つくば温泉 喜楽里 別邸
温浴施設 - 茨城県 つくば市
温浴施設 - 茨城県 つくば市
つくばの郊外に、「きらり別邸」という湯処がある。
車でなければ辿り着けぬという不便さゆえに、都会の性急さとは無縁である。
人は利便に魂を預けるが、ここにはそれがない。だからこそ良い。
日曜、私はその地に足を運んだ。七度目の訪問である。
にもかかわらず、私はこのとき、まるで初めて来たかのような、ある感銘を受けることとなった。
炭酸湯に身を沈めた瞬間である。
気泡は、泡というにはあまりに細かく、しかし確かに全身にまとわりつく。
皮膚が、無数の小さな手に優しく撫でられているようで、思わず目を閉じた。
「やはりここは、炭酸泉において他の追随を許さぬ」と、私は静かに思った。
それは湯というより、微細な生命そのもののようだった。
湯通しを終え、サウナ室へと向かう。
三段造りの室内には、熱がゆるやかに漂っていた。温度は九十度。湿度も過不足ない。
私は真ん中の段に座し、12分を予定していたが、三分もせぬうちに汗が奔流のごとく吹き出した。
炭酸湯が私の血行を促したのか、それとも、気候と私の体調が偶然に整ったのか。
いずれにせよ、この1セット目は、わずか6分で退いた。
熱とは、耐えるものではなく、受け容れるものだと私は考えている。だから無理はせぬ。
外気浴に向かうと、中庭には陽が降り注ぎ、夏の気配が全身を刺した。
私は内気浴へと身を移す。風が通り、どこか風土のやさしさがそこにあった。
2セット目は最上段にて12分。熱は上へ上へと昇る。
そして3セット目は、オートロウリュの時間を見計らい、室内へ。
水の滴りは控えめであったが、天井のブロワーが突如暴れ出した。
音も熱も、怒涛である。
もはやそこは静謐なる空間ではなく、修羅であった。
だが人は、熱の苦しみにこそ、救済を見ることもある。
耐え、出る。水風呂へ身を投じると、全身が躍動する。
その後の外気浴にて、皮膚に“斑”が現れた。
いわゆる「アマミ」というやつである。血が一気に巡った証であろう。
私は、その反応を目にして、整いの頂点に達したことを確信した。
ただ、惜しむらくは水風呂の狭さである。
サウナの質に比して、冷水の器があまりに小さい。
サウナ待ちは皆無でも、水風呂には人が並ぶという、珍奇な風景がそこにあった。
だがそれも、また風土であろう。
不完全の中にこそ、人は完全を夢見るのだ。
帰りは近くのイーアスつくばのビアードパパのシュークリーム食べてウマ!
「きらり別邸」、七度目の再訪にして、私はまた一つの完成を見た気がした。
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