ふちうサウナ

「世界という言葉で、まずおもいえがく風景はどんな風景ですか」（長田弘）

世界は大きすぎて手に負えないけれど、夜になると思い浮かぶのが境南浴場の看板の灯り。
で、来てしまうと。

「『孤独は良いものだ』ということを我々は認めざるを得ない。しかし、『孤独は良いものだ』と話し合うことのできる相手を持つこともまた、ひとつの喜びである」（オノレ・ド・バルザック）

静かな観音湯のサウナ室に「お前ただ友だち少ないだけじゃね？」と言われた気がした。
ちくしょー。

水風呂も冷たいが外気浴もキンキンだった。

「昨日は終わった。明日はまだやってこない。今日はここにあります」（カール・サンドバーグ）

家族が寝てから境南浴場に向かう時間は、明日でも昨日でも今日でもない気がする。
どの日にも属さない時間。
外はかなり寒くなってきたが、水風呂の冷え込みはそこまででもなく、ここの柔らかい水の良さが一番出るくらいのところだった。

湯上がりのクラフトビール。
帰りの電車でちょっとオーバーランすれば無休の銭湯サウナがあるのだから、桜湯の復活はありがたい。
ただ今日もお客の入りが少々寂しい……
みんなにも通ってくれ！とまでは言わん。
ただ一度は来てみてほしい。
偶然会えたら、樽平で一杯奢ってもいいよ。

「僕は世の中のこと全てを忘れて暮らせたらどんなにいいかと思ってるんだ」（『ムーミン』スナフキンのセリフより）

1400円で3時間だけ全てを忘れて過ごしたつもり。
とはいえサウナ室では「川崎麻世助かったなあ」なんて会話もされていて、そういう感じの俗世間は嫌いじゃない。
サウナ、水風呂、そしてやはり北欧は外気浴。
結局晴れの日の外気浴が一番気持ちがいいのかもしれないと思った。
青い空の解放感。

「察しはつくだろうが私にはまるで金がなかった。とは言えそんなものを見て少しでも心の動きかけた時の私自身を慰めるためには贅沢ということが必要であった。二銭や三銭のもの……と言って贅沢なもの。美しいもの……と言って無気力な私の触角にむしろ媚びて来るもの。……そう言ったものが自然私を慰めるのだ」（梶井基次郎『檸檬』より）

今夜の境南浴場はレモン湯。
レモンがたくさん入ったネットに寄り添うようにして温まった。
しっかり温まった後のサウナはより熱く感じる、というより実際いつもより湿度があって、しかももうお客さんも週末を諦めた時間帯なもんだから出入りも少なく、体感温度が高かった。
当然水風呂渋滞もなし。
お疲れさまでした。

ブラタモリが高知だったのでついテレビから離れられず、ロウリュが受けられなかったことだけが誤算だったので四万十川の沈下橋の写真を置いときます。
土曜日でお客さんが多めだったけど元々器の大きい健康ランドタイプの店舗、サウナにも水風呂にも渋滞の発生は皆無でありがたい。
親子連れが多くてプールで泳ぐことはできなかったけれど、これでいい。
JNファミリーは賑やかなくらいでちょうどいい。

金曜夜、ととのい椅子より少ないお客さんにやや危機感を覚えてしまう……
いや、まだ始まったばかり。
これからだよな、俺も桜湯も。
駅からのアクセス抜群な府中の銭湯サウナ、応援してるからまた行く。

「なんでも最後は大丈夫で問題ないんだ。大丈夫でなかったら、まだ最後ではないということさ」（ジョン・レノン）

一日の最後は境南浴場でもう大丈夫、これで明日もなんとかなる。
22時過ぎに入ったけどお客さんは多かった。
みんなサウナ室にビートルズ聴きに来たの？

心がわびしくなった日は 寂しい駅の銭湯へ行こう

明るいコンフォートサウナはまさに中温中湿で発汗良し、流れが豊かな水風呂はサウナ利用客専用スペースにある。
有名にならなくてもいいけれど（お店はどう思ってるか分からんが）、もう少し知られてもいいのではと思う。
前に来た時もこんなこと言ってた気がする。

「妻はクロをなでながら『私が決めたから私を恨んでね』と言った。ああそうか、『恨んでね』って『忘れないでね』って事か」
（『猫ちゃん狂想記』より勝手に抜粋）

みんなが眠ってしまったら 路地の向こうの銭湯へ行こう

前々回は平日昼、前回は平日夜、いずれも空いていたのだが日曜夜の今日はまずまず混んでいた。
ただサウナ利用客はそれほどでもなく、したがって水風呂渋滞が起こることもなく、快適だった。

なんとなく覚えてもらえたのだろうか。
帰りにはご主人とニッコリ笑ってから店を出るところまでが観音湯。

今日は境南浴場＋あの角を曲がる前のときわで新年会の日。
でんぼうさん、D水さん、ZAWAさんお疲れさまでした（男ばっかし）。
昨日はサウナに行く気が全く起こらず、そして今日。
素直に行く気になったから、入った。
1日抜いた分気持ちよくなって……というほどでもなく、いつもの感覚だった。
なんか前にね、「サウナ好きで馬券買ってる奴は快楽主義者」と知らぬ人に断定された理不尽さと腹立たしさがまだ消えていない。
身体の訴えに耳を傾けながら、快楽以外のものを目的にサウナに入っている。
その快楽以外のものをうまく言語化したところで、お前には教えてやらない。
あ、境南浴場は相変わらず良かったです。
おやすみなさい、また明日。

ロウリュを受けてかき氷も食べてさて帰るかと精算を終えた瞬間に、カウンターの向こうから無慈悲な熱波師が現れた。
人はいつでも見られているし、そのことを決して忘れてはいけないということだ。
明日24日はロウリュマイスターデー、最近ロウリュ隠居を決め込んでいるその無慈悲シダネスが直々に腕を振るうらしい。

6人に殴られて5人に刺し返したような一日だったが、最後に観音湯で癒されたから全て帳消し。
ここの銭湯のロケーションは奇跡だと思う。
今度は星が見える空の日に来て外気浴したい。

夜遅くなればなるほど、ポツンと輝く看板の光が優しく見える。
サウナ室はやっぱりマット変えてから快適になった。
水風呂は相変わらず柔らかい。
これで明日も働けるか。

「北関東にこんな水風呂があったのかあ」が感想。
群馬、栃木、茨城は何とかランキング的なものでは大概ワースト3にされてしまうが、もちろんいいところもたくさんある。
ダメと評価されているというより知られていない（知ろうとしてもらえない）のが問題だと、かつての館林市民は思う。
入口にサウナイキタイのポスターが貼ってあって、雰囲気自体は東京の銭湯と変わらない。
サウナも100℃超えで銭湯サウナとしてはなかなか、休憩スペースは天井に穴を発見したから外気浴と認定してあげたい。
ナイス銭湯。

ここ都留はどこにいても川や用水路を流れる水音が聞こえてくるような、水の豊かな土地。
18年前に俺が住んでいた頃は日本で2番目に水道代が安い自治体だと言われていたが今はどうなのだろう。

泰安温泉の定員3人のサウナで熱くなり、1人用のキンキン水風呂で冷却するもよし。
新しく大きなより道の湯でゆったり過ごすもよし。
スターらんどでオールドスタイルの熱々サウナを早朝から楽しむもよし。

多くの人にとって富士山や河口湖方面を目指す際の通過点になってしまうのが都留だが、気が向いたらでいいからちょっと寄ってあげてほしい。
それに吉田うどんは都留でも食べられるから。

疲れていると、北口の梅の湯よりも静かな南口の高砂湯に来てしまう。
ピース又吉は立川は東京の中心であると友達から言われ、来てみたらそうではなかったという話を書いてたな。
でも高砂湯には都会の谷間の雰囲気がある。
他では受け入れてもらえない彫り物のお客さんが1人、2人、3人と。
団体客お断りの貼り紙もまた異端、おそらくマナー良く入れば問題ないんだろうけど。