サウナ&カプセル サンフラワー
カプセルホテル - 東京都 豊島区
カプセルホテル - 東京都 豊島区
俺はとても疲れていた。
先の見えない将来への不安や、跋扈するコロナウィルス、長男である俺への「結婚は?孫はまだ?」という両親からのプレッシャー…。
繊細な俺の心を苛む要因は、枚挙にいとまがない。
どのくらい疲れていたか理解していただくには、最近俺が読んだ本のタイトルを見ていただくと早いかもしれない。
『死ぬこと以外かすり傷』『この地獄を生きるのだ』『しらふで生きる』『天使に幸せになる方法を聞いてみました』『マンガでわかる ゆうきゆう式ストレスクリニック』『ドラえもん 0巻』など。
今朝は蜂の大群に襲われる、という悪夢で目を覚ました。
寝汗でぐっしょりのまま、即座にスマホで「夢占い 蜂」と検索したら「ストレスが溜まっている。無理をしてはいけないという暗示」と出た。
やっぱり俺は疲れているんだ。
ああ、今すぐサウナに入りたい。
でも朝の6時。こんな時間にやってる近所のサウナなんて…ある。
巣鴨『サンフラワー』
ここの名物はなんといってもアロマ香るスチームサウナである。
もうもうと惜しみなく立ち込めるスチーム。
濃霧の中、水の流れている音だけが聞こえる。
まるで深淵なる桃源郷。
10分×3
風呂上がり、いつのまにか夜はすっかり明けていて、たっぷりの日の光が燦々と降り注いでいた。
サンフラワー…すなわち向日葵の名にふさわしい朝だ。
俺は心身の疲れも、今朝見た悪夢も、すっかり忘れた。
日光の力は偉大だ。俺も日の光の方を向いて咲いていこう。そう、向日葵のように。
いつもの通り自販機でビールを買おうとして、フト思い出した。
前回ここに来たのは、年明けに痛風の発作を起こし、足首の激痛で数日間のたうちまわった直後の、最初のサウナだったことを。
「尿酸値」の3文字が頭の中で踊り、ボタンを押しかけていた指をそっと離す。
代わりにパックの牛乳を買った。
牛乳を飲むのは10年ぶりくらいだった。
なぜなら好きじゃないからだ。
ではなぜ買ったのかといえば「牛乳を飲むと尿酸の排泄が促されて痛風によい」という内容のネット記事を読んだばかりだったからだ。
せっかく身を清めたので、地蔵通り商店街を抜けて、猿田彦神社を参拝。
ここに祀られているのは猿田彦大神といって、いわゆる「道開き」の神様である。
先の見えないこの時代、どうか俺の行くべき正しい道が開けますように…。
明るい日差しの下、そんな俺の祈りは神に届いたと信じたい。
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