ウェルビー福岡
カプセルホテル - 福岡県 福岡市
カプセルホテル - 福岡県 福岡市
「決して急いでサウナに入ってはいけません」
その日、男は成田空港へ向かっていた。福岡に住む友人と福岡のサウナを巡るためである。
集合時間は19時。ウェルビー福岡では週に一度のヴィヒタロウリュが行われる時間だ。
仕事は半休を取りいざ成田空港へ。中央線と山手線を乗り継いでスカイライナーに乗って一息ついた頃、一通のメールが届く。
「恐れ入りますが、お客様のご予約便 GK515 成田 2018/10/19 発は遅延となりました」
やれやれ、と男はため息を着く。新しい離陸時刻は15時10分。フライト時間は3時間。慣れない街での移動を考えると不安が募る。
飛行機が福岡空港に降り立ったのは18時30分だった。状況はすでに絶望的と言えたが、男は希望を捨てなかった。急ぎ地下鉄の改札へと走る。
電車に乗ったのは18時38分だった。ウェルビー福岡への最寄り駅である祇園駅への予定到着時刻は18時45分。男の理性は冷静に計算する。受付と着替え、体を洗う時間…とてもじゃないが間に合わない。しかし諦める訳にはいかない。
Google Mapで予習した道筋を全力で走り抜け、階段を上り、光の速度で受付と着換えを済まし男が体を洗い終わったとき、時刻は18時55分を指していた。男はやり遂げたのだ。
しかしこの時男は油断した。無理もない。フライトの遅延、慣れない街での移動、全力疾走、すべてをやりきった男はこの時安堵し、同時に自身の体に僅かな尿意を感じた。
男の頭に迷いが生じる。用を足してからロウリュを受けるか、我慢してロウリュを受けるか。いつか聞いた言葉が脳裏に浮かぶ。
「決して急いでサウナに入ってはいけません。もしサウナの中で幸福でマイルドな経験を得たいのなら静かで穏やかにしなくてはなりません」
男は仮にもフィンランドサウナを愛する者である。尿意を我慢して入るサウナなどサウナではない。男はスタッフにトイレの位置を尋ね、用を足しに向かった。
トイレから戻った男の前に立ち塞がったのは一枚の板だった。
「ロウリュ中につき、途中入室はできません」
今日この日のロウリュのため、万難を拝して力を尽くした過去が頭を過ぎる。マナー違反と知りながら、男は無意識にサウナ室の扉に手をかける。
スタッフは当然のように「すみません、途中入室はお止めください」と告げた。
今回の件から得られる教訓
「移動時間には余裕を持ちましょう」
引用
--- Smoke Sauna in Voromaa
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