アートホテル石垣島 にいふぁい湯
ホテル・旅館 - 沖縄県 石垣市
ホテル・旅館 - 沖縄県 石垣市
〜僕と家族と時々お婆〜
台風により飛行機が欠航し、私は東京への帰路の手段を失った。
正直途方に暮れていた。
台風がまだ来てもいないのにも関わらず、航空会社はこの先3日間の欠航をアナウンス。
台風が過ぎ去るのをホテルでただ待つだけの日々なのにも関わらず3泊分のホテル代は当然かかる。
人類は時に牙を剥く自然の脅威には抗えないものだ。
そんな私達家族はホテルのチェックインまでの時間をどう過ごすか強風に煽られながらも模索していた。
そして何かに導かれる様に廃墟感漂う石垣港ターミナルへ辿り着いた。
2階へ行くと「みなと売店」という食堂があった。
そこでは老人の女性が1人でお店を切り盛りしていた。客はいない。
雨風が強いので許可を取り私達はそこで休憩をさせて貰ったのだが、私の息子(2歳)はとにかく「お婆」に絡んでいた。ほどなくすると朝7時からお店を開けていたお婆がジョッキを片手にやってきた。さらに私達にもチューハイとマグロ刺身、ソーキそば、ゴーヤチャンプルを振る舞ってくれた。私はお金を払うと伝えたが、
「金払うなら食うな!!」
とあしらわれてしまった。
その後も息子はお婆に絡み続けた。
そして、お婆は私と妻に酒を提供し続けた。
泡盛はロックでジョッキ一杯飲まされた。
お婆は楽しそうに言う。
「幸せだー今日は。」
私も幸せだった。お婆の幸せそうな笑顔とその豪快なおもてなしは圧巻だ。
気付けば3時間お婆と飲み語らっていた。
時刻は16時。
館内では市役所の職員が養生テープをガラス窓に貼りつけている。
お婆は言った。
「台風じゃなかったら今日泊まりに来て欲しかった。」
私。
「泊まり行くよ。心配だし。今日は皆で過ごそう。」
お婆。
「馬鹿言うな!!小さい子がいんだから頑丈な建物にいろ!!」
私達は後日ランチを食べに行くことを約束し自転車で通うお婆を強風の中、家まで送り届けた。
お婆は強く儚い素敵な女性だった。
そんなお婆の優しさに包まれた後のサウナは100℃から110℃を行ったり来たり。
口の悪いお婆みたいな攻撃的かつ優しいサウナだった。
決してサ室の環境が優れているとは言えないがこれが石垣スタイル。
優しくて豪快で細かいことは気にしない。
(サ室の床はヌメヌメしている。)
再訪にしてようやく分かったことがある。
ここのサウナは石垣島そのものなのかもしれない。
不器用だって美しい。
いや不器用こそが美しい。
お婆ありがとう。
愛してるぜ。
マタアオウ!!
男
あったかい❤️
旅行中ずっと台風だったよりも楽しんだ後におまけで台風と+3日が付いてきたとポジティブに捉えよう。おそらく何も出来ない3日間がなんでも出来る3日間よりも良い時間になるかもしれない。人生とはそんなもんさ(たぶん)小遣いが底をついたら帰ったらサウナ奢るぜ!
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