久松湯
銭湯 - 東京都 練馬区
銭湯 - 東京都 練馬区
江古田、というと日芸と武蔵野音大。
荒削りで尖った個性と自意識剥き出しの、若き芸大生達が互いのイマジネーションを刺激し合いながら日々アートについて論じ合い切磋琢磨している芸術の街、というイメージを抱いていたのだが、いざ降り立ってみるとそうでもなかった。
まずタピオカ屋が多いのに驚いた。
そしてその全ての店に、近隣の大学生と思しき若者達が殺到している。
ゲージュツのことは俺にはわからんが、それらはいつでも時代のムーヴメントみたいなものに逆行する、反抗の精神というか、そういうものが原動力なのでは…?
いいのか、芸術家の卵達よ。それでいいのか。タピオカでいいのか。
アーティストならタピオカではなく、なんていうかこう、アブサンとかを飲むべきではないのか。
そんなタピオカと若者の波をかき分けて歩くこと20分。
目的のタピオカ屋…じゃなかった、銭湯がそこにある。「久松湯」
サウナ料金込みで870円とリーズナブル。
サウナ室はあまり広くないが衛生的。
温度は90度弱。サクッと10分×3で仕上げ。
水風呂は16度から17度前後。
少々カルキの匂いがする気がするが、俺は嫌いではない。
子供の頃通っていて楽しかったスイミングスクールを思い出すからだ。
平日の早い時間だが、若いお客さんが結構多い。
江古田の芸大生達だろうか。タピオカは非常に高カロリーだと聞いたが、みんな細くてスタイルがいい。最近の子はみんな尻が小さい。いいなぁ。
それにしても、ととのった後の人間というのは奇妙な行動力や、的外れな知的好奇心を発揮するもので、どういうわけか気がついたら俺は帰り道、タピオカミルクティーを片手に持って歩いていた。
初めて飲んだタピオカミルクティーは、なんとも言えない虚無的かつ退嬰的な味がした。
ミルクティーの中で踊る無数のタピオカは、よく見ると草間弥生のアートっぽく見えないこともなかった。
「残された少ない時間の中で、ご飯を食べる時間も寝る時間も削って、一生懸命絵を書き続けています」
というのは草間弥生先生のお言葉だが、もしかしたら彼ら芸術家の卵達もまた、作品作りのため、まともなご飯を食べる時間を削り、片手で食べる(飲む)ことのできるタピオカを摂取しているのかもしれない。
そして疲れた時にはサウナに入る。
ちょっと内心馬鹿にして悪かったなぁ、と思った。
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