2019.08.15 登録

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  • 好きなサウナ 静かなサウナ。
  • プロフィール サウナに入ってととのう度に、サ活には物語があることに、そして各サウナに特有の世界があることに気付く。日常の中の超常は、いつか私の還るところになるだろうか。 山吹のサ活放浪記、始まります。
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山吹

2020.11.25

3回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

ルーティングライフ──孤高のサウナ人──
季節は秋。葛野大路四条をバイクで右折するのは......?
いました、サウナーです。ホモサピエンスの仲間で、急な温度変化に適応した種族です。このサウナーを山吹と名付け、生活サイクルを観察していきましょう。

京乃湯についた山吹は、やや乱暴にヘルメットを脱いで足早にサウナへ向かいます。
狩りの時間です。
身体を清めることで、獲物に気付かれずに近付くことができます。ここ京乃湯にはシャンプーとボディソープが常設されているのも、山吹が好んでくる理由なのです。
ああっ!なんとサウナには別のサウナーが入り込んでいました。このサウナーをノブセリと呼びます。
山吹はサウナーの中でも特に単独行動を好み、邪魔が入ればサウナすら摂取しないという美食家です。山吹はサウナを諦めてしまうのでしょうか......?
なんと!山吹は水風呂に身体を沈め始めました。ノブセリが出てくるまで水風呂から出ない構えです。ノブセリはサウナから出ると水風呂を摂取しなければならないことを、山吹は知っていたのです。心臓に障害をもつ山吹にとってこれは命を削る選択ですが、このサウナ界で生きていくための覚悟の行動です。
たまらずノブセリがサウナから飛び出し、山吹は肉食獣のようにサウナへ飛び掛かります。実に12日ぶりのサウナ。山吹の身体に熱が染み渡ります。
そこに別のサウナー、パンダがサウナへ近づいてきました。山吹はサウナを出て、水風呂から外気浴へ向かいます。
すると山吹はラベンダー&カミツレが香る薬湯へ身を隠します。8分が過ぎた頃、今度は水風呂へ。
パンダがサウナから出てきました!
それと同時に山吹の心臓が限界に達してサウナへ脚を進ませます。
山吹は他のサウナーのサウナルーティンを、回数券が9回目を切るまでに全て記憶していたのです。サウナー達のルーティンの、最小公倍数を求めるように間隙を縫い、山吹はその生を輝かせるのです。
──終──

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山吹

2020.11.04

2回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

いっそう冷え込む今日もサウナがあれば憂いはない。冷たい風すら振り切って、京乃湯の駐輪場にバイクを預ける。
サ活にはサウナー各々のルーティンがあるだろう。スタンダードなものから湯を挟んだり、それぞれ時間が違ったり。十人十色で皆良いのではあるが、日進月歩、日々是精進也という言葉もあるほどである。
いつものように2階の浴場を上がり、テレビを尻目に脱衣する。また下らないニュースだと心のなかでひとりごちると、それを察したのか一人の老人が話しかけてくる。
どうやらニュースの内容が気に障ったのか、神道の成り立ちから太平洋戦争時の露助のスパイの話など、脱衣場で歴史の講義が始まったのだ。理系の出で門外漢の私ではあるが、今回のサ活は歴史を組み入れることとする。
小一時間の講義を終え、サウナへ入場する。暑さに頭の回転は止まり、先ほどの話を思い出すことはなかった。
天然水で身体を締める。そこでふと老人の話を思い出す。
技術の進歩により、歴史の常識は覆されている。しかしそれは権威などの人為によって秘匿されている──
ではこの天然水を謳う水風呂も、実は付近を流れる桂川から引いたものなのだろうかと、ついつい邪推してしまう。
サ活の締めに、日替わり湯を選んだ。イングリッシュローズの香りに包まれるが、私はそう言えば先ほどの話に英国も出てきたな、と記憶力を鍛えるばかりである。
日替わり湯のみなもはもみじの見頃のように紅くただよう。
まこと紅葉の秋、教養の秋である。

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山吹

2020.10.14

1回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

毛虫に全身をやられ、解毒を求めに銭湯へ。バイクを運転するというより担ぎ込まれるかたちだ。ここ京乃湯はかねてより気になっていた銭湯である。ホームページを覗けば、私が気になる理由が解るだろう。
ネオ銭湯と自称する京乃湯の秘匿を、この山吹がつまびらかに語り明かそう。

入店すると、まるで漫画喫茶にきたのかと看板を二度見する。
2階に浴場があり、夥しく貼られている昔の映画のポスターを見ながら階段を上がる。
浴場はまるで普通の銭湯であり、ここでやっと自分がサ活をしに来たことを思い出す。サウナは一番奥にあるのでなにも迷わず入場。広い。ソーシャルディスタンスを気にしなければ16人は入ることだろう。
気分よく座るが刺すような痛みに襲われる。いやこれは熱によるものだ!どうやら座る木の板をビスで固定しており、ビスの皿が加熱された結果のようだ。座り直すとしよう。ドライな印象を受けるサウナは、丁度いいくらいの照明に、テレビが点いている。12分計はなく、砂時計があるだけだ。良い。
ふと気づいたことがある。人気のあるサウナだが、汗の臭いが気にならない。何かしら銭湯側の配慮があるのだろうか?
京乃湯の水風呂は天然水をひいているらしい。天然の水温が不整脈を持つ心の臓に優しい。外気浴スペースはないが、換気が行き届いており、浴場でも同じようにできる。
存分に味わい、もう一度身を清める。蛇口式で途切れることのないシャワー、リンスインシャンプーとボディソープ、そして出力のあるドライヤー。嗚呼アメニティよ。

1階に下りると居酒屋食堂もある。スーパー銭湯とは違ったB級感を味わえる。そしてなんとこの京乃湯、回数券があるのだ。11回3500円と一回にしてみれば公衆浴場レベルである。嗚呼ネオ銭湯あいやネオサウナ。だが期限は2ヶ月ほどしかないので注意されたい。
一回目なので説明的になってしまった。しかしこれから10回は入るのだからもう考えただけでもととのいそうだ。

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山吹

2020.10.04

3回目の訪問

蒲生野の湯

[ 滋賀県 ]

日曜日だというのに伐採仕事とはなんとも度し難い。12mのくぬぎに登り、近くに民家があるので上から少しずつ切る。重力、モーメント、樹種によっての特性を考える、慎重な作業だ。しかしここで私はアクシデントに見舞われる。
登ってきたその下枝にオオスズメバチがむらがっているではないか。しかし降りなければ作業は止まったままだ。
南無八幡大菩薩様!!

ここ蒲生野の湯はサ道の先輩により手解きを受けた、始まりのサウナである。今日は私一人で来るというとても珍しい状態だ。
サウナに入ると、左手がじんわりと痛みだす。いいことだ。痛いということは生きている証拠だ。もっと痛むといい。
外気浴はもちろん源泉に入る。ほぼ体温と同じである源泉は、滋賀の10月に慣れぬ我が身に優しい。この源泉の水温は夏の残り香のようだね。
一息ついて、今日の作業を振り返る。オオスズメバチに警戒されたためにロープを滑り降りたのはいいが、それにより左手に火傷を負ってしまった。ふと見る温泉の効能にやけどの文字が頼もしい。
さあまたサウナだ。

この蒲生野の湯には施設の外に足湯があった。今ではもう湯が出ておらず使われていない。そして源泉も、伝い出るはずの湯口には管が刺されている。

まるで末期患者のように。
先輩も、いつか湯が出なくなるのではと噂している。もしそうだとしたら、なるだけ機会を増やしたい。
去り行くものが背を向けるとき、私は思わず手を伸ばす。しかし届くことはなかった。しかし私はいつまでも、そういうものだと割り切れないでいる。

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山吹

2020.09.30

1回目の訪問

長命寺温泉 天葉の湯

[ 滋賀県 ]

彦根で仕事を終え、バイクを琵琶湖側に走らせる。今日は先輩が留守のため、どうせならいつもは行かないサウナを目指す。
道のりは随分と長く、メロスよろしく日没ぎりぎりに到着。入浴料金は千円とお高めであり、早くも来たことを後悔しはじめた。
入場すると、薄暗くしかし見えなくない範囲の出で立ち。左右に低温、高温サウナがあり、疲れを癒そうという心遣いがありありと見える。
まずは低温サウナに入る。入り口に室内湯を延長した川と、それを渡す橋が粋を醸し出す。なんと座椅子が存在しない。大画面のテレビがある中、寝転ぶためのマットがそこかしこ。低温サウナでここまでの広さは見たことがない。
たっぷり時間をつぎ込み、水風呂へ向かう。水風呂にジャグジーか......珍しいな。そうひとりごち、水槽内の階段を下りる。1段、2段......3段!?ふ、深いッ!!なんだこの水風呂ッッ

次に高温のサウナに入る。横に長い室内の両端にストーブがある。テレビは......無い!?この照明の暗さ、そしてこの素晴らしい情報量の少なさ!!私の求めるサウナはここだったのか!?最近は8分以内の短いサウナばかりであったが、この高温サウナは私を捕らえて離さない。ここは私という獣をピンポイントで捕獲する檻罠だ。
サウナから命からがら抜け出すがしかし水風呂の深みにはまる。満身創痍の中、露天スペースでただ ただ エクスタシー。
千円どころか言い値でどうだと言わんばかりの掌返しを見せつけ店を出る。

真っ暗になった道を駆け抜けると、草のにおいを鼻が捉える秋の訪れ。

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山吹

2020.09.23

5回目の訪問

水曜サ活

金閣寺湯

[ 京都府 ]

一ヶ月のサ禁から堰を切ったように金閣寺湯に雪崩れ込む。しかし激情に任せて入店するように見えて、実は目的があってのことである。
サ禁生活の中でこのサウナイキタイを血走った眼で回覧中、気になる文言を見た。
水曜サ活は9月30日まで。
水曜サ活はしたことないし、なんならサ活すらできていないが?
サウナイキタイの思慮不足ともいえる急かしにカチ切れては殺意を抱いて、今回のサ活の運びとなる。
金閣寺湯の自販機にはイオンウォーターがある。初めての水曜サ活であるので、これを用いて行うものとする。
水風呂の管理にも気を使うほど、地域住民に愛されているサウナは今日も元気に高温だ。昨日は私用で遅くまで起きていたので、この温度がいっとう効く。
さて......脱衣場で110円を握り、一糸纏わずイオンウォーターを購入する。この山吹、熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに頂くことをその食物、飲料に対する礼儀と心得ている。
これは馴染む!馴染むぞ!!──まるでサ活のために生まれし戦士だ。
イオンウォーターを装填し、サウナへ入室する。これは......!?水やお茶と違いこのイオンウォーター、身体へ長く留まっている。まるで染み入るようだ!これは存分にサウナを堪能できる。

サ活の最後に、露天風呂に入る。
空を見上げると、もうすっかり夜空だ。
サウナ内のテレビは、昼夜が同じ長さになる季節だという。
イオンウォーターの残りを身体に流し込み、バイクと私はまた秋を駆ける。


イオンウォーターを用いたサ活で一句。

サウナ秋
水曜夜長に
染入(しみ)る水

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山吹

2020.09.20

4回目の訪問

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山吹

2020.07.07

5回目の訪問

水口温泉つばきの湯

[ 滋賀県 ]

大学入学以来の相棒が、どうにも不調を訴える。それに呼応するかのように今日が雨休みであるから、私は明朝から滋賀へ向かう。
彼方より来た自動二輪であり正規輸入店も潰れたため、これまた大学時代より縁のある先輩しか、相棒を治療することは出来なくなってしまった。
どうやらシリンダーヘッドのプラグ周辺が、まとめて駄目になっているようだ。ここまでよく走ったものだ。
部品取り車を用意していたので、罹患部全てを摘出の後移植した。
相棒は死地より生還したのだ。
やってきたのは水口温泉つばきの湯。
施設内の食堂でそばを食べ、いざサウナへ。するとどうだろう、回数を重ねるにつれ10分、8分、6分と入室時間が減ってゆく。私は自身の体調不良を感じとることが苦手である。それはサウナへ誘うように相棒の不調に呼応したのか、それとも相棒が身を以て教えてくれたのか──
7月の月替わり湯は熱海の湯。サ活の締めに入り外気浴をすると、軟らかな風のなかに疲労と不安が消えていくのを感じる。
相棒も、先輩も、サウナも。どこか奇妙な縁だけれど、私にはどうしても必要なのだ。
リクライニングチェアに横たわり、顔に流れる雫は汗ではなかったように思う。

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山吹

2020.06.29

4回目の訪問

水口温泉つばきの湯

[ 滋賀県 ]

先週は休みなく働き、今日は半日休という腐った労働形態。私は休日による心の安息を得るため、滋賀の道なき道を駆ける。

仕事MAX──怒りのオフ・ロード──

定額給付金より5万6千円を生け贄に捧げ、ヤフオクという暗黒より出でしカモシカは唸りを上げて林道を疾走る。オフロードバイクではあるが、モタード仕様という腐ったその出で立ちはまさに私の今と重なる。下についたマフラーが凹もうが、オンロードタイヤであろうが、燃料タンクに穴があこうが私の心に吹き荒ぶ風を止めるに能わない。
筋肉が悲鳴をあげ、食塩の生産に着手した頃、やってきたのは水口温泉つばきの湯。
今月は大分は別府温泉の湯を楽しめるらしい。フフ......サ活の〆はここに決まりだ。
相変わらずここのサウナは広く、また火力もあり、サ活ブランクのある私にはなかなか効くパンチを持っている。リクライニングチェアに横たわると、腰から背筋にかけて、オフロード特有の痛みが延びてくる。ことリラクゼーション施設は弱いところをよく見付けるものだ。ととのう予感に自然とサウナへ足が向かう。
3セット目、オートロウリュウ中に入室することになる。病み上がりの私には、ここの熱はこたえる。いつもより早く、サウナから退出する。
別府温泉の湯にありつきながら、ふと思いを巡らせる。
サウナとオフロードは似ている。無理だろうと作法も分からず敬遠することも、一度やればすぐにまた行きたくなってしまうのも。やる選択肢は決して間違いではなく、必ず身体と心を満たすのだ。ともなれば、先ほどのロウリュウのように、オフロードでも進めぬ何かが立ちはだかるときも来るのだろう。そして私は終生そういったものに喧嘩を売り続けるのだ。
まったくもって、上等である。

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山吹

2020.06.25

1回目の訪問

蒲生野の湯

[ 滋賀県 ]

新型コロナウィルスの蔓延により長期の自粛を強要された私は病院に担ぎ込まれることになる。
同ウィルスに感染したのではなく、長期のサウナ失調及び記憶喪失のためだ。
運び込まれた病院は蒲生野の湯。先輩にサ道を示された場所である。三段のサウナに広い水風呂、そして二人分のごろ寝スポットとサウナーには豪華な施設。
さあいざ5ヶ月ぶりのサウナへ。

しかしどうしたことだろう、この患者は10分経過しても汗が出ておらず、記憶喪失のせいか水風呂の入浴時間を誤る。身体の芯に寒気があり、外気浴を楽しめない。
サウナ失調の重篤な症状だ。

再び入室する。サウナ失調症を治癒するにはサウナ投与し続けるしかないのだ。10分が経過し、水風呂へ入る。
またしても入り過ぎてしまい、外気浴へ向かうと、そこに蒲生野の湯の源泉が目に映る。源泉はほとんど外気と温度が変わらず、しかし入った瞬間は仄かに温かい。
静かに湧き出す源泉の中で、患者は蘇りつつあった。

3セット目、ついに患者は水風呂の入浴時間を思い出したのだ。まるでピアノマンがピアノを弾き出すかのように。では先ほどのサウナで最上段を選んだ彼はまさにサウナマンなのだろうか。
蒲生野の源泉は、確かに私を導いた。敬意を表し、外気浴の代わりに入浴する。
原初に立ち返り、難病を克服した私はサウナイキタイで筆を握る。ピアノマンは偽者であったが、サウナマンは本物だ。

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山吹

2020.03.23

3回目の訪問

金閣寺湯

[ 京都府 ]

激務の日々に一区切り、人生の節目にはサウナが似合いである。行くしかないと心を弾ませ働いていたのが2週間前のことである。
白い陶器のようなものが私の左膝を貫き、6針縫うことになろうとは──。
ドクターストップ明けのサウナは高温である金閣寺湯以外にありえない。もう少し優しいサウナに入ればという甘えた考えは、厳に慎まれるべきである。
秋刀魚傷をこさえ、鬼ともとれる形相の私には、背中に神を背負う男がいようとも関係などない。
金閣寺湯の高温サウナは一段目のヒーター側が一番よく燃え上がる。そして時計のないこの空間こそ、熱を我が遺伝子情報に素早く届けることができる。
鬼の遺伝子は金閣寺湯のサウナで書き換えられ、その姿は弥勒菩薩像のようじゃあないか。やはり金閣寺湯で正解であった。

露天風呂に浸かりながら、私は野球選手の苦難に想いを馳せていた。誰だったかは忘れてしまったが、輝く才能を持ちながらと怪我に次ぐ怪我で最後まで不運の連続だったあの人だ。年末からの激務と怪我によるサウナ出場停止。このままではサウナイキタイから戦力外通告を受けることもあったかもしれない。サウナには万全な体勢こそ礼儀である。今シーズンはまだ始まったばかりだ。サウナイキタイ選手の一人であることを自覚し、臨んで行きたい次第だ。

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山吹

2020.02.19

11回目の訪問

水曜サ活

玉光湯 ひじりのね 伏見店

[ 京都府 ]

冬の寒波はどこへやら。梢が春の訪れに胸を膨らませる頃、私はととのわぬ祟神大魔縁としてひじりのねへ顕現した。急遽猟犬を飼うために土地を購入し、ツリーハウスを建設しはや2ヶ月半。サウナに行く余裕すらあらず、その身を魔道に堕とすことは容易いものであった。
前回の投稿より今日まで、サウナイキタイで投稿した皆様、御怨み申し上げます。水曜サ活をした皆様、お呪い致します。
人の形をとりながらも中身は祟りで充ちる。オートロウリュを前に満員であった最上段は私が入ると途端に人気はなくなった。もちろん一回のオートロウリュ程度で鎮まるものではない。フィンランド式サウナに魔縁が結ばれ、誰もがここに近付けぬ。再びのオートロウリュでも荒御霊は鎮まることを知らない。祟りによるものか、露天風呂の電球は光を失い、より良い環境に造り変えてしまった。まさに魔窟である!!
祟神は湯に浸かり、岩にもたれ、目を閉じる。
心の臓の働きは、いつだったかの鼓動によく似ている。それは北海道を自動二輪で旅し、その最果てを見たときか──幼き頃、熊本は阿蘇の大観望で、何処までも遠くを見つめていたときか。

祟神とは丁重に祀り上げれば強力な守護神となる。ひじりのねの食堂「花づかし」へ招待し、供物として天ぷらそばを献上する。
祟神のまなざしは、少年のそれであったという。

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山吹

2020.01.10

2回目の訪問

金閣寺湯

[ 京都府 ]

年末より今に至るまで、私はとある理由により山道を開拓し、ツリーハウスを建設している。工期は急くものであり、ととのえぬ大御神である私には満月の後光がさしていた。こんな日には勿論金閣寺湯を選ぶより他はない。450円を券売機に放り込み、ああいざサウナ......。
やはり高温のサウナは私のよこしまなる力を解してくれる。深い水風呂より露天へ至る。昔ながらの銭湯のなかで、この露天があることが嬉しい。しかしいつも人気はない。この金閣寺湯では温泉を汲んできて我々に提供しているのに何故だろうか。
2周目に入ると、露天と比べて盛況であるサウナ内。空いてるところは一段目のストーブ付近。
座るとどうだろう。2段目より暑いではないか。金閣寺湯のサウナはテレビ以外の余計な情報は一切ない。そしてここならそのテレビすら見えない。この拙文をここまで読んで下さった皆様、パライソはここにあります。ストーブに炙られる脚であるが、常々頭部と脚部の温度差を気にしていた私にはシンメトリカルに心地が好い。
3周目に入ると、人はおらず2段目も空いている。しかしストーブが近う寄れ、と仰るので私はへへぇ、とへりくだる。
長く水風呂に入った理由は外気浴の後、金閣寺湯の静かな露天風呂を味わうためだ。露天風呂は掛け流しではなく底面より沸き上がるこだわりの方式であるため、少しの音も聞こえない。贅沢を享受するには音もなく進水するのが礼儀である。
沸き上げ方式であるが些か波が強いように感じる。それは波ではなかった。
ととのいが、底から湧いてきていたのだ。

私は幼少の頃より転校を繰り返していたため、故郷というものがない。そういった理由でこのサウナイキタイでもホームサウナを設定する気はない。しかしそれでも、ここが故郷であったなら、悪くはないだろう。

追伸
ツイッターでツイートを始めました。ツイートを見ながらサ活投稿を見ていただければ、より写実的にサ活をお届けできるでしょう。何卒宜しくお願い致します。

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山吹

2019.12.27

9回目の訪問

玉光湯 ひじりのね 伏見店

[ 京都府 ]

師走に入ってからというもの、なんと今日まで私はととのえずに日々を送っていた。繁忙期であり、夜も用事にまみれてサウナに行くのもままならない。就労世代のサウナ不足は深刻な問題であり、政府は早急に対策を練らねばならないはずだ。また、高齢者世代は病院なんぞにたむろさせるよりサウナへGOである。
この1ヶ月のサウナ不足により、私はととのわぬ鬼神と化した。鬼に物事を考えることは不可能である為、アメニティの充実したひじりのねに攻め込む。
鬼の洗濯岩もかくや、勢い荒波の如く身を清める。タワーサウナに入り、5分経つとオートロウリュが始まる。いつもは1分前に合わせて入るところだが、荒ぶる神は考えることを知らない。熱波のなかで血管やリンパ腺、そして神経が力を放ち、遠方へ飛び立つ。

短い水風呂を経て、ジャズのBGMが一番よく聞こえる特等席へ。12月だというのに、冷気の舞いは変わらず心地よい。ジャズと舞いにバーの空気を感じたため、私は余市10年シングルカスクの香りを思い出す。
フィンランド式サウナに入る。人数は三人。ここは周りの施設に比べ人気はなく、独り占めできる場合もままある贅沢な場所だ。ひとりまたひとりと席を立ち、待ってましたとオートロウリュまで独り占めである。最高のこの環境で、ふと、なぜひとりになりたがるのかという疑問がよぎる。私がひとりになろうとも、このサウナは70度ほどを保ち、オートロウリュもする。12分計も絶えず動くところを見る、まるで生きているかのように。
そう、私はひとりではなかったのだ。私と彼女のふたりになる時を待っていたのだ!
私はフィンランド式サウナに一種のエロスを感じていたことになるのだ!
ひとりが入ってくると同時にオートロウリュの機械音が止まる。
悪いな、房事はもう終わった。
タオルをマントのようにはためかせ、私はサウナを後にする。

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山吹

2019.11.30

8回目の訪問

玉光湯 ひじりのね 伏見店

[ 京都府 ]

11月も末となり、いよいよ寒波がやってきた。姿は変われど相変わらずサウナへバイクを走らせる。明日は休みであり、特別な1日であるからだ。
私こと山吹は猟師である。第一種銃猟免許を所持し、猟犬とともに獲物を追う。
仕事が終わったその時点で私は自然の中にいる。となれば、サウナに入るのも全く自然である。
回数券は残り三回か......。京都には銭湯が数多くあり、それぞれの特徴を探すのが面白いが、アメニティの関係でひじりのねを選ぶ。
今は狩猟のことしか考えたくはないのだ。
タワーサウナに入る。子供連れの多い中でも今回はマナーが良い。悪くない。
2セット目にはオートロウリュがくる。5分ほどの熱波が来るが、私にとってはすすきの生い茂る中を猟犬に追い付くより楽だ。笑みすら溢れる。

外気浴をしている間もずっと狩猟のことを考えていたが、冬を纏いはじめたキレのある風に落ち着け、と諌められる。
やはりここに来たのは正解だった!
気持ちがはやっては不足の事態が起こり得る。獲物の捕り方は自然が教えてくれるということか!
明日の準備は全てととのった。
ご愛読、ありがとうございました!狩人山吹の猟果にご期待ください!!

追記
ととのった私には自然がついている。

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山吹

2019.11.24

7回目の訪問

玉光湯 ひじりのね 伏見店

[ 京都府 ]

突然だがサウナ愛好家の皆様はととのう、という言葉の対義語は何と表現するだろう。単純明快にととのわない、だろうか。凝る、という方もいらっしゃるかもしれない。そんなことをヘルメット内で考えつつ通勤路からサウナへ向かう。
勤労に感謝しながら勤労し、今日は日曜日であるはずだが......。沸々とするこの気持ちはどう見たってどす黒いものだ。
「獣になる」
日曜日で人がごった返す中に来てしまったが、昔ながらの銭湯は、バイクを置ける隙間もなかったので致し方あるまい。
案の定サウナも人類が次々と進出している。真横で会話されるというのはなんとも......。外気浴に移るも子供達が大騒ぎである。
たまらずフィンランド式に逃げ込む。人は多いがここは静かだ。ここが最後の砦なのだ。すると前回、静寂を求めて長丁場となった猛者が鎮座していた。「お前もか」と話しかけられた気がする。
ひじりのねの外気浴は畳の寝転びスペースが多く、事欠かない。特に私のお気に入りは入ってすぐ右側、スピーカーに一番近い一人用の寝転びスペースである。
ジャズ風にした夏川りみの「涙そうそう」とともに秋の風が軽やかに踊り始める。ここで私はやっと人心地着けるのだ。
思えばーー今までの私は人類の発展による山林開発で、すみかを追われる野生獣であった。自身に起きた苦い経験で、異なる何かの心が少しだけわかった気がする。

外気浴のなかで、私は人類に戻りつつある。そこで見出だした心を忘れぬ人間に、自分自身をととのえる。

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