ショーアウフグースの世界へようこそ(後編)|熱波をお届け!#5

ショーアウフグースの世界へようこそ(後編)|熱波をお届け!#5

熱波師のじゃがさんによる、熱波をもっと楽しむ方法を提案していく連載です。

みなさんこんにちは。熱波師のじゃがです。熱波してますよね?ね?

これまで熱波のジャンルを1つ1つ掘り下げてきましたが、私の並大抵ならぬ「ショーアウフグース」への想いゆえに語りたいことが多すぎるので、記事を前編後編にわけてお届けします。

前編では「ショーアウフグース」がどんなものなのか、そしてショーアウフグースの世界大会があることをお話しました。後編となる今回はショーアウフグースの大会の競技面を、私見も交えながらお話していきたいと思います。

競技としてのショーアウフグース

スポーツには陸上や水泳といったタイムを競う競技や、球技や武道のような対決により勝敗を決める競技があります。ショーアウフグースはというと、体操やフィギュアスケートのようなパフォーマンスに点数をつけて、点数を競う採点型競技です。ですから、競技としてのルールがあり、パフォーマンスの採点基準があります。

アウフグースを受けたことがある人であれば、心地よく体感温度を高める「熱の上昇と配分」であったり、タオルパフォーマンスである「扇ぎのテクニック」、アロマの使い方や組み合わせといった「香りの使い方と量」という基準は想像しやすいのではないでしょうか。

他には「テーマとショーの構成」「審査員の個人的評価」といったショーとしての項目や、サウナならではともいえる、サウナ室を管理しお客さんを預かる者としての「プロフェッショナリズム」があります。

2〜3人で行う団体部門にはチームの連携具合「チームスピリッツ」が加わり、これら6〜7つの基準下にある採点項目によって、審査員が客観的な点数を示します。

2020408304世界大会の日本予選「Aufguss Championship Japan(ACJ)」の採点表。項目ごとに点数配分があります。「テーマとショーの構成」の配分が一番大きいです。

当たり前ですが、審査員は私みたいなそのへんのサウナ好きがなれるわけではありません。ショーアウフグースを競う世界大会「Aufguss WM(以下「WM」)」の審査員資格を持つ公式審査員が、複数名体制で審査をします。ACJでは日本人だけでなく複数名の海外審査員が来日して審査をするので、演目の内容も言葉や文化の壁を越えるものである必要があります。

競技の世界ですから、勝つために大事なのは「点数を稼ぐために審査員に向けてパフォーマンスをすること」だと思われるかもしれません。しかしそれだけではないのが、競技ショーアウフグースの面白いところ。

私は第1回大会から様々な立場でパフォーマンスを観るなかで、「あ、これは…」と結果の手応えがうっすらとわかるようになりました。判断基準は演目中のサウナ室内の盛り上がりと、サウナ室から出たお客さんの表情です。結局のところショーアウフグースというものは、いつものアウフグースと同じようにサウナ室にいるお客さんを満足させる競技なのでしょう。

2020408305© Aufguss Championship Japan 2024

選手としての熱波師

選手たる熱波師にも出場資格があります。熱波師としての活動実績云々ではなく「サウナ施設に勤務していること」です。これで大概のフリー熱波師は出場できなくなりますが、裏を返せばWMというのは、普段はフロントで接客をしたり浴室清掃をするような施設スタッフさんが選手として表舞台に立つ、プロのサウナ施設スタッフによる大会だといえるでしょう。

ショーアウフグースはいつものアウフグースよりも様々なことができるゆえに、準備も大変です。普段の温浴施設業務の傍らで時間・エネルギー・お金等々といった自分のリソースを割くことはもちろんですが、ショーアウフグースを創るためにはショーの構成・音楽・演出・衣装・小道具・照明等々といった通常のアウフグースとは異なる要素が求められます。

レオナルド・ダ・ヴィンチ級に器用な人を除き、大抵は施設のスタッフさんと協力して施設一丸となって演目を創り上げていきます。なかには舞台作家や演出家といった外部の専門家と連携する人もいます。ショーアウフグースの選手に求められるものは、タオルテクニックといった個の力を高めることよりも、自分にはない様々な要素を他から得て、人をまとめ上げて一つの作品を創り上げる組織力なのかもしれません。

2020408302© Aufguss Championship Japan 2024

繰り返しになりますが、ショーアウフグースを創り上げるのはとても大変です。しかしながら死に物狂いの努力が報われるとは限らないのが競技の難しいところ。採点競技は特に残酷で、選手本人にも何がよくて何が悪かったのかわからないまま勝敗が決まっていく一面があります。

演者にとってパフォーマンスとは人生そのものを投影するような側面があるゆえに、求める結果に届かなかった時には、自分自身を否定されたかのような辛さを覚えることもあるでしょう。

後述しますがショーアウフグースの盛り上がりとともに競技レベルも年々上がっており、演者たる熱波師にバックグラウンドが求められるようになってきていて、ひたむきな努力だけでは届かない世界になりつつあります。

そんな大変な思いをした選手に大会直後、「来年も出るの?」と聞くと、「わからないな〜」といいつつも、大抵は翌年も出場しています。今年味わった産みの苦しみと同じくらいか、もっと苦しい世界が待ち受けているということは、選手本人が一番わかっているはずです。

何がそこまで突き動かすのでしょうか。背負っている施設であったり、応援してくれる人であったり、舞台での輝きが忘れられなかったり、舞台に立つから自分があるのだったり。理由は人それぞれですが、それだけ惹きつけるものがショーアウフグースにはあるのかもしれません。

世界からみた日本のショーアウフグース

ショーアウフグースを競う世界大会として「WM」がありますが、世界大会を経験した方曰く、「日本と世界のショーアウフグースは根本から違う」そうです。サウナ室の規模であったりパフォーマンスのレベルもありますが、「考えていることやっていることの次元が違うような感覚」なのだとか。

日本は2022年からWMへ正式に参加するようになり、世界の空気を肌で感じた選手たちが、帰国後にあらゆる場所で本場のショーアウフグースの経験を伝えてきました。ある意味チームジャパンとして成長してきた結果、ACJ2023日本選手権では、個人団体の部の両審査員長が「全選手がWMの最低基準を満たしている」と話したほどに、日本の競技レベルは現在進行形で急速に上がり続けています。

ACJを通過したショーアウフグース日本代表は初参加のWM2022では団体の部で決勝進出、参加2年目であるWM2023では団体の部で優勝を果たす快挙を遂げました。彗星の如く現れた日本には世界のアウフグースシーンも注目をしているそうです。

2020408303© Aufguss Championship Japan 2024

日本代表を応援しよう!

今年のWM2024は9月9日〜9月15日(現地時間)の間、オランダのThermen Busslooにて開催されます。日本代表は前編で紹介した個人の部3名に加え、ACJ2024の上位3組とチェコで行われたプレーオフを勝ち抜いた1組を加えた下記の団体4組が出場します。

ACJ2024 団体の部 1位
Steam♡Twins (サウナ&カプセルホテル北欧)/奇跡の人

ACJ2024 団体の部 2位
クロウゼン (レンブラントキャビン&スパ新橋)/研究者と犯罪者

ACJ2024 団体の部 3位
Moni×Aya (渋谷SAUNAS)/Carry on

ACJ2024 団体の部 4位
WM2024 PLAY OFFS Team Competition 3rd Place
大東洋レディス (サウナ&スパ カプセルホテル大東洋レディス)/The Happy Bakery

日本勢の活躍を期待し、日本からオランダのサウナ室に向かってエールをおくりましょう!

ではでは。

取材協力:Aufguss Championship Japan
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