【閉店】カプセルホテル・サウナみづほ
カプセルホテル - 東京都 大田区
カプセルホテル - 東京都 大田区
早いうちに、みづほには行っておきたかった。7月末で営業終了になってしまうというのだ。設立は平成10年ということだから、23年間続いてきたということか。
7時30分頃、客は5人程。脱衣所の棚には常連客の名前が書かれたカゴが並んでおり、それぞれの客の私物の道具が入れられていた。
#トロンサウナ
高温サウナ以外に、トロンサウナという低温のサウナがある。62℃。岩盤浴のノリで蒸される。ガラス張りで外が丸見え。室内は明るく、ジュディ・オングやアグネス・チャンといった昭和の歌謡曲が流れていた。20分程度蒸される。
♯「ジャバさん」
トロンサウナ後、ととのいイスに座っていたとき、驚きの光景を目にした。高温サウナから、ジャバ・ザ・ハットのようなフォルムのおじさんが出てきて、水風呂に音を立てて飛びこんだ。浴槽の中で体を縦横に動かしてジャバジャバ波を作り、しまいには浴槽の中でジャバジャバ顔を擦っていた。ヤバい。フリースタイル過ぎる。
「まぁマナーだとかデリカシーだとかをとやかく言うつもりはないけど、今から俺があの水風呂に入らなきゃいけないと思うと、ちょっと萎えるよね…」と心の声。
というわけで以下、このおじさんのことを敬意を込めて「ジャバさん」と呼ぶ。
♯高温サウナ
サウナに入って分かった。ジャバさんは常連客だった。常連客同士は顔見知りになっており、ジャバさんはその中心だった。「7月で終わってしまうと、近くにサウナないからやってられないよね」という話題だった。
♯ととのいイス
突然、ジャバさんから話しかけられた。
ジャバ「ここ、7月で終わっちゃうんだよ。どうすりゃいいんだよ。」
俺はとっさに「五反田に新しいサウナできたらしいですよ。ドシーっていう。水風呂はないですけど。」と返答。
すると、ジャバ「水風呂がないなんてそりゃダメだよ」と一刀両断。
しかし、しばらくの間があった後、ジャバさん、少し寂しそうにこんなことも呟いた。
「憩いの場がなくなっちまうじゃん」。
そうか、ジャバさんにとってはサウナはととのいだけでなく、他の客との憩いのためにも来てたんだな。
サウナでは、日々顔を会わせる人同士の繋がりが生まれている。サウナがなくなることは、ここで育まれたゆるーいコミュニティも離散してしまうことなのかもしれないんだな。勝手に、少しの悲哀を感じてしまった。
7月末で、サウナみづほはその23年の歴史に幕を閉じる。
ジャバさんの、大玉スイカのように丸く膨らんだお腹には、残り1か月しかない憩いを惜しむかのように、くっきりハッキリ、見たことのないような美しいあまみが浮き出ていた。
アレな客か、と思ったらまさかのしんみり話。行ってジャバさんを見かけるようなことがもしあったら話して見たいと思いました
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