やすらぎの湯 ニュー椿
銭湯 - 東京都 豊島区
銭湯 - 東京都 豊島区
『酒は飲め飲め茶釜で沸かせ御神酒あがらぬ神はない』
江戸時代、そんな有名な都々逸があったというが。
俺は神様ではなく生身の、肝臓を持った人間だ。
目が覚めると令和最強の二日酔いが到来していた。
一体どうやって帰ってきたのか記憶がない。
1番お気に入りのセットアップのジャケットも脱がずに、布団の上で仰向けになっていた。おろしたてなのに、クリーニングへ逆戻りだ。
新橋の居酒屋で大好きな『No.6』という日本酒の栓を抜いたところまでは覚えているが…そのあと新宿2丁目のゲイバーに行ったような記憶があるような、ないような。
記憶を掘り起こそうとすると締め付けるような激しい頭痛が。脳内で酒呑童子が暴れ回っているかのようだ。
それに加えて激しい吐き気。
午前中いっぱい俺はトイレの中でのたうち回ることしかできなかった。
昼過ぎからなんとか動けるようになったものの、体内をアセトアルデヒドが跋扈しているのがわかる。
イオンウォーターを飲みつつ時計を見ると15時ちょっと前。太陽の光や、近所のおばはんたちの話し声すら煩わしいが、俺はふらつく足つきでなんとかニュー椿の入り口の階段を上り切った。
この空虚な世界に、サウナという存在があってくれたのはまさに僥倖としか言いようがない。
全身の毛穴から昨夜の酒が抜けていく。
いつもなら塩サウナの椅子には、浅く、のけぞるようなリラックスした姿勢で座るのだが…頭が痛くて持ち上げられない俺は、真っ白に燃え尽きたあしたのジョーみたいなポーズで、緩慢に塩を身体に揉み込むことしかできない。8分×3
高温多湿のサ室と塩のシナジー。
1セット終えるごとに酒精が抜けて体が軽くなる。
数分前までは「もう2度と酒など飲むまい」と思っていたというのに、3セット目を終える頃には「レモンサワーなら飲んでもいいな」くらいには回復。
仕上げに薬湯風呂にじっくり浸かってから上がり、脱衣所で髪を乾かす頃には「矢でも鉄砲でもテキーラでも持ってこいや」という気分になっていた。
これがサウナのいいところでもあるし、恐ろしいところでもある。
『酒を飲む人花なら蕾今日も咲け咲け明日も咲け』
結局俺はいつも通り、ニュー椿入り口すぐそばの「伊勢彦酒店」の店先で、サウナ後のレモンサワーをグイグイ飲んでいた。普通にうまかった。
二日酔いで気がつかなかったが、その日はとても気持ちがいい、春のお日様が差していた。
春ですね。
※尚、医者の大半は二日酔いでサウナに入ることを脱水が起きて危険だと話すので、真似しないでほしい。
大人しくスポーツドリンクでも飲んで寝ているのが多分正しい。
ジャケットも脱がずに新宿2丁目で掘られて起こされた、と斜め読みしながらレモンサワー飲んでます(グビグビ)。
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