紀の国湯
銭湯 - 東京都 板橋区
銭湯 - 東京都 板橋区
サウ後日記⑦
ハシゴ旅
曇天
九月一三日
東京は板橋区の蓮根、紀の国湯
諸兄、「白濁パラッソス殿」と共に
汗の余韻を纏い、夜風を切って歩く。
夜の板橋を歩く足は、すでに熱を帯びた皮膚と疲労に支配されていた。
しかし、諸兄の言葉は冷徹だった。「もう一軒、行くぞ」。その一言が、都市の夜を裂き、肉体の理性を踏み躙る命令となった。
雑踏を一歩離れ、蓮根の夜気を抜けると
街灯の黄味がかった光はすでに遠く、
目の前にはネオンのピンク色 が妖艶に滲む紀の国湯がスケベな気分が微かに心を支配する。
自動ドアのセンサーが静かに反応すると、金属の枠が音もなく開き、都市の湿気とネオン光の境界線が消えた。
番頭の愛嬌あるお姉さんがカウンター越しに微笑んだ。
その微笑みはまるで淡い香りのように漂う。
これから始まる肉体の儀式への招待状のように思えた。
支度を整えて、いざ浴場の自動ドアは自身の體を誘う。
浴場では珍しく趣のある作りに時代の境界は曖昧になる。
體を清め、礼節の誇りを胸に熱の庵の扉を引き開ける。
私は圧倒される。
広大な空間はただの熱気の籠もる場所ではなく、精神のための競技場のようである。
町の銭湯としては異例な、広大なサ室の存在である。
90度ほどの熱気が體一気に包み、
汗が血気とともに吹き出る様であった。
部屋の片隅で無言のまま映像を映すその黒い箱の光でサ室の影が揺らめく。
ダンスグループの映像に
小生達は思わず眉をひそめる。肉体を磨き、熱気と水に己を委ねる本来の男の姿とは異なり、彼らは軽薄さと遊戯の中に生きている。
広いサウナ室に漂う蒸気こそが、時代に左右されない真の男らしさを教えてくれるような気がするのだ。
時代遅れかもしれない自分の面を、昭和の銀幕スターのように凛と保たせるのである。
広いサウナ室から、私は静かに立ち上がる。肩に滴る汗を感じながら、木の段差を降りるたび
かつての銀幕スターたちの気品ある振る舞いとはあまりに遠く、おぼつかない足取りで熱の庵を後にする。
紀の国湯の設計は見事である。サ室の扉を開けた瞬間、すぐ左側に冷水の聖域が待ち構え、無駄な動線や不格好な迂回などは一切存在しない。まるで演出された舞台のように、身体の熱と心の静謐が水風呂へと滑らかに誘われるのだ。
20℃の水風呂にバイブラが水面を泡で揺らす
優しく體に纏わりつく水の布を優しく脱がせる様に
火照った體を覚醒させるのだ。
露天風呂があり檜風呂である。
胸の奥が揺れる鼓動が微かに笑顔にする
檜風呂に湯を注ぐ音、かすかに香る、木の匂い、小さな波紋を立てる湯船を横に
外気の風が頬を撫で、瞼の裏に光が淡く揺れる。
ピンク色のネオンに背を向け、次の湯屋に向かうので
うちの実家近くにこんな所あったとは…ありがとうございます。
次の板橋も魅力的ですね。
御実家のお近くでありましたか🙇🏻 お邪魔しました! 町の銭湯とは思えぬ程素敵な場所でした☺️ 是非、帰省の際お立ち寄りしてみて下さい♨️
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