駒の湯
銭湯 - 東京都 世田谷区
銭湯 - 東京都 世田谷区
サウナ:10分 × 3
水風呂:3分 × 3
休憩:4分 × 3
合計:3セット
一言:【Leave me alone. ロウリュを求めない日だってある。キレの水風呂とともに】
小生は退社後、立ちすくんでいた。
慕っていた先輩の異動を上司から聞かされた。なんやら
意図がある辞令なだけに激動の1週間を凌いだ達成感が湧き上がらない。ただ無力感が漂う。
梅雨の生温いビル風が小生の体をフラっと揺らす。チカラが湧かない。
社会人3年目、社会の現実に真っ向から直面するのである。
いつもならホームサウナにいくが、
どこか慰めてくれる温もりのあるサウナを求めた。
気づくと三軒茶屋、駒の湯のサ室上段に座っていた。
無気力な小生に、心地よい演歌が響き、脱力感が加速する。
口は半開き、目は白目、ふと先輩との思い出が蘇る。
優しく温厚、ロジカルに、時には意見を対立させ……そんなまだまだ未熟な小生だが戦う社会人に鍛え上げてくれた。
アタマをリフレッシュして回想が広がり、10分経過。我に返り水風呂に入る。
無力感、脱力感に覆う小生にキレのある水風呂がカラダをいじめる。TKO負け寸前のボクサーのように自分でも自分を見てられない。
「いいんだ、もう。」
ヤケ酒は大学生の時、飲みすぎて胃に穴が空いてから距離を置いた。
それ以降、このようにヤケ酒したくなる時は筋トレ→サウナでカラダを虐める。こういう時があってもいい。
水風呂に浸かり2分、白目になり更なる高みへ連れてかれる。心の鬱が飛んでいく。
これなのだ。心が不安定の時もサウナは「整えてくれる」
こういう時こそ、トトノイが訪れる。
そしてまたサ室に向かう。最後の膿を出すかのように涙が溢れる。駒の湯黄色タオルをまぶたにかぶせる。
「大丈夫、バレていないさ。」
涙・鼻水を垂らすのはマナー違反。
砂時計を見てアタマを上げる。
砂はなめらかに美しくガラスの中を流れる。まるで小生のかわりに、号泣してるかのように。
水風呂にはいる。そして帰路につく。
いい疲労感だ。今日は早く寝よう。
その翌朝には昨日の脱力感・無力感が消え去っていた。前向きに生きている。
ありがとう、駒の湯。そしてこれがサウナを愛してやまない理由なのである。[完]
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら