ショーアウフグースの世界へようこそ(前編)|熱波をお届け!#4
熱波師のじゃがさんによる、熱波をもっと楽しむ方法を提案していく連載です。
みなさんこんにちは。熱波師のじゃがです。熱波してますよね?
連載もおかげさまで第4回です。この連載の読者なら、“熱波”や“アウフグース”と聞いたら、熱波師がお客さんにタオルを振るサウナ室での光景を思い浮かべることができるのではないでしょうか。
ただ、そんな光景とはまた違った世界があるのはご存知ですか。音響や照明を備えたサウナ室で、熱波師がショーを繰り広げ、観客は熱狂し時に涙する…。さらに、そんな熱波のショーの出来栄えを競う大会も存在します。
欧州を中心に行われているこの大会では、サウナ室で行われるパフォーマンスを競技として採点し、順位をつけます。近年、日本の熱波師にも大会を目指して日々研鑽を積む者もおり、世界大会に参入したばかりの日本人選手たちが快挙ともいえる好成績を収めるなど、盛り上がりを見せています。
今回は、そんないつもの熱波とはひと味もふた味も違った「ショーアウフグース」の世界に皆さんを誘いたいと思います。
ショーアウフグースについて
ショーアウフグースとは文字通り、ショー要素のあるアウフグースです。ショーアウフグースにはストーリーがあり、それを具現化するために音楽や小道具を使い、熱波師が演技とともに風を送ります。
いつものアウフグースが気持ちよく汗をかいてととのうためのものだとしたら、本格的なショーアウフグースは熱や香りだけでなく、ストーリー・音楽・照明といったショーの要素に、演者である熱波師のパフォーマンスが掛け算的に組み合わさった、五感で楽しむエンターテインメントです。
演劇のように、爆笑必至のコントから、展開の読めないサスペンス、感情移入してしまう感動劇までなんでもあり。演目に魅入ってしまうので、普段長くサウナ室にいられない人でも時間を忘れて蒸し上がってしまいます。サウナ室から出た時には、アウフグースを受けた時ともショーを観た時とも違う、新しい満足感を得られるはずです。
ショーアウフグースを観てみよう
字面を見れば魅力的なショーアウフグースですが、なぜこれまで日本で普及してこなかったのか?理由は様々ですが、単純にショーアウフグースを行う環境が無いというのが理由のひとつでしょう。
海外のサウナ施設は、サウナ室のキャパシティが100人規模のものが沢山あります。天井も高く熱波師から客席までの距離も遠いため、一度に多くのお客さんを満足させる手段の一つとして、ショーアウフグースが行われているのだろうと思っています。
一方で日本のコンパクトなサウナ室での熱波は、一人一人に風を送るスタイルが主流です。裏を返せば、日本のサウナ室はショーアウフグースに向いていないと言えます。
そもそも日本にはショーアウフグースという文化が根付いていません。日本式の熱波に慣れたお客さんだと、「演技とかいいから、ずっと風を送ってくれよ」と思う人もいるでしょう。ただ、サウナがもはや日常となったように、熱波やアウフグースがブームから日常となりつつあるように、ショーアウフグースもブームが到来すれば、お近くのサウナ施設でも受けられるようになると思うんです。
なので、まずはショーアウフグースの動画から、ショーアウフグースの世界へ一歩踏み入れてみませんか。
彼らは今年5月に神奈川県のスカイスパYOKOHAMAで開催された、ショーアウフグース世界大会に出場する日本代表を決めるための日本選手権「Aufguss Championship Japan(以下「ACJ」)」において、個人の部で好成績を収めた3名です。
ACJ2024 個人の部 1位
のこのこ窪田(sauna&bath NiHITARU)/ERIC
ACJ2024 個人の部 2位
Mino(ウェルビー栄)/愛の形
ACJ2024 個人の部 3位
まなみん(湯らっくす)/私の天職
ショーアウフグースの世界大会
ご紹介した3名は、9月にオランダで開催されるショーアウフグースの世界大会「Aufguss WM(以下「WM」)2024」に出場する個人の部の日本代表です。さらに団体の部に出場する3組がおり、ワイルドカードとして8月にチェコで開催されるプレイオフに出場する日本代表が個人1名・団体1組ずついます。
世界大会WMへの切符を得るためには、ACJの地区予選、日本選手権の予選を勝ち抜き、上位入賞しなくてはなりません。ACJは開催2年目のACJ2023で地区予選が導入され、ACJ2024では地区予選会場が5会場に拡大するなど、年々盛り上がりを見せています。
ショーアウフグースを受けてみよう
ACJの初開催を控えた2021年秋、音響・照明・スクリーンといったショーに必要な設備が備わったショーアウフグースのためのサウナ室「サウナシアター」がスカイスパYOKOHAMAに誕生しました。以降、2023年には名古屋のウェルビー栄、2024年には熊本の湯らっくすと、サウナシアターが誕生しています。
これらの施設ではほぼ毎日、スタッフによるショーアウフグースやゲストによるショーアウフグースイベントが開催されています。足を運んででも一見の価値があると思いますので、興味がわいた方はぜひお立寄りいただき、ショーアウフグースを体験してみてください。
今回は前編として、ショーアウフグースとその世界大会のことを紹介をしてみました。次回はちょっと進んでショーアウフグースの競技面について、少しだけ熱量を込めてお話したいと思います。では、また次回。
取材協力:Aufguss Championship Japan
記事サムネイルとして、湯らっくすサウナシアターの写真もご提供いただきました。ありがとうございました!