【閉店】富士乃湯
銭湯 - 神奈川県 横浜市
銭湯 - 神奈川県 横浜市
ほろ酔いランナウェイ。
社会の喧騒から逃げ込むように私は駆け込んだ。無二の親友Matsuとのひと月ぶりの会合を終え、私は閑静な住宅街の銭湯の目の前に立っていた。
秋の虫の音が聞こえる。静かでも無いが、やかましくも無い。ここには、電車の発車ベルも電話の呼び出し音も無い。
ガラガラと戸を開け、店内へ。昔ながらの靴箱、番台、テレビの音。その時代をリアルタイムでは知らないのに、何故懐かしく想ってしまうのか。
それは分からない。日本人のDNAがそうさせるのか。。。
入浴料を支払い、奥へ。思いの外広い。
「あぁ、これだよこれ」
口に出していたのか、心の中で唱えていたのかは定かでは無い。それほど何気無いひとコマ。
ゆっくりと服を脱ぎ、生まれたままの姿になる。
頭から顔、身体へと順番に清める。日々の生活で荒んだ心も洗われるようだ。
浴槽へ歩を進める。体を暖かい衣が纏う。
ふと目をやると鯉が泳いでいるでは無いか。
風呂と鯉。なかなか無い組み合わせだ。ゆっくりと尾を揺らしながら進んでいる。ゆっくり着実に一歩一歩。
人間は急ぎすぎているのかも知れない。スマホを見て情報に溺れ、人の目を気にし、人と違わない様に取り繕う。
何を恐れているのか?何から逃げているのか?何を求めているのか?
答えは無いのかも知れない。
だが、それが良いのかも知れない。
そんな事を思い馳せながら体を暖める。
ジンワリと解れる。
冬はもう近い。
厳しい環境こそ自分を逞しくするのかも知れない。
秋風が気持ち良い。
麦茶を口に含む。AKBが懐かしく思える。
AKBを知らない若者も多いのだろうか。
時代は恐ろしく早いスピードで移ろう。
私も湯船に流れながら、好きな様に身を任せる。
次はどんな湯に浸かっているのだろうか。
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