ととのうの次はヘッドスパで“飛ぶ”⁉女性を応援するSANSUI SAUNA(千葉県柏市)サウナ誕蒸#4
サウナ大好きクリエイティブディレクターの相沢あいさんによるインタビュー連載。サウナを作った方の想いやこだわりなどを深掘りしていきます。
サウナ施設を立ち上げた方へのインタビュー連載「サウナ誕蒸」。今回は千葉県の柏駅から徒歩4分にある女性専用プライベートサウナとヘッドスパ施設「SANSUI SAUNA」。
仕事や子育てなど24時間365日フル稼働している女性たちが何もかもを忘れて楽しめる「サウナ」、ととのったあとに新感覚“飛ぶ”を体感できる「ヘッドスパ」、入り口から360度楽しめる「アート」を融合した、没入型リラクゼーション施設です。
ただですら珍しい女性専用サウナに、なぜヘッドスパを掛け合わせた施設を作ったのか?オーナーの松島亘さんにお話を伺いました。
松島亘
CONKS GROUP代表2007年株式会社FU-DOを設立。美容院のCONKS GROUPとして千葉県の我孫子市にCONKS、柏駅前にSUNNY’S、2019年には台湾にCONKS JAPANを出店。2023年、柏駅前にヘッドスパとサウナが融合した女性専用施設「SANSUI SAUNA」をオープン。
頑張る妻のために、女性のための癒やし空間を作りたい
── サウナを作ろうと思ったきっかけは?
僕自身、サウナに入り始めてから体や心にたくさんの良い影響がありました。サウナの魅力を知って以降、いろんなサウナに行ったり、医学的見地からサウナを勉強できる教室に参加したり、サウナが好きすぎるあまり事務所にサウナも作ってしまうくらい。この体験を一番味わってほしかったのが妻でした。
2人の娘を育てながら家事に育児に仕事に休む間もなく頑張る妻を見て、女性が「心から癒される場所」の必要性を感じ、妻をペルソナに据えたので、「どうやったら妻がご機嫌になるか」を考えるところからスタートしました。
美容室のお客様方は、キレイはもちろん癒やしも求めているのですが、世の中には女性が入れるサウナが少なすぎます。僕の地元 柏には、駅前にサウナ施設が一軒もないので、僕が作っちゃおう!と。
── 総合プロデューサーにアーティストのMASAKO.Yさんを迎えたのはなぜですか。
系列のSUNNY’Sという美容室を作る際、装飾としてMASAKOさんに13枚の絵をご依頼したのですが、僕の人間性など丁寧にご理解いただいたうえで、とてもかわいくて素晴らしい絵を描いてくださったんです。それがご縁で、女性専用サウナならMASAKOさんに!とプロデュースをお願いしました。
日本の文化的な歴史を再考しながら、現代における新しい表現の拡張を得意とする方なので、静かな石畳のアプローチの先にある金箔を施したパウダールームは圧巻です。このパウダールームはMASAKOさんが手作業で10.9cm角のオリジナル金箔を約2000枚も貼り付けて制作しました。
どこを切り取っても映える、ストーリー性の高いアート空間ができるまで
── SANSUI SAUNAという名前に込められた想いとは?
女性を応援するための施設にするには、ぼ〜っとできる空間、すなわち没入できる空間が必要だと思いました。そこで思いついたのが「山水画」です。
山水画とは山や水など自然と人と小屋などを題材に、現実とかけ離れた創造の景色を描く東洋画で、「自然の中において人間はちっぽけな存在」であることを表しています。サウナ後にととのった時の、「あ〜なんかもうなんでもいいや〜」と思えるあの感覚にリンクするものを感じ、「山水画」を現代に訳した世界観を構築したいと思い名付けました。
SANSUIでは山水画に描かれる定番のモチーフを体現していて、“山”は比叡山ソファー、“水”は滝をイメージした波状の壁、“家”はヘッドスパの施術をする茶室、“人”はお客様です。SANSUIの世界に心身ともに没入し、サウナで体をととのえて、スパでリフレッシュすることで、幸せな気持ちになってほしいと願っています。
── これだけこだわった世界観を具現化するのは大変だったのではないでしょうか。
他に類を見ない施設なので参考になるものもなく、僕やアーティスト、設計者、施工者が各々の専門分野の知見を集め、実験実証を重ね、空間にひとつひとつインストールしていく…そういった制作の繰り返しでした。
Atelier matic外山氏が手掛けた飛石、粗い質感で掃き付け仕上げした洞窟のような壁、金箔パウダールーム、比叡山の写真に柄を描き組み上げられた比叡山ソファー、オリジナルローラーで滝が流れる様子を表現した壁、たゆたう水面を表現したニジミナト氏の滝ライト、にじり口 のような扉と八つの和紙張り小窓を設けた茶室と苔屋根などなど…。
「全てアート作品」だという意識のもと制作をしたので、どこを切り取ってもオンリーワンな空間になったと思います。休憩エリアで羽織るガウンもオリジナルですし、SANSUIではオリジナルじゃないものを探すほうが難しいですね…(笑)。
ベーシックながらこだわりが詰まったサウナ室と水風呂
── 異世界感ある休憩エリアに比べ、サウナ室と水風呂はベーシックかつ「好きな人がこだわった」という印象を受けました。
サウナ室は僕が主導して作りました。ほかをアートな空間にしたので、サウナと水風呂はサウナ初心者から上級者まで幅広い層の女性に楽しんでもらえるように設計しています。
様々な女性の意見をリサーチし、サウナ室を対面型ではなく一方向にしたり、更衣室やソファーの形状も女性同士であっても裸をつき合わせないので、一緒に来た方を気にせず自分の世界に集中しやすいはずです。
特にサウナの背もたれの角度や頭の位置などは綿密に計算しました。科学的に人間が最もリラックスできる角度は120〜135度だといわれているので、サウナも比叡山ソファーも、ヘッドスパもこの角度。
サウナではうつむいて過ごす方が多いと思うんですが、うつむいてる時って悩んでいる時じゃないですか。逆に斜め上を見ている時はなぜか嫌なことがあっても、ちょっと前向きになれるし、角度的に首も楽。斜め上を見るサウナは、入っている時の気持ち良さが格別です。
サウナマットはよくある黄色い薄いマットではなく、大阪出張の時に「これだ!」と惚れ込んだ厚手のワッフルマット。弾力があってフワフワだし、座面が熱くない。生産中止になっても困らないよう、大量にストックしてあります!
── ストーブはサウナのサイズに対してかなり大きなものを入れてますね。
絶対にアチアチなサウナにしたかったので、HARVIAお勧めのサイズよりオーバースペックなストーブを入れて、女性が利用しやすい温度設定にしたセルフロウリュサウナです。
汗を含んだ嫌な空気がサウナ室に滞留しないよう空気の流れもシミュレーションしているので、コンディションに応じて調整できます。
水風呂も2人入れるサイズです。内側にも外側にも階段を付けて、転ばないよう手すりも付けました。深さも二段階あるので、屈伸すると肩まで浸かれます。
サウナを出たらそのままヘッドスパで「飛ぶ」
── ヘッドスパとサウナを掛け合わせたようと思ったわけは?
サウナで心身がととのった状態で、僕らの本業である美容室のヘッドスパを行うと、頭皮の臭いの原因を取り除くことができますし、毛穴がキレイになることでキレイな髪の毛が生えやすくなる効果があります。
SANSUIのヘッドスパは頭浸浴からスタートして、フェイスラインへと流れ続けるお湯の音も聞きながらリラックスモードに体が切り替わり、その後のシャンプースパで頭の筋肉を揉みほぐして血行を促進させます。
弊社ではヘッドスパのコンテストを毎年行うほど、ヘッドスパ技術に自信がありますし、ヘッドスパ後には美容室でも使用している集中トリートメントも行えるので、美容室での仕上がりのようにサラサラツヤツヤ髪でお帰りいただけます。
── ヘッドスパを受けながら、あまりの気持ち良さに意識が遠のいてしまって…(笑)。
9割の方は寝てしまいますね。SANSUIでは「ととのう」の先を「飛ぶ」って呼んでいます。サウナが好きな方なら「ととのう」の感覚はわかると思うのですが、美容師免許を持ったスタッフによるヘッドスパで意識が「飛ぶ」のは、ここでしかできない体験です。
ヘッドスパに定評がある精鋭スタッフたちには、ヘッドスパニストではなく、「プロの飛ばし屋」という特別な称号を与えています。意識が「飛ぶ」気持ちよさを知って、リピーターになる方も多いんですよ。
── 美容室を経営されているだけあって、シャンプーやコンディショナーにもこだわりを感じました。
美容室って下水に色々なものを流すので、環境に申し訳ない側面もあります。なのでSANSUIでは、髪にも環境にも優しいものを選びたくて。でも「オーガニック」って定義が曖昧なので、本物ではないものも沢山あるんですね。
実は最初は別のものを仕入れたんですけど、人にも環境にも優しく抜群に香りが良いAUTHENTIC BEAUTY CONCEPTに出会ってしまったので、「これしかない!」と切り替える決断をしました。ヘッドスパを受ける際は5種類からお選びいただけるので、好みの香りで癒やされますよ。
── 松島さんの高いSDGsへの意識は、どこに起因するのでしょうか。
趣味のサーフィンかもしれません。昔から続く習慣で、海という自然に遊ばせてもらうお返しに、上がった後にはゴミ拾いをして帰るんです。
またこれは僕が指示しているわけではないのですが、美容室の各店舗でも週に1回、スタッフ全員で街のゴミ拾いをしているので、環境のことを考えるのは会社のカルチャーでもあるんですよね。
「頑張る女性たちの活力となる施設を作りたい」ただ一つの想いで…
── これだけ世界観のある施設を作るのは大変だったのでは?
僕が事業計画を立てる時には「超最高」「最高」「普通」「ちょいマイナス」「最悪」の5パターンを想定するのですが、どれも会社の財務的に問題なかったので「じゃあ作ろう!」と踏み切りました。
でもいざ作り始めると、アーティストも設計士も施工会社もみんなプロですから「もっとこうしたい」「これは違う」と、切磋琢磨していくうちに工期がどんどん伸びちゃって、2022年12月完成予定のはずが、プレオープンできたのが2023年6月。グランドオープンが10月1日でした。
僕はコンセプトを伝えたら口を出さないと決めているのですが、1年3ヶ月カラ家賃を支払いながら「本当に完成するんだろうか」と不安で、趣味のサーフィンにも行けなかったし、夢に出てきてうなされたりもしましたよ。でもプロの本気を前に、僕ができることは帳尻合わせくらいですから、じっと見守っていました。
皆さんに一所懸命に進めていただいた結果、ここにしかない素晴らしい施設ができたので、完成したときは泣きましたね。当初の予算を大幅にオーバーしちゃってるから、もはや回収とかあまり考えてません…(笑)。一人でも多くの女性に喜んでもらえたらと願うばかりです。
── サウナ利用中の託児所無料は、本当に女性ファーストなサービスだと思いました。
子育て中のママが一番ほしいものが一人の時間だと思うんです。子どもを連れてきてしまうと場所が変わっただけで、僕らが提供したい真のリラックスは得られなくなってしまう。
だから徒歩圏内の託児所と提携して、無料で150分間子どもを預けられるサービスを始めたんです。人件費とか考えると赤字になっちゃうんですが、ママは特別。どんどん使って、「SANSUIに行ったからリフレッシュできた!」と活力を得てほしいですね。
LINE@でご連絡をいただければ、体験ギフトとしてプレゼントすることもできます。パートナーや恋人、お世話になっている方へのプレゼントにもおすすめです。
── 男性から「イキタイ」の声が多いのではないでしょうか。
めちゃくちゃ多いです(笑)。でも男性も使う施設だと躊躇する女性もいるので、現状の方針では友人だろうと全員断っていますし、メンズデーもやりません。取材や工事などやむを得ない理由で男性が立ち入る際は、必ず立ち合って変なことをしないか目を光らせているので、安心してお使いください。
もっと多くの女性にサウナの魅力を知ってもらい、SANSUIの「ヘッドスパ×サウナ」が、頑張る女性の活力になるよう願っています。
今回も楽しいお話しありがとうございます✨ サウナのあとのヘッドスパ、最高に決まってるじゃないですかぁー またイキタイが1つ増えましたー🍀
「メンズデーやりません」情報,ありがとうございま…す!
こだわりとユーザー目線に乾杯🍻