2019.10.03 登録
[ 北海道 ]
こだわりのある男はカッコいい。
サウナ紳士のこだわるべきポイントは何か。温度、湿度、あるいは水風呂か。
否、こだわるべきはロッカーの番号だ。私が必ず選ぶのは37でも26でもなく11番、言わずもがなキングカズである。
人が何を言おうと、三浦知良は私にとってヒーローだ。もちろん水分はデカビタCしか飲まないし、仕事で成果を上げた時にはカズダンスを踊っている。
我が部屋には有名人のサインが3枚掲げられているが、一番目立つ位置に鎮座するのはカズのものである。
残りの2枚がHardfloorと、のむらしんぼ先生であることはともかくとして、サインを頂戴するために上星川まで行ったことは評価していただきたい。駅前の「満天の湯」をスルーしたことは少し後悔している。
1週間の仕事を終え、さかえ湯へ。11番のロッカーの前に立つ。
「使用中」
おいおい。空いているロッカーが山ほどあるのに、何故わざわざ11番を使ってくれちゃっているのだ。
一瞬の苛立ちを覚えたが、私は思った。「なるほど、同志がいる」と。
キングと呼ばれる男である。崇拝する人間が同じ空間に2人いてもおかしくはない。苛立ちは何ともいえぬ喜びに変わった。
客層は「エースといえばカズより釜本」という雰囲気だったが、細かいことは気にしますまい。
穏やかな気持ちで9番のロッカーを使った(武田)
[ 北海道 ]
物事には順番がある。子供の頃からそう教わってきた。
しかし性格に若干難のあるガキだった私は「別に結果が同じなら順番なんてどうでもいいじゃん」と思っていた。
例えば給食。順序よく食べましょうなどと言われたりしていたが、本能のままにプリンを一気食いしてから豚汁を啜るなんてことはザラだった。腹がいっぱいになればよいのだ。
大人になった今も考えは変わらない。目の前に素敵な女性が現れたとしよう。「連絡先を訊く→デートのお誘い→食事→夜景→合体」といったプランを描くのが一般的だろう。しかし「合体→連絡先を訊く→(以下略)」でもよいのではないか。
そんな都合のいい話があるかと思われるだろうが、私は「出会って4秒で合体」というドキュメンタリー映像を見たことがあるので、あながち不可能な話でもないのだ。
サウナ前の崇高な儀式である脱衣も、最終的に素っ裸になれば別に順序はどうでもよい。
しかし、私もそうだが、服を脱ぐという行為は各々ルーティン化されているのではないか。「まずジャケット脱いで…」などと意識はせずとも、各自の順序は自然と決まっていることだろう。
この季節、特に仕事の日はスーツにウールコートと厚着だ。さらにマフラー、ハンチング帽というのが私の平日スタイルである。それでもルーティンは確立している。
いや、確立しているはずだった。今日、花ゆづきの脱衣場で私は何故かズボンとパンツを最初に脱いでしまった。多くの人がそうするように、いつもなら上から脱いでいくのにだ。疲れもあったし、早くサウナに入りたいという、はやる気持ちもあった。
ハンチング、マフラー、コート、ジャケット、ワイシャツ、フルチン。変態紳士爆誕である。
全裸になれれば順番なんて関係ない。そんな考えは改めようと思います。
※フリーのWi-Fiが使えるようになっていたので、下世話な文章を書いたことへの贖罪行為として施設情報を更新しておきました。
[ 北海道 ]
「係長、2月28日は有給もらいます!行きたいイベントあるんで何があっても休みます!」と高らかに宣言したのは2ヶ月前。
「何があっても」とは言ったものの、まさか未知のウイルスによってイベント自体が中止になるなんて想像もしていなかった。
飛行機もホテルもキャンセルしつつ有給申請はしてしまっていた私に残されていたのは、何もやることのない金曜日だった。
こりゃ昼から呑んでサンプル動画を漁るしかない、と思っていたが、財布に「お食事1,000円分券 by ニコーリフレ」が眠っていることを思い出した。期限は今月末。これは行くしかない。
サウナ室のテレビでは恵俊彰がコロナウイルスについて熱く語っていた。恵の野郎、お前はエアホッケーやってりゃいいんだよ!と完全な八つ当たりをしながらダラダラと汗を流した。
お食事券は豚丼に姿を変えた。搭乗券が紙屑に変わった一方で、幸せな豚がいたものだ。
[ 北海道 ]
2週間ぶりのさかえ湯。浴室入り口に「照明の一部が故障中」との張り紙が。
言われてみれば確かに薄暗いが、このほうが落ち着くので個人的にはこのままでよいくらいだ。
好みは様々だろうが、サウナ室もできれば暗い方がよい。飲み屋だってそうだ。
じゃあ全ての場所から光を奪うべきかというと、それは本意でない。
男子たるもの「ねえ、恥ずかしいから電気消して」と女の子に言われた経験が誰だって一度はあるだろう。
結果、枕元にあるスイッチを手探りでいじり回して部屋中の照明がMAXになったり、有線でユーロビートがかかったりして大慌て。男子たるもの、そんな経験が誰だって一度はあるだろう。
風呂もサウナも飲み屋も暗い方がよいのに、その時だけは電気をつけたままにしたい。わがままなものだ。
では、なぜ男子は明るいところでしたがるのか。答えは言うまでもない、見たいのだ。おっぱいやらアレやらコレやらを見たいのだ。
では、なぜサウナは暗い方がよいのか。答えは言うまでもない、知らないオッサンのおちんちんを見たくないからだ。
でも見ちゃうよね。さかえ湯の皆さん、すいませんでした。
[ 北海道 ]
しっかりと4セットをこなし、いざ浴後の一服へ。
と、喫煙所の戸に張り紙が。
「もうすぐ喫煙所なくなります」(大意)
うん、わかる。わかるよ、極楽湯。だって極楽だもんな。極楽でタバコ吸う奴なんていないもん。喫煙者は全員地獄に堕ちるからさ。針の山でechoかなんかを山ほど口に突っ込まれて「ほら、うまいだろう!好きなだけ吸え!」って言われるんだよ。鬼に。
「原始、サウナはオッサンのものだった」と中森明菜は歌っていたが、昨今では若者や女性の姿も多く見かける。時勢の諸々を鑑みても、喫煙所をなくすのは賢明な判断だ。
煙とともに有害物質を撒き散らすオッサンの行き先は地獄しかないのだ。あとニューウイングの4階。
[ 北海道 ]
つい先日まで「雪少ねぇな〜」とかいっていたのに、気がつけば例年並に積もっている。
さかえ湯の外気浴スペースにも、ちょっとした雪山が出来ていた。
よい塩梅でイスに座ってその雪山を眺めていたところ、手や足を突っ込んだと思われる形跡をいくつか見つけた。
いや、手や足どころではない。さらに目を凝らしてみると、尻や顔、あるいは上半身ごと飛び込んだであろう跡まである。like a 白銀荘というわけだ。
一流の猟師は雪原に残された動物の足跡から「こりゃ2歳の牡鹿だな。まだ遠くには行っちゃいねぇぞ」といった具合に、全てを読み取るという。
私も雪山に残された尻型から「こりゃ40代の公務員だな。まだ2セットしかこなしてねぇぞ」くらいのことは読み取れるようになりたいものだ。
[ 北海道 ]
珍しく土曜に飲み会が入った。
参加者の大半が会ったこともない人らしいということで、超絶人見知りの私としては陰鬱とした気持ちしかなかったが、そんな自分を奮い立たせるために飲み会前にキャビンへ。
なかなかの混み具合。しかも雪まつり期間のせいか国際色豊か。
いつもはサウナ室で一人になることも少なくないが、今日は常に相席状態。
そしてここでも人見知りが発動した。
キャビンのウリ(のひとつ)はセルフロウリュである。私も大好きだ。が、他のお客さんがいる場合は声をかけてから行うのがマナーだ。
これが私にとっては高いハードルなのだ。いい年をして情けないが、そういう性分なのだから仕方がない。
とりあえず頭の中でシミュレーションしてみる。
シンプルに「ロウリュいいっすか?」と穏やかに話しかけるのがよいか。
いや、もしかしたら相手はロウリュについて何も知らないかもしれない。となるとここは「熱したサウナストーンに水をかけ、発生した蒸気で体感温度を上げ発汗を促すというフィンランドに古くから伝わるサウナ入浴法いいっすか?」か。いや、ダメだ。確実に相手が怖がる。
いやいや、仮にもしうまいこと話しかけたとしても「嫌です」と言われる可能性だってゼロではない。その場合もシミュレートしなくてはならない。「そこを何とか!」と粘るべきか。泣きながら「死んだ親父が好きだったんです、ロウリュ…」と情に訴えようか。
悶々と悩んでいるうち、他のお客さんから「水かけていいっすか?」と声をかけられたので「もちろんです!」と満面の笑みで返した。
ありがとう、名もなきサウナ紳士。親父を死んだことにしようとした私は足元にも及びません。
[ 北海道 ]
噂には聞いていたが、浴室内の休憩イスが5脚に増えていた。隙間なく横一列に並べられたイス達。ありがたい。
私の知る限りにおいて、このようなイスの配置は珍しい。大概は分散して置かれたり、多少角度をつけて並べられたりしているものだ。
ところがこの壮観とすらいえる一直線。月刊ムーかMMRの愛読者であれば「惑星直列だ!」と戦慄するだろう。もちろん「惑星直列」には「グランドクロス」のルビをお願いしたい。
このイスに5人のサウナ戦士が揃ったシーンは想像するだけで神々しい。今日は残念ながら実現しなかったが、その場面に立ち会うことがあれば「ビンゴ!」「ツモ!」と思わず声をあげてしまうかもしれない。
あるいは5人という数を活かしてポーカーに興じるのもよいだろう。「ハゲのワンペア!」「マッチョのスリーカード!」と子供たちが楽しげな声を響かせる日が楽しみだ。「お前のせいで巨根のフラッシュにならなかったろ!」と言われないよう気をつけたい。
[ 北海道 ]
このところ睡眠が乱れている。
事の始まりは2日前の日曜夜。翌日からの仕事を見据えて早めに布団へ入るも、全く寝付けず。
こんな時は「ホットミルクを飲む」とか「静かな音楽をかける」とかがオーソドックスな策だろうが、私の選択は「枕元のiPadでPornhub」だった。
おまえ寝る気ないだろうと言われれば、「はい」以外の言葉はない。ティム・クックに殴られるなりジョブズに祟られるなりした方がよい。
そして翌日、月曜。「♪すいみん すいみん すいみん すいみん すいみん不足っ」という歌声とコロ助の顔が脳内を占拠する中で仕事をこなし、息も絶え絶えで帰宅。即ベッド&入眠。
が、寝るのが早すぎて中途覚醒を連発した。
そして今日。「♪ゆうべ眠れずに〜 泣いていたんだろ〜」という歌声と浜省のバンダナが脳内を占拠する中で仕事をこなし、さかえ湯へ。
ここまで睡眠が乱れると、強制的にリセットするしかない。サウナは質量ともに確実な睡眠を与えてくれる。パソコンもスマホも、調子が悪い時の初手は強制再起動だ。私はパソコンでもスマホでもないのだが、この際そんな細かいことはどうでもよい。
というわけで、これから私は布団に入る。ガブガブと昆布焼酎を飲みながらこの文章を打っていることと、iPadを携えてベッドに向かっていることが不安要素ではあるが、明日は溌剌と仕事をしているに違いない。ま、ちょっと覚悟はしておけ(さだ)
[ 北海道 ]
職場から30分歩いてガーデンズキャビンへ。ハワイ島は徐々に日本へ近づいているらしいが、キャビンも同じ仕組みで我が職場に近づいてきてくれないだろうか。
最近人が多いとの情報を耳にしていたが、行ってみれば先客はひとり。その彼は早々と出て行ったので、すぐにひとりとなった。
ひとり。素晴らしいことだ。
誰しも幼い頃に「もし地球上の人間が自分ひとりになったら…」と夢想したことがあるだろう。
私も御多分に漏れず「まずハローマック行ってスーファミのカセット全部持ってきて、それからダイヤ書店でエロ本とマンガ読みまくって、最後にカウボーイで焼き肉食い尽くす!」などとバカ全開の計画を立てたりしたものだ。それでは地球上から消された人類が不憫でならない。町内で十分だ。
サウナにひとり。
サウナは宇宙だ。
三段論法を用いるならば、私は宇宙にひとりということになる。二段目に相当な無理がある気はするが、細かいことは言わない。
スーファミを遥かに上回るスペックのハードがたくさん生まれ、ダイヤ書店は潰れ、焼肉はちょっとしか食えなくなった。
でも嘆くな、あの日の俺よ。お前はサウナを知る。
[ 北海道 ]
職場のみんなとタイ料理に行った。
オシャレなOLがやってるブログのような書き出しだが、実際は40間近のオッサンである。
たちが悪いことに、オッサンは少年の心を忘れていない。精神面での成長が小2で止まってしまっているのだ。
そんなオッサンはタイ料理屋でひたすら辛い料理を頼み続けた。小2的価値観では「辛いものが食べられる」=「カッコいい」からだ。
上司の「本当に大丈夫?」という問いにも笑顔を見せながら「全然余裕っす!」と答えてみせた。表情は極めて冷静。なぜなら、そのほうがカッコいいからだ。
実際は全然大丈夫じゃないし、余裕でもない。熱した釘を食ったほうがマシだとすら思った。
失神寸前の私に同僚の心ない言葉が襲いかかる。「めちゃくちゃ汗かいてるじゃ〜ん」と。
気がつけば、私の顔面は泳いできたのかというくらいベチャベチャだった。しかしカッコをつけたい私は言い放った。「僕サウナよく行くんで、汗かきやすいんですよ〜」と。
サウナのせいにしてしまった。すぐに後悔をした。私を何度も救ってくれたサウナを、だ。フィンランドだったら不敬罪で死刑だろう。
「謝っちゃおう!」と五郎さんは言っていた。許してもらえるかどうかはわからない。でも、まず謝ろう。気がつくと私は湯めらんどのサウナ室にいた。
珍しく他のお客さんはいない。私ひとりだ。「このたびは、激辛カオマンガイを食って汗だくになったのをサウナさんのせいにしてしまい、本当にすいませんでした」と呟いた。
サウナさんは言う。「辛いものが食えるとか、熱いサウナに長く入れるとか、別にカッコよくないからな」と。
仰る通りだ。サウナは常に正しい。
[ 北海道 ]
友人から「突然だけど、明日飲みにいかない?」とメールが来た。友人とはいえ、5年以上連絡すらなかった男である。本当に突然だ。訝しながらも了解すると「じゃ、少し早いけど昼12時に居酒屋○○で!」とのこと。ツッコミどころが多すぎる。
古い友人を疑いたくはないが、怪しい。きっと「画期的な儲け話があるんだよ!」とか「宇宙の終焉が近づいてるんだ!」とか、厄介な話が飛び出すに違いない。
サウナに入らずしてそんな話を受け止める自信はない。
そんなわけで居酒屋の前にニコーリフレへ。連休最終日とあって、午前中でもそこそこの混み具合。
蒸されながら脳内でシミュレーションを繰り返す。「お前のことは好きだけど、その壺は買えないよ」「お前のことは好きだけど、その未公開株とやらには興味ないよ」など、台詞もバッチリ。ありがとうニコーリフレ。
その後、友人氏と合流。「嫁が家でママ友会やるっていうんで居場所なくてさ」とのこと。友よ、疑ってすまん。新興宗教の話もネズミ講の話もありませんでした。
[ 北海道 ]
2020のサウナ始め。さかえ湯へ。
いつものように身を清め、いざサウナ室へ。テレビに目をやると「はじめてのおつかい」が流れていた。あの時の記憶がフラッシュバックする。
もうだいぶ前のことだ。金沢へ一人旅に出た。21世紀美術館を満喫し、寿司に舌鼓を打ち、旅の仕上げに駅前のアパホテルでサウナと洒落込んだ。
サウナ室のテレビでは「はじめてのおつかい」が流れていた。普段なら絶対に見ることはないが、チャンネルは変えられない。渋々眺めていた。
心の汚れた私は「これ、撮影スタッフ絶対バレてるだろ」などブツブツと悪態をついていたが、奮闘する幼子たちの姿が心の汚れを次第に落とした。
私は泣いた。号泣だ。サウナ室には幸い私しかいなかった。
時間を戻す。
さかえ湯のサウナ室。なかなかの人入りだ。同じ轍を踏むわけにはいかない。私のサウナスキルはあの時に比べれば飛躍的に向上している。大丈夫、何も心配はいらない。
数分後、サウナ室にはオッサンの嗚咽が響いていた。私のサウナスキルは何も成長していなかった。いや、そもそもサウナスキルに「泣かない」などというアビリティは含まれていない。
汗でごまかすとかいうレベルは越えていた。幼馴染みの通夜くらい泣いた。耐えきれずサウナ室を出たが、水風呂には先客。そのまま外気浴スペースへ。
外気浴スペースにもテレビがあることを忘れていた私はバカだった。チャンネルはもちろん「はじめてのおつかい」だ。寒風に身を震わせながらまた泣いた。
形式的に3セットこなしたが、キマるわけがない。3セット目のサウナ入室時には(おいおい、コイツまた来たよ!)というサウナ紳士たちの声が聞こえてくるようで、早々に出てしまった。
鈴木蘭々の「泣かないぞェ」を聴きながら帰路につきました。
[ 北海道 ]
想定はしていたがバカ混み。受付からして長蛇の列。ドラクエ3の発売日かと思った。
去年もこの時期に来たのだが、ここまでではなかったように記憶している。これがサウナブームというものか。
自分の好きなものやことが世間で流行るのは嬉しい反面、なんとも言えぬ寂しさもなくはない。インディーズの頃から応援していたバンドが売れた途端に「なんか変わったよね、彼ら」と言いだす女(当然ブス)の心境だ。
ロウリュの時間以外でも満席で座れずというタイミングがあり、しばらく足を踏み入れていなかったスチームに入室。思っていたより高温&テレビ無しで意外とよかった。インディーズの頃から応援していたバンドが売れたことに文句を言いつつもライブに行き、前座で出てきた若手バンドを素直に褒める女(これは少し可愛い)の心境だ。
明日よっぽどのことがなければこれが2019ラストサウナ。
サウナに行かざるを得ない「よっぽどのこと」って何だよとは自分でも思います。
[ 北海道 ]
「海へ行くつもりじゃなかった」というCDアルバムがある。誰もが知る大ヒットではないが名盤だ。
「○○へ行くつもりじゃなかった」という瞬間は少なくない。
例えばラーメンを食おうと思って家を出たのに、気がつくと匂いに誘われ何故かカレー屋。「ココイチへ行くつもりじゃなかった」だ。
今日の私は「サウナへ行くつもりじゃなかった」だった。
理由は2つ。
1つは今日が月曜ということだ。自分でも理由はよくわからないが、月曜サウナはあまり好かない。考えるに、通常であれば最も疲労の少ない平日である月曜にサウナへ行くことを非効率と捉えているところがある。超自我に潜む貧乏根性のせいだ。
しかし今日は想像を超える多忙ぶりで心身ともにズタズタだった。
2つ目はそこが極楽湯であったことだ。極楽湯は素晴らしい。ストロングスタイルのサウナ室はむしろ好みだ。
しかし職場から近すぎる。ともだちんこを上司と交わしてしまうリスクが高い。
しかし今日の私に遠くまで行くHPは残されていなかった。
「海へ行くつもりじゃなかった」と斜に構えて言っていたアーティストの片割れは30年後に「サウナ好きすぎ」という素直すぎる曲をリリースした。人は変わる。
月曜夜の極楽湯に飛び込んだ私は変われただろうか。
[ 北海道 ]
歯が取れた。正確には左上奥のブリッジが取れた。小学生以来の歯抜け年越しを迎えることになる。
しかし前向きに考えよう。これは歯抜けがサウナ体験に与える影響を考察するよい機会だ。花ゆづきへ向かった。
結論から言う。何の影響もない。わかっていたことではある。最近の私的トピックをサウナに結び付けたかっただけだ。
試しにサウナ室内の空気を大きく口に含んだりしたが、痛くもなければ滲みもしない。幼稚なことをした自分への嫌悪感だけが残った。
金曜夜なので多少の混雑は覚悟していたが、異常なほどに空いていた。多分、世の人々は忘年会やら何やらで忙しいのだろう。
「花ゆづき」から「は」を取ったら「なゆづき」だ。
またしても何も起こらなかった。
[ 北海道 ]
2週間ぶり2回目のさかえ湯。ラジウム泉でアップを済ませ、いざサウナ室へ。先客は2名。
タイミングが悪いことに、入室直後にサウナマット交換と相成った。
マット交換のスタイルは施設によって様々だ。一旦客を退室させる、複数のスタッフで一気に終わらせる等々。
さかえ湯は「妙齢のスタッフが十数枚のマットを抱えて単独作業」スタイルであった。
この場合、客は手伝う。頼まれたわけではない。自発的な行動である。私も手伝った。父親より年上であろう紳士2名と全裸、しかも汗だくでの共同作業だ。
通知表には「何事にも真面目で努力家ですが、もう少し協調性があるとよいですね」と書かれ続けていた私がである。
もし私が職を失い求人情報誌を見ることになったとしよう。「見知らぬ全裸中年男性と汗だくで共同作業をしていただきます!資格経験不問!」という求人があっても申し込むことは絶対にない。時給が幾らでもだ。
でも今日の私は無償で、いや、金を払っているにも関わらずそんな作業に取り組んだ。
もし今の私に通知表があれば「マット交換にも積極的で、マナーもしっかり守れています!もう少し冷たい水風呂に入れるようになれば花丸です!」と書かれるだろう。
通知表のことを通知箋って呼ぶのは北海道だけらしいからな。気をつけようぜ。
[ 北海道 ]
「好きな四字熟語は?」と問われれば答えは簡単、「有給休暇」だ。私が力士になった際の四股名は「有給休暇」でお願いしたい。
今日は水曜。週のど真ん中に有給を取ってやった。「こりゃ昼間から久々のニコーリフレだな!イェイイェイ!」と一人きりの部屋でダブルピースを決めたりしていたが、気がつけば時刻は16時。睡魔とプライムビデオのせいだ。
この時間からニコーリフレに行ったとて、仕事終わりの皆様と丸被り。有給でそれはないだろう。でもサウナには行きたい。
色々と思案した結果、初めてのガーデンズキャビンとなった。
新しいだけあってどこもかしこもピカピカ。よい匂い。サウナ室はノーTVなうえにセルフロウリュ可。施設にしてみれば好ましいことではないだろうが、人も少なくて快適。
TVのない静かなサウナ室で己と向き合っていると、浴室自体が地下にあるせいだろうか、かすかに地下鉄のガタゴトという音が聞こえてきた(幻聴の可能性あり)
この時間帯、くたびれた中年男性&女性が揺られていることだろう。私は優雅に有給サウナだ。
サウナ後、椅子に座って目を閉じているとArt of Noiseの「Robinson Crusoe」が聞こえてきた(これは完全に幻聴)
ガーデンズキャビン。キャビンとは船室のことだ。ロビンソン・クルーソーは船乗りだった。つまりそういうことなのだろう。
そういうことがどういうことなのか、私もわからない。それくらいキマッた。
[ 北海道 ]
さかえ湯を目指していたが、木曜定休であることに気づきクイックターン。右手に競馬場を望みながら花ゆづきへ。
「右手に競馬場って『中央フリーウェイ』みたいだな!」と思ったが、そもそも徒歩である。そして左手にはビール工場ではなくOCTA(ラブホテル)だ。そんな道をサウナに向けて進む中年男性のことを曲にするほどユーミンも暇ではなかろう。
館内にはクリスマスソングが流れ、「年越しそば予約受付中」のポスターが踊る。和洋入り乱れての年末感。「風呂屋がそば?」という感想は野暮だ。
外気浴中、微かに鈴のような音が聞こえてきたため「キマりすぎて脳がいよいよアレしたか…」と思ったが、館内のクリスマスソングが漏れてきていただけだった。メリクリ。
[ 北海道 ]
我々は常に栄光とともにあった。二者対立というシンプルがゆえに緊張を孕む関係性において、我々は常に優位だった。
もちろんパンツの話だ。我々トランクス派は蒸れ知らずの通気性、デザインと色の豊富さでブリーフ派を圧倒していた。
しかし、誰が第三勢力、即ちボクサーブリーフ派の台頭を予見できただろうか。
彼らの弱点は一目瞭然。言わずもがな、フロントの膨らみだ。
大きさ、形、向きまでもがはっきりとわかる。むしろ丸出しのほうが清いとすら思える生々しさ。着エロと同じシステムだ。だが、人々は恥ずかしげもなくボクサーブリーフを履いている。
私は屈した。ボクサーブリーフを携えて湯めらんどへ向かった。
今日の男湯は低温サウナ側。温度が出ていない気がしたので時間をかけて蒸した。
札幌は寒い。身体を外気に曝すと一気に湯気が立ち上った。早めにキマっていた私には、それがオーラや気の類に思えた。
「俺は強い」という考えが去来した。そしてこうも思った。今なら履ける、と。
しっかり水分を拭き取りH&M謹製のボクサーブリーフに足を通すと、私の私は優しく包み込まれた。何というフィット感。そこにボクサーの荒々しさはない。これは母だ。母ブリーフだ。
「気をつけてお帰りください!」という威勢のよいご主人の声とともに、サンタさんが私を見送ってくれた。
サンタさんのパンツを確認したい衝動に駆られたが、「たおれるので さわらないでね」と2色のペンを駆使した注意書きを前に諦めることとした。イメージ的にはトランクスだろうな。
日程や人数、部屋数を指定して、空室のあるサウナを検索できます。
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