京乃湯
銭湯 - 京都府 京都市
銭湯 - 京都府 京都市
いっそう冷え込む今日もサウナがあれば憂いはない。冷たい風すら振り切って、京乃湯の駐輪場にバイクを預ける。
サ活にはサウナー各々のルーティンがあるだろう。スタンダードなものから湯を挟んだり、それぞれ時間が違ったり。十人十色で皆良いのではあるが、日進月歩、日々是精進也という言葉もあるほどである。
いつものように2階の浴場を上がり、テレビを尻目に脱衣する。また下らないニュースだと心のなかでひとりごちると、それを察したのか一人の老人が話しかけてくる。
どうやらニュースの内容が気に障ったのか、神道の成り立ちから太平洋戦争時の露助のスパイの話など、脱衣場で歴史の講義が始まったのだ。理系の出で門外漢の私ではあるが、今回のサ活は歴史を組み入れることとする。
小一時間の講義を終え、サウナへ入場する。暑さに頭の回転は止まり、先ほどの話を思い出すことはなかった。
天然水で身体を締める。そこでふと老人の話を思い出す。
技術の進歩により、歴史の常識は覆されている。しかしそれは権威などの人為によって秘匿されている──
ではこの天然水を謳う水風呂も、実は付近を流れる桂川から引いたものなのだろうかと、ついつい邪推してしまう。
サ活の締めに、日替わり湯を選んだ。イングリッシュローズの香りに包まれるが、私はそう言えば先ほどの話に英国も出てきたな、と記憶力を鍛えるばかりである。
日替わり湯のみなもはもみじの見頃のように紅くただよう。
まこと紅葉の秋、教養の秋である。
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら