月見湯
銭湯 - 北海道 札幌市
銭湯 - 北海道 札幌市
浴場内の新調された休憩椅子で「そろそろ出よっかな〜」などと考えていたその刹那、急激な腹痛に襲われた。「出よっかな〜」ではない。「出ろ」だ。
脱衣場で迅速かつ丁寧に身体を拭き取り、そのままトイレへ。何度も月見湯へは来ているが、トイレに入るのは初めてだ。だが、そんなことはどうでもよい。
椅子で恍惚の表情を浮かべていた男が数分後にトイレで苦悶の表情とは、こんなに情けないことがあるだろうか。そして全裸であることが情けなさに拍車をかける。有線ではクリスタルキングの大都会が流れ始めた。「あ〜〜ああぁ〜」と叫びたいのはこっちだ。
「どうして俺がこんな目に…」とぶつけどころのない怒りも湧いてきた。正直に言うと怒りのぶつけどころは割と明白で、入浴直前に山岡家でネギ味噌ラーメンへにんにくを山ほどブチ込んで一気食いした自分である。
しばし項垂れていたが、ずっと篭っているわけにもいかない。とりあえずヤマは越えたので顔を上げた。
すると私の目に1枚の張り紙が飛び込んできた。女性の文字と思われる手書きPOPだ。
「いつも頑張っているカッコいい男性のみなさまへ」というような書き出しだったと思う。内容はただただ月見湯を楽しんでいってくださいね的なもので、何か注意を促したりとか、何か宣伝したりとかいうものではなかった。
大げさではなく、泣きそうになった。そうなんだよ、俺はいつも頑張っているしカッコいいんだよ。便所全裸ネギ味噌ラーメンにんにくブチ込み腹痛野郎が何を言っているんだと今では思うが、優しさに救われたのは確かだ。
すっかり落ち着きを取り戻し、23時を過ぎた月見湯の喫煙所。「今日は2つの意味でスッキリしたな!それにしても入浴後に便所入るのって何か損した気分になるよね!」などとつぶやき、静かな南郷通を目指してチャリを漕ぎだした。俺は月見湯が大好きだ。
便所全裸ネギ味噌ラーメンにんにくブチ込み腹痛野郎、笑っちゃいけないときに思い出してぶるぶるしちゃいそう。
すみません、便所全裸ネギ味噌ラーメンにんにくブチ込み腹痛野郎、何回読んでも笑っちゃいます。月見湯が優しくて、泣けますね☺️
出遅れたけめちんからはニンニクトントゥの贈り物を🧄
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