煮ゑ湯

サウナに行くと決めた時、
○○のサウナで絞られたい、とか
○○のお湯に浸かって分解されたい、とか
○○の水風呂で締められたい、とか
━━こうして列挙すると碌でもないことばかりのようだが……

何かしらの決め手があって
よし、今日は○○へ行こう、という流れに毎回なる訳だが
今日は何故かその決め手が何も思い浮かばず、仕方なしに頭の中で自分を色々な銭湯のお湯に放り込み、水風呂に沈め、サウナへ転がしてみた結果、第二宝湯が1番のハイスコアを叩き出した
そう決まれば我ながらナイスなチョイスだなと納得するが、じゃあ何故すんなりとここに決まらなかったのか━━突出したものがなくオールラウンダーで優等生的だからこそなのだろうか

久しぶりに訪れた浴室は妙に明るく感じる
床も壁もタイルがピカピカだ
たしかにここはいつも清掃が行き届いていて清潔感があり気持ちがいい
その象徴がよく磨かれたタイルだ

お湯は雨の日も風の日もラベンダー湯の日も白湯の日も常に気持ちのいい温度な気がする
それぞれ感じ方が変わる筈だが絶妙な湯加減は変わらない

コンフォートタイプのサウナは汗が出てからも長く入っていられるので調整がしやすい
今日はストーブ横に薬湯で使ったラベンダーが沢山置いてあり、苦みの効いた心地よい香りが広がっていた

水風呂はとりわけ温度が低い訳ではないがそれを不足に感じたことはない
隅っこの一番深い奥まった場所に身を潜めるのがたまらなく好きだ

今日も90分でしっかり蒸されて退店

帰りの途中、雨が降り始めたがそんなこと私には関係ないといった気分でゴキゲンに歩き続けた
昔ながらのUCCがバツグンに美味い

本日5時起床
珍しく予定通りに朝起きる

…というか一睡もせずに起きていた
ワクワクして目が冴えていたのもあるが、近くのカプセルの客が動画を見ていたらしくその音漏れが気になり眠りにつけずに朝を迎えた
挙句、ご丁寧にも5時頃アラームまで鳴らしてくれる
どうせこの後、浴室なりサ室なりで同室するんだから、その時はしっかりご尊顔ぐらい拝ましてもらいましょうか━━などと考えながら6Fへ向かったが、そんなことどうでもよかった

今回早起きした理由は一つ
他の方のサ活にも散見される日の出サウニング━━それがしたくて仕様がなかった

宿泊すると頭の中に思い浮かべた時には、すでにこのプランは決まっていた
浴室内のベンチの端がポジションとして決定していた
調べてみると今日の日の出は5時32分
手早く体を流し、極く短いワンセットをこなす
サ室に入るとまだ両肩がヒリヒリする
━━ 煉獄に焼かれ、心を燃やす前に体が燃えてしまったよもやよもやのパターン
水風呂は機嫌を損ねたように冷たい
昨夜は優しく迎え入れてくれたのに、今朝は他人のように白々しく冴えていた

時間に余裕を持ってポジションに座る
簾越しに見えるマンションの向こうから徐々に明るんでくる
おあつらえにも小鳥がチュンチュン鳴きながら飛んでいる

静かに自分の内からみなぎってくる生命感
━━これがッ！……この体験こそがッ！

『ゴールド・エクスペリエンス・ネムイデス』！

あいにくの曇天で気持ちのよい青空とはいかなかったが━━この時間は何事にも替え難い『スゴ味』があるッ！

「ボンジョルノ(おはよう)、鶯谷」ということで朝定食を食べる
シンプルながら…『ウマ味』があるッ！
昼前まで寝て帰宅
アリーヴェデルチ！

蛇足:フロントで見つけた
これを機に「サ道」を読んだり視聴してみようかな

由緒ある旧家の出だが庶民感覚を解している
綺麗好きで料理上手
その上、物持ちがよい
見た目の派手さは他に劣るとしても逆にそれが親しみやすさを生む
生来の気の利き方は抜群

━━私の女性の好みを羅列したのではない
サウセンの話だ

「お嫁さんにしたいサウナ施設ランキング」があれば確実に上位に入るし、優勝候補に名前も挙がるだろう
小うるさいお姑さん達もこれにはニッコリ

今日は「いい風呂の日」でゆっくりと穏やかに過ごそうと思い、宿泊でイン
到着して早々、カプセルで昼寝をすると目が覚めたのが18時すぎで早速出遅れる
さすがに日曜の夜となれば脱衣棚もほぼいっぱいになるくらいの混雑
19時のアウフグースは満員で諦め食堂へ
油淋鶏定食とマカジュースをいただく
甘めのソースが鶏に絡みご飯がすすむ
この後があるので大盛りに出来なかったのが少し残念だった

その後、リベンジの21時アウフグース
アロマはオレンジミント

2回目のロウリュの後、事件は起こった

「本日最後のアウフグースなのでさらに上げていきますね」

━━アロマ水がえらい沢山残っていたからやはりそうですよね、と

「火傷とかもあるんで…決して無理はなさらないように……おねがいしますねっ…」
━━どこかの訛りが混じった朴訥な語り口の中に確かに含まれた仄かな殺意

「まさかね」と内心冗談に思って聞いていたが撹拌の時点で既に限界
━━さながら時間いっぱい時の高見盛のように握り拳を作り、腕をぐっと曲げ、歯を食いしばりながら力いっぱい耐え忍ぶ
体表面で何かがバチバチと爆ぜているような感覚
ここから風を送られると殺される、冗談じゃないと逃げ出す

サ室出ると水シャワー浴びて水風呂へ
しばらく浸かってやっと生き返る
思えばここの水風呂にこんなに入っているのは初めてかもしれない

落ち着いてから何度かサ室に出入りしたが入る度に乳首が痛む

サウセンの特長に「乳首責めがすごい」を加えるべきかと思ったが、お姑さんだけでなく関係者各位お歴々の怒りを買いそうなのでやめておく
存分に汗をかいた後は再びカプセルへ

「床に入った後もサウセンは気持ちいい」……とか言うとそろそろお叱りを受けるだけでは済まなそうなのでもう寝ます

お泊まりの楽しみといえば朝サウナ
アラームなしで６時に飛び起き浴室へ
意外と人がいると思ったが、今日は祝日だということに気がつくと腑に落ちる
朝の陽射しを浴びながらの炭酸泉やサウナは格別だった
特にサ室の窓際はオートロウリュの音に耳を傾けながら太陽とストーブの熱を感じられる最高の場所だった
朝だから軽めに済ますつもりがちょっと長くなりすぎた
ここのサウナは話が早くて助かる
何も考えずしばらく座っていれば全身から汗が噴き出し続ける
パワフルだね

蛇足:港湾都市ヨコハマ━━開港以来、外国との貿易港として栄えてきた
だからその歴史を重んじて洋モノストーブでも目をつぶる

……言い訳？ええ、そうです

地球の重力に魂を縛られた人々はシャア・アズナブルの粛清の対象になったが、私の魂は体を伴って宇宙(そら)に帰りたがっている
━━現れたるは見目麗しきアルテイシアさん！？

━━いいえ、違います
サウレさんです
そうです、ここはスカイスパです

二ヶ月以上ぶりの宿泊
今回は昼過ぎにチェックイン
思っていたよりは混んでいた
平日この時間でも人気ぶりがうかがえる

昼寝した後、ゆるっとマッサージバスにほぐされているとサ室の窓にビームナギナタを振り回す姿が見えた
退室する人と入れ替わりに入ってみるとアウフグース中でたまたま空いていた席が上段だったこともあり、「直撃させる！」を直撃させられ速攻で滝汗
「たかがメインカメラをやられただけだ」な根性論をさっさと捨てて離脱

夕方になり早めの晩御飯
カツカレーを

その後しばらく横になり、２０時半頃、戦線復帰
…激混み

21時のアウフグースに参加すべく荒野をはしる死神の列に接続

これぞ連邦の白い悪魔だと言わんばかりの一騎当千の活躍でサ室から人がどんどん退場させられていく
なんとか最後まで生き延びシャワーで汗を流す
覚束ない足の運びで一人つぶやく
━━私を(水風呂に)導いてくれ、ララァ

…そんなこんなで2セット

前回来た時よりも夜は混んでいたが全く騒がしくなかった
おしゃクソやマナーの悪い客、そんな大人はどうやら修正されたようです
やっと人と人が分かり合える時が来たようです
━━だからキャスバル兄さん、テルマーレで熱々の雫を垂らしたり、コロニーを落としたりするのは勘弁して下さい

開店直後に来てみたが、すでに四人ほど先客が入浴していた
やはりここに来るのはいい
ブームが過熱するサウナ界隈のメインストリームからは外れ、私のような漂流物が時折流れ着くだけで、昔ながらの銭湯の原風景が残っている
10分ほどの入浴を済ませて退店するお客さんもいたが、じわじわと後客は増えて、いつのまにかサウナ利用は3人になっていた
サウナーを自称してそうな利用客は見かけない
年配の常連さんらしき人たちがメインの客層で浴室内には、サ活だなんだと浮ついた心がたしなめられるような静けさもあり、いつもお邪魔させていただいている気分で利用している
一人粛々とサウナに徹するには最高の環境が揃っているが、ここのよさはそれだけではない━━

定員3人で満員のサウナに顔を出せば「ごめんねぇ」と一言くれる
狭い水風呂でも「ここいいよ、使って」とスペースを空けてくれる

━━私なぞはただの通りすがりのアウェイだが、コミュニティへの参加を許されている気持ちになる
他人様の何気ない心遣いに恐縮するばかりだが、こうした人との触れ合いが少しくすぐったくもあり、嬉しくもある
━━照れる気持ちを「黙浴」の二文字で隠し、会釈や笑顔で返す
一人で篭りがちの心がなんだかほころぶ瞬間に気付かされる

蛇足:すぐにいっぱいになるサ室は板張りの床、座面ともたわみまくりのガタつきまくりで、何かの拍子に踏み抜きそうな劣化具合
今日もびしょびしょのまま入って来るお客さんがタオルを絞ったり、汗を振り払ったりしていた
サ室の目の前が水風呂で、わずか1メートル弱を数分ごとに往復していた
━━動線の良さとはこういうことだと言わんばかりの無駄のない動きだった

立て続けのリニューアルに沸く中野銭湯界隈の様子に妙法湯を思い出した
都内でリノベーション銭湯と言えばまず名前が挙がるのがここだよな、と
以前一回お邪魔してからそれっきりで、調べてみたら2020.9.10以来
ちょうど一年前ぐらい
ちょうど一年前にこの道を通ったロード
店前の自転車の数にウゲッてなった
途中で見つけたデカい蛾にウゲッてなった
━━昨日のことのように今はっきりと思い出す

…と言っても中に入ってからのことはあまり印象にない

脱衣所……？？
限られたスペースを上手いこと割り振って休憩ゾーンと脱衣ゾーンを作っている
…こんなだったっけ？？

アイボリー〜ベージュを基調とした浴室内の壁は十分な数の照明を反射して思っていたよりも明るい
薄暗いと思っていたのはどこかと混同しているのか？？

他とは対照的に浴室の正面にある白い炭酸泉はよく覚えている
少しぬめりのあるような肌触り、絶妙なぬるさ加減、顔を上げた先にある大型モニター
━━今日も中で二人ぐらいおじさんが溶けていたのは以前と同じ光景だ

サウナは記憶とは大きな相違があった
記憶では座面が高く、幅が狭いので切り立ったような印象で姿勢を正して真正面から熱を受けたいと思った気がする
室内ももっと白いほどに明るかったと記憶していた
けれども一年振りぐらいに入ってみると、およそ一般的な二段構えで、上段は確かにキリッとした熱を感じだが、下段は随分優しい
そこまで明るい訳ではなく、落ち着いた印象
ジャスなんてかかってましたっけ…！？

水風呂は水の入れ替えが時々されるのは覚えていたが、思っていたより冷えていた
ティッシュボックスみたいなやつから勢いよく水があふれ出し、清々しい

リノベーションのイメージといえば、モダンでお洒落な空間、間接照明を設え、小気味よいジャズが流れる━━上京して初めて一人暮らしを始めた男子大学生かよ、そろそろコーヒーにこだわってみろよ、色々なブレンドを試すのが楽しいとか言ってみろよ

…二代目のシティボーイ然としたシャレオツなイキフンに、地方出でダサ坊の私は貧困な想像力を必死に働かせ、当時、コンプレックス全開で相当僻んでいたのだろう
だけど久しぶりに、来てみるとイメージと実態がかけ離れている
素晴らしい銭湯サウナの実態があるからこそ人気がある、という当たり前のことを思い知らされた
いい歳してバイアスがかかった見方しか出来ないのは恥ずかしいと思い知らされた
そんな思いもかき捨てようと今日はじっくりサウナに向き合い、さっぱりした気持ちで帰った

画像補足:1枚目今日　2枚目一年前　3枚目蛾

すみません、忘れてました
杉並区の銭湯を語る上でここは━━税金とマイケル・ジョーダンと同じく━━避けては通れないことを重々承知しているつもりではありましたが、「いつか行こう」がいつの間にか五日たち…六日たち…気づけば幾星霜
その間、時代はめまぐるしく移ろいゆき、特にここ数年のコロナ禍で世界が一変してしまったのは知らぬ者がいないほどで云々かんぬん…

以上前置き
以下本文
土曜日温泉注入日および朝8時からの朝湯を目指し、5時に起床するもすぐ再就寝
13時頃、再び目覚め、「二度寝こそ最高の休日のスタートだ」と思い改め、気を取り直し出発
南阿佐ヶ谷で麺を啜り、13時半からの午後の部へ
道中、公式ホームページでサウナの混雑具合を確認
みるみるうちに残り人数が減るのを見ると歩くペースも上がる
13時45分頃到着
券売機で発券を済ませ受付をするも、係の女性は手早い説明を事務的に、で雑な印象
脱衣所はサウナ専用ロッカーも設置されていて充分数があるが、サウナ利用客同士が近すぎて混雑する感あり
洗い場もちゃんと数がある
カランは所々くすみがありこの辺は意外な印象
内湯にある「ボディージェット」の噴射の勢いが過去に類を見ないほど激しい
内湯出た露天ゾーンはここが施設のメインと思わせられる程の充実ぶり
サウナ、水風呂、つぼ風呂、炭酸泉、外気浴コーナー
特につぼ風呂は温度、肌触り、サイズ感のどれをとっても素晴らしく温泉注入日だったこともあり最高
サウナはコンフォートタイプで足を踏み入れた瞬間、かなりソフトな印象を受けたが、客層を反映してかTVの音が大きく長くは入っていられず
水風呂は26℃ほどで常連さん方曰く、今日はぬるい
外気浴ゾーンは常にほぼ満席
例の漫画、それを原作にしたドラマは未視聴、無関心なのでありがたみも分からず、かといって使えない悔しさもない
どちらにせよこれといった感慨わかず
結果、つぼ風呂と水風呂ばかり堪能
客層は年配の常連と若いサウナ客ではっきり分かれるがいずれも露天ゾーンに人気が集まる

ここはサウナにこだわらず、ゆったり温浴を楽しむのが良さそうに思える
ただし時間制限と混雑具合がそれに噛み合ってない気はする

私が退店する時は入店制限が出ていた
サ飯は阿佐ヶ谷駅前の富士そばでカツ丼カレー
玉子でとじることで足し算が掛け算になるシロモノ

蛇足:公式ホームページに「高円寺や阿佐ヶ谷、永福町からもアクセスしやすい」とあるが、杉並近辺の住民としては失礼ながら「いや、どこからもアクセスしづれぇよ」とつっこまずにはいられない

お気に入りのラーメン屋での一杯の後、時間的な余裕があった今日は前から気になっていた健康浴泉にでも行こうと思っていたが、昨日、玉の湯で私を魅了しまくった秋の外気が頭から離れない

外気浴━━となるとアクア
相変わらずの混み具合
脱衣所も浴室内も人がひしめいている
その一方で奇跡的に空いていた露天風呂の一番奥に足湯スタイルで居座る
思うように外から風が吹き込んでは来ないが夏とは違う秋の涼しい空気を感じる
途中、若者3人パーティーが露天風呂に紛れ込んできて喋りながらサウナの様子を窺っていた
どうやら私の存在が邪魔だったらしく、途中何度もこちらをチラチラ見てきたが、私はそんなこと意に介さず、━━動かざること山の如し、顰蹙買うこと屁の如し━━で居座り続けた
サ室はやはり混んではいたが、これまた奇跡的なタイミングで入室したようで座っているうちに人がどんどん出ていって30秒ほど独り占めできた
サ室の中に2箇所ヴィヒタが吊るされていて、セージにも似た苦味の効いたミント系の清涼感がクセになり、あまり熱くない正面席に居たのもあって20分オーバーまで座っていた

水風呂はスルー気味でプールをメインに浸かる
外の冷気を蓄えたような冷たさで気持ちがいい
うねった水面に反射された照明と外の暗さのコントラストはなかなか魅惑的な景色を作っていたが、それよりも波風立てず水の中で静かに冷えるのが自分の心象風景の二重写しのようで感に耐えなかった
私の隣に墨の入ったいかついお兄さんもいたが、同じように肩まで沈め水の中にひっそり身を潜めているようだった
きっと私たちは同じ感覚を味わっていたのだろう
たまたま居合わせただけで━━はからずもシンクロナイズドサウニングをしていたに違いない

そう考えると私たちは別々に行動をして同じ感覚を得、
先程の3人組は一緒に行動をして別々の感覚を味わう━━これは何という見事で皮肉な対比だろうと思った

順調にことが運んでいると思っていたがこの後、まさかの急展開━━
脱衣所にいたら、若者客が団体であれよあれよと10人ほど入ってくる…
案の定、騒がしく、店員さんも流石に「お静かにお願いします」と注意していたが、正直言って、入店の段階でカットしてよと…
そこそこ混んでいたし、10人ほどがみんな修行僧の如く押し黙って来店してきた訳じゃああるまいし…
ほーら、言わんこっちゃないっていう見え見えの展開…
こんな時はさっさと退散するに限る
銭湯のレベルが高すぎる東中野に住みたいと思ったが、こんな隣人やご近所さんが出来るならやっぱヤメだな…

季節の変わり目でバカになった体温調節のネジを一旦、締め直すべく玉の湯へ
今日は思い立ったまま、着の身着のまま来たので、部屋着で着ていた館内着風の厚手のスエット半袖短パン━━そしてノーパンのまま

季節の変わり目には変な虫がわくというが、道中、すれ違う人にこそっと履いていない事実を耳打ちしてみたくなる
━━「オマわりさン、コの人です」
善良な市民のステルス四文字な通報によって私は日常から逸脱してしまう
今までの日常なんて布切れ一枚の有無で簡単に崩れ去るという現実に玉袋がヒュッと縮み上がる思いがする
非日常的な妄想も股間を冷やす秋風に小さく縮こまる

21時前の玉の湯は少し混んでいた
キャパの七割ぐらいの埋まりの中、最初に浸かったあつ湯はしっかりと熱く、やはり体が冷えているのだと実感する
あつ湯の後に薬湯に入ろうと足を着けてみると思ってもいなかった冷たさを感じた
それでもしばらく浸かっているとじんわりと汗ばむ
その後の水風呂はしっかりと冷たい
この体感を基準として体温調節をしていく
今日の目的はサウナで汗だくになり水風呂でキュッと締めるのではなく、ゆっくりと体を温めて緩やかに時間をかけてさます
そしてこれを繰り返して体の芯の温度を少しだけ上げる
サウナはストーブ真横を常にキープ
マイルドな熱で汗の量よりも体の温まり具合を意識しながらゆっくりと座り続ける
水風呂の時間を短くしたり、ぬる目の薬湯を休憩に使ったりしていい塩梅に体を温めることが出来た━━これぞ勝手知ったる銭湯の強み

…が、要所要所で窓から吹き込む秋風が恐ろしいほどの気持ちよさで邪魔をして来た
━━今日はそういうのは求めてません、ただちょっと温まりに来ただけです
秋をここぞとばかりに感じさせるのはやめて下さい
首筋を撫でていかないで下さい
乳首は弱いです

そんなことはお構いなしに容赦なく風が意識を連れ去ろうとする
━━玉の湯で慣れ親しんだ気持ちよさが仇となる

思わぬ妨害を受け予定より時間がかかったがしっかり体の芯が温まった状態で退店

帰り道、秋らしい夜気を浴び家まで歩く
スーッとズボンを通り抜けていく風も心地よい

ふと気づく
━━これって「水曜」「歩いて」「スースー」サ活だ、と
つまり気づかないうちにロイヤルストレートフラッシュが揃っていた
幸せだって実は探さなくても自分の手の中にあるよ


…という幸せの青い鳥的な話にまとめようと思ったが、下ネタを沢山書き散らしておいて、今更何を言わんや、なので大人しく帰ってパンツ履いて寝る

日曜出勤が体に堪えたのか昨夜はサウナに行く間も無く眠りに落ちた
その反動で5時に目が覚めた今朝は朝サ活を思い立つ
…とはいっても自宅近くのサンデッキにはまだ早く、月曜なのでレスタは11時半から、あいにくマルシンは店休日

…サウセン行っちゃう！？

━━(誰だ、お前…)

そんなこんなで一路鶯谷へ

サウセンでの爆睡をより確かなものにするため、電車の中では座らず眠らずのスタイルを貫き、空腹は最高の調味料とばかりに我慢
この後の展開を考えるとワクワクしてくる
ここ最近で一番のワクワクかもしれない
この時点で来た甲斐は充分、このまま鶯谷で降りずに山手線を一周して帰宅してもいいぐらいだ

…と目的を見失いかけたところで鶯谷着

6:30に入店するとチラリと見えた

…サウナハット

…買っちゃう！？

━━ミーハー、生きとったんか、ワレ

…ぺ、paypayキャンペーンしてるから、ほら…

……

6Fへ上がると脱がれた館内着は僅少━━「私は多分3人目」と綾波レイのごとく無機質につぶやく

軽く湯に浸かった後、朝ごはん
朝シャケ定食のご飯大盛りに納豆
焼けたシャケの匂いに食欲が刺激される
皮が焦げてるのはご愛嬌
納豆を混ぜる感覚、生卵を溶く音、おみおつけの湯気━━心地よい朝の時間

食後、ちょっと横になってから再び浴室
最初、体が温まりきってなかったが、じわりじわりと熱が含まれていく
しんどくないのがいい
途中、初めてのサ室独り占めがありテンションも上がる
めちゃくちゃ冷たく感じていた水風呂も徐々に馴染んでくる
清掃の少し前まで軽く3セット

午後に向けて少し仮眠

…のつもりが爆睡
退館まであと一時間もない

結局、サウナに入らずカレー食って帰る

……朝サ活だから……昼過ぎると普通のサ活だから…

……

退館しようとすると新人さん(？)のレジオペ中

…マスク買っちゃう！？

━━ミーハー、起きとったんか、ワレ

…人材の育成に少しでも役に立てばと思って……paypayペイの練習に、ほら…

……

大人になると何をするにしても他人に対しての理由や自分への言い訳が必要でイヤになる

━━しっかり洗い流したつもりが私の体から漂うミーハー臭はまだまだ取れてないようだ

……あーあー、仕方ないなー、また来るしかないかー

………ポイントカードも貯めないとね⭐︎

往年の「サンデー兆治」ばりの日曜登場率を誇る第二宝湯
日曜のみ毎週替わるラベンダー湯や木酢湯などのかわり湯を軸に優しいサウナと冷たすぎない水風呂の柔らかさで攻める━━150km/hのストレートと落差の大きいフォークでグイグイ攻める村田兆治の剛腕とは真逆━━むしろそれに比べれば攻めないスタイル
今日はどくだみ湯の日でよく煮出された香りが水風呂にまで漂ってきてとてもいい気分だった
サウナはコンフォートタイプなので長めに入るがその後の休憩もいつもより長めにとるようにした
90分までと時間が限られているので当然セット数を減らすことになるのだがそれでもしっかりと仕上がった
こうなれば湯上がりのトーインも格別に美味い
少し甘い微炭酸が今の気分に優しく寄り添う
店を出た後も静かな通りをしばらく何も考えずただ真っ直ぐ歩いて帰る
最後まで出来る限りゆっくりしたい日曜日の夜の気分にぴったりだ
今日もあと数時間に迫ってくる月曜日から日大二高通りのストレートを3km/hほどで逃げて帰ってきた

蛇足:サ室前にビート板が設置されていた
最大入室人数5名に対して5枚なので残りビート板の数で今の入室人数がわかるはずなのだが持って入らない人もいたので時々6人目が入ろうとすることがあった
そうなれば少し気まずいし無駄にサ室の熱を逃すことになる
だからビート板の利用は徹底したいところだが受付での説明も貼り紙等も特になし
私もお店のTwitterを覗いて初めて知った
銭湯サウナなのでいわゆるサウナーの常識を期待するのはお門違いなんだろうなと休憩しながら考えていたら、隣に座っていた客がスマホのスピーカーから音楽を流しだして度肝を抜かれた
それ以前の問題なのだと思いその場を離れた

サ室で一人っきりになった時、寝っ転がる

━━うん、ありだね！スーパーあり！超あり！！

一段目に座って後ろにもたれかかり、二段目に肘を乗せる
そして足なんか組んじゃう

━━あり！あり寄りのあり！ありをりはべりいまそがり(みまそかり)！！

…そんなことを考えてたら
サ室のTVに映っていた長州力に笑ってしまった
脱衣所のTVでナイツの漫才をかぶりついて見てしまった

━━どれもこれもいつもの自分らしくない

だけどあずまでならあり！
モハメド・ヨネ！じゃなくてアリ…あっ、やっぱナシ

ついつい長くなってしまった休憩から重い腰を上げ、水風呂に浸かる
これはいつも通り冷たく感じる
サ室に入り10分ぐらいは汗が流れ落ちなかったが霜が降ったように腕にはびっしり細かい汗が噴き出す
その後は堰を切ったように大量の汗が流れ落ちる
そのままさらに10分間でしっかり体の芯から熱される
サ室を出て水シャワーを浴びる前にしばらく自分の体が熱を放つのを感じてみる
その後の水シャワーを浴びても冷たさを体からの放熱が押し返しているようで面白い
さっきまで冷たいと感じていた水風呂でさえ気持ちよくずっと浸かっていられる
そして風通しが良く冷房も効いた脱衣所で長めの休憩に戻る
これを計3回
2回目以降は汗が流れ落ち始めるのに時間がかからなくなり珍しく足からの発汗もしっかり感じた

あずまのいいところ━━意識高めでストイックなサウナ施設とは対照的な銭湯独特の「ゆるさ」がある
そんな空気が流れる明るく開放的な空間でゆったり過ごす
サウナに入ってもいいし入らなくてもいい
頑張ってみてもいいし頑張らなくてもいい
どちらも許される
全ての選択の自由は自分自身に留保されている
「ととのい」に来たのではなく「許され」に来たようだ

…「ゆるさ」だけに
(…これもナシか、許してね)

執着を手放して自由を堪能出来る充実した時間
━━レスタ革命がびっくりガードを越えて西池袋にまで波及してきたみたいだ
ありがとうレスタ
ありがとうあずま

夜遅くになっても外は残暑らしい空気に溢れかえっていた
そんな暑苦しさにも干渉されない私の体に、暗がりから聞こえるコオロギの鳴き声が涼しく響いた

蛇足:この状態で過冷却三ツ矢サイダーを体に入れてみたらどうなるんだろうと思って自販機に寄ってみたら販売時間外でした〜…チクショー