熱波師のカバンの中身|熱波をお届け!#8

熱波師のカバンの中身|熱波をお届け!#8

熱波師のじゃがさんによる、熱波をもっと楽しむ方法を提案していく連載です。

みなさんこんにちは、熱波師のじゃがです。今年も熱波してますか?

前回は、熱波師になってみたい人に向けて、「熱波師になる方法」を紹介してみました。今回はさらにニッチですが、これから熱波師を始める人が「どんな道具から揃えたら良いのか?」を、私が熱波の際に持参している道具をご紹介しながら、どのように選んでいるのかお話ししてみたいと思います。

自分で揃える必要があるもの

熱波で使う道具には、熱波師が自身で用意するものと、施設側が貸し出してくれるものがあります。要は消耗品と備品です。私の経験から、ざっくりいうとこんな感じでしょうか。

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初めて伺う施設では、どんな備品が借りられるのかを事前に確認しておくと安心です。熱波の内容によっては、バケツが複数必要になることもあります。また、施設が貸し出してくれるラドルが予想以上に大きい/小さい場合もあるので、心配な場合は自分で持参するのがおすすめです。

それでは次に、熱波師が用意する必要がある道具をご紹介しましょう。

熱波用タオル

まず最初にお伝えしておきますが、これは「沼」です。一度こだわり始めるとキリがない世界。ここでは、大きな切り口として「形」「大きさ」「生地」の3つに絞ってお話しします。

・形
正方形ではなく長方形のものを選びましょう。お客さんを1対1で扇ぐ場合、横幅が広い方が送風面積が広がり、風量が高まるためです。

正方形が絶対ダメというわけではありませんが、タオルの末端まで力を伝えるのが難しく、送風するのに技術が必要です。特に、タオル回しのような片手技を行う際には、タオルに遠心力をつける必要があるので、初心者ならなおのこと長方形がオススメです。

・大きさ
アウフグースの世界大会では、使用するタオルの規格が100×150㎝とされており、これが「世界基準」と言われています。ただ、これはアウフグースの本場であるヨーロッパの広いサウナ室を前提としたサイズです。

日本のコンパクトなサウナ室では、これを振ると窮屈なこともあるので、初めてなら一回り小さい70×90cm程度のタオルを選ぶのが良いでしょう。

・生地
重さや柔らかさといった質感がポイントです。タオルが重いほど強い風を送れますが、その分振るためにはパワーが必要です。また、柔らかい生地はタオルにしなやかな動きを出せる一方で、硬い生地は形状が安定するため、回転を綺麗に見せやすいように思います。

最終的には、自分が何ができてどのような熱波をしたいかを基準に選ぶと良いでしょう。身近に熱波師がいるなら、使っているタオルを触らせてもらったり、タオルへのこだわりを聞いてみてください。

202501182愛用している熱波用タオル。グリップ部分が作られており、持ちやすよう工夫されています。

最後にどこで買い揃えるのか。これは市販のアウフグース用タオルを購入するか、自作するかの二択です。

市販のアウフグース用タオルは「Towell」「Magic Towel」「Primal Blue」が現時点の主流でしょうか。いずれも通販で購入できます。

自作する場合は、一般的なバスタオルは半分に折ると正方形になるように作られていますので、大判バスタオルを2枚用意し、必要なサイズを切り出して端を縫い合わせれば完成です。世界基準より一回り小さいサイズは市販・自作ともに70×90㎝前後が主流のようで、このサイズのアウフグース用タオルも出回っています。

ロウリュ用アロマ

これまた沼です。しかもタオルどころではない深淵の可能性があります。ここでは取り急ぎ熱波に必要な切り口として、「種類」「容量」「体系」の3つについてお話します。料理でいう調味料のようなものだと捉えるとわかりやすいかもしれません。

・種類
サウナ用芳香液か、エッセンシャルオイル(精油)を使うのが主流です。サウナ用芳香液は大体が水溶性なので初心者にも扱いやすく、合わせ調味料のようにあらかじめブレンドしてあるので便利です。「rento」「Osmia」「Kemitron」などが手に入りやすいでしょう。

一方で、エッセンシャルオイルはロウリュしても思ったように香らなかったり石や容器に付着して焦がしてしまったりと使い方が難しいのですが、ブレンドにより自分の意図した香りを作り出せます。量販店や通販サイトで市販されているもので十分です。3セット分を用意するなら、香りに緩急の変化をつけて選ぶといいかと思います。

・容量
量が多いほうがお得なのですが、サウナ施設のスタッフでもない限り使いきれないかもしれません。意外と忘れがちですが、開封と同時に劣化が始まるので、はじめは少量で種類を揃えるのがいいでしょう。

202501183アロマのブレンディングホイール。https://www.aromen-wellness.com/より引用。

・体系
3セット扇ぐとしたらアロマを変える場合もあるでしょう。アロマを複数揃える時にどう選ぶか。ここでは「ノート」と「系統」に注目します。

「ノート」はアロマの揮発のスピードのこと。トップノートはすぐ香りますが短時間で消え、ベースノートは香り立ちが遅い代わりに香りが持続します。「系統」は香りの分類です。チャートが存在し、柑橘系はハーブ系やスパイス系との相性が良いなど、組み合わせの相性があります。

202501181「rento」「Osmia」「Kemitron」「Osmia」のサウナ用アロマ。部屋に並べるだけでも楽しい。

その他

それ以外は、タオルやアロマほどの沼要素はありませんのでご安心ください。基本的なアイテムとそのポイントを簡単にご紹介します。

・衣類
汗をかいても問題なく、動きやすい服装を選びましょう。汗がお客さんに飛ばないよう長袖が安心ですが、アームカバーを使用したり、こまめに汗を拭ける場合は半袖でもOKです。1回の熱波で使い回し不能なほど汗だくになるため、一日に複数回熱波する場合は、その回数分の着替えを準備しましょう。

・靴
サウナ室の床は熱いので、裸足だと足を火傷する恐れがあるため靴は必須です。浴室内のサウナで熱波をする場合は、準備や片付けで浴室を動きまわるのでサンダルやマリンシューズのような濡れても問題ないものがいいでしょう。

・スピーカー
音楽を使う場合はスピーカーが必要になります。施設で借りられることもありますが、接続不良やトラブルが発生することも多いので、不確定要素を取り除くために持参するのが安心です。サウナ室で使用するものなので、アウトドア用防水スピーカーなどタフさをウリにしたものがいいでしょう。

・飲料水ボトル
熱波では大量の汗をかきますので、飲料水が必須です。水自体は施設で汲めますが、熱波の直前や直後に水飲み場を長時間占拠するわけにはいきませんので、予めボトルに汲んでおきましょう。私は熱波前後に1リットルずつ水を飲みます。

ここまでお伝えしてきたのはいわゆるアウフグースをする場合の最低限の道具です。ショーアウフグースリチュアルをやる場合は、さらに道具が増えます。熱波師は荷物が多く、サウナ施設に伺うときは基本的にキャリーケース移動です。

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俺の屍を越えてゆけ

私が熱波を始めた2021年頃は、周りの熱波師はみんな手探りで道具を買い揃えていました。「あの道具がいいらしい」と噂を聞けば飛びついて購入し、時に失敗し。買ったはいいけど、全然使わなかった…そんな無駄遣いとなってしまったボツ道具が山ほどあります。

202501184左から、垢すりタオル(アカスリの演目を作るも垢すりタオルで撹拌したら熱で一回でダメになった)、スプレーボトル(お客さんにアロマ水入りボトルを渡して一斉にスプレーして香りをブレンドしようと考えたけど、前衛的すぎてボツ)、かき氷機(キューゲル用に買ったけどブロック氷が削れない)、ほこり取り(フェイクヴィヒタの代用としてお客さんに氷水を飛ばすのに使用。見た目が完全にほこり取りなのでボツ)。実はボツ道具はこの数倍あります。

そんな多くの熱波師たちの試行錯誤を経て、「熱波を行うために必要な道具」がある程度確立されてきたように思います。何事もそうですが、始めるには少なからず道具を揃える必要があるのは、熱波も例外ではありません。市販のアウフグースタオルはそれなりに値段がしますし、アロマも複数揃えれば安くない投資になります。

だからこそ、無駄な選択をしてほしくないという思いがある一方で、道具沼にハマってほしいというのが正直なところ。先程までの熱弁の説得力が欠けそうですが、私は必要以上にアウフグースタオルを持っていますし、アロマも期限内に使いきれないものが山ほどあります。なんならコレクションを並べてうっとりしてる。片足どころか肩まで沼にハマっているんです。

極論を言えば、道具なんてなんでもいい。ただ、折角なら良い熱波を放ってお客さんに喜んでもらいたい。そんなことを考えながら、熱波をする前日の晩に「どのアロマをブレンドしようか」と道具の山に囲まれながら思索に耽る時間もまた、熱波をする楽しさなのです。

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