金春湯
銭湯 - 東京都 品川区
銭湯 - 東京都 品川区
平日 晴天 通常利用
館内滞在時間 21:45 〜 23:50
入泉時間 夜の部 21:50 〜 23:30
入泉プログラム
夜の部 (12 × 3) M (3 × 3) G (10 × 3)
本日のビール クラフトボトルビール2本 他
本日のメインディッシュ 〝新旧融合〟
この道を行けば本当に金色に輝く春の湯が待っているのか、不安のままに未だ果てぬ思いで歩き続けた。
再開発によって高層ビルが乱立する無機質な改札を抜けた途端に現れた、人が暮らす生活の匂いがする住宅街をスマホのナビだけを頼りに進んで行く。しかし大崎駅を離れて10分以上も歩いたが、それらしき気配は全く感じない。それは「金春湯」という銭湯の気配だ。わずか1㎞あまりの近隣住民しか知るはずのない通り名は、八反安未果 12.5人分を意味する〝百反通り〟と呼ばれている。※ 諸説あり
あったん?何か。こんな事を思いながら坂道を進んで行くと、思い描いていたイメージとは全く異なる外観の銭湯が突如として現れた。初めて訪れるだけに電車内でネット予習しておいたが、ポップなHPを見る限り明るくリノベートされた施設とばかり思い込んでいた。しかし薄暗い中で鈍く光る看板を確認して中に入ると、古き良き銭湯の風情を残す哀愁が満ちていた。懐かしい下足箱の木製風呂屋鍵は、昭和へと運んでくれるタイムマシーンのキーにすら思えた。
スイカ模様の袋に入ったサウナマットを番台で受け取り男湯の暖簾をくぐると、ノスタルジックな脱衣所が広がる。小窓越しに見えるサウナの様子を確認してから身を浄め、熱めの内湯で下準備を終えると、いざサウナへ。
非常にタイトな室内だが、時間帯のおかげか混み合っておらず吉となった。無音のサ室は室温計が示す温度よりもハイパワーに感じるのは、ベンチの下から突き上げるような熱さのせいだろうか。目に見えない熱源に追われるように発汗するが、湿度などの絶妙な設定に長居してしまう。決して冷たくはない水風呂に浸かり浴室内を見渡すと、十日夜の月を模したオブジェの鏡が高い壁から見守ってくれる。その月に向けて白い湯気が雲竜の如く昇っていく姿を見上げ、ベンチに腰掛けた我も昇天する。
昔ながらの銭湯サウナの面影を残しつつも個人用サウナマットの導入や、それを管理する手提袋などの心づかいが、新たな改革も進められている証だ。それは風呂上がりの休憩室にも表れていて、ビールが飲めるのも嬉しい進化だ。忘れかけていた畳の感覚を素足で感じながらクラフトビールのボトルを傾け、深夜の閉店時間が迫る中で癒された温故知新の百反通りだった。
男
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