Shinichi

秋晴れ、快晴である。このような秋の日の朝、北欧の外気浴を味わったらなんてすばらしかろうと、もうサウナに到着する前から先走ってととのいそうな勢い。

30周年を迎えられたそうで、休日料金から500円割引されて入れることができた。おめでとうございます。ちなみに現存するサウナ施設で東京でもっとも歴史があるのは鶯谷のサウナセンターだそうで、2022年時点で49年とのこと。

体を清めつつ、サウナ文化というのは思っていたより最近なんだな、と思いを馳せ、まずはジェットバスで体温を上げる。ジェットバスに浸かりながら、東向きの窓から入り込む朝日に、泡がはじけて水面を跳ねる細かな水がきらめく。一秒間のあいだに何千何万と繰り返されるその様をぼんやりと見つめる。

サウナ室は、30周年を祝う寡黙な男どもで満室になっていて、３セットのうち２セットは、ドアの前で人が出てくる順番待ち。そこまでストレスも感じず、室内の朝の情報番組をなんとなく眺めつつ、頭皮からじんわり汗の書いてくる感覚や、手の甲や前腕に汗が浮かんでくるのを観察する。

体との対話、といえば大げさだけれど、こうして体の状態をつぶさに観察することは日常ではほとんどない。キンキンに冷えた水風呂に浸かり、吐く息が次第に涼しくなっていく様や、足先がピリピリしてやがて無感覚になることも同じで、体を通して自然とマインドフルな状態がやってくる。

そして外気浴も、ととのい椅子がさらに増えたようで待たされることもなく、足を広げてぐったりする。ほどよく冷たい秋風が巻いて体をさすっていくのも気持ちがいい。椅子に座りつつ心臓から勢いよくポンプが作用し、四肢に、そして顔を通して脳など全身に血がめぐられていくのをイメージする。

日々の生活での些末事や、勘弁してよと思いつつぶん投げられまくっている種々の仕事のことも、しばし忘れて、ただ心身が回復していくのを感じる。そうなのだ、人間の心身は、ニュートラルな状態であれば回復するのだ、と当たり前のこと実感として味わう。

最後はトゴールの湯にぷかぷか浸かり、ジェットバスに移ってから水面に爆ぜる泡の様子をまた眺め、最後に水風呂で締める。最高である。思わず「最高……」とつぶやいてしまう。

改めまして北欧さん、30周年おめでとうございます。これからも末永く、寡黙な男どもの癒しの場であり続けることを祈っています。

中年にもなると週５日勤務がしんどい。とくに木曜がしんどい。我ながらほとんど使い物にならない。週４勤務を国家のデフォルトにしてほしい。たぶんパフォーマンスは変わらないと思う。

と、泣き言を言ったところで仕事は消えてくれないので、週の最後の平日を乗り切るため、朝サウナで北欧に行く。出勤時間を考えると75分しか居れないので、もったいない気もするが、早く疲れからくる体の淀みを解消したい。

平日の早朝だというのに、15人くらいはいただろうか。まずは体を清めて、ジェットバスで湯通しをする。ジェットバスの泡沫を眺めているだけで、ざわざわした心が落ち着いてくるのを感じる。

サ室は、人が少ないからか最上段だと105～110℃くらいの高温。８分で出る。一方の水風呂もキンキンに冷えて12℃だったか。ありがたくいただく。外気浴スペースでは運よくフルフラットの椅子を利用できた。２セットこなす。

誰が言ったか、「生死の狭間」をくぐりぬけた後にやってくる、ととのいの恍惚。生き延びたことがありがたいと体が喜んでいる。こうなると（なげやりな気分ではなく）もう別に遅刻してもいいかー、とか達観した気分になる。

最後にトゴールの湯に体を浮かべる。空は雲一つなく晴れていて、風もおだやか。なんとなく体内の悪い気が薄まっていくのを感じる。

予定どおりの時間で北欧を後にする。頭がスッキリしたので、その日の仕事は大いにはかどり、無事に１週間が終わる。サ室と水風呂ほどではないが、実生活の「生死の狭間」も乗り切ることができた。サウナ文化に感謝。

朝サウナで６：００ごろにサウナセンターに入る。

清潔なお風呂場、ぶくぶくとしたジェットバス。サウナ室のぴしっと張られたマット、サウナ室前に置かれた麦茶と水のポット。頻繁に補充される紙コップ。キンキンに冷やされた水風呂。内風呂のベンチの近く、簾ごしの非常口から流れる外気……。

なんですかね。コンパクトで、そんな目立った設備があるわけではないのに、やっぱりサウナセンターっていいなー、すばらしいなー、としみじみ実感。

おかげさまで丸一日、集中して仕事に取り組めた。まっすぐ走り切るように夜まで仕事がはかどる。これもまたサウナの効用。平日３時間、1,500円のモトは十分に取れているというもの。

３連休の中日。前日に少し夜更かしし、目覚めたのは８：００。いつもより遅めの起床になった（小生、ふだんは６時台に覚醒している）

前日に、カプセルイン大塚に行こうと決めていたが、予想外の起床時間になり、行こうか行くまいかを迷いだすのは優柔不断な人間の悪癖。ただ、経験則として、迷ったときに実行して、後悔することはほとんどない。「サウナに行かなければよかった」なんてことはほぼ無いので、さっさと身支度して家を出る。

雨予報だったけれど、外に出てみれば朝日の差し込む曇りの陽気。外気浴が楽しみになる。大塚駅につき、北口に向かう。駅前にイベントエリアに「よさこい音頭」の看板。パイプ椅子がいくつか並んでいるが、何時開始なのかわからないけれど座っている人はほとんどいなかった。いったい何のイベントだろうか。

パチンコ屋の脇をとおり、カプセルイン大塚に到着。４階が受付で、２時間利用の精算をしてからロッカーキーを渡され、８階のサウナフロアへ移動。カプセルホテルでも、いろんなパターンがあるものだと関心する。４階からエレベーターで上がる際におじいさんスタッフが「いってらっしゃい！」と、わりと声量大きめで送り出してくれる。オーナーさんだろうか。

８階に移動して、ロッカーに服や荷物を預ける。２時間利用だからか、館内着は無いようである。浴室に入る。入り口付近の左側にサ室。壁際に洗い場がならび、奥に温かい風呂、手前に水風呂が配置され、水風呂はサ室のすぐ近く。噂に聞く導線のすばらしさ。

サ室は95℃前後。１段５～６人で２段造り。湿度もしっかりあって肌の痛みは感じない。クラウドファンディングで調達されたikiのサウナストーブの迫力たるや見事である。１５分おきのオートロウリュが熱が体を包み込んでくれる。

水風呂は13℃台でキンキンに冷えていて、すぐに出る。内風呂のととのい椅子がサウナ室近辺に４つ。ひそかに浴室の右奥に２つ、同じととのい椅子があり、そちらはすでに埋まっていた。なるほど、入り口とサ室に近いととのい椅子は人の往来があるし、水風呂に浸かる人によって水が溢れて足に冷や水がかかるので、奥の椅子のほうがコンディションは良く保てるかもしれん、とか思う。

２セット目以降は、外気浴に行ってみる。浴室から出てタオルを腰に巻き、休憩室手前の非常口を出るとビルの壁面と相対するベランダ？がある。ととのい椅子１つと２人掛けのベンチ。ベンチに座って外気浴を味わう。秋の風は心地よく、遠くでかすかに琴の音のような、風鈴のような音が鳴るのを聴く。風鈴、というよりウィンドチャイムといった趣きの音色である。

朝の逡巡はどこへやら、やはり行って良かった。

たまに気分を変えたくて、サウナ付きの都内のシティホテルに宿泊することを趣味にしている。今回は、同じ商業ビル内に「おふろの王様 大井町店」のあるアワーズイン阪急に行ってみる。

宿泊客なので、自室にあった白いバスタオルとフェイスタオルを持って、４階のお風呂の王様に向かう。噂に聞いていたが、とても大繁盛。１６時半ごろに入ったら洗い場やさまざまな浴槽に、主に若者中心に賑わっている。

個人的に、銭湯の混雑は、あまりに度を越さなければ嫌いではない。老いも若きも、こうしてお風呂やサウナで日々の仕事や学問で受けるストレスを緩和していると思えば、戦場から帰って温泉で傷を癒す古代ローマのテルマエ・ロマエの世界を彷彿とさせ、目に映る光景も愛おしく感じる、というもの。

サウナは２種類。浴場内にあるサウナは５段で１、２段目は１段あたり５人くらい座っていた。３段目から５段目は２人掛け。１、２段目だと、入り口の開閉に寄る風があたって熱が逃げる。３～５段目に座れたらラッキーかな。

露天ゾーンから入る漢方蒸風呂の名前のスチームサウナが素敵。椅子が合計７つ。しっかり熱く、塩も用意されていて肌に擦りこんで蒸されると心地よい。経験少ないけど、今まで行ったスチームサウナの中で一番好きかもしれない。

水風呂は、正確な温度は確認しなかったけれど、１５～１６度くらいで冷たい。深さもあってありがたい。露天ゾーンには２人は座れるベンチが３つ、ととのい椅子が６つあった。足を広げてぐったり、ととのう。

外と中で２つの高濃度炭酸泉のお風呂があって、ここにゆっくり浸かっている人が多かった。炭酸の刺激に血管が拡がっている感覚がして、健康になっている気がする。自分にしても、日々の戦いの傷が、少しずつ癒されるイメージがする。

土曜日の午後。

とあるホームサウナの一つに訪れると、下駄箱の空き具合からして混雑が想定される気配。受付でも２人待っていて、ようやく自分の順番になってみれば、店員さんが「いますごい混んでます……」との助言。お風呂もサウナも水風呂も待ちが発生しています、とほんとうに申し訳なさそうに仰る。

そもそも混雑は苦手である。そして気の弱い自分が「かまいません」と押し通るほどの度胸もなく、そしてここで強引に利用するのも店員さんに申し訳ないので出直すことにする。そしてふっと、松戸のクレストに行きたい、と思っていたのを思い出して、一度の電車乗り換えを経て松戸駅にたどり着く。

初めて利用したけれど、ジェットバス付の風呂の広大さといい、壁面に備え付けられた照明の大きさといい、何となく神々しさみたいな雰囲気も感じられる。天井が他のサウナ施設に比べて高いのかな？　風呂のそばの窓もあいまって開放感があるところも良い。

サウナは２種類あって、ストーンの積み上げられた広い方のサウナの方に入る。温度は85℃程度で、オートロウリュで高い湿度が保たれていて心地よい。サウナマットはビート版ではなくてタオル地のもので、お客様たちが出るときに滴った自分の汗をサッと拭いていく。ルールとして壁に掲げられているので、それを守っているのだけれど、それが当たり前になっているクレストの品位が素晴らしい。

水風呂は最初の１セット時に19℃台で、その後は20℃台になっていたと思う。サウナイキタイで収容人数６名とあるとおり、広さ十分。

室内にととのい椅子が３つと、ベンチが１つ。露店風呂ゾーンにもととのい椅子が２つに、ベランダ沿いに２つ藤スツール（と言っていいのか？）が置いてあり、外気浴の場所に困ることもなかった。

総じて、初めて来てみたが大満足なプチ・サ旅だった。

ちょっとしたサ旅の気分で、このごろは行ったことのないサウナに行くことを楽しみにしている。今回は巣鴨のサンフラワーが浴場もサ室も清潔で素晴らしい、と聞きおよんだので行ってみる。

そもそも館内着の肌触りがよく、早々に感動してしまった。また、ロッカーに館内着とともにタオル（大小）が置いてあるのだけれど、タオルが透明なビニールで包装されている、ということにも驚いた。初めての体験だった。

浴場は広々としていて、ジェット風呂と水風呂、ドライサウナとスチームサウナ。ととのい椅子が、ロッカーから直通の入り口付近に２つ、スチームサウナ周辺に３つ配置されている。

ドライサウナで３セット、スチームサウナで１セット。ドライサウナは座面が広いタイプで、しかも朝だったからか人もまばら空いており、心地よく蒸される。

上記の入り口付近に置かれたととのい椅子でぼーっとする。と、こまめにスタッフの人がゴミを出したり、洗い場に残った泡をシャワーで流したりするために、定期的にドアが開くので、それが外気浴の風に近い感じになって良い。

上野に北欧、鶯谷にサウナセンターや萩の湯、駒込にロスコがあるけれど、巣鴨にもサンフラワーという素晴らしいサウナがある。これらの駅は山手線の中では家賃が比較的安いけれど、今後はサウナ人気で価値が上がっていくかも？

そうあってほしいような、いや、いつまでもリーズナブルな土地であってほしいような。どっちつかずの思いを馳せつつ今日も楽しくととのうことができた。ありがたいものである。