ベルリンの街にある小さなガーデンオアシス「SAUNA BAD」
2023年にドイツで行われた国際サウナ会議にサウナイキタイが日本代表として参加してきたことをきっかけに始まったドイツのサウナ連載。
ベルリンの中心街、プレンツラウアー・ベルクは、おしゃれなカフェやレストラン、クラブなどが建ち並ぶ華やかなエリアです。ヴィクトリア朝やアール・ヌーヴォー様式など古くからの美しい建築もあり、新旧の文化が混ざり合って不思議な魅力を感じさせます。そんな街の一角にひっそりと佇む「SAUNA BAD」は、地域の人々とツーリストから長年愛され続ける老舗のサウナ。ベルリンを訪れたら、ぜひ足を運んでほしい施設です。
文化がミックスされる街、ベルリン
ベルリンはさまざまな人種や文化がミックスされた、ちょっと不思議な街です。オペラハウスや演劇場、サーカス、クラブなど、世界屈指の文化施設をたくさん擁しています。音楽好きにおなじみなのは、入場するのが世界一難しいことで知られるクラブ、ベルグハインでしょう。海外からベルグハインを目指してベルリンを訪れ、3時間並んでもドアマンに「今日は帰れ」と言われてしまうほどハードルが高いことで有名です。
改めましてこんにちは!サウナイキタイのライターSaunaCamp.です。SAUNA BADを訪れる前に、ベルリン名物カリーブルストで腹ごしらえをしています。ジャンキーだけどうまいので訪れた際はぜひどうぞ。
街角にひっそり佇む「SAUNA BAD」
SAUNA BADは一見するとサウナ施設とはわからないほど、ひっそりと街中に佇んでいます。日本ではまず見られない雰囲気ですよね。この時点からワクワクが止まりません。ここから先は写真撮影できませんので、ホームページより抜粋してご紹介します。
心を解放できる小さな庭
まず初めに知っておいて欲しい基礎知識として、ドイツのサウナは基本的に男女混浴です。更衣室から男女一緒なので、初めは少し戸惑うかもしれません。必需品は大きなバスタオルとサンダル。サウナの中ではバスタオルを敷いて座り、汗を残さないというのがドイツサウナの鉄の掟です。
タオル1枚になって中庭に出ると、緑に囲まれた庭とサウナ小屋があらわれます。昔ながらの雰囲気だけど、丁寧に手入れされていて、とても居心地がいい。ベルリンの中心街にいることを忘れさせるような素朴な空間に心が和みます。
サウナは15名ほどでいっぱいになるくらいの広さ。中へ入ると、アウフグースで使ったであろうアロマの残り香が広がっていました。大きな窓からは庭を眺めることができます。TVもBGMもなく、落ち着いた空間。とても静かですが喋ってはいけないようなピリッとした緊張感はなく、みんな自分のリラックスに集中している雰囲気でした。セッティングも申し分なし。気持ちいい…。
アウフグースは1時間に1回行われます。時間が近づくと、サウナ室はお客さんで満室に。ちょっと遅刻してきたアウフギーサーに常連さんが冗談を飛ばしたりして、和やかなムードです。しっかりと換気をしてフレッシュな空気をサウナ室に入れてから行われます。三種類のアロマを使い、パワフルに仰がれると、長旅の疲れが吹き飛ぶようでした。
水風呂へ入って庭で休憩していると、ディープリラックスの波が押し寄せます。カップルや友人ときている人もいましたが、おしゃべりは一切聞こえませんでした。みんな静かに、自分と向き合いながら、至高のリラックスタイムを楽しんでいました。風が吹くと庭の木々が揺れ、耳に心地いい。サウナ愛に溢れた美しい庭で、心が解放されていくのを感じました。なんて素晴らしいんだ…近所にほしいぞSAUNA BAD…。
愛され、引き継がれていくサウナ
店を切り盛りするサンドラさんは、2代目のオーナー。元々はお客さんとして通っていましたが、8年前に初代オーナーが閉店を考えていることを知り、友人と資金を集めて事業を引き継ぐことを決めたそうです。
「この店のすべてが好きだったので、できるだけ何も変えたくなかったんです」とサンドラさんは語ります。プレンツラウアー・ベルクはアートが盛んな街ということもあり、SAUNA BADにはいたるところにアート作品が飾ってありました。休憩エリアやシャワールームに飾られたアートは主張しすぎないけど、心に残る素晴らしいものばかりでした。
インテリアもセンスが光っていて、年季は入っていますが古さは感じさせません。小さな庭、サウナ、アート、BAR、インテリア。店を継ぐ際、こうしたSAUNA BADの愛すべき一切を守ろうと、サンドラさんは決意したといいます。
現地を訪れる前にGoogle Mapのレビューをチェックすると「インテリアが古臭い」と書いているお客さんがいました。サンドラさんは丁寧に「あなたの好みに合わなくてごめんなさい」と返信していましたが、別のお客さんが「謝る必要はない!私はSAUNA BADのインテリアを愛している。13年間、必ず日曜日をここで過ごしている。このままでいてほしい!」とコメントをしていて、胸が熱くなりました。
実際訪れてみて、愛されている理由を理解できました。サウナに入っているうちに、空間そのものや居合わせた人々、すべてが愛しく感じるんですよね。地域に愛されているサウナには世界中どこであろうと、素晴らしい体験が待っていることを、改めて実感しました。
SAUNA BADは週5回は訪れる常連さんが半分、ツーリストが半分くらいの割合とのこと。ベルリンを訪れる際は、ぜひドアを開けてみてください。
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記事を書いた人
「キャンパーをサウナに、サウナーをフィールドに」がテーマ。テントサウナが楽しすぎるので勝手に布教しています。みんなアウトドアでサウナしよう!