【閉店】湯めらんど
温浴施設 - 北海道 札幌市
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我々は常に栄光とともにあった。二者対立というシンプルがゆえに緊張を孕む関係性において、我々は常に優位だった。
もちろんパンツの話だ。我々トランクス派は蒸れ知らずの通気性、デザインと色の豊富さでブリーフ派を圧倒していた。
しかし、誰が第三勢力、即ちボクサーブリーフ派の台頭を予見できただろうか。
彼らの弱点は一目瞭然。言わずもがな、フロントの膨らみだ。
大きさ、形、向きまでもがはっきりとわかる。むしろ丸出しのほうが清いとすら思える生々しさ。着エロと同じシステムだ。だが、人々は恥ずかしげもなくボクサーブリーフを履いている。
私は屈した。ボクサーブリーフを携えて湯めらんどへ向かった。
今日の男湯は低温サウナ側。温度が出ていない気がしたので時間をかけて蒸した。
札幌は寒い。身体を外気に曝すと一気に湯気が立ち上った。早めにキマっていた私には、それがオーラや気の類に思えた。
「俺は強い」という考えが去来した。そしてこうも思った。今なら履ける、と。
しっかり水分を拭き取りH&M謹製のボクサーブリーフに足を通すと、私の私は優しく包み込まれた。何というフィット感。そこにボクサーの荒々しさはない。これは母だ。母ブリーフだ。
「気をつけてお帰りください!」という威勢のよいご主人の声とともに、サンタさんが私を見送ってくれた。
サンタさんのパンツを確認したい衝動に駆られたが、「たおれるので さわらないでね」と2色のペンを駆使した注意書きを前に諦めることとした。イメージ的にはトランクスだろうな。
ブリーフ、トランクス、ボクサーブリーフの折衷案として「スライディングパンツ」という形態がひっそりと存在していることを忘れないで。どうか忘れないでやってください。マイ・タンスには「シャア専用」と大書された越中ふんどし(もちろん赤色)がひっそりと存在してますが、コレは忘れてもらって結構です。
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