改良湯
銭湯 - 東京都 渋谷区
銭湯 - 東京都 渋谷区
俺は悩んでいた。今日職場で、ある重要なポストに就かないかと打診を受けた。早めに返事をくれという。
いわゆる出世ではあるが、俺のキャパを超えている。とてつもなく忙しくなるだろうし、ストレスも大きい。悠々とサウナ巡りも出来なくなるだろう。俺は、悩んでいた。
俺は背伸びすべきか。等身大を貫くのか。
サウナでじっくり考えたかった。冷たい水で頭を冷やしたかった。頭が空っぽになった時、自ずと答えが出る気がした。そして改良湯へ向かった。
意識の高い並木橋の街並みを抜けた先にそこはあった。
♯浴室
幾何学的なデザインが、上部のサイケデリックな絵を引き立たせている。青の間接照明が全体の基調を作り、シーリングライトが風呂を照らすことで、メリハリのある空間が出来上がっていた。
「ライティングが上手いな。」
デザイナーでもなんでもないのにそんなこと言っちゃう奴程カッコ悪いヤツはいない。そう、
俺だ。よく見ると、風呂の湯面には誰のかわからない○ン毛がぷかぷかと浮かんでおり、シーリングライトがそのみっともない影を底面に映していた。等身大とはこういうものなのかもしれない。
♯サウナ
8人がぎゅうぎゅうに入るサウナは105℃。しかし、ストーンがないせいか、そこまで熱くはない。12分はいれた。サウナは等身大(普通)だった。
♯水風呂
水風呂もシーリングライトで浮き上がるように照らされていた。水温は18℃、ぬるくも冷たくもない。人がいない時を見計らってさっきの○ン毛のようにぷかぷか浮いてみる。見上げた天井はゆらゆらと水面を反射していた。それは人生の岐路に立った俺に「自分で決めろ」と言っているようだった。
♯ととのいイス
無印良品のようなのモダニズム調の脱衣所。ととのいイスに腰掛け目を閉じる。雑念が消えていく。俺の心の奥底を、俺が知りたがっていた。
3セット繰り返し、改良湯を出る。
意識の高い並木橋の街並みの中で腹を決めた。
いっちょやってやりますか!
俺の心は「ととのって」いた。
おめでとうございます㊗️ご活躍を祈念しています。勝手に(笑)○ン毛のようにプカプカもたまには〜
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