニュージャパン 梅田店
記事サムネイルの写真もご提供いただきました。ありがとうございました!
素晴らしい情報ありがとうございます🙏
勉強になりました。気持ちいい業務熱波をおくれるよう練習します♪
この画像をみた瞬間におお!っと心の中で叫びました。ニュージャパンスパプラザ!私がもっとも愛したサウナでした。あのローリューは忘れられないし、皆レベルが高くローリューがまだ知れ渡ってなく、サウナも今のような認知のされてない時代から私の中では絶対王者サウナでした。今あったら甲子園のような伝説化されたサウナ施設として全国のサウナーの憧れになっていたでしょう。汗が垂直に噴き出るアウフグース本当に今でもハッキリ身体で覚えてます。思い出させていただきありがとうございます😊