誰にでもできるサウナ電子工作入門『とにかく温度と湿度を測りたい』

誰にでもできるサウナ電子工作入門『とにかく温度と湿度を測りたい』

はじめに

テントサウナを買った!自宅にサウナを作った!そのとき一緒に用意するのはストーンやラドル、バケツ、そして温度計でしょうか。火入れをして温度が徐々に上がるのを見ている時は本当に熱くなるのか、何度まで上がるのかと誰もがワクワクすると思います。

今は誰でもサウナの熱さは温度だけじゃなく湿度も大きく関係することを知っています。そうすると湿度も知りたくなりますよね。

私たちもそうでした。己のこだわりを詰め込んだテントサウナ、一体どこまで熱くできるのか、どの状態が気持ち良く感じるのかを知りたい。結果を体感だけではなく数字で確認したい。そのために試行錯誤してたどり着いたのがサウナ電子工作です。100℃を超える高温サウナ内の温度はともかく湿度をある程度の精度で測ることは非常に難しく、一般人が安価にできる方法は現状これ以外ないのではないかと思っています。

この度はサウナイキタイチームからのご依頼もあり、現在の我々のサウナ電子工作に至るまでの過程を何回かにわたって紹介していきたいと思います。

山梨サ活倶楽部とは何か?

山梨サ活倶楽部

ここで簡単に自己紹介を。

私は山梨サ活倶楽部のはまといいます。山梨サ活倶楽部とはごく普通のサウナ好きのオジサンの集団で日々の施設サウナやDIYテントサウナを楽しんでいます。

「テントサウナの一部」として温度/湿度/一酸化炭素濃度/二酸化炭素濃度を測定する電子機器や自動ロウリュをDIYしています。我々にとってはテントの生地を切るのもそれを縫うのもハンダ付けもプログラムを組むのも全てテントサウナ作りです。

なぜそうまでして各種数値を測るのかというと、我々のサウナの性能を数値化したいから、そして感覚と数値を紐づけることがサウナの改善に繋がると信じているからです。

サウナ電子工作については2020年のアドベントカレンダーにも書いているので、ご覧ください。

サウナの温度を測ろう~人の位置の温度が知りたい!!

私たちのテントサウナの完成が見えてきた頃、とりあえずAmazonで「SAUNA」と書かれたバイメタル式の温湿度計を買いました。

バイメタル式温度計とは、温度による膨張係数の異なる2種の金属板を重ねた、バイメタルをヘリカル状に巻いたものを使用し、温度変化による変位を指針に伝えて指示させる温度計です。いわゆる針があるタイプです。

ちょうどその頃、テントサウナの中のレイアウトやベンチの高さも決まったので、温度計を設置する場所を決め、温度計のフック用の引っかけを天井に縫い付けました。測定の位置はストーブから最も遠いところにしました。ストーブの影響が最も少ないところで測りたかったからです。

施設サウナはほとんどの場合、温度計を人より高いところに設置していますが、私は人のいる位置の温度が知りたいと思いました。そこで温度計を設置する高さは、ベンチに座った時に頭の位置となる160cmと座面高さである80cmの二か所に決めました。

この座面温度はこの頃(2019年)始まったサウナを分析するブログSaunologyさんが提示していた条件でもあります。とりあえずこれで温度はわかるようになりました。とはいえ、このバイメタル式温度計にはテントサウナを運用する上で問題がありました。

・レスポンスが遅い(パッと見で上昇下降が分かりづらい)
・120℃までしか測れない(振り切った)
・サウナの中に入らないと温度がわからない
・ログを取れない

これらを解決するためにすぐに熱電対温度計を買いました。これは2種類の金属線の先端同士を接触させて回路を作り、接合点に発生する熱起電力を通じて温度差を測定する温度計で、1000℃くらいまで測れるのでサウナでも安心です。この熱電対に輻射熱対策を施し、使用します。測定部が小さいのでレスポンスが非常に早く、推移を見ればテントの外にいても「ストーブの中」の状態が完璧にわかります。

プローブ形状のものを買ってきてストーブの温度も測りましたが今は使っていません。テントサウナにおいては室温がストーブの状態とほぼ直結しているため、ストーブの温度をあえて測る必要は無いと思ったからです。

余談ですが、室温とストーブ内の状態が直結しているということはストーブの火が小さくなると、室内の温度は下がり、大きくなると上がるということ。テントサウナで使う程度の石(私たちは20kg)の蓄熱量では、サウナ室の温度変化を鈍らせることはありませんでした。従って真面目に薪をくべないと温度は下がってしまいます。

難しすぎるサウナの湿度測定への挑戦

次に湿度ですが、まずはバイメタル式温湿度計についていたものを試しました。ロウリュをしていないカラカラな状態でも、あり得ない高い値を示しています。もちろんロウリュしても反応しません(笑) 。対策として、湿度計の部分にSaunaCampステッカーを貼りました。誤った数値に惑わされないようにするためです。

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その後も継続して使えそうな湿度計を探しましたが、市販のデジタル湿度計は全て常温のみの仕様、バイメタル湿度計もほとんどが常温用でした。またサウナ用と書かれたものでも精度さえ記載されておらず期待ができないと思いました。

そんなころ前述のSaunologyさんのブログに施設の湿度を測定した結果が載せられていました。「正確な数値を測定することは難しいということを頭に入れつつ、あくまで傾向を見るというつもりで」との前置きはあるものの、あるバイメタル式湿度計を使用した信憑性のありそうなデータが提示されていました。こうなったら何を使っているか聞いてみるしかないと思い、直接問い合わせて使用している湿度計を教えていただきました。

早速、取り寄せると、この湿度計の仕様は「湿度:0~100%、精度:35~75% ±5% それ以外±10%」ときちんと書かれていて好感が持てます。やはりバイメタル式は特性的に低湿だと誤差が大きくなることもわかりました。

命を懸けた温湿度の測定~こりゃ無理だ~

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Saunologyさんに教えていただいた湿度計で、実際に自宅のテントサウナを動かして計ってみました。温度が上がるにつれ湿度が下がっていきます。ついに5%も切り0%に近づいてきました。確かにこれなら測れそうだ!

温度が上がりきったところでロウリュしながら必死でノートに値をメモしました。ノートも汗でビショビショです。大量にロウリュした時は(絶対湿度100g/㎥くらい)あまりに熱くて、ここで倒れたら誰も助けてくれないからやばいかもと死の恐怖さえ感じました(笑)。その日の測定は何とか無事終わりましたが、湿度計はグニャリと変形していました。残念ながらこの湿度計は高温に耐えられる素材では作られていなかったのです。

……ここまで変形すると軸の動きが変わりそうだし精度は落ちるかもなぁ、でもある程度は測れるし追加で買うしかないかと思ったとき、カミさんに「買ったばかりの機械を一日でこんなに壊して!もう買わないでよ!」と怒られました。ごもっともです。こんな感じでこのバイメタル式湿度計による測定は諦めざるを得なくなってしまいました。次に考えたのは、湿度計での湿度測定は諦め、湿式温度計を使った湿度算出方法です。

中学校で習うやつですね。これは測ることは出来たのですが、適正な水を供給する機構を作らねばならず精度が怪しい、そしてそれがアウトドアに不向きであることから断念しました。

ここまでの湿度測定をまとめると
・デジタル式は高温に対応していない
・バイメタル式で低湿を計れるものはあるが高温に対応していない
・湿式温度計では精度が怪しい
・サウナの中に入らないと湿度がわからない
・ログを取れない(メモっていると死にそう)

SHT31温湿度センサーSHT31

そんな絶望の中、ひたすらにネットを検索していたところ温湿度センサ単体の情報を発見しました。それはこの話の救世主であるスイス・センシリオン社製温湿度センサSHT31です。

そしてここから私は完全に未知の領域である、電子工作の世界に足を踏み入れていくことになるのです。

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2024.02.26 09:52
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