アール・ヌーヴォー様式の市民プールサウナ「Volksbad」でととのう

アール・ヌーヴォー様式の市民プールサウナ「Volksbad」でととのう

2023年にドイツで行われた国際サウナ会議にサウナイキタイが日本代表として参加してきたことをきっかけに始まったドイツのサウナ連載。

サウナは五感で楽しむもので、熱い冷たいはもちろん、ロウリュの音、アロマの香り、風景など、すべてが体験に作用する…といわれています。でもこれはわかりやすく説明するための方便で、もっとリアルに考えると「そこにどんな空気が流れているか」が実は一番重要だったりしますよね。

建築、清潔さ、施設が積み重ねてきた歴史、営む人々、集まるお客さん、すべてが複雑に絡み合い、サウナ体験を大きく左右します。銭湯サウナを例にとっても、スペックや要素だけで魅力は語れないですからね。ドイツのサ旅、最後にご紹介するミュンヘンの「Volksbad(フォルクスバッド)」は長い歴史をもつサウナです。重くて大きな扉を開けると、220年の歴史が空間に封じ込められていました。

※注:撮影不可につき、施設の画像はMüller’sches Volksbad公式サイトより引用させていただいております

1901年開業、歴史の重みを感じるサウナ

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ミュンヘンはバイエルン州、元バイエルン王国があった地域です。ドイツの中でもちょっと独特といわれていて、日本でいえば大阪や京都といったイメージでしょうか。歴史ある建造物も多く、観光地としての人気も非常に高い街です。ちょっと散歩していると突然「なんだこれ!?」と驚くような美しい聖堂が次から次に現れます。

「Volksbad」はミュンヘン中心街からほど近い、イーザル川沿いにあります。創業はなんと1901年。まだ自宅にバスルームを持つことが難しかった時代に、シャワーも利用できる市民プールとしてオープンしました。日本の銭湯と近い存在といえるでしょう。

豪奢なアール・ヌーヴォー様式

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「Volksbad」は建物全体がいわゆるアール・ヌーヴォー様式で、花や草木といった有機的なモチーフが至る所にあしらわれています。ここが日本でいう銭湯なの?教会や聖堂じゃなくて?と圧倒されるほどの荘厳な迫力があり、中に入るのを少しためらうほどです。

v4(出典)Müller’sches Volksbad

創業時の建築様式をできるだけ残すよう丁寧に補修され続け、今も市民の憩いの場として活用されているといいます。

v1(出典)Müller’sches Volksbad

中に入ると市民プールエリアとサウナエリアは別れていて、プールエリアは水着で利用することになっています。市営なのにマッサージが受けられるサービスがあったりするのがちょっとおもしろいですね。

独特なサウナが3つ

v5(出典)Müller’sches Volksbad

サウナエリアに入ってみると、ドーム状の空間が広がっています。訪れたのは土曜日の午前中ですが、シンと静まり返っていました。お客さんはドイツ紳士が一人だけ。プール横に差し込む太陽の光の下で、読書をしていました。荘厳なアール・ヌーヴォー装飾もあいまって、まるで映画のワンシーンのよう。美しい光景にうっとりしてしまいます。

Volksbadでは3つの特徴的なサウナを楽しむことができます。

「ローマ アイルランド式サウナ」は扉を開けてすぐのサウナ室が低温、奥の扉を開けると中温、さらに奥の扉を開けると高温という不思議な作りになっています。湿度はなくカラカラで、高温サウナはバスタオルを敷いても座れないくらいの超ハードセッティングなのでご注意を!タイルで覆われた部屋を温風でガンガン温めるという不思議な方式、ドイツには他にもあるのでしょうか、まだわからないことが多いですね。

v8(出典)Müller’sches Volksbad

「スチームサウナ」は扉を開けると圧巻!ドドドドドと温水が滝のように流れていて、目の前にどうやってもヒョイと登れる高さではないタイル式ベンチが現れます。しっかり両手を使ってよじ登る必要があり、なぜこの高さにしたか不思議でなりません。

「フィンランド式サウナ」は8名ほどが入れる広さのスタンダードなサウナです。ここはバランスも良く、慣れ親しんだサウナの雰囲気なので少しホッとします。

なんとアウフグースも!

フィンランド式サウナでは、なんとアウフグースもやっていました。しかも1時間に1度という高頻度。市民プールのサウナでもアウフグースが受けられるとは、やはりドイツの人々にとっては誇りの文化なのでしょう。

先ほどのドイツ紳士も読書を中断してサウナ室へ。アロマの説明を受け、しっかりとした熱さの風が送られてきます。目を閉じ、熱を感じ、心身がほぐれていくのを噛みしめるように味わう時間。あぁ、気持ちいい。サウナってなんて気持ちがいいのだろう。

水風呂は季節もあってか14度くらいにキンと冷えていて、すごくありがたい。音もなく、窓から差し込む秋の柔らかな日差しを感じ、ととのっていく。ドイツのサウナ旅がフラッシュバックしてきます。

ドイツのサウナ総括

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改めてドイツで過ごした10日間を振り返ると、本当に素晴らしい体験ばかりでした。なぜ今までのサ旅の候補に上がらなかったのか不思議なほどです。サウナを愛好する人であれば、間違いなく心に刻まれる時間を過ごせると思います。帰国してしばらくたちますが、今でもふとフラッシュバックして「あのサウナまた入りたいな」という気持ちになります。

ドイツといえば大型スパとエンタメ系サウナ!というざっくりしたイメージを持っていましたが、個人経営サウナ、市民プールサウナ、トルコ移民のためのハマムなど、スタイルも魅力も本当に多様でした。移民が多いといった歴史的な背景もあり、とにかく様々な価値観が共存している国なんだなと。人種、趣味嗜好、ライフスタイル、これらの多様性に呼応するように、サウナも多種多様。そこがとてつもなくおもしろいなと感じました。

そしてドイツのサウナには、心と身体の解放があったように思います。男女の分け隔てがないことが、むしろ他人を気にしすぎないことに繋がっているのかもしれません。根底にある「人間同士だよね」というおおらかさ。アウフグースで楽しむこともあれば、瞑想するほど深くリラックスすることもある。どんな自分で過ごしてもいい。うまくいえませんが「あぁ、人生は美しいな」と思えるような瞬間がたくさんありました。

サウナを愛好する人であれば、ドイツは間違いなく魅力的な国です。ぜひ訪れてみてください。この連載が誰かのサ旅に役立つことを心から祈っています。

最後にベルリンのサウナを探していた時に出会ったブログ「saunamafia」を運営しているアンティ、カレ、マーク、オシエにお礼を言いたいと思います。あなたたちの詳細なレポートはぼくらのサ旅の計画に本当に役立ったし、何より「世界にはサウナを愛する人々がたくさんいるんだ!」と知って嬉しくなりました。ダンケシェーン!

それではまた、どこかのサウナで!

Müllersches Volksbad

・URL:https://www.swm.de/baeder/schwimmen-sauna/muellersches-volksbad
・料金:20 €〜
・アクセス:ベルリン中心街から車で1時間ほど

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