熱波師になる方法|熱波をお届け!#7
熱波師のじゃがさんによる、熱波をもっと楽しむ方法を提案していく連載です。
みなさんこんにちは。熱波師のじゃがです。また、お会いしましたね。
私はサラリーマンの傍ら熱波師を始めて3年半ほどですが、友人や同僚などなど、色んな方から聞かれる“あるある質問”があります。それは「熱波師ってどうやってなるの?」というものです。
素人だけど熱波を放ちたい
スタッフさんがロウリュだけしてサッと帰っちゃうタイプのロウリュサービスに出会った時、はたまたセルフロウリュ可能なサウナで誰かがロウリュをした時。「誰かが蒸気を撹拌して熱波を送ってくれたらな…いっそ自分でやってみようか…」と思った経験はありませんか。
自宅のお風呂上がりにバスタオルで熱波師の真似をして風を送ってみたり、勢い余って物を吹っ飛ばして家族に白い目でみられちゃったり。熱波を受けるうちに「自分も熱波を送ってみたい」という気持ちを抱いたことがあるサウナーは意外と多いのではないでしょうか。そんな夢を抱く「熱波師の卵」がいる一方、熱波師になる方法はあまり知られていないようです。
素人だけど熱波を放ちたい。ではどうやって熱波師になるのか。そんな0を1にする方法を、いくつかのレベルに分けて話してみたいと思います。
①サウナ施設に勤める
熱波・アウフグースを実施しているサウナ施設のスタッフとなり、業務としてお客さんに熱波を送るという方法です。本気で熱波師になりたいなら、正直これが全てといっても過言ではありません。
この場合の熱波・アウフグースは「業務熱波」です。施設に来店する不特定多数のお客さんが満足し、また訪れてくれるよう熱波を放ちます。そして良い熱波を届けられるよう熱波のテクニックはもとより、施設熱波師のホスピタリティを施設の先輩熱波師から徹底的に学ぶことになります。
ミスマッチが無いようにお伝えしておくと、熱波は温浴施設のさまざまな業務の一部にすぎません。サウナ室では熱波師でも、サウナ室から出れば温浴施設の従業員。どうやったらお客さんが喜んでくれるかを考えつつ、通常業務の傍ら熱波を練習しています。
②熱波師募集に応募する
一部のサウナ施設で行われているアマチュア熱波師イベントで熱波師デビューする方法です。SNSや店内掲示などで募集を見つけたら、まずは応募してみましょう。転職できない方、副業ができない方、とりあえず一回熱波を放ってみたい方はこちらです。
イベントでデビューするとはいえ、サウナ室での一連の立ち振る舞いなどの基本的な流れは自力で学び習得する必要があります。熱波の経験が無いド素人だろうと、お客さんの前に立てば立派な熱波師。一人で熱波を成立させなくてはいけません。途中でどんなに惨めな気持ちになろうとも精一杯やりきるのです。
とはいえ、できなくて当たり前。施設のスタッフさんもイベントが上手くいくよう、そしてトラブルが無いように見守ってくれます。お客さんもデビュー戦とわかっていれば温かい目で見守ってくれるはず。そんな人の温かさに触れながら熱波師としての大切なことに気づいていくのかもしれません。
③熱波関係者の知り合いをつくる
サウナ施設スタッフやフリー熱波師といった熱波関係者の知り合いにお願いして熱波を体験させてもらうという方法です。
例えば熱波師に弟子入りする場合。準備や片付けなどのお手伝いをしながら熱波師の立ち振る舞いを学び、実力が認められたら3セットあるうちの1セットという任せてもらうといったケースがあります。
ただ、この方法はなかなかに険しい道です。イベントに呼ばれた熱波師がゲストとして熱波を行う場合、お客さんもその熱波師を目当てに集まっています。その一部を任されるには生半可な熱波であることは許されませんし、お客さんにも認められるくらいの存在にならないといけません。
④貸切サウナで友人に熱波をする
一番手軽なのが、テントサウナや貸切サウナのような自分たちだけの空間で知り合いに向けて熱波を送る方法です。①〜③のようにお客さん相手ではないので、気楽にできます。
薄々お気づきでしょうが、サウナ室で熱波を放つだけが熱波師の仕事ではありません。熱波の前後には準備や片付けがあり、お客さんを預かる身としての安全管理、そして満足してもらうためのホスピタリティ。これらがあって初めて熱波師になれるのです。
熱波の向こう側
お客さんへのホスピテリティだなんだと大層なことを言いましたが、熱波師を目指す理由なんて案外シンプルで、自分のためかもしれません。人前で注目されたい、タオルをくるくる回してワーキャー言われてみたいなど、始めるきっかけはそんなものでも良いのです。私の場合「サウナーの友人が欲しい」いう、かなり個人的な理由でした。
しかし一度熱波を送ればその考えは変わるでしょう。私は初めて熱波を送った時のことを今でも覚えています。熱波を終えてサウナ室を出ると、さっきまで熱波を受けていたお客さんが気持ちよさそうにととのっていたり、浴室で打ち上げられたクジラみたいになっている裸の男達に、愛おしさに似た感情が湧き上がりました。
熱波を受ける側から送る側に立ってみて、初めて見える景色と湧き上がる感情。熱波の向こう側を知ったとき、また新しいサウナの楽しみ方を知ることができるはずです。ちょっと勇気を出して、こちら側に来てみませんか。