サウナ&カプセル サンフラワー
カプセルホテル - 東京都 豊島区
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宇多田ヒカルさんの「道」という曲が急にリフレインしたのは、ととのい椅子に座っていたときだった。
打ち込みの音はあるいは少女が歩いてる音にも聴こえた。
タイトルに沿ったアレンジともいえる。
歌詞の中にも「転んでも起き上がる」といったフレーズがあることから、そう思うことは誰にも否定されないだろう。
現にこの曲は散歩しているときに聴くと不思議にしっくりとくる。
しかし、サビで打ち込みの音は速くなる。
散歩中であれば曲のリズムと、自分の歩幅が合わなくなる。
どうしてだろうか?
そうか、少女は走りだしたのだ。
忘れたくない、見失いたくない、手放したくないなにかを追いかけているのかもしれない。
真摯に、まっすぐに、ひたむきに走る女の子に誰が追いつけるというのだ。
椅子の上でのまどろみの中、僕はそんな少女の背中を見つめていた。まぶしく、はかなく、愛おしい光だった。
それにしても、どうして、この曲のリズムのことに思いがいったのだろうか?
僕の鼓動がそうなっていたのだ。
僕もまたそれを持っているのだ。
それを持っていられていることのあたたかさすら感じることができる。
それは僕たちが人生の中で持ちうる数少ないけれども、でも確かなぬくもりのひとつなのだ。
でも、あるいはその温かさは、ガラス越しに伝わってくるスチームサウナのぬくもりかもしれなかった。
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