ゆ〜とぴあ仙台南
温浴施設 - 宮城県 仙台市
温浴施設 - 宮城県 仙台市
12月29日。
仙台の空は、驚くほど青く、澄み渡っていた。
冬の冷たさの中に混じる、柔らかな陽光。私は誘われるように、仙台駅へと足を向けた。
久しぶりに揺られたJRの車内は、帰省客や買い物客でごった返している。
年末特有の、あの少し浮足立った、それでいてどこか慌ただしい熱気。
人々の喧騒を通り抜け、私はバスに乗り換えた。
今日の目的地は、「ゆ〜とぴあ仙台南」。
到着して暖簾をくぐるが、やはりここも年末の活気に満ちていた。
浴場へ入ると、立ち込める湯気の中に子供たちの絶叫が響き渡る。
……ふぅ。
今の私には、この賑やかさを受け止めるだけの余裕がないようだ。
サウナ室の扉を開ける前に、私は一度、自分をリセットすることにした。
食堂で、ゆっくりと夕食を摂る。
火照った体を落ち着かせながら、スマートフォンの画面をなぞった。
「サウナイキタイ」。
そこには、名前も知らない誰かの人生が、サウナの熱と共に刻まれている。
ふと、一つの投稿が目に留まった。
「雇われリーマン、娘あり」。
投稿主は、社会という名の荒波に揉まれ、削り取られそうになるメンタルを、サウナの熱で繋ぎ止めているようだった。
娘さんの存在を心の拠り所にしながら、独り、水風呂の中で己を鼓舞する姿が浮かぶ。
「……切ないな。」
気づけば、独り言が漏れていた。
かつての自分も、同じだった。
何者かになろうとして、何者にもなれず、ただ熱い蒸気の中に逃げ込んでいた、あの頃の自分。
彼の綴る言葉は、私の古い傷跡に、温かいお湯を注ぐように染み渡っていった。
誰しもが、何かを背負ってここに居る。
あの騒がしい子供たちも、それを宥める親たちも、そして画面の向こうの彼も。
そう思うと、先ほどまでの喧騒が、不思議と愛おしい生活の音に聞こえてきた。
さて、気を取り直して。
もう一度、あの熱の中へ戻るとしよう。
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