都市型キャンプ×サウナ×クルマの可能性 WEINS PARK 海老名(神奈川県海老名市)サウナ誕蒸#3
サウナ大好きクリエイティブディレクターの相沢あいさんによるインタビュー連載。サウナを作った方の想いやこだわりなどを深掘りしていきます。
サウナ施設を立ち上げた方へのインタビュー連載「サウナ誕蒸」。今回は海老名ICから車で1分、厚木駅より徒歩10分という好立地にある、カーライフとアウトドア体験型施設「WEINS PARK 海老名」内の「U-BASE CAMP BATH & SAUNA」。
都市型キャンプ場にある、セルフロウリュサウナ・水質の良い水風呂と湯船・外気浴スペース・アーティスティックな壁画を有するオシャレな温浴施設です。
なぜ自動車販売ディーラーであるウエインズトヨタ神奈川がサウナを作ったのか?その誕蒸エピソードをU-BASE 海老名 副店長の石田祐平さんに伺いました。
石田祐平
U-BASE 海老名 副店長メカニックとして横浜トヨペット(現ウエインズトヨタ神奈川)入社後、メカニックスタッフとして従事。その後本社勤務を経て、ウエインズトヨタ神奈川が運営するアウトドア×カスタマイズカーのコンセプト店「U-BASE 相模」の店長として勤務後、新店舗「WEINS PARK U-BASE 海老名」の施設プランニング〜店舗運営責任者として従事。
キャンプ場にキレイなお風呂を作ることで、アクティブなカーライフを後押ししたい
── クルマの販売ディーラーがサウナを作ろう!と思ったきっかけは何だったのでしょうか?
ウエインズトヨタ神奈川は、神奈川県内を商圏としたトヨタ車の販売店を運営している会社です。
WEINS PARK U-BASE 海老名は、弊社の新しいチャレンジとなる【アソビ×アウトドア体験×クルマ】という全く違った業種の相乗効果を狙った総合施設として2023年11月にオープンしました。
新車・中古車の販売・整備だけでなく、アウトドアショップ・キャンプ場・BBQ場・ドッグラン・サウナ・焼肉ほりにし・3×3バスケのコートなど、様々なアクティビティを集結させています。
施設内のキャンプ場 U-BASE CAMPは「まだキャンプを体験したことがない人」に、気軽にアウトドア体験をしてもらい、もっとアクティブなカーライフを応援するために立ち上げました。
アウトドアに消極的な人の多くが、「トイレが汚い」「お風呂やシャワーがない」とおっしゃるので、清潔感があり、子どもにも優しいお風呂施設を作ることで、アウトドアを体験するきっかけ作りになれば…と思ったんです。
── これまでサウナを作ったことはあったのですか?
それが全く新しい試みで…。チーム内にサウナが好きなメンバーはいたのですが、僕らはあくまでカーディーラーですから、温浴施設を作ったことなんてありませんでした。ですから企画立案段階では「そもそも温浴施設が必要なのか?」「もっと別のことに投資したほうが良いのでは…?」という意見もありました。
右も左も分からないところからのスタート。限られた予算・限られた土地でどんな施設が作れるのかもわかりませんでしたし、お客様がどれくらい来るのかも未知数でしたので、水着混浴か、男女を分けるかすらも悩みましたね。
僕らはクルマ販売のプロですが、温浴施設に関しては全くの素人でしたので、温浴施設を複数運営されている方にアドバイザー的に入ってもらいました。
小さくてもこだわりが詰まった温浴施設に
── U-BASE CAMP BATH & SAUNAは、コンパクトながら外気浴や湯船もあって、ほしいものが全て詰まった施設だと思いました。
広さが銭湯サイズだからこそ、全てが10歩以内で完結するレイアウトと開放感にはこだわりました。掃除が大変なのですが、自然光が入る三角屋根と窓で、気持ちの良い空間になったと思います。
サウナと水風呂は、一般的な銭湯よりもかなり大きなサイズです。狭いサウナでギュウギュウ詰めになったり、水風呂待ちがあるとリラックスできないじゃないですか。
なので、最初は湯船と水風呂を全く同じサイズで設計していたのですが、キャンプで宿泊する子どもたちのことを考え、土壇場で湯船を少しだけ広げました。
── 水風呂の水質がとても良いことに感動しました!
企画段階では「お金を掛けても天然温泉にしたい」という意見と「採算が取れないから無理」という意見がぶつかったりもしたんです。温泉を運んでくるというアイデアもあったのですが、オペレーション的に現実的ではありませんでした。
どうにか良質な水を提供できないか探っていくなかで、水素水に行き着いて。リサーチしたところ、水素風呂を持つ施設はあれど水風呂まで水素水のところはなさそうだったので、湯船も水風呂も水素水を導入したんです。
お客様方からは「肌あたりが柔らかい」「ずっと浸かっていたくなる」と好評いただいてます。
── 起源の湯は宇宙を、大地の湯は自然を感じられる壁画で、眺めるだけでもとても楽しめました。
設計士からはゴルフ場のお風呂みたいな無機質なタイル貼りの空間を提案されたんですけど、「もっとシンボリックなものがほしい」「親子でお風呂に入りながら、アートを楽しんでほしい」と、大地の力強さを示す“赤”、地球が生まれた起源のパワーの“青”というコンセプトを決めました。
壁画師として渋谷区の改良湯なども手掛けたアーティストのemi tanajiさんにコンセプトをお伝えして、制作いただいたのがそれぞれの壁画です。大地の湯にある赤富士の部分などは、タイルでモザイクアートを加えています。
起源の湯のサウナの天井には夜空を描いて、LEDを星に見立て、サウナに入りながら夜空を眺めているような雰囲気にしました。どちらの浴室もアートを意識した唯一無二の空間です。
再訪していただきたいので、定期的に男女を入れ替えています。壁画だけでなく、サウナのレイアウトも対面型とL字型で熱の伝わり方が違うので、併せて違いを楽しんでいただきたいですね。
── サウナストーブはかなり大きなものを使っていますよね。
アドバイザーの方が「このストーブを入れたら間違いない。これだけでも充分誇れるサウナになる」と太鼓判を押すストーブなのでハイパワーですよね。
実はオープン当初はセルフロウリュを禁止していたのもあり、超ドライなサウナになってしまって…。そこで湿度を上げるために、サウナストーブの脇に水を張ったボウルを置くようになりました。
その後ストーブの耐久性を確認したうえで、お客様の要望に応えてセルフロウリュも始めたんです。
── サウナイキタイのサ活には、ロウリュ用の水にアロマ水を期待する声が多く寄せられてました。
イベント時にヨモギを入れて香りを楽しんでいただいたりしましたが、今はまだ新しいサウナ特有のヒノキの良い香りを楽しんでもらいたいので、しばらくは水の予定です。
ゆくゆくはアロマ水も検討するかもしれませんが、新車の匂いを感じてもらうのと同じように、新しい素材の匂いを感じてもらいたいですね。
アメニティを充実させることで満足度を上げたかった
── シャワーヘッドやドライヤーがReFaだったり、タオルが使い放題だったりと、アメニティが充実していますよね。
やはりスケールでは専業の温浴施設には勝てないですし、同じ1500円の価格帯なら、スーパー銭湯にだって行けます。なので、入ってくれた人が喜ぶようなホスピタリティは何かを考え、そこを充実させることにしたんです。
ReFaのシャワーヘッドとドライヤーは、「高級でなかなか手が出ないけど、使ってみたかったので嬉しい!」という声が多く寄せられました。
リストバンドを付けておけば、1日に何回でも入れるので、汗をかいた後やキャンプで煙を浴びた後でも入れます。コテージ利用者は無料、キャンプサイトとRVパークの利用者は1000円です。
── サウナ後に無料サービスの干し梅をいただいたのですが、あまりの美味しさに笑ってしまいました。
サウナで汗をかくと塩分がなくなっちゃうじゃないですか。だから「水だけじゃなく塩分補給もできると良いね」と話したときに、サウナ好きのアルバイトさんが「梅干しを提供している施設があった」と教えてくれたんです。複数の干し梅を試してみて、今の甘じょっぱい干し梅を置くことになりました。
── 温浴施設棟の受付を無人にして、パスワード入力で入場させているのはなぜですか。
受付に人を常駐させるほど人的リソースもコストもかけられないし、1日にどれくらいの人が利用するのかも予想ができなかったので、無人にするためのオペレーションを逆算して、今の流れになったんです。
アウトドアショップのレジには必ず人がいるので、そこで会計を済ませていただき、入場用パスワードと利用者の証となるリストバンド、脱衣所にないアメニティをお渡ししています。
最終受付はアウトドアショップが閉店する19時ですが、定期巡回しているのはキャンプ場やBBQを担当しているスタッフなので、お風呂は22時までご利用いただけます。宿泊者だけでなく、BBQや焼肉ほりにしで夕食を食べた後に入っていかれる方も多いですよ。
サウナがビジネスを盛り上げてくれた
── 社内の反響はいかがですか。
海老名店のスタッフだけでなく、他店舗のスタッフも仕事帰りに寄ってくれていますね。勤務地も違えば通勤路も違って全く交流のなかったスタッフたちが、“サウナ”という共通の趣味によって「行って良かったサウナ」の情報交換をしたり、飲みに行くようになったりと、仲良くなってコミュニティが形成されたのは嬉しかったです。
── サウナをきっかけに、施設の目的であるクルマの販売につながったりしたのでしょうか?
たまたまサウナを気に入ったお客様が、コテージに泊まったり、車中泊エリアを使ったりと、宿泊施設としても気に入ってくださって、常連になってくださいました。
少しずつお話をする関係値を結ぶことができて、あるとき「クルマを探している」とご相談いただき、ご成約に結びついた事例があります。
── 都市型キャンプ“街キャン”は、どういった人にお勧めですか?
キャンプのエントリー層から玄人層まで、魅力を感じていただけるはずです。
たとえば、「アウトドアを楽しんでみたいけれど、色々揃えたり準備するのは面倒くさい」というライト層の方なら、清潔感のあるコテージに宿泊して、手ぶらBBQはいかがでしょうか。
またU-BASE CAMP 海老名は犬連れの方にも優しい施設です。ドッグランやドッグカフェもありますし、愛犬と泊まれるコテージもあります。旅行のときに愛犬と一緒に泊まれる宿は数が少ないので、キャンピングカーの購入を検討される方も多いんです。
これは僕らも予想外だったのですが、いまキャンプエリアをレンタルされる多くはコアなキャンパーの方々。新しく買ったギアをすぐに試したかったり、そもそも外にいるのが好きという人たちなんですね。
「少しでも時間があったら行きたい!」というマインドに、「行きたいときに行ける」「帰りたいときにすぐ帰れる」「次の日の仕事を気にしなくていい」という都市型キャンプの利点がマッチしたんです。
“街キャン”という可能性は無限大ですので、サウナ目的でも良いですから、是非一度遊びに来てみてください。
夢のあるお仕事をされてる方を尊敬します! 行ってみたいところが多くて、日々頑張れる! 次も楽しみにしています😊