レッツ高浜
温浴施設 - 愛知県 高浜市
温浴施設 - 愛知県 高浜市
レッツ高浜は僕にとって少し特殊なサウナだ。
普段は東京にいる僕だが、祖母の家が高浜にあるため帰省するとここに来る。
高浜は本当に何も無いが、じじばばに懐いて育った僕にとっては2人に会えるので行くとワクワクする場所だった。祖父がレッツ高浜に行っていたのでたまについてったが、当時はサウナが嫌いで祖父イカれてんな、と思ってた。
そんな祖父も9年前亡くなり、祖母は認知症になった。小さい頃の高浜に行く時のワクワクは感じず、むしろ切ない気持ちになる場所になっていった。
そして、今年は久々に高浜で年を越そう、ということになり祖母も含め高浜へ行った。しかし、家の風呂が壊れた。成長してすっかりサウナーになってしまった俺は家族に『レッツ高浜へ行こう』とゴリ押しした。皆んなで行くことになった。
とりあえず弟にサウナを教えることにした。ここのサウナは広い。しかもサウナハットも貸してあげたので弟はすぐにサウナの良さを分かってくれた。
温まり水風呂へ。そして外気浴ができる外へ。チェアに寝そべって弟と話す。
『爺ちゃんこんな気持ちいことしてたのか』
『当時は分からなかったね』
『ガキだったから』
『何も分かってなかったなぁ〜』
ここで整うと昔を思い出す。祖父は亡くなる1年前、よくレッツ高浜やコメダ珈琲へ連れてって行こうとしてくれたが、丁度反抗期だった僕ら兄弟はそれにあまり付いてかなかった。亡くなってからついてきゃよかったなと思うけど、もういないので思い出すと苦しい。
『婆ちゃんボケちゃったけど、身体は元気だよね』
『そうだなー長生きしてほしいわ』
弟と素直にこういう話ができるのもサウナならではだと思った。まさに裸の付き合い。いつもは整うことばかり考えてるけど、サウナって本来こういうところか。
3セット繰り返す。
最後の整い中、今後のことを考えた。
祖父が死んで、大人になって、嫌いだったサウナを好きになって、祖父の気持ちが初めて分かって、祖父が大事にしていたものを俺も知りたいと思った。
ジャズや骨董品、縦笛、喫茶店。今なら、その良さが分かるかも。
そして何より、祖母が今も生きてくれてることのありがたさが今なら分かる。
人生はサウナとは違い、その時を過ごしている間は、なかなかその幸福さに気づくことはできない。
爺ちゃんが生きていてくれていたこと、それがどんなに有難いことだったか。
『婆ちゃん、風呂気持ちよかったか!?』
『気持ちよかったよ〜。あんた腹出たねぇ。』
婆ちゃん、それワイちゃう。親父や。。。
男
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