駒の湯
銭湯 - 東京都 世田谷区
銭湯 - 東京都 世田谷区
【感情をなくした夜。キミはサウナとどう生きるか】
業務が長引く。いや、長引かせたかもしれない。
今日、同じフロアで会社全体での忘年会が開催している。
小生はこーいった「造られたワイワイ」が大の苦手だ。
やめたお酒の力を借りれないから尚更。
「ほら、お前もいっておいで。まだ美味いもん残っているぞ。」
デスクに向き合う優しい上司が声掛けてくれる。
…………行けない。わざわざ騒がしく、ヒトが密集する空間に行くなんて正直怖い。
行先の見つからないこの気持ち。不甲斐なさに若干目頭が熱くなる。
やっぱり無理だ。小生は早歩きで会場の扉を通過する。
感情をなくした顔面が物語る。決してこの顔は社内では見せてはいけない。
この情けない自分と向き合いたい。少し一人でこの気持ちを反芻したい。
帰路で2次会に向かう同僚と会わないことを切に願い足を進める。そう、三軒茶屋駒の湯へ。
こんなに熱かったけ、サ室。
いつもは心地よいボイラーの破裂音がいいアクセントになるのだが
今日は不謹慎にもこのまま爆発して消えたいと妄想するほど傷心気味。ひたすら汗を流す。
「それスマートウォッチですか?」
常連さんが話しかけてくれた。小生は通信オフにしてスマートウォッチをつけたままサウナに入る。
そこから少し談笑。こういうの実は大好き。
飲み会では肩に力が入ってしまうけど、サウナではリラックスしながら世間話するのって楽しくなる。自然と笑顔になる。
水風呂は相変わらずキレッキレ。サウナ王方式で仕上げに向かっていく。
最終セット。嗚呼、冷えきってたココロをサウナで優しく温めてくれる。落ち着く。
本日の演歌、ロス・インディオス&シルビア「別れても好きな人」を添えて……。
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変わらぬやさしい言葉で
私をつつしんでしまう だめよ弱いから
(歌詞 一部引用)
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駒の湯はいつも変わらず小生をつつしんでしまう…… だめよ……今日の小生は弱いから……
サ室で目頭が熱くなり、水風呂→休憩へ。
「うわっ、マジか。」
それは左斜め前からロールしてくるトランスに突入。グルングルン。
久しぶりにこの感覚きた。恥ずかしいけど言う。ととのった。
右手で前髪をかき上げる。
再度、指の間隔を開いてかき上げる。
前髪がかき上げられた姿が鏡に映る。
その鏡には、
忘年会を蹴ったあの顔はどこにも映っていなかったのである。[完]
景色だけでなく感情も含めて伝わり共感しました。サウナ金融マンさんに37回の拍手を。
良いもの読ませて頂きました。ありがとうございます
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