喜久乃湯温泉
銭湯 - 山梨県 甲府市
銭湯 - 山梨県 甲府市
聖地巡礼は興味がないのだけど、所縁やいわれのある場所に来るとときめく。なんとここは創業1926年、太宰治が通った銭湯だという。そういえば甲府を「シルクハットをひっくり返して旗を立てたような地」とかなんとかって太宰が書いてた記憶。甲府で書かれた太宰の作品はどことなくユーモアが漂っていて好きだ。
午前からの雨雲が過ぎ去り、ついでに冬も連れて行ったらしい。朗らかに晴れた空は春そのもので、風呂上がりの一杯はさぞかし美味しいだろう。まぶしいほど青い空を背景に見えるは、長い年月を経た古く渋い建物。暖簾をくぐり木の下足入れにスニーカーを預けて番台へ。各所に年季の入った張り紙。どんなことでも張り紙。浴室見取り図なんかも貼ってある。430円払いサウナ込みって。経営努力に頭が上がりません。見上げれば高い位置にズラリと広告看板。圧巻の迫力で写真を撮りたい気持ちをぐっと堪える。
とても年季が入っているけれどきれいにお掃除されていて、洗面器も椅子も丁寧に並べられている。まずは自分ひとり。小さな石鹸で体と頭を洗いながら、窓から注ぐ自然光に癒される。シャワーやカランの出もきちんと安定。
まあるい浴槽は循環式。ふたつの浴槽はすこし温度が違い、入口側の方が少しぬるい。その奥に加温された40度くらいの温泉と、水風呂として使われているらしい源泉が並ぶ。源泉以外の浴槽に浸かりながらぼんやり予熱。ジェットとかバイブラとかない。実にシンプルで静かで時間を忘れる。
サウナはL字2段。バスタオルを尻の下に敷いて座るのがルール。デフォルトではマットが敷かれているが心許なく、確実にタオルは敷いておきたい。昼間は電気が消えており、かわりに高い窓から外の光が差し込む。これがとても良い。自然光サウナ好きなんだよなぁ。テレビもBGMもなく静か。背中と、恐らく床下に熱源がある格納式なので、温度計では80度とあるものの表示よりしっかりと熱い。床に置いた足裏がアチチで、時々腹筋で持ち上げる。誰も来ない。静か。
サウナから出たら続々とお客様が増えていた。仲良しマダム二人組のおしゃべりを聞きながら汗を流して水風呂へ。この水風呂がとても良い。温度はぬるくて25度超え。しかしえもいわれぬやさしい感触。ずっと浸っていたい。ここのサウナはこの水風呂に入るための助走なのだと思う。
露天なく外気浴スペースなし、でもサウナ室の前にプラ椅子が置かれていて休憩できる配慮。後から来られたお客様とタイミングを慮りつつくつろぐ。とてもマナーが良くて素敵なお客様。次々いらっしゃるお客様は皆さんそんな感じで、とても穏やかな気持ちで過ごせる。脱衣所に貼られた太宰夫人の随筆も大変興味深く読み入った。
ぷりさんおかえりなさいませ✨かくいうわたしも昨年から様々な異変に見舞われサウナ頻度が下がり、結果サウナイキタイとの距離も少し広がっておりました。とはいえサウナ・温浴への愛は増すばかり。引き続き細々と出没しますし拝読します。何卒よろしくお願いいたします🤲
すてきな酒場満載の甲府!いつかのりさんとご一緒したい💕写真投稿したミナミ銀座も今年公開された漫画原作の映画ロケ場所だったり、なにげにあれこれある町。美知子さんは太宰の思い出を綴った随筆をお書きになったらしく、そこにこの銭湯についめ書かれていたようです。
しばもさんさすがっす!おっしゃる通りセンターに瓢箪がいます。わたしもここが聖地とはノーマークでしたが、甲府時代の太宰はほのぼのと好きなんです。駅からも近くて穴場。
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら