和合の湯
温浴施設 - 静岡県 浜松市
温浴施設 - 静岡県 浜松市
晩ごはん前、私は今日2度目の和合の湯へ向かった。休日とはいえ、同じ施設に1日2回。自宅の風呂が「え、俺は?」と蛇口をひねりたくなる頻度である。和合の沼、深い。
再訪は16時。空が少しずつ藍色に寄っていく時間帯で、駐車場の車も朝より増えている。ネオンサインはまだ全力ではないのに、もう「おかえり」と言ってくる気配。回数券を握りしめ、気持ちは早くも脱衣所へワープしている。
券売機に並ばなくていい回数券は、財布に優しい。反面、心には甘い。入館のハードルが低すぎて、つい「軽く寄ってく?」が成立してしまう。休日の私は、揚げ物より危険な“軽く”を持っている。
受付で回数券を差し出す手つきも、もう常連の所作だ。スタンプを押される音が、心のカレンダーに「和合②」を刻む。スタッフさんの「いらっしゃいませ」が、さっきの「また会いましたね」に聞こえるのは気のせいだろう。たぶん。きっと。
脱衣所で服を畳み、身を清めて内湯へ。バイブラがぶくぶく鳴り、少し熱めの湯が凝った体にちょうどいい。泡が肩に当たるたび、疲れが「では失礼します」と退場していく。湯温は高めなのに不思議と刺さらない。和合の湯は、昭和の腕っぷしと、町内会の優しさを両立している。
サウナ室は朝と変わらぬ昭和ストロング。夕方の全国ニュースを眺めながら汗を流す。周りの顔はだいたい知っているのに、名前は誰も知らない。なのに一緒に天気予報でうなずける、この距離感が心地いい。ここは社交場というより、黙って同じ番組を見る町内会だ。ニュースの「明日は冷え込みます」に、全員が小さく「よし」とうなずく。冷え込み=水風呂が捗る、という暗黙の了解である。
水風呂で火照りをすっと冷ます。冷たさが脳天から背中まで一直線に走り、明日から仕事という現実が一瞬だけフリーズする。ありがたいが、完全には消えない。現実は防水仕様である。とはいえ、ここで一度リセットできるから、人は月曜日に立ち向かえる。サウナは小さな再起動ボタンだ。
休憩は露天の外気浴と、浴室内の内気浴を行ったり来たり。外で風に当たって「うん、帰ろう」と思い、内に戻って「もう1セットだけ」と言い訳を増やす。
冬場はどちらかというと外気浴キャンセル界隈の私でも、今日はキャンセルしきれない。夕暮れの空気がちょうど良すぎるのだ。
晩ごはんの時間が近づき、名残惜しく浴室をあとにする。明日からまた仕事。でも不思議と気持ちは軽い。答えは簡単だ。私はまた和合の湯に来る。たぶん、近いうちに。
風呂上がりの運試しは今日は我慢。勝負は湯と汗と水風呂で十分、ということにしておく。
財布も胃袋も晩ごはんに備えて、ここで撤退が大人だね。
男
ありがとうございます! 週間天気予報を見ながら、この日はここの施設に行こう…とか考えてしまうところ、とか良く分かります!
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