サ

【なにわ健康ランド湯ートピア】

ユートピアとはトマス・モア（英）の著作『ユートピア』に登場する架空の国家の名前である。理想郷とも呼ばれ、現実には存在しない理想的な社会として描かれている。現存する社会と対峙させ、現実への批判をおこなう意図があった。「どこにも無い場所」を意図とした地名と説明されることも多く「素晴らしく良い場所であるがどこにもない場所」を意味する語として知られている。

そんな「どこにもないはずの理想郷」がここ、布施にはある。
2020年4月にリニューアルし、その楽園感にさらに磨きがかかった。

サ室の明るさは適度。奥まったスペースはより薄暗くなっており、その暗さが壁材に使われている木の香りと相まって非常に落ち着きのある空間を演出している。温度はややマイルドであるが、趣としてもちょうどいいと感じられるものだ。温度計の表示よりやや低く感じるが、それもこの空間のなせる技だろうか。水風呂にも当然不満はなく、広さ、深さ、水温共に文句がない。グウの音も出ないのが外気浴スペースだ。広々とした露天スペースにリクライニングチェアが並ぶ。極めてチルなひとときを味わうことができよう。

現代人が素朴に「理想郷」としてイメージするユートピアとは違い、語源としての「ユートピア」には非人間的な管理社会の色彩が強く、決して自由主義的・牧歌的な理想郷ではない。しかし、ここなにわ健康ランド湯ートピアは、まさに我々現代人が理想郷そのものとして思い描く真のユートピアであると言える。

余談ではあるが、食事も美味しく、マッサージも静かな場所で受けられる。時間と予算に余裕があればぜひ。

【ウェルビー栄】

サウナ施設には様々な形態があるが、コンセプト感という点で群を抜いて素晴らしいのがこのウェルビー栄である。『日本でもっともフィンランドに近い場所』というキャッチコピーに嘘偽りはない。浴室の内装にここまで拘り抜いたサウナを訪れたのは初めてである。全体的に照明が落ち着いており、随所に木の温もりを感じることができるその誂えからは、入浴者の心からのリラックスへの配慮と、作り手のサウナへの愛情をひしひしと感じることができた。

サウナは薄暗く、奥に座るとテレビの音がそれほど聞こえない。奥には外の浴槽とつながっている箇所があり、水の音が聞こえてリラックスできる。また、目立たないところではあるがサ室に備え付けられた時計がデジタル時計であったことには感動した。赤のLEDで点灯している現在時刻は遠くからの視認性も高い。「あれ、今あの時計7分？８分？」と言いながら12分計を確認しにいく行為は今となっては完全に過去のものである。全てのサウナにデジタル表記の時計が配置されることを僕は切に願う。ついでに元号ももう令和で終わりにしてほしい。誰が得するんだあの制度、あんなのがあるせいで『昭和生まれなのに未だに独身のやつは平成ジャンプ』とか言われて筆者が馬鹿にされる羽目になるのだ。

話を戻そう。ロウリュウサービスからもまた違った点で感銘を受けた。熱波師の方の技術もさることながら、振る舞い、声のトーンがとても落ち着いており、非常に高級感のあるロウリュウであった。どっちが良くて、どっちが悪いというものではないが「只今より！ロウリュウを開始します！」という元気な挨拶が回転寿司であるとするならば、こちらはひっそりと路地裏に位置するカウンターの寿司屋といった風情であった。確かにこのコンセプト感の中において、キャッチーで威勢の良いロウリュウサービスは水と油である。リラックス感の演出が徹底されるよう、店舗全体での教育が行き渡っているのであろう。

今回は字数の関係で森のサウナ、水風呂、休憩スペースについての詳細は割愛するが、どれも非常に、非常に素晴らしいものであった。

かなりの有名店であり、実際に隠れることはできないが『大人の隠れ家』とはこのようなものなのかもしれない。名古屋は観光名所やグルメなども充実したオリジナリティの強い土地であるため、サウナ以外の時間も楽しく過ごすことができる。ウェルビー栄や名古屋の町歩きを目的として遠方から訪れる価値が充分にあると言えよう。

【音の花温泉】

まるで高級マンション最上階に位置するペントハウスのような、ぶち抜きワンフロアの浴槽は圧巻。露天風呂も随一の広さを誇る。両者ともに非常に贅沢な面積の使い方をしており、都会の狭苦しい浴場では決して味わうことのできないダイナミックな空間となっている。

一方でサウナに関しては特に表記することがないというのが実情。温度、湿度はまあちょうどいいのであるがサ室は狭く、6人が限界である。水風呂はやや広い、というだけでごく普通。まあ水風呂に特にこだわりはないのでこれはこれでいい。作り手のサウナに対するモチベーションは感じることはできない。多分本当に何でも良かったのだと思う。休憩スペースについては見た目の優雅さはあるものの、椅子はお粗末な介護用椅子が数脚のみでデッキチェアもない。せっかくの田舎の外気を気持ちよく味わえる工夫が欲しい。多分毎日浴びていると貴重でも何でもないのだ。

ここは内風呂が非常に広く、雄大な景色を見渡せる開放感溢れる露天風呂もある。おまけに飯もうまい。それがこの施設のウリだし、おそらくはそれだけで充分なのだ。

サウナ：10分 × 2
水風呂：1分 × 2
休憩：10分 × 2
合計：2セット

【鶴見緑地湯元水春】

#サウナ
90℃弱のノーマルサウナは湿度が高く、広々としており過ごしやすい。
4段ほどの構成になっており、当日のコンディションや気分で調整可能。
定時に行われるロウリュウはいそいそと入ってきたスタッフがアロマ水をサウナストーンにじゃーっとかけて出ていくだけのもの。何かしらの説明があると気分的にも嬉しい。
飛沫感染を徹底的に防ぐための対策であればかなりストイック。
漢方サウナはそもそもの温度がぬるすぎたのですぐに出てしまった。

#水風呂
17-18℃の表記。
広くて居心地がいいが、水風呂の温度としてはややぬるめ。

#休憩スペース
露天スペースは圧巻の一言。露天風呂に設置されたテレビの音量が大きいのが何とも残念。
頭の悪そうなコメンテーターのキーキーとした言説が強制的に耳に入ってくる状況で心からリラックスできるほど僕は図太くない。

#総評
平日の午前中であるが故に仕方ないが、客のほとんどが高齢者であった。
テレビの音量が大きいことも、加齢に伴う聴力低下への配慮であることを考えると致し方ない。
大声でわめくように話す爺さんが居なかったことは救いであった。
3セット目は何だか気分が萎えてしまい、もういいやと思ってさっさと出てしまった。
とはいえどのスペースもかなり贅沢な面積を有しており、館内の清潔感も相まって施設としてはさすがの一言。岩盤浴スペースまで含めると総合レジャー施設と称しても過言ではない。ストイックなととのいを求めるにはやや不向きであるが、家族やカップル、友人同士などで気軽に遊びにくると施設としては充分に及第点であると感じた。

サウナ：10分、10分、6分
水風呂：1分、1分、30秒
休憩：10分、10分、3-4分
合計：3セット

【サウナ&カプセルアムザ】

サウナ、水風呂、休憩。これらがサウナを構成する三大要素であることには今更疑いの余地などない。しかしそれらと同様に、いやそれ以上に大切なものがある。それは良き師との出逢いである。

私と彼の出逢いはもう何年も前になる。ひょんなことからの知り合いではあるが、共に飲みに行ったり、ゴルフをしたり、麻雀を打ったりと今でも楽しい付き合いをさせてもらっている。そんな彼が最近サウナにハマっているという噂は何となく耳にしていた。

それは或る日、我が家で何となくタバコを吸いながらかけがえのない時間を贅沢に浪費していた時のことである。『サ道見ようぜ』という彼の提案に僕はこれもただ何となく従った。裸のおっさんがひたすらサウナに入り、蘊蓄を語る。おっさん達から滲み出る何とも言えぬ哀愁と、どこかノスタルジーを感じさせるサウナ&カプセル北欧の佇まいに私はいたく心を動かされた。「サウナイキタイ」と呟いた私を見て彼がニヤリと笑う。どうやら術中に嵌ってしまったようだ。

そんなやりとりを経て、私はサウナ&カプセルアムザで華々しいサウナデビューを飾った。初めて味わう水風呂と外気浴、そして舞い降りたととのい。なんだこれは。世の中のおっさん達はこんなに楽しいことをしていたのか。単純なもので、私はすっかりサウナというものに魅了されてしまった。

それからというもの、仕事を適当に片付けてはサウナに足を運ぶ日々が続く。所用で県外に出れば現地のサウナを探し、わざわざ電車を乗り継いだり、何年も乗っていなかった路線バスを使ったりするようになった。

自らとひたむきに向き合い、体から一生懸命汗を流す。厳しい中にもどこか暖かい水風呂についうっかり浸かりすぎる。都会の外気の中、ふとうとうとして、寒さで目が覚める。そんな素晴らしい体験がいつでもできるようになったのは、サウナのおかげであり、そして彼のおかげでもある。

そんな彼であるが、先日彼女と同棲を始めたようだ。新居祝いにはピッカピカの12分計をプレゼントするつもりである。おめでとう、お幸せに。ありきたりではあるが、心からの僕の祝福の言葉を、このサ活の結びとしたい。

サウナ：10分、8分、11分
水風呂：45秒、50秒、50秒
休憩：8分、8分、8分
合計：3セット

【グランドサウナ心斎橋】
既レポ店。

気がつけばまたこのビルの前に立っていた。
夏の電灯に吸い寄せられる虫達のように、
人はサウナに抗うことができない。

友人がサウナに行ってみたいと言ったため、共に出ることにした。ミナミの人間であれば知らない人はいない『クラブデビューはバンビから、サウナデビューはアムザから』の格言に従い、ロウリュウやアウフグース、多彩な風呂やプールなどを備えたエンターテイメント性の高いアムザに向かおうとしたが「俺は夜勤明けで疲れてるんだ、静かな場所でチルアウトしたい」との要望を受けてこちらを選択する。

まずは給水機で汲んだ水で乾杯し、重々しいガラス戸を開ける。設備について一通り説明した上で、箱内のサージングを開始した。導線、和みスペース、仕上げスポットについてのレクチャーを行う。ドライサウナでしっかりと和んだ上で、水風呂を挟み、外気浴で一気に仕上げる。そこに余計な言葉など不要である。ノンバーバルで仕上げ切るのだ。

シャワースペースの鏡で最終チェックをしながら、自分に問いかける。今日のコンディションはどうだろうか。幾ばくかの不安を感じてウイングに視線を送ると、彼もまた同じような表情であった。

自らを奮い立たせ、サ室のエントランスに飛び込む。
さあ、ゲームの始まりだ。

#水風呂
ちょうど通りかかった店員さんに聞いてみたところ、当日の温度は17.1℃とのことであった。最近は30秒から35秒であっさりと水風呂から出るスタイルを気に入っていたのであるが、少々味気なく感じることが多くなり、この日は水風呂の長短についての試行錯誤に励んだ。
60秒しっかり入ると外気浴中に体が冷えるのが早いし、30秒程度だとやはり水風呂のパワー不足は否めない。45秒程度が比較的良いバランスだと感じている。しかしこの程度で満足してはいけない。次回は45秒を起点に、前後に5秒ずつ振ってみるつもりだ。
当然体の温まり具合や水風呂の温度、羽衣の処理、そして自身の体調などによって、その回毎に最適となる水風呂の時間は異なる。アナログな感覚でしっかりと最適解を叩き出すことができるようになるためにも、まずはデジタルな部分として自分の基準となるタイム感を把握したい。

【特記事項】
この日はサウナマットが新しくなっていた。ローテーションの一環なのか、総取替したのかは不明だが、新しいサウナマットで味わう最上段の熱気は格別であった。

サウナ：12分、10分、10分
水風呂：30秒、1分、45秒
休憩：7-8分 × 3
合計：3セット

【グランドサウナ心斎橋】

関西地方の中でも一二を争う繁華街、心斎橋。多くの若者が集うアメリカ村の外れ、ラブホテルや風俗店が立ち並ぶ、少し怪しげな一角にそれはある。

夜勤明けの気怠い体を癒すべく、サウナに向かうことにした。アムザに行こうかとも考えたが、今日はよりクラシックなサウナで自分と向き合いたい。そう考えてこちらを選択した。

大きな浴槽が1つ、ドライサウナ、塩サウナ、スチームミストサウナ、外気浴スペースに小さな露天風呂というミニマルセッティング。料金は90分1200円、15時間2100円、23時以降は深夜料金別途加算という極端な仕様。毎回500円割引券（15時間コースのみ使用可能）がもらえるので実質は15時間コースでも1600円となる。館内着、タオル、歯ブラシ、シェーバーなどは全て無料。下の階に休憩室があるが、特筆すべき点はない。

上段14分のストイックセットを挟み、ドライサウナのみで計4セット。外気浴スペースで正面に位置するアパホテルを眺めながら、今日も良いととのいが得られた。


#ドライサウナ
3段掛けの椅子があるドライサ室の温度は100度前後。湿度計はなかったが、湿度はやや低めであった。ヒーター側の上段に座ると鼻毛が燃える。ドライサ室にはテレビがあるが、音量は大きくはない。テレビとヒーターはそれぞれ部屋の反対側に位置しているため、サウナに集中したい場合はヒーター側、だらだらとゆっくり蒸されたければテレビ側に座るのがお勧め。部屋には時計、12分計、温度計が備え付けられている。

#水風呂
温度計はないが体感20度弱。浴槽は比較的広く、数人が余裕をもって入れる広さである。バイブラはないが水面やや上から給水されるシステムであり、多少の水の流れができていた。

#休憩スペース
内風呂にガーデンチェアが2脚、外気浴スペースにガーデンチェアが2脚、寝転べるタイプのデッキチェアが2脚。 小さな露天風呂から流れるバイブラの音を聴きながら、心地よくととのうことができる。

#サ飯
食事スペースもあるが、向かいに位置する北極星という洋食屋はオムライスの名店である。オムライスは絶品の一言。セットメニューにすると追加されるエビフライと味噌汁は特に代わり映えはしないため、400円払ってエビフライをつけるなら、そのお金でオムライスをラージサイズにしてチーズをトッピングすることを強く勧める。繰り返しになるが、オムライスはとにかく絶品である。

サウナ：10分、10.5分、14分、10分
水風呂：40秒、40秒、1分、30秒
休憩：7-8分 × 4
合計：4セット

【瀬戸大橋スパリゾート】

高橋大輔や藤木直人を生んだ街、倉敷。倉敷駅から1時間に1本ほどしか出ていない下電バス、児島駅方面行き（5番乗り場発の車両のみ最寄りの停留所宇頭間に停車。片道580円）に揺られること30分の場所にそれはある。

木造住宅が立ち並ぶ田舎道、ゆったりとしたジャズを聴きながら車窓を眺める。懐かしい気持ちになりながら、これからのサ活に対する思いを馳せる。乗車時間は30分少々であったが、体感時間は思いの外短かった。

料金は3時間900円、ロングコース1800円（HP割引で1200円）であった。3時間900円に歯ブラシ、シェーバー、ボディタオル、バスタオルを追加し、1150円を支払う。

バイブラ風呂、薬仁湯などを堪能し、高温サウナ室へ。Sauna、Water、Windを2セット繰り返し、長めの休憩を入れる。

アクエリアスとデカビタをブレンドしたアクビタを身体に染み渡らせ、後半に向けてコンディションを整える。

後半も2セットの予定であったが、あまりの居心地の良さに3セット。バスの時間を気にしつつ、後ろ髪を引かれながらの退店となった。


#サウナ
サ室は広く、体感でワンルームマンション2部屋分くらい。高さのある3段掛けの椅子が壁に沿う形でL字に配置されている。ロウリュウやアウフグースなどはないが、温度や湿度は申し分なく、ストロングスタイルであった。惜しむらくはサ室に12分計がなく、小さな掛け時計のみである点であった。

#水風呂
水温計はないが、体感20度弱程度。浴槽が広く深いため気持ちよく浸かることができる。定員は無理しない範囲で4人くらい。

#休憩スペース
内風呂に木製ベッドが1脚、背ありの椅子が合計で3脚くらい。露天スペースにも背ありの椅子が3脚。いずれも普通のガーデンチェア。露天スペースは開放的なデザインで小鳥の囀りが聞こえる癒しスポットであるが、そこそこの音量でテレビが流れている。静かにととのいたい人は内風呂内の椅子が良いのかもしれない。

#総評
トータルとして非常にスペックの高いサウナであり、いいととのいが得られた。アクセスの悪さが玉に瑕であるがそれもまた一興。ゆったりとバスに揺られるのも悪くない。お持ちの方は自家用車で向かわれることをお勧めする。

サウナ：10分 × 5
水風呂：1分 × 5
休憩：7分 × 5
合計：5セット

【センチュリオンホテル&スパ倉敷】

センチュリオンホテルの大浴場の一部としてのサウナ。倉敷駅至近でアクセスは抜群。地下1階に位置しており、露天風呂や外気浴スペースはない。駅前で飲んだ帰りに軽くサウナでも、という時に使いやすい。入浴料は700円、各種アメニティは全て無料と気前がいい。

#サウナ
2段がけの椅子で定員はギリギリ5人。96度で湿度は低め。狭いがサウナのクオリティとしては悪くない。湿度が低いため割とじっくり入ることができそうであるが、浴場の人数が多いとそれも悪い気がしてくる。

#水風呂
無し。一応の代用としては水を被るか水のシャワーを浴びる形になるが、水風呂の代わりには程遠い。

#休憩スペース
休憩は内風呂内で行うか、脱衣所の椅子を使用する形になる。脱衣所には椅子が2脚、ロッカー前の長椅子が1脚。他に人がいる場合はロッカー前の長椅子を使用すると邪魔になる。脱衣所は狭いためどうしても他人が気になる。内風呂のシャワー前の椅子を失敬して、お好みの場所に置いて坐るのが一番マシかもしれない。これもマナー的には微妙である。

#総評
サウナ施設というより『ホテルの大浴場にサウナがついている』といった趣。水風呂や休憩スペースが存在しないため、ストイックスタイルのサウナーが意気込んでいくサウナとしては飛車角落ちもいいところである。冒頭にも記載したが、飲んだ帰りにとりあえず汗を流して帰る、といった使い方以上のものは望めない。倉敷の宿泊先を選択する際、併設のサウナのクオリティにトッププライオリティを置く場合、ここではなくドーミーインを強くお勧めします。

サウナ：12分 × 1
水風呂：なし
休憩：10分 × 1
合計：1セット